>>12 売れてます。非常に好調で、日本浪曼派の文学者の作品の文庫化も検討されてい
るらしい。特に「寒色」「天と海」などの詩集を残した浅野晃の詩集の文庫化に
期待したい。ほかには、京都の臨川書店から保田が敗戦後、若い弟子達と出して
いた雑誌「祖國」が復刻されるという。価格は7、8万円になるのだろうか。
特に保田文庫は、「祖國」の同人でもあり、新学社社長として講談社版全集の刊
行に、奥西保会長とともに尽力した高鳥賢司さんの置きみやげとなりました。昨
年8月、高鳥さんは惜しまれつつ世を去りましたが、歌集「相忘」に師を詠んだ
歌をいくつか残しています。
一夏の背の痛みに耐へかねてゐますわが師とわれ知らざりき
肺癌除去手術驗なしと誰言はめやも五味康祐も一年生きぬ
天が下にただ一人の師はいまは癌に病みつつ老いゐますなり
京の街におりゐ沈める雲ひとつあの雲の下に死にたまふ師よ
われの戰後いまは終るか肉群の力くだけてもうら燃ゆるも
先生のデスマスク拜みて云ふを聞けば如是英雄豪傑の相
かの世にてまた先生の弟子となりただ何となく周圍に居りたき
かの世にてまた先生の弟子となりときどき歌を見てもらはなむ
かの世にてまた先生の弟子となり春の淺黄の空を見てゐむ
みづうみのくにのみなみのおくつきにこもりましぬるひとぞこいしき
秋もはや終りの旅ぞ越え來れば遙かなりけるわが師わが山
ちゝはゝもわが師も在さずいまはこの夕ぐもる國に桃の花見つ