200文字で完結させる小説

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210エイチドット@喫煙中
歩くのが好きである。とくに秋のおわり、公園の木々の中を、枯葉を踏んでゆっくり
歩くのはこのうえなく楽しい。
もみじやいちょうの湿った葉を、踏み、踏み、踏み、歩くのである。
ある日、公園まで来て木々の中を歩いた。
また枯葉をゆっくり踏もうとすると、枯葉が一枚、のそりと立ちあがって、言った。
「踏まないでください」。
驚いて、出した足を引っ込めた。立った枯葉を見直すと。枯葉はぱたりと倒れた。
それから枯葉は二度と立ち上がらなかった。私も同じく、声も出ない。