・・・・・・古井由吉 05・・・・・・

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307改めて見やすく
肩口に寒さを覚えて、ここはどこだ、どこで寝ているのかとしばらく迷ってから、
蒲団を重ねに起きたそのついでに表をのぞくと雪になっていた。
降りつもる雪の匂いが胸まで染みて、長い夢から覚めた心地がした。

↓改良

肩口に覚えた寒さ━━それが夢なのか現なのか、まどろみの中で私は暫し迷う。
己の居場所を見失った心地が不快で、もがくように起き上がった。
跳ね除けた布団を目にして改めて、自分が眠っていたことに気付いた。
冷え切った空気は確かに現実のものとして、私の肩に降り積もっていたらしい。