1 :
吾輩は名無しである:
ツカツカ
2 :
吾輩は名無しである:03/03/07 16:03
最近知ったんだけど語り口が妙に面白いと思った。
(*゚∀゚)アホウ!
吊られてみるかw
5 :
吾輩は名無しである:03/03/07 16:33
6 :
吾輩は名無しである:03/03/07 16:36
かかか
(*゚∀゚)アホウ!
>5
いいってことよ、七郎丸。
あぁ、吉田健一がそれはそれは、したっていたんだよねぇ。
(*゚∀゚)アホウ!
>8
酒飲みに好かれるよね、安吾とか・・・w
去年出た全集買いたかったけどお金が
たった今、坂口安吾の新スレが立ったわけだが…
安吾が世にでたのは牧野信一がベタホメしたのがきっかけだったよな、たしか。
(*゚∀゚)アホウ!
>12
「風博士」なんかは、ちょい牧野とつながるよねー
「天狗堂食客記」なんかは石川淳につながるし。。。
14 :
吾輩は名無しである:03/03/07 17:41
「西部劇通信」の初版もってるよ!ゴラァ!
15 :
吾輩は名無しである:03/03/07 17:44
バババ、バンザーイ!牧野スレ立ってる!
10数冊位しか読んでないんだけど、ゼーロン大ファンの大大大ファンです!
もう、本当にクソみたいにファンなんです(笑)
以前からマニアックに語り合いたいと思っていたので、嬉しすぎる!
これから、思い出したようにぽつりぽつりと書き込みます!
福武文庫と講談社文芸文庫のしか読んでません。
17 :
吾輩は名無しである:03/03/07 20:05
牧野スレって思い出したように立つんだけど、すぐ
沈むんだよね…知名度ないのかな
まぁ、節面白くインディアンダンスを踊るとするか。
18 :
Happy Pendulum ◆yTejge/2ww :03/03/08 10:43
19 :
吾輩は名無しである:03/03/08 13:09
(*゚∀゚)アホウ!
Happy Pendulum とウキウキって同一人物?
っていうか、なんでコテハン変えたの?
>19
同じだよん。
>20
牧野スレだけこれにするのさ、バアバアル!
牧野信一や埴谷雄高が好きで、石川淳を読む。
で、ウキウキをHappy Pendulumって訳すなんて、
英語のセンスが結構なければできない。
2ちゃんの事情にも詳しそうだ。
ウキウキの正体は意外なものかもしれない。
フィツジェラルドより粗チンだったってね、牧野。
えぇ話や〜
槇伸二、牧野信一の弟説。
弟は牧野英二w
叔父は東野英二。
(*゚∀゚)アホウ!
スプリングコートage
29 :
吾輩は名無しである:03/03/31 04:19
修士論文をかいたなあ・・・・
30 :
吾輩は名無しである:03/03/31 05:20
牧野信一とは牧野和子のお父さん?
新聞の漫画をかくひと?
31 :
吾輩は名無しである:03/04/01 10:31
牧野の小説って幻想的と評される時があるけど、そんなに幻想的
かな?作中人物が空想と戯れてるようなところはあるけど、題材と
して超現実的なものを扱ってるような作品ってあるの?
32 :
吾輩は名無しである :03/04/12 19:01
14の人いいな、函付きなのかな?
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
34 :
吾輩は名無しである:03/04/23 22:21
牧野氏ね!!!!
>>32 黄色い箱に入ってて本は銀色。
昭和五年十一月十八日印刷
昭和五年十一月二十二日發行 定價金貳圓 春陽堂
って書いてあるから、たぶん初版だと思う。状態は悪いけど。
「競馬の日」や「サンニー・サイド・ハウス」が収録されてる。
「サンニー・サイド・ハウス」の冒頭。
・・・・・・・・・・・・・・・
火を入れた誘蛾灯が机の上に置いてあります。その光で見ると、
補蟲網もあります。毒壷も、採集箱もそろつてゐます。
どうもこれは見覺えのある道具だと思って、とりあげてみると補蟲網の
柄にも、採集箱の隅にも、ちやんと、S・Mと、僕の名前が記してあります。
何年か前に博物學者にならうといふ理想をもつてゐた頃僕が使ったまヽ、
一切の昆蟲採集用具が部屋中に散亂してゐます。壁には採集物の額が竝べかヽ
げてあり、棚にはアルコールづけの標本が、どれも僕の明瞭な採集記憶を呼び
起こさせて、一杯ならんでゐます。
毒壷の中では一つの玉蟲と甲蟲が苦悶してゐます。
「これは?」
と思ってゐると、隣の部屋からルルが入って來て、
(略)
37 :
吾輩は名無しである:03/04/25 19:58
自殺の原因はインポだと安吾が書いてました
夢野久作なんかもそうだけど、親父が破天荒な人物だとユニークな息子になるなぁ
14さん
すいません、しつこく聞いて。
いくら位で買いました?
40 :
吾輩は名無しである:03/04/26 19:35
自分で買ったのではなく、祖父の蔵書の中にありました。
ちなみに、祖父は僕が生まれる前に亡くなり
ました。
西部劇通信の函は、背の部分だけに題名と著者名が
書かれていて、表と裏にはゼーロンと思しき赤い馬の
シルエットが簡素に描かれています。
マッキー極細。
>41
うらやましいでつ☆
>42
うまいっ♪
ところでみなさんは初期・中期・後期でどれが好きですか?
やっぱ中期「ゼーロン」の頃?
44 :
吾輩は名無しである:03/04/27 17:14
文学=下等学問
知らぬのは日本人だけ
47 :
吾輩は名無しである:03/04/27 17:24
14さん
色々、説明ありがとうございます!
うらやましいです、是非大切にして下さい。
43さんの質問では、まさしく中期が好きです。
西部劇通信は調度その良い頃なんですよね。
14です。
>48
大切にしたいと思います。ありがとうございます。
>43
遅レスですいません。この連休に7,8年ぶりに読み返そうと思って
いたのですが、果せませんでした。ウキウキさんが4に張ってくれた
HPに因ると、牧野信一の小説は、約160篇あるそうですが、
僕が読んだのは30篇ぐらいで、特に文芸文庫で読んだ「爪」など
初期の作品は、殆ど覚えてないので質問にはお応え出来ませんでした。
申しわけありません。
今日、「吊籠と月光」「西部劇通信」を読み返しましたが、ほのぼの
とした自虐的な文体で、少し物足りない気もしますが、やはり、
クスクスと笑わされ、繰り返し楽しめました。
訂正です。
因る→拠る(ですよね?)
51 :
宇野千代アゲ:03/05/14 20:13
牧野さんはその初期の作品では、ある露悪的な態度で
現実の生活を書いていた。
そういう勇気(?)があった。或いはがむしゃらさがあった。
父と母。彼の初期の作品に出てくる彼の家庭のあの現実
感は、あの人のお坊ちゃんらしい、父母への親愛の表現
でもあった。安んじて父母をコキ下ろす。
彼は強かった。そして明るかった。
その強さ明るさには、何か背後に、安んじて強くなって
おられるものが、入り用だったのだ。
安心して綺りかかっておられるものが入り用であるほどに
、やんちゃらしい強さだったのだ。
年がたって、だんだん生活が変って来た。安んじてコキ下ろ
せるものがなくなった。コキ下ろしたものは必ず彼に戻って
来て、彼を罰した。あの人は臆病になった。臆病者の小説。
(だが、どこに勇気のある小説家がいるだろうか。私たちは
いろいろな形でいろいろなものを恐れている。私たちの小説は
その恐怖の表現でしかない場合ばかりである。)
あの人の小説は、だんだん現実回避的な、高踏的なものになった。
彼の苦悩の姿までたくさんの比喩の中に埋もれて見えなくなって
いた。
私には牧野さんのこの姿が実にはっきりと分かるような気がする。
ロマンティスト牧野さんは最も現実的な苦悩の中にいた。
何んにもつっかい棒のない生活。
牧野さんはとうとう死んだ。
宇野千代「女の日記」の中の「牧野さんのこと」から
抜粋してみた。
中、後期の作品を現実回避・高踏的で片付けられると、
確かに、ちょっと待て!と言いたくなるけど、
他人事じゃなく自分の問題としても書かれている良い追悼文
だと僕は思ったけど。よかったら全文読んでみて。講談社文芸文庫
に入ってます。
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
ゼーロンあげ
57 :
吾輩は名無しである:03/06/27 05:10
講談社文芸文庫のやつは品切れでしたっけ?
岩波文庫のゼーロンも品切れだった気がするので、
読もうと思っても入手しづらいですね。
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
(^^)
60 :
吾輩は名無しである:03/08/09 23:16
うぉっと、危ない危ない。
バラルダage
61 :
吾輩は名無しである:03/08/09 23:36
ならば便乗して西瓜保守といこう。
青空文庫関係でほんのちょっとだけ読めるね、牧野信一。
こんだけでもありがたい。
城ヶ島の春 (旧字旧仮名、作品ID:1891)
ゼーロン (新字新仮名、作品ID:947)
痴日 (旧字旧仮名、作品ID:1892)
文学的自叙伝 (旧字旧仮名、作品ID:4650)
緑の軍港 (旧字旧仮名、作品ID:1893)
余話 秘められた箱(新字旧仮名、作品ID:1895)
興味のある方は是非。
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
64 :
吾輩は名無しである:03/09/01 13:16
あげ
保守。
保守。
67 :
吾輩は名無しである:03/10/28 07:04
age
保守
69 :
吾輩は名無しである:04/01/03 22:27
バラルダ物語。
70 :
吾輩は名無しである:04/01/13 19:07
岩波の「ゼーロン・淡雪」重版した模様。
初版91年でこれが第二版だけど。
71 :
吾輩は名無しである:04/01/20 18:40
地球儀age。
72 :
吾輩は名無しである:04/01/23 22:30
寂れてて泣きそうだ、とかほざく香具師がいたので懲罰age。
73 :
吾輩は名無しである:04/02/22 00:21
鬼涙村マンセー!
74 :
吾輩は名無しである:04/02/22 11:35
柳沢孝子の「牧野信一」という本(小沢書店)は読んだか?
75 :
吾輩は名無しである:04/03/13 01:21
age
ゼローン
78 :
吾輩は名無しである:04/04/02 22:58
あっとその時
あっとその時
あっとゼーロン
79 :
吾輩は名無しである:04/06/20 07:10
全集読んだ
80 :
吾輩は名無しである:04/07/28 19:34
家で買ってる犬の名前はゼーロンだよ
講談社文芸文庫の川崎長太郎「鳳仙花」を買ってその中に収められた「冬」を読め。
同郷小田原の牧野信一が浮気し妻子に逃げられ、編出す作品に徐々に翳が差し始め
やがて精神を病み、最後の夕刊小説「桜の花びら」を新聞社から突き返された後
「日が暮れるのが恐ろしい」という科白を繰り返すようになったとある日、納屋の
ハリに息子の兵児帯を吊って首を掛けたいきさつが記されている。
精進落としに親類が一切来ない寂しい葬儀の後だったと川崎はしんみり書き記して
いる。
82 :
吾輩は名無しである:04/07/29 21:53
「蝉」が好き
83 :
吾輩は名無しである:04/07/29 23:26
新しい全集ってどうなんですか?
84 :
吾輩は名無しである:04/07/30 12:52
買ってない
昔のしかもってない
岩波の「ゼーロン・淡雪」
福武の「バラルダ物語」
両方に入ってるのはゼーロンだけですかね?
>>85 「天狗洞食客記」「夜見の巻」「気涙村」が重なってるよ。
やっぱり「西瓜食う人」。
小舟の上で気分が悪くなった主人公がゲロ吐こうとして船内を移動すると
ほかの連中が舟のパランスをとるために各々移動する。
まさしく関係の世界だよな。
91 :
吾輩は名無しである:04/08/11 09:28
鬼涙村が好き。
町田の「くっすん大黒」を読んだとき、
なにかを思い浮かべてたんだけど、
たぶん、「ゼーロン」だったと気づいた今日この頃。
幻想性とそれをパロディ化する日常性(オチ)の次元の振幅があってイイ。
94 :
吾輩は名無しである:04/08/15 10:17
あまりにも激しい振幅だけどなw
96 :
吾輩は名無しである:04/11/24 13:51:50
この作家は私小説家なの幻想小説家なの?
97 :
吾輩は名無しである:04/11/24 16:17:16
そんなレッテル貼りこそナンセンス
「牧野信一氏の死はまさしくわたしの血管の中での事件に相違ない。(「牧野伸一」石川淳)」
有名な一節ですね。ちなみに弟分の安吾は牧野自殺について、こう言っている。
「私は彼の純粋さには徹頭徹尾敗北だ。とても私は死ねないのだ。」と。
99 :
吾輩は名無しである:05/01/19 11:04:41
100 :
吾輩は名無しである:05/01/19 17:40:35
スリップスロップ!ってギリシャ語ですか?
101 :
吾輩は名無しである:05/02/06 17:54:11
『痴日』が好きだ。
102 :
吾輩は名無しである:05/02/10 00:36:24
西瓜食う人、が好きだ
103 :
吾輩は名無しである:05/02/10 13:08:36
牧野信一、が好きだ。
104 :
吾輩は名無しである:05/03/03 01:28:36
全集出たよね
| \
|゚∋゚)
|⊂
|
Å
/ \
ヽ(゚∈゚ )ノ
( へ)
く
Å
/ \
ヽ ( ゚∋゚)ノ
(へ )
>
106 :
吾輩は名無しである:2005/05/30(月) 20:23:38
107 :
吾輩は名無しである:2005/06/01(水) 15:49:02
108 :
吾輩は名無しである:2005/07/22(金) 04:46:48
期待age
109 :
吾輩は名無しである:2005/07/23(土) 01:22:13
110 :
吾輩は名無しである:2005/08/20(土) 23:03:03
全集買う予定にて保守age
111 :
吾輩は名無しである:2005/08/22(月) 22:36:20
青空文庫は
112 :
吾輩は名無しである:2005/09/03(土) 20:31:09
全集買うって人もいるのか。
113 :
%:2005/09/04(日) 23:57:47
牧野信一電子文庫ありがたいなあ。
発表年代順というのもすごくいい。
最近は裏青空文庫の更新に力が入ってるみたいだけど。
全集のテキスト丸写しにして、全集を売れなくする青空文庫はひどいよ。
初出誌にあたって一から翻刻するなら話は別だがね。
115 :
%:2005/10/12(水) 22:55:55
>>114 出版社サイドに立つとそういう意見が多いだろうね。
今後、死後50年を経た作家の本は売れにくくなるのかな。
読者サイドにとってはネットで読めるというのはありがたいにしても。
116 :
吾輩は名無しである:2005/11/07(月) 14:56:22
岩波文庫で「ゼーロン」を読んでなんだか恥ずかしくなっちゃった俺は最後まで
ちゃんと読むべき?
117 :
名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/18(水) 22:29:51
『ゼーロン』超面白いじゃん。滑稽小説。
118 :
名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/01/20(金) 20:20:34
バアバアル!
誰もおらんのか?
119 :
名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/02/08(水) 10:35:11
『天狗堂食客記』すばらしいでござる。
120 :
名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/02/08(水) 10:41:29
「食客」とは・・いかにも旧い言葉でござるな
121 :
名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/02/08(水) 14:04:30
併し内容はいま読んでも全く古くさくない。
いやそれどころか、凡百の現代作家よりもずっと前衛的でござる。
スリップスロップ!
122 :
名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/02/08(水) 16:05:44
筑摩の全集を文庫化して欲しいですね
123 :
名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/02/08(水) 21:50:53
クララ、クララ、クララックス!
それには激しく同意でござる。
このスレもそろそろ3年目に突入か…
125 :
名無しさん@自治スレッドでローカルルール議論中:2006/02/10(金) 00:52:02
あと20年かけて1000まで埋めませう
126 :
吾輩は名無しである:2006/03/05(日) 21:53:21
しかたないからじえんしよう
127 :
吾輩は名無しである:2006/03/05(日) 22:23:41
すまん、このスレッドのこと忘れてた
128 :
l:2006/03/12(日) 17:13:13
牧野さんは天才だなー
ストア派の吟遊詩人って、つまり、どういう意味ですか?
130 :
l:2006/03/12(日) 17:39:40
牧野の愛したストア派の吟遊詩人はたとえば誰なんですか、実在するんですか、っていう意味なのか、
それとも牧野の中期作品に頻出する「ストア派」という修飾に牧野はどういう意味のひろがりを持たせているんですか、っていう意味なのか
あなたの質問は、つまりどっちですか。タバコ買ってくるので答えてね。
たくさんな落葉が浮んでいる泉水のそばで樽野は、籐椅子に凭って日向ぼっこをしていた。
「村のストア派 (一)」 冒頭
131 :
吾輩は名無しである:2006/03/12(日) 17:56:54
とりあえず
>牧野の中期作品に頻出する「ストア派」という修飾に牧野はどういう意味のひろがりを持たせているんですか
の方で宜しくお願いします。
132 :
l:2006/03/12(日) 18:43:40
まあ、どっちにしろ、わたしも知りたいところなんですが。
牧野の場合、影響があったとしても、その影響がはたして長くつづくものであったかどうか、だれが知っています?
テクストが四方八方に逃げるってのはこういうことかと、よく唸らされます。気長に行きましょう。
検索したらja.ウィキペディアに短くてもストア派の項目がありましたから、さしあたり、そちらを参考にしつつ。
(意外と参考になりますよ。)
《生きてはいるが、活きてはいない》ってやつがあります。
よくうつ病のセルフメンテナンスのチェックシートにあるやつです。(ずばりゼーロンはbipolar depressiveですね)
もしそれを心ここにあらず、此処の生ではなく、彼処の生をもとめてしまう状態の謂いだとすれば、
牧野の場合において彼処とはどこであったのかということが問題となるでしょう。
また、そのことは牧野自身もつねに意識していたものと思われます。作品を書こうが書くまいがです。
ストア派という形容が、それとなくそれに触れた痕跡と考えることは、そう無理からぬこととも言えます。
しかし、そういった追究よりも、もっと面白い追究があるんじゃないかなというのが、こちらの考えです。
(続きます)
133 :
l:2006/03/12(日) 18:48:24
牧野作品において、派閥抗争が採りあげられることは珍しくありません。最たるものは家庭内での分裂かもしれません。
(言うもおろかかもしれませんが、大概がやぶれかぶれのペーソスに彩られているせいで、よけい悲しくもなります。)
ある記述に党派性や馴れ合いを揶揄していると読みとることも少なくないのではないでしょうか。
さっき思わず上に抜いてしまいましたが、「村のストア派」という題名からして示唆に富んでいるように思います。
その閉塞感、くるしみの閉鎖・封鎖、たがいがたがいに監視しあい、伝達するものでありながら縛りあっている状態、
恥の蓄積、村。おそらく、村というのは逃げても追いすがってくる記憶のようなもので、過去に属するものであり、
できることなら逃げたいと牧野の願ったものであるのでしょう。
このことは《吟遊詩人》という語句にもかかわってくるかもしれません。どうでしょう、ストア派という死語を
わざわざ採りあげて作品上にぶち上げたことは、滑稽でしょうか。血肉になっていない知識でしょうか。
小説は虚構を描きだすものでもありながら、同時にその虚構をあばくものでもあるということが、
牧野にはつらく思われていたに違いありません。
わたしはそれが「父を売る子」での終いまでの中断の意味するところなのではないかなと、いまのところ思っています。
134 :
l:2006/03/12(日) 18:56:00
日本語おかしいな。雑になったけど、なんとなく汲んでね。
まあ、なにを言いたいかっていうと、簡単なことで、
《ストア派》っていうのは、どう考えても作者とおぼしきお調子者のことなんでしょうけど、
じつはそういう独り者たちに名前を与えてやることで、組織にかかったんじゃないかな、
って思ってるんですね。ほら、時代的背景もあるわけで。
(梶井なんかは「資本論は面白い」だとか友人への手紙で厚顔無恥にも書くわけです)
牧野LOVEですよ。マッタク
135 :
吾輩は名無しである:2006/03/12(日) 19:28:30
牧野信一という人は文学に対して本当に生真面目な人間だと思います。
そういえば、彼にはずばり『文学とは何ぞや』というエッセイがありますね。
わけても、そのエッセイの末尾で牧野が自己のスタイルとして「滑稽小説」への志向を表したことは注目に値すると思います。
ここで私は後藤明生がゴーゴリを評した「悲劇を喜劇に反転せしめる」の言を思い出しました。
自己の不幸な境遇を創作の中で喜劇として昇華させること。マキノ氏は強い人だった。結局は負けてしまうわけですが…
136 :
l:2006/03/12(日) 20:55:51
>135
作品群が「昇華(フロイトですよね?)」だったらいいのですけどね。そう願いたいという気持ちはたしかにあります。
彼の文章にはどこか英文から和訳しているような不器用さがあって、たとえば漢字一文字に過剰な意味を篭めたり、
文章の長さも一段落のなかでさえ、てんでマチマチであったりと、さながら悪文のオンパレードの様相を呈しているのですが、
そこが魅力でもあり、乱れと言って片付けられない切実さがあることはたしかです。
また、丁寧に、寄り添うようにそれらの文章に付き合っていると、どこかで通じるような一瞬もあって、
一度ひとの心をとらえると離さぬものがあります。
後藤ですと、ドストエフスキーの作家の日記を採りあげた文章が印象に残っています。
大部なものから例外的な(『作家の日記』自体、まさに変態なんですが)ものを採りあげて論じるのは彼お得意の作法ですね。
ちょっと長くなりますが、要約すると以下のようになります。くだんのストア派の参考になるかもしれないので。
人間の世界は128年前となんにも変っていないという一種の悲観が彼の読書で抱いた印象だと断った上で、彼は読みときます。
(続きます)
137 :
l:2006/03/12(日) 20:57:22
1877年四月分に割り当てられている短篇小説「おかしな人間の夢」、題名の通り、
人びとからキチガイ呼ばわりされている男の夢物語です。
《知識は感情よりも尊く、生の知識は生よりも尊い。科学はわれわれに叡智を授け、
叡智は法則を啓示する。幸福の法則の知識は幸福以上だ(訳=米川正夫)》と
人びとに信じこませてしまった罪は、すべて自分にあるのだと信じこんでいる狂人の話です。
しかし語り手である《おれ》は、自分をキチガイと呼んで嘲笑する人びとを愛しているんだそうです。
それで、この道化は、伝道に旅立つ、と。知識を物(本質)よりも尊ぶようになった人びとは、
自分たちが失ったものを、きれいさっぱり忘れている、そのために道化を笑う、
彼らなど、ある日突然自分の鼻がなくなっていることに気づいていないコワリョーフ(ゴーゴリ『鼻』の主人公)
みたいなものかもしれない。消え失せた鼻をもとめて新聞社やら警察署長宅を駆けめぐるコワリョーフは滑稽でも、
鼻なしになっているにもかかわらず自分は道化ではないと思いこんでいる彼らは悲惨である。
そこから、喜劇の素材は、つねに悲惨なものだという結論に至るというものでした。
わたしはマキノ氏が結局夢やぶれて敗退したとは思えませんし、そのような強さは拒否いたします。
失って価値あるものが彼にはあった。それがたとえ生命力を奪うことであったとしても、彼には心があります。
それは『文学とは何ぞや』を援用すれば、終りのない《想い》です。
わたしたちの時代がそのような敗れを認めないとすれば、それは夢よりひどいことだと思いませんか?
――ああッ、ああッ!」淡雪での、あんな無様な死に方だって美しいではありませんか。
おそらく、「悲劇を喜劇に反転せしめる」一撃が、たしかに過去において彼にはあったのでしょう。
それが父の死だったかどうかは分かりません。
138 :
l:2006/03/12(日) 21:16:42
お恥ずかしい。ちょっとアツくなりすぎました。ごめんなさい。
しかも128じゃないです。102です。『針の穴から(いじましい総題だ!)』1979。
昭和十年ユリイカ単行本、ほしーなー……
139 :
吾輩は名無しである:2006/04/02(日) 00:12:02
140 :
%:2006/04/30(日) 00:43:49
おや、知らない間に長文書き込みが!(後藤ファンかな?)
牧野の同時代人にはたいした私小説作家はいないけれど
優れた幻想作家は多い気がする。
141 :
1:2006/05/04(木) 17:13:43
スレたてて三年たったのか・・・
あれから俺は
142 :
1:2006/05/29(月) 16:49:46
牧野信一全集を読破したぜ。
褒ム。
144 :
吾輩は名無しである:2006/05/29(月) 16:53:48
145 :
吾輩は名無しである:2006/05/29(月) 16:55:32
146 :
吾輩は名無しである:2006/05/29(月) 17:42:42
一同拍手!
ギリシアマキノは素晴らしいデスね。
148 :
吾輩は名無しである:2006/06/06(火) 12:42:47
全集古本屋にて入手。上げ
149 :
%:2006/06/25(日) 23:49:38
また久々にマキノを読みたくなったのですが、
>>135でゴーゴリの名前が出てたなあとふと思い出し、
なるほど、と遅ればせながら頷いてみたり。
150 :
吾輩は名無しである:2006/07/28(金) 12:24:33
ゼーロン!
柳沢孝子先生
152 :
吾輩は名無しである:2006/09/04(月) 15:02:47
牧野で卒論をやることになりました。
頑張ります
153 :
吾輩は名無しである:2006/09/29(金) 01:20:47
作品は何扱うの?
154 :
吾輩は名無しである:
西瓜食う人