誇大自己症候群 ちくま新書
岡田 尊司 (著)
価格: ¥777 (税込)
匿名掲示板に巣くう人々は現代社会の「無名敗残兵」として身分不相応の名声を求め、
勝ち目のない戦いに突入していく一方で、欲望を掻き立てられた意地汚い家畜として
自己愛的な充足を、ブザマな書き込みであがない、掲示板の独占で不快な現実を回避
し、ネットに埋没することで、心の中の空虚を忘れようとしている。
自己愛とネットの空虚を巡る堂々巡りに、人は人生を空費していく。そのあり方は、
欲望の絶え間ない充足によってしか自分を支えられないという点、及び、本当の現実
に対して向かい合うことを避けているという点において、「人格障害」的なのである。
そうしたあり方は、人間性の空洞化を意味し、その行く着く先は、人間の家畜化、存在
の浪費なのである。