ここで、ディック・フランシスについても少し書いておこう。
アガサ・クリスティと同じ英国人だが、競馬ミステリと通称される
特異な持ち味の作品で人気がある。
本国での人気は勿論のこと、日本でも
クリスティ等と並び長年にわたり早川書房の看板作家でもある。
ジャンル的には本格ミステリと並ぶ英国のお家芸、伝統芸とも言える
冒険小説のジャンルに括った方が作品のテイスト的にも適当な作家であり、
本格ミステリの女王であるクリスティとはダイレクトには比較出来ない
ジャンル違いの作家と言える。
冒険小説は、ハードボイルド小説の伝統を持たない英国において、
この代わりをなすとも言うべきジャンルであり、
古くは古典文学のコンラッドあたりまでその起源を遡ることが出来る。
エンターティメントの作家としては、アリステア・マクリーン、デズモン・バグリイ
ジャック・ヒギンズ、ギャビン・ライアル等の名が挙る。
フランシスもかっては、このメンツに並べて語られたものである。
更には、冒険小説とクロスオーバーする面も多い、同じく英国のお家芸たるスパイ小説
(このジャンルも文学としてはサマセット・モ―ムの「アシエンデン」がある)
代表的なエンタメ作家としては、
イアン・フレミング、エリック・アンブラー、ジョン・ル・カレ、レイ・デントン等
が挙げられる。
更には、冒険小説的な要素を持った作品の書き手としてフレデリック・フォーサイス
の名も挙られよう。
このメンツをご覧になればわかるとおり、フランシス以外は現在では鬼籍に入るか、
メジャーではない作家ばかりである。
競馬界という限定された特殊な世界ばかりを舞台にしているとは言え、
デイック・フランシスは、かなり後輩にあたるアンソニー・クイエルと並ぶ
メジャーな冒険小説家の生き残りなのである。
アガサ・クリスティは、本格ミステリのNO1というイメージが強いが、
ディック・フランシスの場合は、書く世界が特殊なこともあり、冒険小説界のNO1
というイメージは無く、オンリーワンという感が強い。
日本でフランシス級の作家の誕生は、武豊引退まで待つしかないであろう。
ただし、文学板住人も、かっては冒険小説の第一人者であったアリステア・マクリーンの
「女王陛下のユリシーズ号」、フレデリック・フォーサイスのドキュメンタルな筆使いが
冴える「ジャッカルの日」。
この2冊は小説としての完成度が高く、大人の鑑賞に耐えるものとしてお薦めしたい。
なんでこんなにミステリに詳しいのに、
「ミステリは読み捨て」などと言うんでしょう?
193 :
吾輩は名無しである:03/03/05 20:24
ミステリーの魅力の一つがトリックを楽しむことである以上、
一回読んだら読み返すことはなく、読み捨て・・・って人も多いと思うけど、
クリスティーの本はけっこう読み返すんだけどなあ。
人には「読者の身になってもっと簡略に書くことを心がけろ!」
って言っておいて、自分はダラダラ書きこむの、なんでだろう?
>クリスティーの本はけっこう読み返すんだけどなあ。
これだな、クリスティは読み捨てにもされている反面
読み継がれている感じもする。
なぜ再読に耐え、長年にわたり読み継がれるのか、
この点を明らかにして行くことが肝要だろうと思う。
>なんでだろう?
なーんでかな?なーんでかな?なんでかーフラメンコ
196 :
吾輩は名無しである:03/03/05 20:43
作品の魅力の秘密はよく分からんが
クリスティの作品がいまだ読み返されてる理由(私見)
クリスティを手塚治虫に例える。
デビュー〜初期に世間をあっと言わせる傑作を発表し世間をあっといわせる。
初期のインパクトはないものの、継続して長期間に渡り作品を生み出す。
現役のまま生涯を終える。
世間から忘れ去られる事がなかったから今まで読み継がれるてるてのはどう?
映画「オリエント急行殺人事件」は74年。彼女の没年が76年。
彼女の名と作品を世間に再度高め、広めるのに大いに貢献したのではないか?
一方手塚は後期に「ブラックジャック」「三つ目がとおる」、青年誌作品などで
再び第一線に返り咲いたのと呼応するというのはこじつけが過ぎるかな。
英語が易しいから
野球に例えれば全盛期には本塁打記録も作った強打者、年間最多勝投手の常連
中期以降はアベレージヒッターか安定性がある先発投手というイメージ
3割・20本塁打をコンスタンスに打ってくれる打者又は10勝以上は確実に勝ってくれる投手。
カーやクイーンは傑作と駄作の差が大き過ぎる。
特にカーの駄作はひどい。
この点クリスティには安定性がありどの作品でも安心して読める。
ディック・フランシスと比較するのは妥当でないし、
コリン・デクスターはパズラーとしてはクリスティの力量に遠く及ばない。
200 :
吾輩は名無しである:03/03/08 12:20
う〜ん、わたしは何度か『ミステリ版住人』にレスしたことあるんだけど、
この人ルカーチやフッサールも知らなかったんだよね。
『小説の美学的問題』と『小説の美学』の区別もつかなかったし・・・・
つまり少し突っ込んだ議論になると全く相手にならなくなるってこと。
そのことでちょっとからかったら、わたしのコテハン勝手に使って
ヘンな書き込み始めたりして、もう相手になるのはやめたんだけど・・・・・
そんな浅学なひとが、『たかがミステリ』などとエラソーなことを書くのは
煽りのネタとはいえ、ちょっと許せん気がするね。
そういう物言いは自分の底の浅さを露呈するだけです。かっこわるいと言ってもよい。
60年近く前に書かれた Edmund Wilson の探偵小説に対する批判文を読んで、
現在のわたしが感じるいやらしさに近いものがあります。
例えば、アメリカのコラムニストがちょっと切り取って見せた人生のスケッチが
何巻にもわたる小説以上に感銘を与えることがあるように、
優れたミステリの持つ魅力はかけがえのないものがあります。
少なくとも『小粒』になった日本の『純文学』を読むよりも、
『小説』を読む本来的な楽しさを結構現在のミステリが与えてくれることも多いです。
クリスティが現在も広く読まれてる理由としては、
平凡ですが、作品構成がシンプルであるだけにその世界観が古びないから、
ということではいかがでしょうか?
『鏡は横にひび割れて』などの謎構成はシンプルですが、同時に
いつの時代の読者にも共感を抱かせる巧妙な仕掛けが施されていると思います。
200の人もクリスティについては
結局たいした事書いて無い気がする、
間違ってます?
202 :
吾輩は名無しである:03/03/08 17:42
いや、間違ってないです。
わたし、あまりクリスティに関しては詳しくないもので・・・
っていうか、読んだら直ぐに忘れちゃうもので・・・・・
でも、今現在読んでても『古い』という違和感を感じないことは事実です。
長文カキコしてスミマセソ。
クリスティ如きで文学板で熱くなる必要無し。
204 :
吾輩は名無しである:03/03/08 20:14
206 :
吾輩は名無しである:03/03/09 00:21
さがってきてるな。
あげあげ。
ほう。ミステリ作家のスレがたってますね。
208 :
吾輩は名無しである:03/04/18 16:35
あげ?
209 :
吾輩は名無しである :03/04/18 18:34
なんか>200に恫喝されてから急に書き込みが少なくなったな
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
211 :
吾輩は名無しである:03/04/25 21:21
日本にはクリスティに詳しいやついないんだよ
212 :
吾輩は名無しである:03/04/25 21:29
というか、普通なら恥ずかしくて
書けないようなことを
平気で書くような人間の感性など
信じられるわけがない
213 :
吾輩は名無しである:03/04/25 22:10
↑これは誰のことを言っているの?
214 :
吾輩は名無しである:03/04/28 19:32
さあ。
便所の落書きんんだから、好きなこと書けばいいのに
215 :
吾輩は名無しである:03/04/28 20:14
>214
>213みたいな、こーゆーのが多いよ
ノリ悪すぎ
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
217 :
吾輩は名無しである:03/06/25 05:59
質問
1. 世界大戦中、クリスティーは読まれなくなった。現実の殺人が日常化して、絵空事が馬鹿らしくなったからだ。
2. 世界大戦中、クリスティーは以前にまして読まれるようになった。人々が優雅な殺人と失われた風俗を懐かしんだからだ。
この相反する意見を読んだのですが、どっちが正しいのでしょうか。
218 :
平野謙はバカ:03/06/25 06:26
推理小説知らないくせに、したり顔で松本清張の解説書いて笑いものに
なったのは、平野謙。
推理小説は知ってるけど、小説は知らない218がいるスレはここですか?
221 :
吾輩は名無しである:03/06/25 12:51
>>217 クリスティの本は第二次大戦前までは、実はそれほど売れてはいなかった。
貸し本で読まれて非常な人気は博していたが、売り上げという面から言えば
同時代の通俗的なスリラー作家には及ばなかったそうだ。
ところが、大戦が始まって夜間統制などが実施されるにつれ、家ですることが
なくなった人々が盛んにクリスティの本を買って読むようになり、結果的に
売り上げ・人気ともに増加し、戦後は大ベストセラー作家となったのだ。
・・・と、物の本でこんな解説を読んだ気がする。
だから、どちらかといえば2が近いんじゃないだろうか。
222 :
吾輩は名無しである:03/06/25 15:09
>>221 なるほど。斬新なトリックで新作がバカ売れしたっていうのとは違うみたいですね。
やはり失われたよき時代へのノスタルジーとして、安心して読める風俗小説的な側面が再評価されたということでしょうか。
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
(^^)
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
228 :
吾輩は名無しである:03/09/03 20:12
ふつう
229 :
吾輩は名無しである:03/09/03 20:51
エラリー・クイーン、マンセー
230 :
吾輩は名無しである:03/10/12 13:39
未読の人は変な解説書なんか読まずに新作娯楽小説のつもりで
ズバっと読んだほうがいいという結論でよろしいですか?
231 :
吾輩は名無しである:03/10/19 07:09
ポアロは「アクロイド殺し」で、
真犯人を暴けなかった、
腰抜けヘボ野郎。
232 :
吾輩は名無しである:03/10/31 23:13
大規模な改版が始まったのであげておこうか。
233 :
吾輩は名無しである:03/11/04 07:24
再読できるという点で
クリスティーはドストエフスキーより文学的
罪と罰のリピーターは1%
アクロイドは80%
オリエントでも50%はいくだろう
悪霊なんてオリエントの人間模様に比べたら軽薄なもんだ
罪と罰も推理小説だけど馬鹿みたいな話だ
人間の心理を描いてる点では「罪と罰」の方が面白かったけどなぁ...。
絶対量が相当違うのだから、単純に読み返せるかどうかだけを比べても無意味。
>>233は単なるバカ。
236 :
吾輩は名無しである:03/11/06 14:21
ポアロが犯人のクリスティ作品ありますか?
238 :
吾輩は名無しである:03/11/06 17:08
月10冊なんて買えないよ。やっと今日8冊目。後2冊。
買いながらまだ1冊しか読んでないけど。
>>236 ポアロの推理ミス
真犯人は○。○○○○
参考文献:
Who Killed Roger Ackroyd?: The Mystery Behind the Agatha Christie Mystery
by Pierre Bayard,