酒鬼薔薇聖斗の文学性

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45吾輩は名無しである
神戸新聞社へ

この前ボクが出ている時にたまたまテレビがついており、それを見ていたところ、
報道人がボクの名前を読み違えて「鬼薔薇」(オニバラ)と言っているのを聞いた
人の名を読み違えるなどこの上なく愚弄な行為である。表の紙に書いた文字は、
暗号でも謎かけでも当て字でもない、嘘偽りないボクの本命である。ボクが存在した
瞬間からその名がついており、やりたいこともちゃんと決まっていた。しかし悲し
いことにぼくには国籍がない。今までに自分の名で人から呼ばれたこともない。
もしボクが生まれた時からボクのままであれば、わざわざ切断した頭部を中学校の
正門に放置するなどという行動はとらないであろう
 やろうと思えば誰にも気づかれずにひっそりと殺人を楽しむ事もできたのである。
ボクがわざわざ世間の注目を集めたのは、今までも、そしてこれからも透明な存在
であり続けるボクを、せめてあなた達の空想の中でだけでも実在の人間として認め
て頂きたいのである。それと同時に、透明な存在であるボクを造り出した義務教育
と、義務教育を生み出した社会への復讐も忘れてはいない
だが単に復讐するだけなら、今まで背負っていた重荷を下ろすだけで、何も得ることができない
そこでぼくは、世界でただ一人ぼくと同じ透明な存在である友人に相談してみたの
である。すると彼は、「みじめでなく価値ある復讐をしたいのであれば、君の趣味でもあり存在
理由でもありまた目的でもある殺人を交えて復讐をゲームとして楽しみ、君の趣味を殺人から
復讐へと変えていけばいいのですよ、そうすれば得るものも失うものもなく、それ以上でもそれ
以下でもない君だけの新しい世界を作っていけると思いますよ。」
その言葉につき動かされるようにしてボクは今回の殺人ゲームを開始した。
しかし今となっても何故ボクが殺しを好きなのかは分からない。持って生まれた自然の性(サガ)
としか言いようがないのである。殺しをしている時だけは日頃の憎悪から解放され、安らぎを
得る事ができる。人の痛みのみが、ボクの痛みを和らげる事ができるのである。
46吾輩は名無しである:04/03/01 21:07
最後に一言
この紙に書いた文でおおよそ理解して頂けたとは思うが、ボクは自分自身の存在に対して
人並み以上の執着心を持っている。よって自分の名前が読み違えられたり、自分の存在が
汚される事には我慢ならないのである。今現在の警察の動きをうかがうと、どう見ても
内心では面倒臭がっているのに、わざとらしくそれを誤魔化しているようにしか思えな
いのである。ボクの存在をもみ消そうとしているのではないのかね  ボクはこのゲーム
に命をかけている。捕まればおそらく吊るされるであろう。だから警察も命をかけろとま
では言わないが、もっと怒りと執念を持ってぼくを追跡したまえ。今度一度でもボクの
名前を読み違えたり、またしらけさせるような事があれば一週間に三つの野菜を壊します。
ボクが子供しか殺せない幼稚な犯罪者と思ったら大間違いである。


  ――――ボクには一人の人間を二度殺す能力が備わっている――――