>>844 >どうもフランスの現代思想には胡散臭さを感じてゐて、今まであまり読まずに来ました。
それはある意味正しい認識です。
ただ、レヴィナスは20世紀フランス思想界を1人で踏破したような所があるので
逆に言えばレヴィナスさえ読んでおけば
フランスにおける現象学、デカルト主義、生の哲学、実存主義、構造主義、言語哲学
などが、ざっと通観できるんですね。
で、レヴィナスの思想を簡単に言うとカバラ的ユダヤ神秘主義に基づいた否定神学です。
彼は言語分裂に起因する世界像の分裂を自意識に取り込むことによってその呪術性を解毒しようとしました。
これは一種の修法にも似た調伏行為であり、これこそがレヴィナス倫理学の本質なのです。
宗教そのものといってもよいでしょう。
ただし、合理主義に潜む神学的ヒューマニズムの欠陥を暴きだし
その暴力性を自らを贖罪羊として捧げる事によって封じ込めようとしたのは見事なものです。