Ernest Hemingway/ヘミングウェイを読む

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848ミステリ板住人 ◆qzqKe0UO2g
もう少し、ダ‐ディスの本に書かれている内容を紹介しておこう。
キーウェスト時代(1930年代)のパパは、アルコールを切らすことはなかったが、
読書にも余念が無かったようだ。
同時に八冊から十冊の本を手許に置き、途方もない量の本を読んでいたとか。
蔵書は九千冊以上に及んだという。

チャールズ・トンプスンの妻ローリンによると、当時のヘミングウェイが読んでいた
主たるものは、
・ ヴァージニア・ウルフの全小説とエッセイ
・ 戦史・闘牛に関する研究論文
・ 晩年のドリュ・ラ・ロシェルの小説、セリーヌの小説
・ 探検と狩猟に関する学術的な本
・ 探偵小説 シムノンの小説は五十冊以上所有

ヘミングウェイは、探偵小説の愛読者であったらしい。(フォークナーも同様だったとか)
ジョルジュ・シムノン(ベルギー出身のフランスの作家)について、少し説明しておこう。
日本探偵小説の大立者江戸川乱歩はもちろんのこと、黒澤明監督も愛読していたシムノン。
有名なのは、パリ警視庁のメグレ警部(名探偵コナンに登場する目暮警部の元ネタ)を主人公
にしたシリーズである。
日本でも、ミステリファンの通過儀礼的に愛読されていたのだが、最近はあまり読まれて
おらず、ミステリ板でもスレは存在せず、読んでいる者は、ほとんどいない。
最近のミステリの売れ筋である美少女が登場する萌え狙いの作品とは、
対照的な心理戦を中心にした渋い大人の読物である。
ただし、その作風は、ヘミングウェイが愛読していたとはいえ、
ハードボイルドミステリではなく、ムーディなフランスサスペンスミステリに、
独自のシムノン風の渋味加えたものとでも言うべきものである。
シムノンは、「雪は汚れていた」「港のマリー」等のミステリ以外の小説も書いており、
こちらでも定評がある人なので、ミステリ嫌いの人は、こちらを読んでみると良いであろう。