405 :
美香 ◆FE5qBZxQnw :
「歴史・科学・現代 加藤周一対談集」(平凡社)絶版
→対談相手は丸山真男、湯川秀樹、久野収、渡辺一夫、西嶋定生、笠原芳光、
白井浩司、サルトル。これは世界史学習を見据えながら、サルトルも射程にいれて(w
世界史を大づかみにとらえたいんだ、無数の事件の連続としてではなく。
たとえばそう、クリミア戦争なんていう名称はどうでもいい。
それが意味している、その背後にある、宗教的文化的事情を深いところでつかまえたい。
西洋史とはなんなのか、東洋史は太陽の西洋史に対する月のようなものなのか。
まえに加藤周一さんの日本文学史に関する講演の記録を読んで、
すんごいわかりやすかったから期待していたんだけど……。
対談相手が悪かったのかな。話し言葉なのにさっぱりわからないわけで。
でもサルトルとの対談は大笑いした。サルトルさん、あなた、おかしいって。
来日して2週間のサルトルに対談の冒頭、かるーくこう質問するわけ。
日本料理はどうでしたって。これ天気の話をするようなもんでしょ。
それに対する返答。
サルトル「ええ、もちろんその話をするのはやぶさかではありませんが、
ただそのかわり、あなたがたには私の疑問に答えてほしいのです。
(……) 日本で外国人旅行者が一番奇異に思う食べ物は刺身です。
フランスではレヴィ=ストロースという有名な社会学者がいて、
生物と焼物について著書を著わしていますが、……(延々と続く)」。
んで、結局、刺身がおいしかったのか、日本料理を気に入ったのかは最後まで言わない。
それをありがたそうに拝聴している加藤周一さんと白井浩司さんがいじらしくて……。
この対談が行なわれたのは1966年。当時、サルトルは日本で神様みたいな存在だったのがよくわかる。
わたしだったら、わけわかんないこというまえに刺身は好きか嫌いかと問い詰めるけど(w
講釈はいらん、好きか嫌いか! これはサルトルに限らず全哲学者に言いたいことでもある。
御託はもういい。きみは人生が好きか嫌いか。生きるのか死ぬのか。
406 :
みか5さい ◆NGaQPY3pmc :2005/05/22(日) 17:43:01
>生きるのか死ぬのか。
それだけが ひげきです
ほかは みんな きげきです(うけうり ぼうよみ
407 :
美香 ◆FE5qBZxQnw :2005/05/22(日) 18:31:35
「狂気と天才 キーン」(サルトル/鈴木力衛訳/人文書院)絶版
→昨日ですよ土曜日。ふらっと神保町へ寄ったんです。
つい足は悪名高き(が、安い)田村書店のワゴンへ。
サルトル全集の端本がちらばっている。
さて、この偶然どうすべきか。買うか、買わぬか。
サルトルにそこまで心酔しているわけではない。
が、新潮文学全集に収録されている戯曲はもうぜんぶ読んでしまった。
どこまでサルトルと向き合うべきか。
金額じゃない。田村書店のワゴンは格安なんだから(これは200円)。
読むはあとがき。いつからあとがきを先に読むようなスレた読者になったのでしょう(w
おなじみ鈴木力衛さんの解説にこうあった。
「サルトルのこれ(『キーン』)以前の戯曲は、実存主義者として、
なんらかの問題を提起したかなり難解なものが多かったが、
『キーン』において作風はガラリと一変する。作者はここでは、
実存とか、自由とか、善とか、悪とか、神とか、悪魔とか、そんなむずかしい問題を、
読者なり観客なりの前に提出しようとはしない。(……)
『うまくこしらえた芝居』という言葉がある。
フランスでその種の芝居が流行ったのは十九世紀の後半のことであるが、
わたくしはこの作品を読みながら、ふとその言葉を思い出した。
それにしても、さまざまな論争をしたり、政治的な活動をするかたわら、
こんな楽しい芝居を書きあげるサルトルは、なんという驚嘆すべき才能と精力の持主であろう!」
昨晩、禁酒した。眠れない。23時から2時まで一気にこの戯曲を読んだ。
楽しかった、笑ったさ。キーンは実在したイギリスの有名なシェイクスピア俳優。
そのかれをサルトルはじつにおかしく料理する、その腕ときたら――。
検索してみたら、6年前に江守徹が中心となってこれを再演したらしい。
そりゃあ、役者ならこの芝居をやってみたくもなるでしょうと納得。劇作家サルトル万歳!