文学賞の女尊男卑

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78吾輩は名無しである

悪は限りがないものである。
だが、無限なものではない。
無限なものだけが、限りがないものに限りをつける。

悪の単調さ。なにも新しいものがない。
そこでは、すべてのものが等質である。
何も実在するものがない。そこでは、すべてが架空のものである。
この単調さのゆえに、量が非常に大きい役割を果たす。
まがいの無限性を追い求めずにいられない刑罰。
これは、地獄そのものである。

ところで、人間には創造することはゆるされていない。
それは、神を模倣しようとする悪辣な企みである。
創造することができぬということを、知ろうともせず、
認めようとしないのが、多くの誤りの原因である。
わたしたちは、創造の行為を模倣しなくてはならないが、
その模倣にも、二つの仕方が可能である。
−− 一つは、真の模倣であり、
もう一つはうわべだけの模倣である ーー保つことと、ほろぼすことである。
保つことの中には、<わたし>の痕跡は、まったくない。ほろぼすことの中には、いくらかある。
<わたし>は、ほろぼすことによって、この世にその跡を残す。