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ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2 :
芥川賞・直木賞作家が自身の読書歴を語った「読書と私」(文春文庫)というエッセイ集
がある。本書の中で城山三郎氏は、好きな1冊ではなく書き手としてマークした「1冊の本」にスタインベックの「怒りの葡萄」を挙げている。
単なる社会的なプロテストの書ではなく、人間そのものが描かれていると高評価しては
いるのだが、インテリア・チャプターの章について、
「…手法的には、一種の間奏曲であり、ムード・ミュージックでもあって、
読みとばしても支障はない」としているのは、いかがなものか?
一見、直接には本筋に無関係に見えるインテリア・チャプターこそ、
物語の背景となり、それを浮き彫りにする効果を持つものだと思うからである。