虫の書評終わる 突風
http://homepage2.nifty.com/bookbookbook/zakkan6.htm 1月(発行日は2月)から(虫)という匿名書評家が「週刊朝日」に連載していた「まっとうな本」というコラムが 12月20日号で終了した。全12回。
一応1年間続いたので区切りはいいようだが、週刊文春が12月15日 号に書いていたようにこの終了は理由のないものではない。虫が書いた大江健三郎批判が大江を怒らせ、
週刊朝日が来年からスタートを依頼していた小説に影響しかねないとしてこのコラムを終わらせたのである。
加藤明編集長が更迭され、内部昇格の形で鈴木健副編集長が編集長に昇格することになった。その背景に は朝日新聞社の箱島信一社長の意向があるらしい、という話も週刊文春の報じるところだ。
虫の最終回が乗 った12月20日号にはその人事と新編集長のあいさつが載っているのも、いかにもという感じだ。
最終回の「言論の不自由」では、仲間ぼめばかりが目立つ書評の中で、厳しい批判を書くのには匿名で書 くしかなかったということを述べている。大江の件には直接は触れていない。
うまく考えがまとまらないが、少なくとも週刊朝日のマーケティング戦略としてこの戦略は拙劣だということを指摘しておきたい。
よくわからないが、いまどき大江の連載小説でどの程度の読者が取れるのか? 俺は大江の小説などが読 者を増やす魅力になるとは信じられない。
虫の書評が文藝好きの連中を活気付かせたことは事実なのだから。
大江が朝日新聞への執筆も止めるなどと言い出した場合はその影響力はよくわからぬが、くそおもしろくもない大江などを確保しておくことがそれほど重要なはずがないように思う。
狐の書評は本のよい部分を評価しようという書評だ。それにたいして虫は批判する書評だ。匿名書評にはどちらも必要なのである。批判する書評にはかつて風の書評があった。それが今はないのである。
連載終了は残念だ。
2002/12/9