チエコはイベントのコスチュームを手作りする会社に勤める裁縫師。
前の彼氏と別れてから、新しい彼氏と出会えるのを夢見る女の子。
同じ部署に若い男の子が入社した。コージという。
コージは恐ろしく刺繍が上手く、そのミシンかけの凄さはトランスものだ。
チエコはコージと一緒に車で材料の買出しに行く。
その帰りにチエコは、一人暮らしのアパートにコージを招きよせた。
二人は抱き合い、翌朝、コージは起きられず、チエコだけが出社する。
コージはそのままチエコの家に居ついてしまい、会社を退職する。
コージは自分のアパートや全財産を投げ打ち、オリジナル刺繍を承る会社をネットで立ち上げた。
チエコは昼間は会社に行き、夜になるとコージの手伝いをした。
だがコージの会社が軌道に乗るにつれて、二人の間は疎遠になる。
まるで蜘蛛の巣にかかった蝶のようだ。
チエコはコージのかけた蜘蛛の巣にかかり、食い尽くされてしまった。
コージは夢を成功させ、チエコはそのために犠牲になり、得たものはない。
蜘蛛の巣にかかり、食い尽くされたチエコの形見、それは恋かもしれない。(了)