52 :
sage:2009/04/30(木) 00:25:19
虚無への供物のアナザーストーリーみたいなものがあるって聞いたんですけど
それって、どれか分かりますか?
大体検索してみたんですけど、それっぽいタイトルのものが見つかりませんorz
『虚無への供物』の第一稿は作品が50年代の会員制ゲイ雑誌『アドニス』
に連載され(未完)ました。長らく幻の小説だったのですが
『小説推理・05年1月号』にその一部が発表されました。単行本収録はまだないと思います。
作者によると『虚無への供物』が「植物と色」の物語なので
「動物と匂い」、「鉱物と音」の物語で3部作にしたい、という「構想」
だけがインタビューやエッセイで触れられています。
実際には書かれていません。
「空しい音 愛読者探す登場人物」という『虚無への供物』の登場人物が
後日談を語るという短編があります。『中井英夫全集・6巻』に収録されています。
相沢さんは元気かな
>>53 ありがとうございます
前から気になっていたので早速読もうと思います
>>54 アイちゃんは結婚して子供が三人おるがな。
しかもみんな女の子。
今更だけどアドニス版の載った小説推理欲しかったとぼやいてみる
文庫化してくれないかな
アドニス版『虚無への供物』は05年当時、いつか本にしたいと編集者がいっていたが、
まだ実現してないのか
自分は図書館で『小説推理』をコピーして読みました
全体の半分ぐらいしか収録されてませんが
だったら、本にならないだろね
何となく書いてみたら意外と人居たんだな
アドニス版はやっぱりアレだから出来ないんだろうか
そのへんのBL本の方がよっぽどやばいのに
三島由紀夫とか塚本邦雄とかの作品も入れて
アドニス傑作集を出したいという企画も聞いたことがある
「往書月刊アドニス特集号」より
すいません間違えました『彷書月刊』(ほうしょげっかん)でした
2006年3月号「特集アドニスの杯」です
もう少し資料が知りたい人には
『回想 回転扉の三島由紀夫』堂本正樹著文春新書にも少しアドニス関連の事情があり
『トーキングヘッズ叢書No.23 昭和幻影絵巻』にも志賀信夫氏の
「中井英夫『虚無への供物』の闇」という論考が載ってます
ぜひ読みたいなぁ。
中井さんは同性愛者というか、性同一性障害なんじゃないかな・・・
>>63 言いたい事はそれとなく分かるw
父親との不和も影響大な感じだけどね
65 :
吾輩は名無しである:2009/11/07(土) 23:52:00
変ないい方だけど、AとBの関係ってなんかうらやましい。最期がああだったとはいえ…。
「間違っていた。なにもかも」だっけ?
これ死の間際に言われた中井は相当つらかっただろうなー。
後年、アル中になってからの中井が、昔は酒なんて飲まなくて、仕事帰りに
ケーキを買って帰ってBと食べるのがなによりの楽しみだったのに、どうし
てこんなことに・・・と書いていたのが切なかった。
夏に法昌寺の供養塔にお参りして来た。
すごくちっちゃかったけど、あれでもそれなりのお値段はするんだろうなー。
白薔薇をお供えしたかったんだけど、近所のお花屋さんにピンクと赤しかなくて(下町の
小さい店だからね)、娘からのお供えなのでピンクでもいいだろう、と妥協した。
この世に残された骨になんの意味も見出しはしないけど、Bとはずっと離れ離れなんだ
ね。
いつか山口市のお墓にもお参りに行きたい。
命日が近づいてきましたね。
見ず知らずの人の死にこんなに衝撃を受けたのは中井先生ひとりです。
勝手に「黒鳥忌」と名づけて毎年歌を読んでいます。
よく太宰のことを「永遠の思春期」みたいな言い方するけど、中井先生もその眷族だと
思います。
ただ、中井先生の青春を止めたのは戦争だということ。
69 :
吾輩は名無しである:2009/12/09(水) 05:31:36
まもなく代表作「とらんぷ譚」の文庫新装版の1巻目が発売ですね。
装丁とか、中井らしいものにして欲しいけど、新規読者を獲得するためには
いまふう(太宰の表紙を人気イラストレーターに描かせるとか)のデザインが
必要なのかな…
建石さんの絵が消えてしまったら問題だなあ
一方で今の読者にも読んで欲しいし
BLや美少年、ゴシック趣味、個人の夢想から時間旅行なんてラノベに近い
『虚無』の終わり方なんてセカイ系ともいえなくもない
文体だけは中井作品は桁違いだと思うけど
若い読者にも届いて欲しいもんだ
ご冥福をお祈りします
72 :
吾輩は名無しである:2009/12/11(金) 00:02:57
「香りの時間」を読みながら赤ワインを飲みました。
今年は供養塔にお参りできてよかったです。
作品に出会って20年、「この、地球という流刑地」という言葉にどれだけ救われたか。
安らかにお眠りください。
楽天ブックスに幻想博物館きてたけど表紙が建石さんっぽいね
変な改悪入ってなくて安心した
74 :
イケメンジロー:2009/12/14(月) 14:55:05
>>70 >『虚無』の終わり方なんてセカイ系ともいえなくもない
たしかにぃ〜。テレビドラマ風な感じもした。
75 :
イケメンジロー:2009/12/15(火) 02:00:56
アオヒゲ公爵的イメージで消費され過ぎてるキガス
新装版・幻想博物館を本屋で発見
建石さんの絵はそのままだったので安心
隔月で出るらしい
77 :
吾輩は名無しである:2009/12/15(火) 20:11:47
三島や澁澤とどう違うんだ?
彼等のような典型的成り上がり者の子孫でないことは知っているがw
澁澤と比べると女性っぽい。
三島と比べると幻想より。
なにより中井は地上が嫌いだった。
79 :
吾輩は名無しである:2009/12/15(火) 22:28:53
…と言いつつ、「この世のこと」に深い関心を寄せていた、と文庫版全集の解題で元担当編集者さんが
書いていたよ。
かなり具合が悪くなるまで新聞記事の詳細なスクラップを続けたことも有名。
作品を読んでも、幻想小説の骨格をとりながら、現代社会に対する鋭い批評精神が根底に流れている
ことがわかる。
○○と比べて…とか、ある程度の傾向をご存知なら、ここできくより短編集の1冊でも読んだらいかが?
80 :
イケメンジロー:2009/12/16(水) 00:04:29
彼方より、はどうなん?
81 :
吾輩は名無しである:2009/12/16(水) 00:44:25
サヨと言われるかも知れないが、戦争(特に勝てるあてのない)はしないがいいと痛感するよ。
当時の大本営の雰囲気がわかったりして興味深い。
宮さまの上の執務室で、見つかったら粛清間違いなしの手記を書き続けた中井の本質もつかめる。
当時の学生が大政翼賛じゃなかった情勢もわかるし、戦災で愛する人を喪う悲惨さもわかる。
中井の本質は虚構じゃなく、その日記にあるね。
日記がそのまま文学に昇華するのは、ほんとに稀有な運命に生まれた人なんだと思う。
>>79 それは解った上でかいたつもりだった。ごめん
83 :
吾輩は名無しである:2009/12/16(水) 02:08:53
謝らなくていいけど…。そっから話題が広がることもあるだろうし。
いろいろ比較したうえで批評するのもいいよね。
でも自分には中井先生は唯一無二の存在だ。
ある作家に「我が息子」とサインに添え書きをしたそうだけど、娘は認めてもらえそうにないなぁ…。
自分は心の父と思ってるんだけどね。
84 :
吾輩は名無しである:2009/12/16(水) 13:22:53
生身の女性には興味なかったそうですね。
85 :
吾輩は名無しである:2009/12/16(水) 23:36:39
そんなことはないですよ。
日記やあとがきなど、また関係者の証言から、女性と関係があったこと、妊娠させた女性に堕胎させたこと
などがわかります。
ただし、結婚という制度については完全に否定的だったらしく、歴代の助手が結婚をきっかけに中井先生
との縁が切れているようです。
お父様がDV傾向のある方で、苦しむお母様を見ていたので、幸福な結婚というイメージがなかったのかも
知れないですね。
あと自分が父親という立場になる事にも抵抗がありそうな感じがするね
ところで、age進行になりつつあるけどここって大丈夫なんだっけ?
特に決めてなかったです。
正直マイナーな方なので、できるだけ目立つように自分はageてました。
age、sageは自由ということではいかがですか?
確かにマイナーな人だから荒らしも少ないし大丈夫か
見てる人の数からして落ちたら次に何時立つか分からないしね
何時も居てる所はsage進行だったからちょっと気になっただけなのであんまり気にしないで下さい
89 :
吾輩は名無しである:2010/03/27(土) 12:10:44
新聞や週刊誌の中には、しごく単純に三島を異常性格者ときめつけ、最初から彼が自分の文学の主要テーマとして
選び貫いた同性愛をも風俗の眼で眺めたあげく、ホモだオカマだと立ち騒ぐ向きまであるのには一驚した。
死んだのは流行歌手でも映画スターでもない、戦後にもっとも豊かな、香り高い果実をもたらした作家である。
彼の内部に眼玉ばかり大きい腺病質の少年が棲み、あとからその従者として筋肉逞しい兵士が寄り添ったとしても、
それをただ劣等感の裏返しぐらいのことで片づけてしまえる粗雑な神経と浅薄な思考が、こうも幅を利かす時代なのか。
異常というなら、わけ知りの、ありきたりの、手垢まみれな説の援用でなしに、その淵に息をつめて身を潜め、
自身の眼でその深みの神秘をさぐろうとはしないものか。この一九七〇年代に、異常というレッテルを小抽出しに
張って、もうそっぽを向いていられる“正常人”がこれほど多いというなら、それこそが異常の証しであろう。
中井英夫
「ケンタウロスの嘆き」より
90 :
吾輩は名無しである:2010/03/27(土) 12:11:04
(中略)
ただ、あれほど感性すぐれた彼に、いま一言、突っこんで話をしたかったと思うのは、ぷよぷよとした肉体、
指で押すとちょっとの間はへこむが、またすぐ元に戻って知らん顔をする、さながら腐肉そのままの感触を、
何よりも徹底して憎悪していたのではないか。なぜそれを最後まで、ありのまま憎みとおさなかったかという
点である。「世の中すべて気に入らぬことばかり」にしろ、われわれを包んでいる情況の本質がそこにあり、
一番の敵がそれであることは三島も当然知りぬいていたので、この気持もまた、彼の死後にも変わらない。(中略)
芥川や太宰が、なぜ志賀直哉と長生き競争をしなかったのか、私には不思議でならない、というより、無理にも
そう思いたいのだ。三島にも、また。
中井英夫
「ケンタウロスの嘆き」より
91 :
吾輩は名無しである:2010/03/27(土) 13:04:42
なんだ中井正一と混同していたよw
じゃ、また今度w
92 :
イノウエ・アル:2010/03/27(土) 17:04:16
中井英夫にはこの世にまともに生きられないきことの誇り、かなしみと嘆きがきこえてきます。
「女?おれはそこから生まれてくる、魂のなかに、死を抱いて...(ラフォング)」
『凶鳥の影』という推理小説家たちが中井に追悼をささげているアンソロジーがありましたが、
津原泰水『ピカルディの薔薇』と嶽本のばら『流薇園の手品師』が秀逸だったと記憶しています。
これは異なる作家の作品ですが
トランプはトートランドとトランペットではなくトランプ類税に挟まれて...
そういう世界なのですよね...
流薇園の主に...いとすこしの回向のことばを...死者はなにより沈黙をおそれるとききましたので...
そういやのばらって今なにやってるんだ?
94 :
イノウエ・アル:2010/03/27(土) 18:53:57
>>93 逮捕後に短編集とその事件をあつかった小説をかいてましたが...
凶鳥の影は皆川博子と赤江瀑が一番だった。それ以外は中井と名前を並べて欲しくないと…
96 :
イノウエ・アル:2010/03/28(日) 15:10:11
そうですか、ぼくは津原と嶽本の作品が好きですが...侮辱みたいな作品もありましたね...
『凶鳥の影』はほとんどの作家が『虚無への供物』をあつかっていて、
『とらんぷ譚』をあつかったふたりにぼくが感情移入してしまったのかもしれませんね。
津原はともかく嶽本の短編はなかなかとおもうのですが...
技巧的で、カルヴィーノ『宿命の交わる城』を使ってましたね。
おやはや(笑)中井は別格としても、現行の連中は中井の遺産を食い潰しておるように思えるものも多いのですけれどもねぇ(笑)おやはや(笑)さて果て(笑)
98 :
イノウエ・アル:2010/03/28(日) 15:41:45
>>97 否定できないところが痛いですね。
津原の短編集『たまさか人形堂物語』のなかの『最終公演』はなかなかいい作品とおもいますよ。
すこしばかり奇妙な味でして。
99 :
吾輩は名無しである:
中井英夫の愛人では誰と誰とが有名ですか?
もちろん男性ですよ。