■■■トルストイの凄さがさっぱり分からん■■■

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137吾輩は名無しである
もう2,3年ほど前になるがね、
朝日が報道ドキュメンタリ宣言という番組を立ち上げたんだ
その番組は普段顔の見えない仕事についている人にスポットを当てて
ごみ収集のおっさんだとか中国人妻を迎える独身喪男だとかを密着取材するという趣旨の番組だ。

確か第3回ぐらいで在宅介護のヘルパーが取り上げられたんだね。
僕は食い入るように見ていた。
その女性は年の頃30半ばというところで、もともとは大学卒業してバブル華やかなりし頃に有名な都市銀行に勤めていたそうだよ。
そのままキャリアを積めばそれこそ30代半ばでどこぞのエリートと結婚して寿退社でエセセレブとして人生送ってただろう。
彼女は大学時代からボランティア活動をやっていてね、長期の有給休暇を頂いてボランティアでインドに旅行に行った。
彼女はそこで”誰かの犠牲なしに命を繋げない人”が存在していることを実感として知り、
そして罪の意識を負ったのだろう。銀行を退社して介護事業に飛び込んだというんだよ。

僕が感じた気持ち悪さはね、仏教の前成説話である兎の自己犠牲の話だ。
お腹を空かせた旅人に対して兎は何も取ってくることが出来なかったから焚き火の中に身を投げた。
この説話では兎は実存上の命を絶たれたが介護事業に飛び込んだ彼女は実存上の命を持ったまま死んでいるんだよ。

生きながら仏になろうとした彼女に僕は恐怖しか感じない。
でも、そのパパをどんなに慮っても、僕には自己犠牲の発露は見えないよ。