901 :
ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE :
「ヘル」を読破。
筒井康隆の新作がベストセラーリスト上位から消えて久しい。
20年前は言うまでもなく、10年前でも筒井康隆の新作といえば
出ればベストセラーの常連という感じだったのだが、まさに隔世の感あり。
「ヘル」の場合も、既にブックオフ等の店頭に出回り始めているし、
首都圏にあるいくつかの図書館の在庫・予約状況を調べてみたが、
在庫有又は少し待てば読める程度の予約状況である。
全体的に筒井人気の衰えといったものを実感する。
りさタン&ひとみタンの芥川賞受賞を見て、「文壇にカントリー娘を作ってどうするねん!」
と批判の声を上げた筒井先生だが、
御自身の本が、最早、若人(わこうど)の支持を受けていないのは否定することが
出来ない事実かと思う。
筒井みたいな文体はもはや十代の子供には読めないよ。いわんや大江や中上をや。
現代語訳で出したら若者にも人気出るかも。
読んでるよ。
高2です。
904 :
吾輩は名無しである:04/02/01 22:02
最近やっと時間的経済的余裕ができたので以前から興味を持っていた筒井康隆を読もうと思うのですが何から入ればよいでしょうか
ちなみにパプリカだけは読みました。家に置いてあったんです。面白かったですよ
パプリカの次は朝ガスで決まり!
906 :
吾輩は名無しである:04/02/02 08:59
「朝ガス」じゃわからんだろう。
新潮文庫の「朝のガスパール」ね。
このスレで好評なのは同じ新潮文庫の「旅のラゴス」「七瀬ふたたび」あたりです。
おれも一昨年まで10代だったけど、そのとき楽しく読んでいた
908 :
無名草子さん:04/02/02 10:30
この人って、多分<左翼>ギライなんだろうけど、
石原とかのそれとは違う感じがする。
そうは思わないか?
>>908 右翼も左翼も創価も部落も天皇もちゃかしてるよ。
しかし、文庫が絶版なのはいたいな。
最近、読み出した人は最新刊はともかく、
それ以外は古いのから読んだほうがいいよ。
>>909 今は絶版のも古本屋で比較的簡単に手に入るからたいていのものは
大丈夫でしょ。
912 :
吾輩は名無しである:04/02/02 19:10
筒井康隆のエッセイについてのレスがあった
177 名前: 169 投稿日: 04/02/01 13:58
噂の真相買ってきたぞ
要約するとだ、読者や評論家は新たな刺激を求めて
新たなる書き手(新人)を求める、ということらしい。
技術的に未熟だとしても。
で、ベテランの書き手は方向性が固まり、
その方向へ深化していくから、いくら技術が素晴らしくても
読者には飽きられてしまう。
評論家もベテランの書き手は方向性が同じだから、今までの批評で
事足りてしまう。だからあまりベテランへの批評をしない。
新たな批評言語を生み出す必要のある新人を多く批評するようになる。
以上のような事が書いてあった。
抜けがあったら誰か適当に補足してくれ。
丸山健二も、技術は進歩しているが読者には飽きられ始めているということなのかもしれない
913 :
吾輩は名無しである:04/02/02 19:11
179 名前: 吾輩は名無しである [sage] 投稿日: 04/02/01 23:07
>で、ベテランの書き手は方向性が固まり、
>その方向へ深化していくから、いくら技術が素晴らしくても
>読者には飽きられてしまう。
それはまさに筒井自身の事だと思うのだが。
183 名前: 吾輩は名無しである 投稿日: 04/02/02 19:09
>>179 筒井は自分では実験的な作風だから一定の方向に
深化することはないと言っていたよ。
最近では「お助け爺さん」としての立場を意識しているらしい。
「お助け爺さん」というのは、何でも屋みたいなものらしい。
なんだか嫌な流れですね。よく分からないけど。
たった今「文学部唯野教授」読了。
面白かった。この手の話には元から興味あったし(昔話の形態学が
棚においてあるくらいだしな。積んでるけど)ダイジェスト式とはいえ
それなりにわかりやすくてよかったよ。
というか、単純に笑えた。下手なギャグ漫画よりずっと笑える。
やたら源ちゃんの名前出してたね。
916 :
吾輩は名無しである:04/02/03 08:17
917 :
ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE :04/02/03 12:51
各時代における多くの若人の支持を常に得ていたのが筒井作品だったのだが…
これも平成初期で終わったように思う。
断筆宣言解除後の「敵」「エンガッツィオ司令塔」「魚藍観音記」「恐怖」等、
自分は、どれも面白く読んだが、同時代に生きる若人の大部分はスルーしている。
SF界におけるりさタン&ひとみタンの登場が望まれるところだ。
マルッチマルッチ
919 :
吾輩は名無しである:04/02/03 21:18
筒井、男の風上にもおけな
いイタチ野郎だ。盗作。
920 :
ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE :04/02/04 21:34
基本的には短篇の名手かと思う。
初心者も多いようだが、最近の筒井作品に馴染めない若人には、
以下の作品を、是非手に取って見て欲しい。
1 時をかける少女(ジュブナイル)
今でもラベンダーの香りを嗅ぐと、美少女のイメージとタイムトラベルの感覚が
蘇って来る。
ラベンダーがあるガーデンを覗き込んで、不審者扱いされてこそ、
真の筒井ヲタといえるであろう。
2 ベトナム観光公社
時代を感じさせる部分はあるが、べッ観光には笑った。
ベトナム戦争を題材にした過激なパロディ。
あの時代だからこそ書けた、書くことが許された作品。
ある意味「無人警察」より問題を孕んでいる作品である。
3 最高級有機質肥料
全盛期の筒井氏の筆力の凄さを感じさせる佳作。
まさに「糞そのもの」である(w 一読すれば、この意味がわかるかと思う。
4 末世法華経
個人的にはとても好きな作品。ポリニチレン(w
創価学会と日蓮の思想性の違いをシニカルに描いている。
5 母子像
なんとも不気味なホラーで、忘れ難い印象を残す。
SF出身の作家の手になる作品(短篇)では、小松左京「隠居所の碁打ち」と
並ぶ傑作。
921 :
ミステリ板住人 ◆hr24ALqEXE :04/02/04 21:35
6 老境のターザン
ターザン映画というか、ヒーローというものの実態をパロディ的に描いて間断する
ところがない。チーター(*水前寺清子ではない)は既に剥製。
7 乗越駅の刑罰
後半、エスカレートするサディスティックな展開がたまらない。
筒井作品では地味な印象があるが、不条理を描いてカミュ作品に劣らない出来栄え。
8 睡魔のいる夏
小品ながら、日本SF史上に残る傑作。テーストはニューウエーブそのもの。
行きずりの少女と共に死を迎える主人公は2ちゃんねらー好みかも(w
9 顔面崩壊
まあ、これは面白くて凄いとしか形容しようがない。
10 12人の浮かれる男(戯曲)
裁判員制度導入にあたり是非読んでおきたい一編。
(描かれているのは、陪審員制度だが、法に関するアマチュアの裁判参加の問題点
を考える場合のテクスト足り得る)
勿論、シドニー・ルメット監督による名作映画のパロディとして秀逸なのは言うまで
もない。