【1280ページ】平野 啓一郎 『葬送』

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163吾輩は名無しである:2005/12/26(月) 15:49:04
「葬送」全然うれてないよ
周りの人間でだれか買った奴いるのか?
高尚な生活してるんだねw
病院の中で
164吾輩は名無しである:2005/12/26(月) 18:45:02
かなり売れてますよ
売れると困るのかな?
165吾輩は名無しである:2005/12/26(月) 18:59:15



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166吾輩は名無しである:2005/12/26(月) 19:51:06
史上最年少で芥川賞を受賞して、大きな注目を集めた平野啓一郎さん。そんな
世間の喧騒に距離を置くかのように、3年半の月日をかけて書き上げたのが、原
稿用紙にして2500枚という大作『葬送』でした。19世紀のパリを舞台に、ショ
パンと画家ドラクロワを描いた物語です。

 「僕自身はすぐにピアノをやめてしまったけれど、小学生のころに姉が練習
していたのを聴いて、ショパンが好きになったんです。高校生になってからは
ショパンの伝記を読んで、彼がポーランドで生まれ育ちパリで活躍していたこ
とを知り、19世紀を生きたひとりの芸術家として関心を持つようになりました」

 執筆にあたっては膨大な参考文献にあたり、登場人物の行動を把握するために
カレンダーのような一覧表を作ったとか。「それを見ながら、『そういえば最近
だれだれが…』と、ショパンとドラクロワの会話を展開していくわけです。史実
を調べていくと、みんな僕の予想とはまったく別の事を考えていたりする(笑)
。そこで『どうしてだろう』と、より深くものごとを考えることができました」

167吾輩は名無しである:2005/12/26(月) 19:57:00
 原稿を書きながらショパンがどういう人物なのか悩んだときには、ショパン
コンクールの優勝者でもあるポリーニのCDをよく聴いたそうです。「ポリー
ニは自分の感情をストレートに表現するというよりは、抑制を効かせたクール
な演奏をするタイプですよね。彼の演奏を通して、ショパン自身の演奏はどう
だったのか想像していました」

 格調高く文学的な作風で知られる平野さんですが、ご本人は知的でいながら
気さくな雰囲気。そんな平野さんが考えるショパンの魅力は、気取らないけれ
どノーブルなところとか。「あの上品さは彼独特の個性で、現代では失われて
しまったものだと思います」

168吾輩は名無しである:2005/12/26(月) 19:57:50
 原稿を書きながらショパンがどういう人物なのか悩んだときには、ショパン
コンクールの優勝者でもあるポリーニのCDをよく聴いたそうです。「ポリー
ニは自分の感情をストレートに表現するというよりは、抑制を効かせたクール
な演奏をするタイプですよね。彼の演奏を通して、ショパン自身の演奏はどう
だったのか想像していました」

 格調高く文学的な作風で知られる平野さんですが、ご本人は知的でいながら
気さくな雰囲気。そんな平野さんが考えるショパンの魅力は、気取らないけれ
どノーブルなところとか。「あの上品さは彼独特の個性で、現代では失われて
しまったものだと思います」

169吾輩は名無しである:2005/12/26(月) 19:58:49
 確かに、ショパンは真っ白な手袋をはめるなど貴族的な趣味を持ち、それで
いて物まねが上手で、ユーモアに富んだ一面も持っていました。『葬送』の中
にも、真剣な芸術談義やジョルジュ・サンドと彼女の娘ソランジュをめぐる複
雑な人間模様に混じって、ショパンとドラクロワが女性のお化粧に対する情熱
について冗談を言いあうシーンが出てきます。「ユーモアは、彼のサービス精
神のあらわれでしょう。〈子犬のワルツ〉にしても、なんともいえず上品で、
かすかな哀愁があるけれど、親しみやすいですよね」

 平野さんはことし2月まで文化交流使としてパリに1年滞在し、帰国したば
かり。パリでは講演やフランス語会話のレッスン、コンビニがないので自炊
に挑戦するなど、充実した日々を送りました。マルタ・アルゲリッチと知り合
って、ショパン談義をする機会もあったとか! 「ポリーニやアルゲリッチは、
ショパンコンクールに優勝してから、いったん勉強に専念していたそうですよね
。音楽と文学の世界は全然違いますけれど、僕自身も賞をいただいたあとに長
い間ひきこもって『葬送』を書いていたんですよ。最後の10ヶ月は、1日13時
間ぐらい作業してました(笑)。今思えば、いい経験でしたね」

 それにしても間近で見れば見るほど、まだ本当に若い平野さん。ショパンへ
の思いを熱く語ってくれる様子は、とても頼もしいものでした。



170吾輩は名無しである:2005/12/26(月) 20:11:28
さあこれで平野うけとる金300万ぐらいじゃねーの?
新リア王ははげしく売れてるらしいが。。。
171吾輩は名無しである:2005/12/27(火) 12:16:58
「新リア王」は前の作品もそうだけど、平野の真似をしてるね
前作は文体が真似
今回は「葬送」のような哲学的独白
でもまったく板についてないから
植谷みたいないんちき者を持ち出して恥をかいてるね
172吾輩は名無しである:2005/12/27(火) 14:42:04
高村は無理してるね
平野みたいな宗教的、哲学的資質も無いのに
哲学談義は寒いよね
173吾輩は名無しである:2005/12/28(水) 09:58:16
「葬送」は美しい
174吾輩は名無しである:2005/12/28(水) 10:20:25
平野本人が美しくないだろ。w
175名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2005/12/29(木) 11:33:22
ここから何かが始まる、という感覚が好きだ。そう感じさせてくれる街が好き
だし、店が好きだし、本が好きだし、人が好きだ。最近、平野啓一郎という作
家の書いた本を読み始めたのだけれど、彼からは何か、心がざわざわとするム
ーブメントが起きる予感がする。
この間、久しぶりに大きな本屋に行って唖然とした。名前を聞いたこともない
作家の新刊ばかりがずらっと並んでいるのだ。しばらく本屋に通いつめていれ
ば、読んだことのない作家でも自然と名前だけはしっくりくるようになる。
あぁ、あれ書いた人ね、また新しいの出したんだ、と思えるので山のように積
まれた新刊を前にしても、あまりたじろがなくてすむのだ。
けれど今回はあまりにも知らない人だらけだった。しばらく来ていなかったと
言っても、一、二ヶ月程度のことだったので、少し途方に暮れながら、すごい
な、新しい人が次々と出てきて文学を活性化しているんだな、というのを肌で
感じた気がしていた。
 でもよく考えてみると、これは‘文学の活性化’とは違うんじゃないか、と
思うようになった。出版業界はたしかに活性化しているのだと思う。小説が広
く受け入れられるという体制さえ整ってさえいれば、色々な人が色々な本を出
すという流れが発生するのは理にかなったことだ。その流れは速く、効率が良い。
 じゃあ文学の活性化とは一体どのようなもので、どのようにして起こりえる
のか、という話になるわけだけれども(もちろん、僕の考える文学の活性化は
、ということです)、それにはまず言葉の定義をしなくてはならない。文学を
、小説の体裁をとるあらゆる芸術様式とし、活性化を、何かが停滞した状態か
ら大衆を巻き込む形で脱することとするならば、文学の活性化とは、現代性を
伴う新しい価値を持つ小説が生み出された結果として、その小説を追随するよ
うな形で一つのムーブメントが形成されることに他ならない、と思う。
176名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2005/12/29(木) 11:34:50
小説が今、大衆にいかに認知されているかというのは一概には言えない(人
それぞれ、です)。けれど小説を一つのエンターテイメントと認知することが
今の主流であるとするならば、この状況が形成された‘過程’は、まぎれもな
く一つのムーブメントであり、それは文学の活性化であったのだと僕は思う。
その引き金となったのは「世界の中心で愛を叫ぶ」であったのかもしれないし
、二人の若い芥川賞作家の誕生によるのかもしれない。理由は何であれ、活性
化は起こった。エンターテイメントという過去にない様式を身に纏った小説が広く行き渡るようになった。
 けれど、その様式が一旦成立した後にも続く、数多くの新人作家による出版
物の刊行は、もはやムーブメント(文学の活性化)という能動的な態度によっ
て発せられたものではなく、エンターテイメントとしての小説という様式の持
つ不可避的な構造のために起こる受動的なもの(それはしばしば、怠惰を含む
)に僕には見えてきた。毎週毎週入れ替わるように積まれる新書の山が、そう
することによってしか成立し得ない、いわば市場の原理に乗っ取られたとてもむなしいものに思えてきたのだ。
 僕は活性化を、何かが‘停滞した’状態から‘大衆を巻き込む’形で脱する
こと、と言った。今文学を取り巻いているエンターテイメント性というのは、
とてもとても流動的だ。それは物理的に、目がクラクラするような速さで動く。
だから僕達はじっとこらえて、目をそらすことなく、注意深く本質を見つめな
ければ、たぶんその停滞している様に気付くことさえできない。何かをごまか
すように動き続けている物体の、停滞している実態を暴かなくてはならない。
そうしないことには、きっと何も始まらない。何も創造できない。
 
177名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2005/12/29(木) 11:35:46
このSTUDIO VOICE, 1999 February には平野啓一郎の「小説の「現代性」
とは」というエッセイが載っている。気迫と、情熱のこもった文章だと思う。
今という時代と小説の関係性、小説の持ちうる力について発信している。書い
てあるのは、スケールの大きなことだ。でも不思議とそれは幻想のような非現
実さを感じさせない。むしろそれが真実であると感じさせてくれる文だ。「私
は、「我々の時代の無自覚な声」であることを断じて欲せない。」と平野さん
は言う。自信に満ち溢れた彼の文章は鼻につくこともある。けれど、それでも
信じようと思えずにはいられない、リーダーになりえる素質−ムーブメントを
引き起こす力−を彼の中に見られる気が僕にはするのです。
 僕はムーブメントの、停滞した状態の変革の、立会人になりたい。だから
紹介する。ムーブメントは大衆を巻き込むことなしには起こりえないから。




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179名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2005/12/29(木) 15:52:40
激動するパリを舞台にショパンとドラクロワ、二人の天才を追う大作。
物語的には大味なんだけれども、気が遠くなりかけるたびに目覚しい比
喩で引き戻される。特に演奏会では美しすぎる描写に感嘆。この文章力は
本物。
>>178
きみ通報するよ

>>179
マルチコピペ貼りのキミ
通報するよ
このSTUDIO VOICE, 1999 February には
平野啓一郎の「小説の『現代性』とは」というエッセイが載っている。
平野らしいクサさが満載のどうしようもない文章だと思う。
今という時代と小説の関係性、小説の持ちうる力について
いかにもドサクサ紛れに嘘ついてデビューした平野らしい捉え方をしている。
書い てあるのは、例によって誇大妄想的。それは徹底して現実から乖離し
ヲタクである作者だけが真実であると思い込もうとするさまが、如実にわかる文だ。
「私は『我々の時代の無自覚な声』であることを断じて欲せない。」と
珍妙な文体で語るが、当たり前だ、時代の無自覚な声でありうるはずがない。
そんなタマじゃないからだ。人前では自信を装って見せるしかない彼の文章は
常に鼻につき過ぎるので、よほど未熟な厨房しかひっかかるはずもない。
リーダーを気取ってみせればみせるほど、その虚しい中味が露呈される結果となる。
 厨房だけは騙されて、自分の妄想を重ねてみようとするが、
始めから外側だけしかないこの張子の「虎の威を借りた狐=平野」は
大衆を巻き込むムーブメントを起こすどころか、たった一人たりとも
シンから惹きつけることはできない。皆が冷めた眼で、狐を哀れんでいる。
182名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2005/12/29(木) 17:14:49
>>181

クサさが
ドサクサ紛れに
ヲタク
珍妙な
そんなタマ
未熟な厨房
リーダーを気取って
シンから

みなさんこれが春樹ファンの文章です
平野に怯え、必死で否定しようとしている
現実逃避、思考停止の大馬鹿者の文章です
どうだい?
盗作疑惑 ブサイク疑惑 ホモ疑惑 何らかの宗教疑惑

こんなところです はじめて見た人は参考にしてください
184名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2005/12/30(金) 08:09:11
スレちがいだが、天才疑惑、神童疑惑
185名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2005/12/30(金) 14:32:49
存在の妙。空隙の妙。そして埋葬の妙。歓びとも悲しみとも、切なさとも儚さ
ともとれる(とれない?)それらに、僕はわけのわからない涙を何度か流した。
画家ドラクロワ、音楽家ショパン、小説家ジョルジュ・サンドの三人を中心とし
た物語を通して、生死、恋愛、家族、友情、芸術、知性、感性、情熱、打算、
矛盾などへ多角的にアプローチされた作品。独白と告白と立前と冗談とが巧み
に配置されることで、真偽を超えた捉えようのない心理が見事に描写されてお
り、一つの主題では括れない「複雑さそのもの」を力強く、かつ儚く表現した
逸品と言える。
ただし多少敷居が高いかもしれない。芸術論、音楽論、文学論のいずれも考え
たことがない人にとっては、きっと物語も心理描写も退屈だろう。そもそも物
語とか心理描写などといったキーワードで小説を読む習慣がある人には薦めら
れない。その点で楽しむなら漫画や劇の方が面白いだろうし。
なぜ芸術論、音楽論、文学論などに嗜んでおく必要があるのかというと、自分
と他の存在との間に存在する空隙と、その空隙を論理ではなく「かたち」で埋
めようとする所作(芸術、音楽、文学、言葉、表情)とに、敏感になっておく
必要があるからだ。
抽象的なことばっか言って申し訳ないのだけど、試しに自分で考えてみてほしい。
……自分がいる、自分が好きな人(もの)がいる、その人とは関係性を示す「糸」
で幾らでも繋ぐことができる。でもそれだけでは、その人に触れることはできない。
では手を伸ばそう。
186名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2005/12/30(金) 14:33:43
でも手だけでは届かない。じゃあ「かたち」をつくって間接的にでも触れよう。
言葉で、手紙で、表情で。そしていろんな「かたち」ができる。不器用だけど素
直な「かたち」。上手にできたけど自分らしくない「かたち」。反ってその人を
遠ざけてしまった「かたち」。できたはいいが、思ったほどではなかった味気な
い「かたち」。
そうしていく中でやがて気付くのだ。決して埋まらぬ「空隙」に。それでも断ち
たくない「糸」に。時に自分をつくり、時に自分を見失わせる「かたち」に。
その後に恐ろしい想像が待っている。愛すべきその「存在」がなくなったら?そ
もそも自分がなくなったら?「かたち」は、「糸」は、「空隙」は、一体どうな
るのか?あるいは元々なにもないところに、「存在」が生まれ、「空隙」が、「
糸」が、「かたち」が生まれたとすれば、それは素晴らしい想像へと転化する。
どちらなのか?どちらもなのか?虚しいのか?素晴らしいのか?
……以上を読んでみて、「言い表せない感情」に襲われた方は、ぜひこの「葬送」
という作品を読んでみてほしい。平野啓一郎さんの筆の力で、その「言い表せない
もの」にさらなる響きを与えてくれているから。もちろん、今敢えて言及しなかっ
た「埋葬」についても、内から外から自分の体を揺るがすはずだ。
響きといえば自分が流した涙は、感動の涙というより、ライブやコンサートの大音
響に圧倒されて滲み出るような涙に近かった。そして響きが収まった時に心底思っ
た。良い作品に出会えたなと。物事に対する自分の接し方が変わる、良い作品に。


187名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2005/12/31(土) 12:47:20
平野啓一郎『葬送』
これはすごいですよ。
ほんとに。ショパンしかりドラクロワしかり。いやー、すごい。
長いですけど。長いですけど、で考えたんですが、長ければいいかっていうと、
そういうことも言えないわけで、あの『葬送』が短編だったらどうだったのかと
考えた事がある。
長編が近年多くなったのは、商業ベースに載せるためらしく、短編では単行本に
ならないからね、ということで、長編ばっかりになってきてはいるんですが、結
局のところ、長い小説って研究しにくいじゃないですか?
読者は一回読んだらぽいって捨ててしまう。
でも、研究者は、ねちねちと読む。読んで論文なんかにしてくれる。そうする
と忘れられない。忘れられない作家がいいというわけではないが、忘れられて
しまうのは淋しい。僕だったらそんなことを考えてしまう。
188名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/01(日) 10:45:45
「葬送」を本気で読んで評論を書こうという、気概のアル評論家が
でてきたらいいね
それで「群像新人賞」送ってみな
189名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/01(日) 21:30:04
60.平野啓一郎「葬送」
やっと読了したのが8月末。2巻全1200頁余り。はっきりいって大作である。
今の日本の作家の中で、しかもこの若さで、これだけの大河的作品をものに出来る
のだから、まず平野啓一郎という作家は凄い才能をもっているものだ、と素直に感
心するのである。前作の「一月物語」、前々作の「日蝕」を読んだ感想では、とに
かく文章の切り口に輝きがあること。難解な旧字や漢字を多用するが、それ故に視
覚的な「美」を読み手に与えること。行間の魔術師。「日蝕」には見開き2頁にわた
っての空白があるが、それがイメージを強烈に喚起する。そしてその題材にとりあ
げるものは、一種のオカルトといおうか、幻想文学の世界に接近した独特の美学に
添うものであること。そういったイメージを持っていた。
それが、この長大な作品では、一転して実在したショパンと年長の親友ドラクロ
アのふたりを主人公に(でも読んだ感じではドラクロアの方に比重がかけられて
いるように思える)した一種の評伝であり、サンドとショパンの関係から考えれ
ば家庭小説とも受け取られる、一筋縄ではいかない仕掛けがてんこ盛りになった
巨大な文学作品なのだ。「日蝕」や「一月物語」の世界が平野の作品だと思った読者
からすれば途方にくれるものだろう。
まして、ショパンのピアノ曲作品に対する知識や教養、ドラクロアの絵画作品が
重要なモチーフとなっているとなれば、文学の世界しかしらない、あるいは文学
の世界にのみ安住したがる人たちからすれば、それらの記述が延々と連なるこの
作品など我慢が出来ないものだろう。
190名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/01(日) 21:30:52
しかし、音楽を趣味とするものにとって、平野が、例えばノクターンの描写を読
むとき、平野の審美眼の凄さに圧倒されざるを得ない。音楽評論家の一体誰が、
平野のようにこの曲の真相を聞き取れることが出来ただろう。
もとより文章の表現によって全てを語る作家には、文章のアマチュアである我
々が(ましてや感想だけを書き綴る僕らは「アマチュア」だ)勝てるわけがない。
だが、いくら文章技術のプロである作家であっても、音楽の捉え方が逆に皮相
で、「アマチュア以下」の人もいることは知っている。スタンダールのモーツァ
ルトに捧げた一文の妖しいまでの美しさと本質が、微に入り最に入りの、正に重
箱の隅をひっくり返すようなバルザックには感じられないのは紛れもない事実な
のだ。
いろいろな作品を読んでみて、音楽に対して抜群の教養を持っているといえばプ
ルーストとマンが双璧だが、ショパンの記述に関する限り平野の世界の高さは十
分彼らに匹敵するといっていいのではないだろうか。
そして、読んだそのあとに、ショパンのピアノ曲の楽譜を引っ張り出して、「弾
きたくなる」のだから(「聴きたくなる」のではなく)、全く悪魔的なまでに誘惑
を秘めた文章の力だ。
191名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/01(日) 21:32:20
絵画の世界では全くの素人である僕にとつて、ドラクロアは「民衆を率いる自由の
女神」、「サルダナパールの死」などの作品を書いた、そしてショパンとサンドの
肖像画を描いたひと、という意識しかなかったが、これを読みつつ、ブックオフ
に走って昔の美術全集の「アングル/ドラクロア」まで買ってしまった。
古典は絵画の破壊者、ロマン派絵画のリーダーといわれるが、この「葬送」の中
で、ドラクロアか゜誰よりもミケランジェロやレンブラントを愛してやまなかっ
たという記述に深く納得させられてしまったことを言い添えておく。
永遠に「在り続ける」芸術作品を遺したふたりの芸術家の創造の苦悩と生々し
い生活は、単なる伝記といての体裁を超えて、人間の存在の不可思議さと不条
理を見事に描写しているが、それは文学のジャンルにおける創造の厳しさを感
ずる作者の過酷な運命に対する宣戦布告なのかも知れない。
雑文ともいえる音楽評論家の文章ばかり読んでいる我々に対する警鐘として、是
非読んでもらいたい作品。


よく分かってるなこの人

 

 

192名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/02(月) 09:40:50
護酒 仁:芽衣くん、平野啓一郎の『葬送』は読んだことあるかね?
芽衣:いいえ、生憎ですが『葬送』はいまだ読んでおりません。平野啓一郎さんの
作品では『日蝕』と『一月物語』なら読んでみましたけど。
護酒 仁:ほう。で、その二作品を読んでみて、感想はどうだった?
芽衣:ど、どうと言われましても……わたくしにはあまりにも難解すぎまして……
ただ作者の平野啓一郎さんの著者近影の写真がかっこいいな、と……
護酒 仁:……すまないね。私はかっこよくなくて。
芽衣:い、いえ、そう言っているわけでは(冷汗)……そ、それよりも、ご主人さま
は『葬送』をお読みになられたのですか?いかがでございました?
護酒 仁:いかがと言われてもね。私にとってもやはり難解なのだよ。超大作だから
一言ではとても語り尽くせない。今回はね、『葬送』について斬新な切り口で迫っ
てみたいと思うのだよ。

193名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/02(月) 09:41:58
芽衣:どんな切り口でございますか?
護酒 仁:音楽家ショパンが主な主人公なのだが、もう
一人の主人公が画家のドラクロワなのだけどね。ドラクロワの家の使用人で、
ジェニー・ル・ギユーという女性が登場する。主要登場人物の中にも名前が
載っている。
芽衣:そのジェニーは重要人物なのですか?
護酒 仁:いいや。普通の使用人だよ。要はメイドだ。ドラクロワは結婚こそ
していないけれども、ジョセフィーヌ・ド・フォルジェ男爵夫人という長く付
き合っている愛人はいるという男なのだけれどもね。ジェニーはそんな天才画
家ドラクロワを心から敬愛して、身を粉にして誇りを持って尽くしている。時
にはドラクロワの愚痴の聞き役にもなる。ジェニーに芸術の心得は無いけれど
も、ドラクロワの語る小難しい芸術論もなるべく一生懸命理解しようと耳を傾
ける。
芽衣:それは……メイドとして素晴らしいことですね。
護酒 仁:そうなのだよ。この作品を読めば、「メイドさん萌え〜」という特
殊な楽しみ方もできるのだよ。とはいってもジェニーが出てくる場面はそう
多くはなく、「メイドさん萌え〜」だけで読もうとすれば、それ以外の難し
い芸術論などの描写で挫折することは間違いないのだけれどもね。
芽衣:ジェニーは魅力的なメイドなのですね。わたくしも見習わねば……

194名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/02(月) 09:43:00
護酒 仁:ジェニーのけなげな心理描写が巧みに描かれているからね。でも
本文中には、ジェニーが芽衣くんのようないかにも「メイドさん」といった
感じの服装をしているという描写は無い。あくまでも普通の使用人だ。しか
も、だ……
芽衣:しかも、何なのでしょうか?
護酒 仁:作品が描かれている数年の中では、ドラクロワの年齢は大体50
歳前後くらいだ。ジェニーはドラクロワよりは年下ではあるが、どう若く
見積もっても40歳は過ぎているのだよ。さすがに「萌え〜」な年齢ではな
いのだよ。
芽衣:……当時は今よりも平均寿命も短いでしょうし、40代と一口に言って
も、今の40代よりは当時の40代の方が老境に近かったのではないでしょうか?
護酒 仁:まさに芽衣くんの言うとおりだと思うよ。普通の文芸作品でイラス
トは付いていないから、読者が自由にジェニー像を心の中に想い描くことがで
きるのが、この作品の強みだね。
芽衣:年齢といえば、わたくしの年齢は非公表となっておりますね。
護酒 仁:そう。でも、18歳以上であることは確かだ。だから芽衣くんはいわ
ゆるロリ系のメイドではないのだよ。
芽衣:なっ、何故わたくしの年齢という、本人でさえ承知しておらぬことを
ご主人さまがご存知なのでしょうか?
護酒 仁:芽衣くんは分かっていないようだが、いちおう、児ポ禁の法律に抵
触しないような配慮だよ。18歳未満の児童に対して、あ〜んなことやこ〜んな
ことをするのは、色々規制がかかって来そうで危険だからね。君子危うきには
近寄らず、だ。
芽衣:……そ、そうだったのですが。。。わたくしは18歳以上という設定な
のですね……

195名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/02(月) 09:44:43
護酒 仁:児ポ禁は、下手をすればドラ○もんにおけるし○かちゃんの入浴シ
ーン
すら規制される可能性があるという恐ろしい法律なのだよ……。でも芽衣く
んは18
歳以上だから、過激なあ〜んなことやこ〜んなこともしてもお咎めを受ける
心配が
無く安心なのだよ!
芽衣:あっ、ご主人さまいけませんわ!だからといって本当にあ〜んなこと
やこ〜
んなことをされますと、わたくし……
護酒 仁:されると、わたくしは、どうなるのかね?ん?
芽衣:ああぁっ、困ってし、しまいますぅ。……あはぁぁっ!
196名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/03(火) 00:05:38
久々に釣りでもしようと釣り道具をウェストバックに詰めて手持ちで
家を出たところ、途中「平野啓一郎」の『葬送』に夢中になって
なんと電車に忘れて置いて出てしまったのである。
チクショウ。実家から合流した弟にロッドだけはもってきてもらったものの。
197名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/03(火) 00:07:59
おやおやどれだけレベルの低い話をはじめるんだ?

198名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/03(火) 00:09:28
平野バカをからかうのはおもろいねっ
199名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/03(火) 00:10:15
なぜこんなゴミのスレがあるのか不思議。
200名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/03(火) 00:11:24
ヒラノは日本文学の恥だと断言した男がいた、なるほどその通りだ。
201名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/03(火) 08:33:52
60.平野啓一郎「葬送」
やっと読了したのが8月末。2巻全1200頁余り。はっきりいって大作である。
今の日本の作家の中で、しかもこの若さで、これだけの大河的作品をものに出来る
のだから、まず平野啓一郎という作家は凄い才能をもっているものだ、と素直に感
心するのである。前作の「一月物語」、前々作の「日蝕」を読んだ感想では、とに
かく文章の切り口に輝きがあること。難解な旧字や漢字を多用するが、それ故に視
覚的な「美」を読み手に与えること。行間の魔術師。「日蝕」には見開き2頁にわた
っての空白があるが、それがイメージを強烈に喚起する。そしてその題材にとりあ
げるものは、一種のオカルトといおうか、幻想文学の世界に接近した独特の美学に
添うものであること。そういったイメージを持っていた。
それが、この長大な作品では、一転して実在したショパンと年長の親友ドラクロ
アのふたりを主人公に(でも読んだ感じではドラクロアの方に比重がかけられて
いるように思える)した一種の評伝であり、サンドとショパンの関係から考えれ
ば家庭小説とも受け取られる、一筋縄ではいかない仕掛けがてんこ盛りになった
巨大な文学作品なのだ。「日蝕」や「一月物語」の世界が平野の作品だと思った読者
からすれば途方にくれるものだろう。
まして、ショパンのピアノ曲作品に対する知識や教養、ドラクロアの絵画作品が
重要なモチーフとなっているとなれば、文学の世界しかしらない、あるいは文学
の世界にのみ安住したがる人たちからすれば、それらの記述が延々と連なるこの
作品など我慢が出来ないものだろう。



この人の評価は本物だね
心で認識することに成功している
202名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/03(火) 10:13:52
なつかしいな。がんばってるんすかね
203名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/03(火) 11:50:03
平野スレはコピペ厨の巣
204名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/03(火) 22:35:26
音楽、美術をやってる人ほど、内容を正確に理解して
感嘆してるようだね
205名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/04(水) 13:30:44
確かに音楽を理解しない、理解したくない人間にとって
あの演奏会の描写は長すぎるとおもうかもしれないが
全てを受け入れて、その中に入ってしまうと
音楽の素晴らしささえ感じることが出来ると思うな
206名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/04(水) 19:11:39
ショパン本人がもっとも喜んだのも彼女とその家族からの見舞いだった。
彼には彼女の美しさは、単に彼女独りのものではなく失われた祖国の美しさそ
のもののように尊く感ぜられた。・・・
彼女とポーランド語で言葉を交わすときにだけ彼は心からの安らぎを感じた。
たとえ苦痛の最中にあっても、一言自らの口で発するポーランド語を聞き届け
てもらい、一言それに応ずるポーランド語を耳に触れさえすれば、まるで体中
に無数に突き刺さった棘をそっと引き抜き、その傷を優しく埋めてもらうよう
な悦びを感じた。長らくフランス語すら満足には話せぬ生活が続いていた為か
そしてまた、死の不安が一層彼を孤独にさせ、望郷の念を激しく掻き立ててい
たためか、彼は母国語というものの神秘をこれまでよりもずっと強く感ずるよ
うになっていた。自分の発するひとつらなりの音の組み合わせの中に、自分の
心のもっとも深い秘密を発見する人間がいる。それは何という奇跡であろうか! 
207名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/04(水) 19:17:05
ショパン本人がもっとも喜んだのも彼女とその家族からの見舞いだった。
彼には彼女の美しさは、単に彼女独りのものではなく失われた祖国の美しさそ
のもののように尊く感ぜられた。・・・
彼女とポーランド語で言葉を交わすときにだけ彼は心からの安らぎを感じた。
たとえ苦痛の最中にあっても、一言自らの口で発するポーランド語を聞き届け
てもらい、一言それに応ずるポーランド語を耳に触れさえすれば、まるで体中
に無数に突き刺さった棘をそっと引き抜き、その傷を優しく埋めてもらうよう
な悦びを感じた。長らくフランス語すら満足には話せぬ生活が続いていた為か
そしてまた、死の不安が一層彼を孤独にさせ、望郷の念を激しく掻き立ててい
たためか、彼は母国語というものの神秘をこれまでよりもずっと強く感ずるよ
うになっていた。自分の発するひとつらなりの音の組み合わせの中に、自分の
心のもっとも深い秘密を発見する人間がいる。それは何という奇跡であろうか! 

208鈴木 ◆m0yPyqc5MQ :2006/01/04(水) 19:18:05
いいんじゃないですかそれが。

だってそうでしょ?
テロリストが内在する社会に居ても、小学生の女の子が何の気なしにキレて同級生殺しても
ショパンとドラクロアの友愛を妄想して感傷に浸れれば。

 新潮社もウハウハだし、もう誰もが心底
大満足なんじゃないですか?
何を隠そうこんな僕も、既に葬送なんちゃってw
というのはwhite lieで実はもう10回以上
あんな読み難い昔の貴族のダサいエリート意識満載文体みたいな
この素晴らしい作品は積ん読しています。本屋の棚に。
阿呆が
210名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/04(水) 22:50:50
永かった、ようやく一部読み終わり。

画家のドラクロワ、

そしてピアノの詩人・ショパンとジョルジュ・サンドの話。

サンド夫人とショパンの関わる一連のお家騒動は、

昼ドラのノリだった気がする。

典型的な昼ドラですよ、みんながみんな自分のことでてんやわんや。

被害妄想の凄まじさで話はこんがらがっていくのですね。

ドラクロワの方は、芸術に関する思想がいっぱい。

圧倒的なってのはこのことだろう。

綴られる膨大な量の論議は一回じゃ理解できたとは思えないけれど。



「我々は皆何らかの埋葬を執り行いつつあるのだ」



葬送っていう題名にはこのことも含まれているのだろうか。

とりあえず、第二部を。
211名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/05(木) 12:58:46
うん含まれてるよ
何度も読めばよむほど
深い感動を味わえるよ
212名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中
写真の左の楽譜はショパンのノクターンOp.15-2。ひそかに狙っている曲 (と
いうのはいいとして〜♪)。この曲には♯が7つついていて、嬰ヘ長調だという。
ファのシャープで音階が始まる。けれども右の楽譜をみてほしい。これはハノ
ンのスケールで♭が6つついていて、変ト長調だという。ソのフラットで音階
が始まる。ファの#とソの♭。これって同じじゃん。なのに2つに分かれている。
 この謎に気づいたのはショパンとドラクロワの伝記を書いた平野啓一郎氏の
「葬送」という本の「舟歌」の解説から。この本、なかなか読み進まないのだ
けど第二部(上)のショパンのコンサートの模様の描写が圧巻。曲の解説も素敵
。そこに嬰ヘ長調「舟歌」と書かれているのを発見して変だと思ったのだ。舟
歌にしろノクターンしろショパンは変ト長調にせず、嬰ヘ長調にしている。臨
時記号の数が増えて面倒くさくなるはずなのに。ショパンは「変」よりも「嬰
」の方が好きだったのだろうか?
 謎の分かる方いらっしゃったら教えてください。