「暗い日曜日」 篠原一
まず、頻出する嫌みなルビが鼻につく。作者はこれがかっこいいと思ってやってると思うのだが、
たぶんそれは逆効果だと思う。ルビを無意味に振ることで何かの異化効果がもたらされると考えて
いるのだろうか。はなはだ疑問である。
ルビの主なものを引用する。括弧内がルビである。
「知性(インテリジェンス)」「食堂(ダイニング)」「異国情緒たっぷりな(エキゾチック)」「高所得地域
(アッパータウン)」「煙草の包装(シガレットのパッケージ)」「蒸留酒(ブランデー)」等々・・
まあ「手伽(マナクル)」「聖痕(スティグマ)」などはルビの意義をまだ理解できるとしても、上記に
あるような子供でもわかるような語句にわざわざルビを振る行為にはなにか気味の悪ささえも覚える。
いわゆるゴスロリ同人誌で見かけそうな文章である。
たぶんこうした形の文章にもそれはそれで魅力を感じる層はいると思うのだが、その魅力を更に
普遍のものしなければ、一般の読者の共感は得られないような気がする。