平野啓一郎と■大江健三郎 PART40■新たな文学を

このエントリーをはてなブックマークに追加
521吾輩は名無しである
■ヒューマニスト・大江健三郎の日本人離れした“邪悪さ”(SPA! 2003.12/30・2004.1/6合併号)
坪内祐三:大江さんには、とんでもないエピソードがいろいろあるからね。
福田和也:そのうち連続殺人で挙げられても全然不思議じゃない、みたいな邪悪さ。
〜中略〜
坪内:ある雑誌に大江健三郎が――ここがまた大江さんらしいんだけど
「中上健次」という名前は出さずに、「少し前に某文芸誌で対談したある若手実力派作家から、石原慎太郎がこんなことを書いているといって、その記事のコピーが送られてきた」と、やるわけだよ。
福田:有名な“波事件”だ。しかし、わははは、大江さんの所には、いつもコピーが送られてくるんですな。(*まず捏造っちゅうこと)
坪内:その送られてきたコピーというのは、石原慎太郎が講演で大江健三郎のことを批判している――という内容で。
それを読んだ大江健三郎は、すぐに石原慎太郎批判を始めたんだけど、その複雑な構造!
福田:ですなあ。
坪内:大江は石原とはナイスにつき合ってて、一方で中上健次とも仲良くしてて、その中上からコピーが送られて来て、それで批判を始める、だからね。
しかも中上は中上でその頃、今その大江や石原の世代の作家で生きていると言えるのは、石原慎太郎しかいない、とか言ってたんだよ。
522吾輩は名無しである:2008/04/01(火) 15:19:40
福田:これは、作家の宮本輝さんからから聞いたんだけど、三島由紀夫賞第一回審査員が、
江藤淳、大江健三郎、中上健次、筒井康隆で・・・。
坪内:開高健もいたんじゃない?
福田:え? いたかな・・・。まあ、とにかくその選考会の時、選考会場の密室で、中上健次が始めから終わりまで、大江さんに「おまえ悪人、死ね」ってずっと言ってるんだって。
「死ねおまえ、悪人死ね」と。
坪内:なんだろ、やはり“波事件”の影響?
福田:でしょうかねえ。宮本さんは、「筒井さんか江藤さんが止めるかな」と思ったら2人とも止めないから、結局最後までずっと、中上は大江に「死ね、おまえ死ね」だったんだ。
でも、大江さんも全然へらへらしてて。
中上:死ね、おまえ死ね!
大江:それではつぎの作品ですが。
江藤:これはですね。
中上:おまえ死ね。死ね、大江死ね!
と、平気で選考やってたんだって。