野村勝美:2002.07.03
大江健三郎氏のレジオン・ドヌール勲章授章を考えてみます。大江氏
は自らを、「私は戦後民主主義者である」と公言するノーベル賞文学者
です。彼は「文化勲章」を拒否しました。「戦後民主主義」なるものの定
義を私は知りませんが、印象的には戦前戦中の日本を「全面悪」と捉
えている人たちのように思います。
さて、レジオン・ドヌール勲章はフランスの、民間人に与えられる最高
の勲章だそうです。やるのも受けるのも勝手です。ノーベル賞について
も、やるのも受けるのも勝手です。我が「文化勲章」を拒絶したのも、勝
手です。「文化勲章」は日本国民が最高の栄誉としているものですが、
それを拒絶する大江氏の理由は、「僕は戦後民主主義者、国家の勲章
は受けない」ということであると伝えられました。根底に、氏の長年の発
言から、1.日本の戦争責任,、2.反皇室
があると想定できます。「悪いもの」からの勲章は貰えない、ということ
でしょう。反「日の丸」、反「君が代」、反「核」の人です。そのこと自体を
非難する積りはありません。私が嫌うのは、この方面の人たちの得手
勝手な論理です。一般的にダブル・スタンダードといいます。
レジオン・ドヌール勲章は明らかにフランスの国家としての勲章です。
価値の源泉はそこにあります。
シラク・フランス大統領は11日夜、パリ郊外で行われたサッカー・フランス
カップ決勝戦を観戦しました。
試合開始前の国歌ラマルセイエーズ演奏の際に一部サポーター
が口笛を吹いたのに対し、「フランスへの侮辱」と激怒、退席したそうです。
大江さん、あなたに勲章を授ける人物は、こういう(すばらしい!)男ですよ。
「君が代はキライだけど、ラマルセイエーズは好きですか?」
フランスは「核兵器」保有国です。最高レベルの原子力発電実施国で
す。かつて多くの植民地を持ち、アルジェリアにおいてもヴェトナムにお
いても、苛烈な政治を行いました。第2次世界大戦後日本軍が撤退し
た後に、インドシナの再植民地を目指してインドシナ戦争を起こしたフ
ランス。北アフリカの植民地を弾圧によって維持しようとして起こったア
ルジェリア独立戦争。第2次中東戦争(スエズ戦争)で英国と連合して
エジプトに派兵してアラブ諸国と戦争したフランス。世界中の反対を押
し切って南太平洋で水爆実験を続けたフランス。
その国の勲章は受けるけれど、わが日本の勲章は受けられないという。
大江さんが文化勲章を拒絶した理由のすべてがより強く、
レジオン・ドヌール勲章には含まれています。それ
を、片方は断り片方は受けるとすれば、論理を整合させるには一つの
根拠しかありません。
日本(日本人)をバカにしている、のです。