読了報告スレッド♪3冊目

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26美香 ◆FE5qBZxQnw
「インド怪人紀行」(ゲッツ板谷/角川文庫)
→またもやインド旅行記。なんでわたしこんなのばっか読んでいるんでしょう(w
でも旅行エッセイっておもしろくない? あることに気づいた。
「作者=出会う人・遭遇する事件」という法則があるに違いない。
作者が旅行中に出会う人というのは、ものの見事に作者自身を現わしているということ。
宮本輝が「命の器」というエッセイで書いていたことなんだけど、
どの人にもその人の「命の器」というものがあって、彼は彼女はその器の
似ている人としか出会わないという法則がこの広大な宇宙の神秘のひとつとして
あるのではないか。そう宮本輝は指摘していた。
たとえば、ついている人はなぜかついている人と関係していく。
意地悪な人はどうしてかおなじような性質をもつ人間とつるんでいく。
これを考え尽くすとひどく残酷な思想になるように思うのだけれども、
旅行中に出会う人というのもこの「命の器」が関係しているのではないか
という推測はわたしのオリジナルです。
前述の「たかのてるこ」さんは善人としかなぜか出会わないのにたいして、
わたしのまえには助平なインド人しか現れないというふしぎを解明する法則だと思う。
さて、この本の著者、ゲッツ板谷はどうか。どんな「命の器」を持っているのか。
そのまえに、やだね、ゲッツ板谷だって、恥ずかしい名前、色物じゃんだれが見たって。
と思いきや、このゲッツ板谷は見事天晴れというほかない職人的売文家だったのである。
売文業に誇りをもって、とにかく読みやすくおもしろい文章を書こうとしている。
テレビを見ながら読める文章を書くことのできる人はある意味で天才かもしれない。
文体はひたすら軽く。ガンジス河を見たところで文学者のように深刻ぶることはない。
「きったねえ河」、それで終わりである。著者は1964年生まれ。
ぎりぎりの笑いを取る。たとえば、駅にたむろするインド人の写真の下に、
「ホームに寝転ぶインド人。凶暴なシャチを放ちたくなった」と書くんだから。
結果、彼が出会う人・遭遇する事件もなんとも不可思議かつ豪快で笑えるのである。
だけど、インド人をいきなり殴るのはあまりにもかわいそうですよ。