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ミステリ板住人 ◆0FE6khB7i2 :
>「豊饒の海」に描かれている哲学と
>現代の世相との関係を教えて。
三島先生のミステリ嫌いは有名(中央公論社全集からの松本清張外しは良く知られた
ところである)だが、「黒蜥蜴」の例を見てもわかるとおり、
なぜか江戸川乱歩(いわゆる大乱歩)とは一脈通じるところがあったらしい。
ここに「豊饒の海」という作を読解する鍵があるやに思う。
乱歩の「うつし世は夢、世の夢こそまこと」という言葉は有名だが、
この言=哲学は三島文学にも共通するものがある。
最終部分の聡子タンの台詞からもわかるように、この言=哲学を具現化した作が
「豊饒の海」である。人の心は移ろいやすくその存在自体もまた同様である。
それは全て塵・芥の類に等しいと言い切っても必ずしも間違いではないのだ。
ならば世の夢(輪廻転生も含む)こそ真実足り得るのではないか。
この考え方は、ある種、時代超えた真理に近いものがあり、刹那的な現代世相を見てゆく
にあたってもメルクマール足り得るかと思う。