●●●ふたたまちんぷっぷ●●●

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M青年は小説家になりたかった。大学を卒業しても親のすねを齧りたかったので、S教授の研究室に入ることにした。
S教授は四十歳過ぎの建築学の専門家で、M青年の不純な動機をわかった上で、学会誌に論文が載るよう面倒を見てやると約束した。
S教授は喫茶店のウェイトレスに恋をした。彼女は要領の悪い少女だった。その少女はS教授と同じ大学に勤めるN講師と付き合っていて、その付き合いは幼い頃からのものだった。
N講師はハンサムで学生に人気があるものの、死への恐怖に取り付かれ、他人を傷つけることしかできない人間だった。
N講師は少女と婚約していながらも、少女を傷つけ続けた。殺すつもりだった。
少女とN講師の関係を知ったS教授は、少女への求婚を諦めようとするが、N講師からある提案を受ける。
それは、S教授が受け持っているM青年と、少女を交換しようというものだった。
実際に、二人は彼らを交換した。N講師は少女を殺すかわりに、M青年を自殺へと手引きした。
M青年には同棲している女がいた。女はM青年が小説家への夢を諦めればいいと思っていて、就職と結婚をせがんでいた。
N講師はM青年の夢や希望を奪うよう仕向けた。
M青年が小説家への夢をあきらめたことを知って、同棲している女は喜んだが、M青年は同時に無気力になり、自殺を仄めかす。
N講師は少女を殺す代わりに、M青年を殺すことにしたのだが、少女が自殺しようとしていることを知り、
少女の自殺をとめるために、少女を犯した。二人は幼い頃から長い年月付き合い、婚約しているのに肉体関係がこれまでなかった。
セックスが終わると、N講師はすべての罪が少女から許されたことを知り、ギリシャに二人で旅立ち、幸せに暮らした。
一方、M青年はS教授の師匠から、コンストラクション=建築のうんちくを受け、呪縛を解かれる。
M青年は同棲している女と結婚し、小説家ではなく、建築の道に進むこととなった。一人だけ置いてけぼりを食らったS教授は、また新たな恋に導かれる。(了)