1 :
吾輩は名無しである:
あぼーん
>>1 まさか白鳥のスレッドが立つとは思いませんでした。
ぼくは文学全般にすっかり飽いてしまいましたが、白鳥だけは
何度読み返しても面白いです。
あぼーん
あぼーん
読みたいんだけど手にはいらん
7 :
吾輩は名無しである:03/08/22 15:54
>>7 おーありがとう。何から読んだらいいでしょう?
>>8 『何処ヘ』で一躍、文壇の寵児になったと言われています。
でも、文体も褒められたものではないと述べて、
本人は非常に謙遜しているんですね。
因みに『現代の作家』(岩波新書・絶版)に、独白が掲載されています。
やはり落ちる運命か。
定期的には読み返すが語り合うほどの情熱が無い。
保守カキコしかないスレになりそうな予感
御期待通りに保守カキコ
>>8 >>9 白鳥という人は不思議な人で、その仕事は小説、戯曲、文芸批評、随筆、回想録と
多岐に渡ってはいるものの、これといった代表作がありません。
それが白鳥に人気がない理由ではないでしょうか。
世評では「何処へ」が代表作となっていますが、こんなものを真に受けてはいけません。
ですが、長年の勉学で社会に出るころには身も心もぼろぼろになってしまった人たちには、
ぜひ一読してもらいたいと思います。
漱石の「三四郎」、鴎外の「青年」なんかより、読めばはるかに身に沁みるかも知れませんよ。
高校のときに「しらとりはくちょう」と間違って覚えてるヤツがいた。
16 :
吾輩は名無しである:03/09/05 17:38
『自然主義文学盛衰史』読了age。
へぇ。削除されたら「あぼーん」の跡も消えてる。
筑摩書房『明治の文学 第24巻 近松秋江+正宗白鳥+岩野泡鳴』
を、まづ読むべし。
俺が好きなのは、『日本幻想文学集成 正宗白鳥』(国書刊行会)
「妖怪画」「冷涙」などが入っている。
或は、岩波文庫『新編 作家論』
う〜ん。やっぱり刊行情報だけか・・・。
現代の作家とでは人気には差が出るのは仕方ない。
でも百年後、二百年後に残っているとなると白鳥の方だろう。
それはファソだからそう思うだけだな。
まあ200年後のことなど、誰も確かめようがないが。
点数は少ないとはいえ、講談社文芸文庫、岩波文庫で新刊書が出ているのだから、
白鳥の読者(正確に言えば、買う見込みがある人)は、ある程度いることはいるので
しょうね。だけど、2ちゃんねるとは縁がないのかも。
世に執するものなしさらば無きに執すると語りし正宗白鳥のこと
森重香代子
「続・短歌その日その日」平凡社より引用
白鳥の小説には大人の哀愁が溢れている。
2chで大多数を占める、幼稚な連中の興味は惹かないでしょう。
25 :
吾輩は名無しである:03/10/11 19:13
わたしは高校生の頃、家にあった日本文学全集を片っ端から読み漁っていた
のだけど、その時読んだ白鳥の「泥人形」というのがとても印象に残って
います。
ここまで冷徹な語りぶりはないんじゃなかろうかという感じでした。
いま読み返したらどんな印象を持つかな?
あと、歳をとっても英語の勉強をひとりで続けている弟を描いた作品が
あったけれど(たしか「入江のほとり」だったと思う)、この短篇も
救いようのない話で、古井由吉が評して「ここには虚無の味わいがしないか」
(うろおぼえ)と書いていたが、まったくその通りだと思う。
永田耕衣も白鳥を愛読していたらしいです。なんかわかる気がする。
26 :
吾輩は名無しである:03/10/19 23:16
ブックオフで、正宗白鳥集が100円で売っていたのですが、買いですか。
もちろん買いです。
28 :
吾輩は名無しである:03/10/24 21:08
age
29 :
吾輩は名無しである:03/10/26 14:27
って誰
30 :
吾輩は名無しである:03/10/29 19:31
講談社 豪華版 日本文学全集 正宗白鳥集 100円で買いました。
これから読んでみます。
31 :
吾輩は名無しである:03/10/29 19:33
おお!白鳥のスレが立ってる!
俺も福武書店の全集読んでるよ!
中学の頃「死者生者」や「入り江のほとり」を読んで以来、白鳥が一番好きだ!
1巻が一番いいな。
荒涼とした作品を読んだ後に、
「塵埃」や「空想家」にあるような純粋な耽美ものを読むと・・・。
って人居ねぇな・・・
32 :
吾輩は名無しである:03/10/29 19:57
「妖怪画」のお鹿に禿げしく萌え!!
岩波文庫『作家論』にも収められている「明治大正文壇回顧」を
田山花袋の『近代の小説』とくらべてみると、外国文学に対する見方とか
白鳥がいかにまともかよくわかる。信頼できる。
34 :
吾輩は名無しである:03/10/31 22:04
小林秀雄との思想と実生活論争70年経ってみれば白鳥の完全勝利だな
マルキシズムの実験がことごとく破産したように
小林の芸術至上主義も今や噴飯物だ。
山の神を恐れコソコソ家出したトルストイにどんな思想的煩悶があろうとも
あらゆる思想を真にうけるヤシはもはやいない。
35 :
吾輩は名無しである:03/10/31 22:29
でも白鳥も芸術至上主義だったんじゃないかな。
36 :
吾輩は名無しである:03/11/01 04:51
広津和郎の『同時代の作家たち』といえば宇野浩二スレ御用達の本だが、
正宗白鳥のエピソードもいいね!
まだ読んでない人は読んでみて。
岩波文庫で手に入ると思ったよ。
37 :
吾輩は名無しである:03/11/01 08:35
>>30 読んだら感想UPしてね。
俺も『今年の秋』積読状態だから読んでみるかな。
38 :
吾輩は名無しである:03/11/06 11:43
39 :
吾輩は名無しである:03/11/15 20:54
正宗白鳥のあの冷徹さには攻撃性も含まれてるよな。
過剰に冷酷。そして虚無的な心。
激情の持ち主に違い無い。
40 :
吾輩は名無しである:03/11/15 21:11
私小説家て、そういうタイプ多いのかなあ。
佐伯一麦とか、車谷長吉とか、みんあ冷酷なんだよなあ。
41 :
吾輩は名無しである:03/11/15 21:20
>>40 私小説というか、自然主義文学は陰惨で冷たい世界のイメージ。
その中でも正宗白鳥は群を抜いていると思うよ。
今風に言えば、何かの人格障害とか、そういうものを感じさせるね。
まあ、救済や希望のある文学よりも、こっちの方が好みなんだけど。
なんていうか、何もかも滅茶苦茶に踏みにじりたいって気分の時に読む
のがいいと思う。
42 :
吾輩は名無しである:03/11/15 21:48
白鳥は不能者だったからね。
われわれが持つ煩悩が無かった分、冷徹に人生と対峙できたのであろう。
43 :
吾輩は名無しである:03/11/15 22:13
>>42 不能者でしたか。
何か障害を持っているかも知れないとは思っていましたが。
90年代に有名になった旧ソビエトの連続殺人鬼アンドレイ=チカティロも
不能者で、冷酷かつ残虐に52人も殺しまくったとか。
不能者の中の極一部には、突出した残忍性が備わっているそうです。
正宗白鳥は冷徹や虚無という態度で、己の内の野獣を文学で
表現していたのではないかと思いました。
44 :
吾輩は名無しである:03/11/20 00:51
昨夜公園を散歩して瞑想に耽る、美しき世界よとの感切にして、随喜の涙にむせんだ。
夕暮れの紅い雲が見る間に色を失い、一抹の靄が大崎の平地を籠め、あちこちの灯火は
水中に浮動しているやうであったが、やがて際立って赤い一点の灯火が、大蛇の眼の如く
光って、靄を突き破って疾駆して、轟々と音のみ残して姿を消すと、靄は次第次第に消え失せ、
月光は隅なく照り渡り、谷を隔てた彼方の鬱蒼たる森林から、目の下の小さい藁小屋まで、
風情ある詩の世界、床しき夢の里となってしまった。人間の声もせぬ。風の音もせぬ。
只停車場(ステーション)の向こう、森の右端、白雲が渦巻いている遠き遠き所に、
雷光が鋭く光っているばかり。予は翼を得て光の中に漂ひたく思った。
冴えた月光は恋する男恋する女を乗せて、遠き光明の郷へ送るに適している。(「空想家」)age
45 :
吾輩は名無しである:03/11/20 01:06
>>43 チカチロは殺人で性的絶頂を得たんじゃないっけ?
白鳥は残虐行為に対する恐れを度々語っているけど。
「人を殺したが」という話もあるけど、性的興奮の喚起と言うよりも、
劣等感、失望、退屈、軽蔑、憎悪から来る破壊欲求って気がするよね。
46 :
吾輩は名無しである:03/11/20 04:30
>>45 チカティロの生涯のほとんどはインポテンツ。
何度も少女や少年を押し倒して強姦しようとしているが
不能ゆえに失敗している。失敗するたびに、執拗に
少年少女にナイフを突き刺して性的陶酔を得ていた。
性的衝動と性行為は必ずしも一致しない例だよ。
ただし、チカティロは自慰行為はできていたようだ。
インポテンツの大半が全くの不能ではないから、
これは特別なことではない。
彼を分析した医師はインポテンツに悩む劣等感の強い
サディストの精神病質者と指摘している。
チカティロ本人は長年におよぶ無力感と屈辱感が殺人の
引き金になったと言っている。
残虐行為に対する恐れを述べるということは、それが自分の内にも
あったからだとも思えないか。
「劣等感、失望、退屈、軽蔑、憎悪から来る破壊欲求」を
文学で表現することで、発散できていたのが白鳥の幸運だったかも知れない。
インポテンツにも性的衝動があるということと、それを解消する
困難さがあることをお忘れなく。
47 :
吾輩は名無しである:03/11/20 15:35
>>46 けど、白鳥の文章からは虐待に対する「性的陶酔」は読み取れないんだけどな、
残酷さを凝視して掘り下げていくような感じでもないし。
「死者生者」なんかはちょっとエロティックだと思ったけど。
そういえば芥川龍之介が「白鳥の文章の底には地獄がある」みたいなこと
言ってたよね。
白鳥の文章を読んでて一番きついのは、飯がまずいとか、性欲が湧かない
なんて所じゃない?白鳥の虚無と耽美の入り交じった世界は大好きだけど、
上のような記述があると、想像して寒気がしてくる。
寒気を覚えるというのも白鳥を楽しむ一つの手かもしれない。
49 :
吾輩は名無しである:03/11/20 16:36
漏れはチンポだけは超一流だからなぁ
>白鳥の虚無と耽美の入り交じった世界
犯罪心理学とかに詳しい人いるか?
確か、連続殺人犯などの精神異常者は犯行に至る前に、
孤独な世界で、このような空想に何年も耽っていた場合が
多いのだそうだ。実は白鳥も何人か殺してたら、かなり
スキャンダラスなわけだが、そこまで期待する俺は馬鹿だな。
取りあえず、ある程度の類似性はあるのではないだろうか。
51 :
吾輩は名無しである:03/11/20 23:43
>>50 「一つの秘密」とは白鳥が過去に犯した重大犯罪ではないか?と
仄めかしたような評論無かったっけ?
俺は勝手に肉体的欠陥だと憶測してたけど。
>>51 俺は白鳥論みたいのは読んでないけど、
そういう推測をした評論家がいたとは
驚きだ。読んでみたくなってきたよ。
犯罪心理学や精神病理学の観点から
白鳥を読める人っていないのかな。
まあ、あれだ、ガセネタや、とんでも本の
類になりそうだけれど、ここは2chという
ことで。
晩年のエッセイ「一つの秘密」に、わざわざ傍点入りで「犯罪に関係したのではない。」
とあるのに、なぜ白鳥の秘密が人殺しの体験となるのですか?
傍点つけるってことは強調したかったからだろが。
つまり、罪を犯してるんだよ。
55 :
吾輩は名無しである:03/11/29 21:37
白鳥先生は善人です。
56 :
吾輩は名無しである:03/11/30 03:28
>>55 重大犯罪人は一見、善人や人畜無害に見える場合が多い。
テレビなどの近所住人のインタビューでは、
「なぜあのような人が・・・」
というコメントが多いだろ。
連続殺人犯が捕まりにくいのも、その目立たなさが原因。
近所住人や知人からのタレコミがほとんどないんだよ。
>>56 「善人や人畜無害に見える場合が多い。」(『56』)とおっしゃいますが、私には
そのように思えません。むしろ私に言わせれば、「場合もある。」でしょう。
そもそもテレビのコメントで本音が語られているんでしょうかね。
あなたも多少は文学趣味がおありなら、マスコミの報道を鵜呑みにするのはやめま
しょう。
58 :
吾輩は名無しである:03/12/01 17:00
大西巨人の「神聖喜劇」では虚無に囚われた主人公が完全犯罪(人殺し)をおかす。
白鳥もその精神の彷徨の過程で「なにか」をしたのかもしれない。
>>57 あなたのようなスタンスも、マスコミに毒されている一類型に見えるのですが。
>>58 すいません。「神聖喜劇」は読んだことがありません。
大磯時代の白鳥が人殺しの話ばかり書いていたから、実生活で殺人を犯したに違いない
という考えにはついていけません。
>>59 マスコミは建前。文学は本音。
だから、それも言うなら、私は文学に毒されていると言うべきでしょう。
>>61 だから〜、そういう安易に決めつけてしまうところなんかが、
マスコミに影響されていることを如実に顕してるんだって。
マスコミは都合の良い側面だけを切り貼りして提供している。
君みたいなポォズをとってる人が世の中の半分以上ってことくらい、
マスコミは知ってるし、そういう人たちをも利用してるんだよ。
乱暴に分けると、建前本音じゃなくて、
マスコミは事実、文学は真実って気がするけどね。
まあこんな分け方に意味あるとも思えなかったりもするんだけどね。
だから今回の件は、真実云々ではなく、
それが事実か否かで語られるべきことだと思うんだけど。
まあそんな風に話をこじらせるまでもなく、
人殺しが人殺しに見えないのは、たいていそうだよ。
63 :
吾輩は名無しである:03/12/01 18:47
>>60 すいません、「精神の氷点」でした。
上のカキコはちょっと書いてみただけであって、白鳥が殺人を犯したということを
主張したいということではありません。ちょっとした言葉遊びです。
64 :
吾輩は名無しである:03/12/01 23:18
「今年の春」
ていうのを読んだ。末期のじいさんを無感情に観察してるやつ
前に
>>33に書いた者です(その後いちおう固定化)。
>>34同感。
ちくまの『明治の文学』を買ってしまい、
久しぶりに「何処へ」を読み、(はずかしながら)初めて「泥人形」を読みました。
ここまで、白鳥の冷酷さが話題になってるようですが、
今回、作品の空気としては、むしろ、何かあたたかいものを感じました。
(読む人ごと、読む時ごとに感じ方は違うのかもしれませんが)
主人公は冷酷としても、その向こう側に捉えられた人達の切なさとかが、作品全体からよく伝わってくるように思います。
特に「何処へ」の父親の心細さとか、「泥人形」の妻のひたむきさとか…すごく新鮮に胸に迫りました。
秋声の「新所帯」も同じテーマですが、秋声の方がむしろ冷淡というか、突き放して書いてるようですし、
花袋などは冷淡を通り越して、無神経の域に達してると思います。
これらと比べても白鳥の世界は、奥行きと深まりのある、重層的なあたたかい世界のように思えますが。
>>36 岩波文庫買った。これから読む。あ、もう三時杉か。
>>殺人問題
誰かがある作家について、仮にこの人が殺人犯でも、私は作品だけで彼を尊敬する。
みたいなことを言ったように思います。まあ白鳥が実際どうかは知りませんが。
>>36
巛彡彡ミミミミミ彡彡
巛巛巛巛巛巛巛彡彡
r、r.r 、|::::: |
r |_,|_,|_,||:::::: /' '\ |
|_,|_,|_,|/⌒ (・ ) (・ )| ハァ?
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| ) ヽノ |. ┏━━━┓|
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人 入_ノ´ ┃ヽニニノ┃ノ\
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/ \ ト ───イ/ ヽヽ
/ ` ─┬─ イ i i
/ | Y | |
67 :
吾輩は名無しである:03/12/18 21:16
俺は「塵埃」が好きだな。
68 :
吾輩は名無しである:
墓場までもっていきたい秘密について
「白鳥氏はその秘密を墓場まで持っていく事に成功したとは思えない。」
と書いたのは小林秀雄だったな