本の中の名文を抜き出してみるスレ

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142吾輩は名無しである
「ここで出すのは、まずいよ」
和也のささやきは悲鳴のようになった。ほんの十メートルも離れた場所では、酔っ払いが大勢花火を見ているのだ。
「だいじょうぶ。誰もうしろのほうなんて気にしないから」
紗枝ねえは和也のペニスをつまみだした。先端に透明な滴が伸びている。親指の腹で丸く先をなでながら、紗枝ねえがいった。
「いけないんだ、カズくん。女の子みたいに濡らしてる」

石田衣良 「遠花火」