西村賢太 3スレ目

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477吾輩は名無しである
>>476

貫多はこの「週刊プレイボーヤ」なる低俗週刊雑誌の記者の面会なぞも受けており、取材のことは
受賞騒ぎのどさくさに忘れてしまっていたのであったが、貫多の談話の掲載雑誌が送られてきたのに目を通すと、
そこでは自分の到底使い得ない語彙が散りばめられた、砕けた口調の、八割方毒が薄められた、
爽やかな内容となっており、貫多は何んとも居心地の悪い、くすぐったいような思いがするのだった。
なかでも貫多の目を引いたのが、「リア充」なる言葉で、はなインターネットなぞに通暁しない貫多にとって
この言葉はまったくの未知の言葉であった。
広辞苑などを繙いてみても当然のこと乍らそのような言葉は掲載されておらず、
知己の編輯者にその意味するところを尋ねてみると、「現実世界が充実していること」との意であると知り、
世間には厭な言葉が流行しているものだよなあ、と忽ちにして慊い思いがした貫多は、受賞の喜びもどこへやら、
その晩のうちに二度も、掲載雑誌に載っているヌード・グラビアで自らを汚してしまう始末であった。