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川上未映子さんの作品について:
>わたしは2010年4月から毎日新聞で文芸時評を担当していますが、さしあたりの措置
>として今後発表される川上未映子さんの作品について、以上に述べたわたしの文学観
>に照らして川上さんから適切な表明がなされないかぎり、時評の対象としないことをここに宣言します。
>
>この宣言自体には弾劾の意図はありません。
>
>わたしは別に、川上さんの文学観とわたしの文学観が一致することを求めているのではありません。
>わたしはわたしの文学観にしたがって文芸時評を書いており、時評の役割はよりすぐれ
>た作品を生み出すためのものだと考えています。もちろん川上さんの作品がアイデア
>盗用をしていないものであり、かつすぐれたものであるとすれば時評でぜひ取りあげたいと思っています。
>
>けれども現状では、アイデア盗用の可能性のある作品とそうでない作品の区別がつけられません。
>これまで「わたくし率 イン 歯ー、または世界」が掲載された伝統ある「早稲田文学」を含め、
>文芸誌にはアイデア盗用の可能性のある作品が積極的に掲載されることは
>ないと考えてきましたが、どうやら状況はそうでもなくなりつつあるようです。
>
>したがってわたしが川上さんの作品を時評の対象とするためには、アイデア盗用の可能性の
>ある作品を読んでそこにアイデア盗用があるかないかを検証し、ないという意味でわたしの
>文学観に適うものであることを確認しなくてはなりません。残念ながらこの作業は、
>毎月ぎりぎりの日程で対象作品を読んでいるわたしの能力を越えています。
>
>今回の盗作や盗用についてわたしとは異なった文学観をもたれている方には申し訳
>ありませんが、そういう事情で川上さんの作品を時評の対象から外さざるをえません。
>文芸誌に掲載されたすべての作品が文芸時評の対象であると考えておられる読者のために記しておきます。
>
>くり返しますがこれは暫定的な措置であり、今後発表される作品でアイデア盗用の可能性が
>ないということが明白になればすぐに撤回いたします。