自分はトルストイ信者じゃないし、どっちかというとドスオタ、ドストフリークな
人間なんだけど、こと露土戦争の考察については、トルストイのほうが
ドストよりもはるかに客観的かつ真相に迫った省察をしていたと思うね。
ドストエフスキーのほうが国内外の情勢について、あまりに単純化した見方を
していたし、自分と異なる意見(ナロードは戦争について無知ゆえ真の関心も
判断もできないのだ)を小説中の登場人物が述べたからって、小説の評論の
名を借りて、自分の個人雑誌でレーヴィンとその作者であるトルストイに対して
ものすごいヒステリックなイデオロギー攻撃を仕掛けるのってどうかと思ったよ。
まあ、後世の人間にとっては、ドストエフスキーという人物像を知る一つの
手がかりになって、興味深いけどさ。