【国立の】山口瞳を語ろう【旦那】

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933291:2009/06/15(月) 10:17:52
932さん、これはどうも、お厳しい。

漱石派、鴎外派という言い方には、「小説の神様」のような
権威主義が付きまとっているのですか。東大文学部の生み出した。
これは知りませんでした。

できれば、
>東大文学部の連中が作り出した文壇利権
このあたりのことを、もう少し教えて頂けないでしょうか。
934291:2009/07/09(木) 22:13:30
山口への鴎外の影響について、一つ見つけた。
『父の晩年』に収録されている「履歴」、
これは『ヰタ・セクスアリス』の匂いがする。
935早計帝王:2009/07/15(水) 07:37:56
山さんの「酒飲みの自己弁護」が、部屋から発掘されたので読んでみたが、
山さんはホントに、酒場が人間がサントリーが好きなんだねえ〜
サントリーとキリンの合併報道を見たら、どれほど嘆くことか、、
企業風土とか伝統に関係無く、利潤のためには大きくなりさえすればいいというのでは、、
936吾輩は名無しである:2009/07/15(水) 09:33:08
サントリーがビールやるのも反対だった人だから
もっともサラリーマンの事いろいろ書いてるけど
あんまり有能な人ではなかっただろうね
937291:2009/08/09(日) 02:26:55
またしても、どうでも良い話。『優雅なサヨナラ』でこんな話がある。
旅行中、同じホテルに顔見知りの女優が泊まっていたので部屋に行ってみると、
散らかっていて座る場所がなく、床の間近くに座ると、酔っていた女優に
「あんたがそこに座るのは10年早いよ」と言われ、その上無理に誘われた麻雀でも
あれこれ乱暴な口調で指図された。この女優は「知的な清純派」と言われていた。

この女優が誰なのか、分からないでいた。
938291:2009/08/09(日) 02:34:37
誰なのか、今でも分からない。山口に関係のある女優で「知的な清純派」
と言うと……。と考えて、もしかしてこれは大原麗子のことだったのではないか?
などと思いついたので書いた次第。違っていたらごめんなさい。
939吾輩は名無しである:2009/08/09(日) 03:57:20
>>938
○○○○○でしょう
麻雀好きな「知的な清純派」といえば
もう故人なので伏字にしますが
940291:2009/08/09(日) 07:37:09
>>939さん、早速のレスをありがとうございました。
そうですか、では別人ですね。大原さん本当にごめんなさい。

一体誰だったのでしょうか?939さんのお考えに背くようで恐縮ですが
実に知りたい。
邪推ですが、名字は漢字、名前はひらがなの人でしょうか?

941291:2009/08/28(金) 21:01:19
『山口瞳対談集』が出るとのこと。有り難い。
論創社さん、『世相講談』もそうだが、今回も良い仕事してますね。
942291:2009/08/28(金) 21:05:25
終戦の日は過ぎたが、山口の平和思想について。
山口は筋金入りのハト派だった。
日本の進むべき道についても、政治用語で言えば非武装中立論者だった。

『私の根本思想』では、武装放棄を唱えて、
それでは抵抗できなくなるではないか、と言う反対論を見越して、
丸腰の国を攻めてくるような世界は生きながらえるに値しない、
と断言していた。
943291:2009/08/28(金) 21:07:30
この言葉の凄味に気がついたのは、自分が子を持ってから。
自分一人ならば、山口流の理想論も受け入れられよう。
しかし、自分の子供も殺される可能性があるのに
あのように言い切るのは難しい。もちろん、山口も人の親だった。


944291:2009/08/28(金) 21:28:12
非武装中立論は、かつては社会党内の一部が唱えていたが、
村山富市は首相となって自衛隊を合憲と宣言した。
これについて、山口は「河川敷の決闘」で、
草野球への野次に託して強烈に批判した。

「やい、自衛隊が合憲とは何事だ。非武装中立に
命をかけた男もいるんだぞ」

この「男」とは山口自身のことだろう。
945291:2009/08/28(金) 21:30:19
なお、このエッセイでは、入院中の吉行淳之介を
想う心情も書かれていた。あのエッセイは見事だった。
946291:2009/09/17(木) 23:39:21
『山口瞳全対談1』を落手。沢木耕太郎との対談で、気になるところがあった。

長いサラリーマン生活を通じて、給料袋の中身に手を着けたことがなかった、という。
すべて麻雀などのギャンブルでまかなっていたということだが、
あれだけの酒飲みだったのだから、その額もかなりのものだったろう。
947291:2009/09/17(木) 23:42:56
以上のことは他のところでも山口が書いていたが、身近にこういう
サラリーマンがいたら、やはりやや崩れた感じを受けただろう。

また、この対談は『草競馬流浪記』の後のものだが、馬券を買う楽しみとして、
プロの馬券師やヤクザ者の上前をはねる、ということも挙げていた。

どうも山口は、やはりいわゆる小市民とは違う。
948291:2009/09/24(木) 20:55:59
『山口瞳対談集1』読了。本のタイトルを間違えていた。
『山口瞳全対談』ではなかった。

重松清氏の「解説」がよい。僭越ながら、文章が良く、
また内容では、「作家はひとり」のくだりが特に良かった。
今さらながら、重松氏もかなりの山口瞳中毒者ですね。
949欠落人:2009/09/30(水) 05:33:01
「月曜日の朝」「金曜日の夜」(週刊朝日S48・49連載)を読了


950291:2009/10/21(水) 20:19:11
>>949さん、良かったら読後感を。

対談つながりで、高橋義孝との対談、『師弟対談 作法・不作法』から。
最後の、「文章には人間の全体が出ます」のところで、
編集者との関係について山口が述べている。
951291:2009/10/21(水) 20:27:21
>最後の、「文章には人間の全体が出ます」のところで、
変な日本語だ。→
「文章には人間の全体が出ます」のなかで、
編集者とテニオハの感覚が一致すると云々、と述べている。
このことは417でも書いたが、ここでは別な角度から。

テニオハがおかしければそれを指摘し、直させることもある、
ということは、編集者の権限は、どうやら自分が考えていたよりも
かなり大きい。活字になった文章とは、作家の完全な制作物ではなく、
編集者との共同作業としての性格もある、ということのようだ。

じつは中野氏も、編集者時代の山口は
受け取った原稿に不備があるとそれを指摘していたという。
952291:2009/10/21(水) 20:41:34
特に山口は、編集者の役割を重視した様子。
以前に452さんに教えてもらった、新潮社の山口番編集者の座談会では、
山口の創作に積極的に貢献するような芸を持った編集者が求められた、という。
953291:2009/10/28(水) 20:11:35
『対談集』の2と3を入手。常盤新平氏との対談まで読んだ。
常盤氏は山口を「先生」と呼ぶ。これ、山口ファンなら常識だろうが、
それでもこれだけで胸に迫るものがある。

というのも常盤氏はどこかで、「山口先生は稀に見る素敵な人だった。
口惜しかったら、あんな素敵な人になってみろよ」と書いていた。
これはもちろん、死期が迫っていることを覚った山口の絶唱の書き換え。
そう、師弟関係が継続している。



954291:2009/10/30(金) 10:08:51
常盤氏との対談で驚くことが一つある。
946で書いたことについて、具体的なデータが挙げられている。
月給2万円の頃、飲み代が10万円を超えることがしょっちゅうあった、
とのこと。今の金にすると100万円を超えることになる。

しかし、山口は給料袋の中身に手をつけたことがなかった。
つまり、賭け麻雀で勝った代金を酒場の支払いに充てていたわけ。
徹夜麻雀で、当時の金で5千円の勝ちでは割に合わない、少なくとも
2・3万は稼がないと、と思っていたそう。
955291:2009/10/30(金) 10:10:38
ここで本人が挙げている数字をそのままに信用して今の金に換算すると、
100万円を賭け麻雀で勝って、それを飲み代に使う月がしばしばあった、
ということになる。
やはりこの人は、普通の人ではない。

『江分利満氏』→『(元祖)マジメ人間』→『新入社員諸君』→『月曜日の朝』
の系列の山口は、やはり本人の一面でしかないようだ。
956291:2009/11/04(水) 22:45:50
『国立の旦那 山口瞳を読もう』を読んでいる。
いやあ、山口は良いお弟子さんを持ちましたね。と言っても
常盤氏は年齢で言えば私の先生(と言うより先生の先生か)に
あたるのですが。
957291:2009/11/04(水) 23:02:44
この本、山口ファンには有り難い情報に満ちている。
幾つも新発見があった。『酔いどれ紀行』の浦安編で、
「小張君の意見」の部分をこの本の白眉の一つと常盤氏はしている。

この話、絵を描いていた山口の邪魔をする小学生の小張君に、
「仕事の邪魔をするな」と言ったところ、「そんなのは仕事じゃない。
大工さんとか電気屋さんが仕事なんだよ」と言い返され、
「場外ホームランを打たれた投手」の心境になったが、同時に
心地よい感動に包まれた、というもの。


958291:2009/11/04(水) 23:07:59
続いて山口は、小張君の父親の仕事を尋ねる。
ところが小張君はにわかに弱きになり、「競馬」という返事が返ってきた。
ここで山口は小張君に親近感を感じた、という。

この親近感、私は、競馬好きの人間としての親近感だと思ってきた。
しかし、それだけではないのかも知れない。小市民的な勤労観を持ちつつも、
自分に流れる「無頼」の血を意識せざるを得ない、そうした二律背反を自分と同じように
感じている小さな小張君に親近感を感じたのではないか。これは深読みしすぎかな。
959291:2009/11/09(月) 10:00:42
常盤氏の山口観についてはもう少し言いたいことがあるのだが、
それは後回し。ここでは山口について別な事柄。

この人、地口がかなり巧みだったのではないかと思う。
『対談集3』での、吉行、色川との鼎談でも、ほかの二人が気付かない
(気付かないふりだったのかもしれないが)語呂合わせについて
指摘していた。
960291:2009/11/10(火) 20:28:15
地口の続き。「地口」と「駄洒落」は、微妙に違うのかも知れないが、
本質は同じではないか。

山口は、駄洒落について『英雄の死』のどこかで、文士にあるまじき行為、
と厳しく糾弾していた。その山口が、実はこうした語呂合わせに巧みだった
と言うのは面白い。「詩人の兄」と吉行に言われて、即座に「ナオミ」
(『痴人の愛』)と言い返すところなど。
961291:2009/11/10(火) 20:31:05
まあしかし、そんなことよりも『国立の旦那』が面白い。
山口の、師としての側面を知ることができるからだろう。
これまでは、高橋・吉野の弟子、そしてサントリー社員(≒同僚)、
谷保村の旦那、そして作家としての側面は知っていたが、
誰かの「先生」(文字通りの意味での)は知らなかった。
962291:2009/11/15(日) 20:48:42
色々なことで新発見があるが、常盤氏は「酒場を書かせたら、
この作者にはかなわない」。という。そう言われればそうかも知れない。

確か嵐山光三郎氏だったと思うが、初めての酒場に入った時の山口は、
少し意地悪な目つきをする、と書いていた。それこそ駆け出しのマダムが
縮み上がるような目つきという。
963291:2009/11/15(日) 20:53:43
どこに書かれていたのか忘れたが、山口を良く知る酒場のマダムが、
実は山口はアーバンな雰囲気があって、酒場では女性から人気があったのだという。
吉行とは違う意味で、酒場がよく似合う人だったのだろう。
964291:2009/11/15(日) 21:01:22
常盤氏の山口観に戻ろう。『大全』の解説をたくさん書いているが、
『なんじゃもんじゃ』については「間奏曲的な小説」としている。
うーん、もう少し踏み込んで書いて欲しかった。前にも書いたが、
これは山口の感性が全面に出た作品。治子夫人も、山口の書いたもので
一番好きなのは『優雅な生活』と『なんじゃもんじゃ」であると
言っていて、これは我が意を得たり、との感じがした。
965291:2009/11/15(日) 21:06:28
なお、正介さんは、山口の作品で一番好きなのは、
一連の紀行文であるとされていた。

さて、常盤氏は、『男性自身』のベスト・ワンとして、
「仮り末代」を挙げている。ただし、これは山口存命中のことで、
まだ『優雅なサヨナラ』に収録されるものが書かれる前。

今、常盤氏にベスト・ワンを選んでもらったら何になるだろうか。
そして、自分なら何を選ぶだろうか。
966吾輩は名無しである:2009/11/20(金) 18:10:18
トコちゃんをシゴク話とかなかったっけサントリーで。
967吾輩は名無しである:2009/11/26(木) 20:29:05
先週、谷保天いったよ!何か記念品欲しかったから、谷保天ステッカー買った。
関さんの記念碑は見つけられなかった
968291:2009/12/08(火) 15:52:22
>>966 寡聞にして知りません。
>>967 自分も行ってみたいのですが……。

自分が『男性自身』シリーズから選ぶとしたら、
『優雅なサヨナラ』は別格として、やはり『木槿の花』の
向田邦子死去の連作だな。緊張感が凄い。

これとは別に、初期のもので、日比谷の交差点を信号無視して渡る
女の話も良かった。

969291:2009/12/08(火) 20:36:02
話が前後してしまうが、常盤新平氏が師の山口を超えたかと思われる
部分があるので、是非書いておきたい。

山口は『新入社員諸君』で、「給料分だけ働けば良いだろう、という
ミミッチイ考えをおこしたらおしまいだよ」という意味のことを書いていた。

これはその通り、ごもっとも。だが常磐は、「白いシャツが目にしみる。
新入社員諸君に贈る言葉」で、「おれは会社に必要な人材だ、と思った時、
その人はダメな社員になっている」と言う。こちらの方が凄味がある。
名言だ。そして大変耳の痛い言葉。
970291:2009/12/09(水) 20:28:54
『対談集3』の最初は、遠藤周作との対談。実は自分は、遠藤周作の読者でもあるが、
まるで資質も気質も違う二人の対談がどうなるのかと少し心配で読み始めると、
遠藤が最初に「ヒトミちゃん」と呼びかけている。それだけで自分は嬉しくなってしまう。

二人のエッセイで、お互い同士に触れている部分もあった。『酔いどれ紀行』の長崎編と、
遠藤の『ぐうたら交友録』(だったか)で、山口を、北杜夫や奥野健男と並んで麻布出身の
友人として挙げていた。
971291:2009/12/09(水) 20:33:20
『対談集3』の解説は先崎学八段。羽生名人が、史上最強のアマチュア将棋指しは山口瞳である、
と言ったということを紹介している。これまた山口ファンとしては、痛快無比の言葉。
最強のアマチュアとは、最強の旦那衆、という意味だが。

先崎八段について、山口は「文才がある」と誉めていたが、この解説によると、
ウィスキーをストレートで飲んでいたため、随分可愛がってもらったのだという。
少し、羨ましい。
972吾輩は名無しである:2009/12/10(木) 19:23:45
対談集は5巻で終わりなのかな。
いい仕事なのだから、残さず全8巻まで是非刊行して欲しいのだが。
採算の面で難しいのかな。
論創社の担当者、頑張れ。
973972:2009/12/10(木) 19:35:49
対談集の刊行巻数については、談話室に10月中旬頃に情報が載っているので
参照下さい。

自分にできるのは論創社に嘆願すること位なので、
さっそくメール送ってきた。
8巻までの刊行を目指して、山口ファンの皆さんもいっしょに御願いして下され。
多くの嘆願が寄せられれば、出版社も動くかもしれませぬ。
http://www.ronso.co.jp/enquiry/enquiry.html
974291:2009/12/11(金) 20:44:17
>>293さん、大変重要な情報をありがとうございます。
自分もメイルを送りました。
975291:2009/12/11(金) 20:45:13
間違えた。>>973さんでした。失礼しました。
976吾輩は名無しである:2009/12/20(日) 23:21:28
残念ですが、5巻をもって「ハイ、それまでよ」です。
出版社に嘆願するというのは、酷な話です。
なぜならば1巻の重版が未だにかからない(かけられない=売れない)からです。

それで8巻まで出せという、そんな滅茶苦茶なことは小生はとてもいえませぬ。
977吾輩は名無しである:2009/12/21(月) 13:13:30
一穴主義者
978291:2009/12/23(水) 21:24:09
>>976 さん
そうなのですか。第1巻の利益を、その後の巻の刊行費用に充てる、
というわけでしょうか。
では、残念ながら一読者としてはどうしようもないのかな。
979吾輩は名無しである:2009/12/23(水) 22:21:30
>978

1巻の利益云々という、そんな次元の問題ではありません。
1巻が売れなければ、2巻も3巻も売れるわけがない。全集というものはそう
いうものです。売れないものを出せとは言えないということです。
980吾輩は名無しである:2009/12/24(木) 11:59:33
この機会に全ての対談を収録して欲しいなぁ。
未収録がまた残ると思うと、どうも消化不良で精神的にいかん。
ファンとしての純粋な心理なり。
981291:2009/12/25(金) 11:16:27
>>979 さん、ありがとうございました。
やはり、一種の見切り発車として企画がスタートしていたのでしょうか。

>>980 さんの言われるように、出して欲しいところではありますが。
982吾輩は名無しである
山口瞳の対談なんかつまらんだろ
人物も面白味ないし