死後、尚、売れ続けている静かなブームの作家です。
文章も素晴らしい。
2 :
吾輩は名無しである:01/11/23 02:38
2ゲットかな? 土門拳が写真撮って、彼女が文章書いた本。えーっと、
タイトル忘れた。あれはよかった。最近読んで、ひっくりかえった。
たしかに文章素晴らしいよね。このスレ長続きしますように。
あれれ? 幸田文を好んで読む人はもう寝てるのかな?
ではまた明日。
4 :
夜明けのダザイスト:01/11/23 03:54
おとうとはいいよ。
俺も一姫二太郎の情けない弟なので
しみじみと読んでしまった。
キムタクが演じた事あり。>碧郎さん
30年以上前に、兄弟木のことに関してふれた随筆が忘れられなくてずっと、
探しているのですが、どなたかご存知ないでしょうか?
一方の木が台風か何かで少し傾いでしまい、隣の兄弟木がまるで日陰で
支えるようにして助け合っている姿を、人の兄弟の関係のように、流れるような
筆致で書いた随筆が秀逸だった。
あれはどこにおさめられているのだろうか?
7 :
吾輩は名無しである:01/11/24 10:30
新潮文庫の「木」という本に収められていた気がします。
確か、題名はひのきだったとおもいます。
今本が手元にないので間違ってたらすいません。
川口浩が演じた事あり。>碧郎さん
>新潮文庫の「木」という本に収められていた気がします。
確か、題名はひのきだったとおもいます。
ありがとうございます。
早速本屋に行って探してみます。
10 :
吾輩は名無しである:01/11/24 15:44
もう、これだけの文章を書ける作家って出てこないだろうな。
11 :
吾輩は名無しである:01/11/24 15:57
幸田文の「この文章はいいぞ!」てのがあったらちびっと
引用してくれキボーヌ!!
12 :
吾輩は名無しである:01/11/25 10:22
幸田文のお薦めは何でしょう。
これから入ればいいというのは?
13 :
吾輩は名無しである:01/11/25 10:27
1、もっと煽れ! これで終わりか? つまらんのう。
ときどきジョーズにネタふれよ。名無しでいいんだからさあ。
好きなんだろ、幸田文のこと。もっと騙ってほしいなあ。
14 :
吾輩は名無しである:01/11/27 01:04
15 :
吾輩は名無しである:01/11/27 01:30
>14
母にぶち切れ萌え
母親の描写は確かに印象的だね(藁
17 :
吾輩は名無しである:01/11/27 02:59
>>11 「下手の天ぷら」
年をとってからの随筆。孫とおばあちゃんの刺激的な関係が、たまらなく、よい。
寒くなるこの季節に、いつも思い出すフレーズが「下手の天ぷら」。
読んでみてね。
いま手元に資料がないので、すまそ。
19 :
吾輩は名無しである:01/11/27 03:50
>>14 あ、俺も生さぬ仲の母にぶちきれるとこには萌えた(w
20 :
吾輩は名無しである:01/12/03 01:08
>「下手の天ぷら」
年をとってからの随筆。孫とおばあちゃんの刺激的な関係が、たまらなく、よい。
なかなか通ですなあ。たまたま期待しないで昔読んだことがある。
素晴らしかった。
21 :
吾輩は名無しである:01/12/13 02:08
こうだあやって人気あるんだねぇ。ぼくの母ちゃんが
弟に送ったという記し書きがある新潮の「おとうと」
読んだの思い出した。あの中で父親に家事一切を教授
される場面大好き
>>21 禿同<大好き
その辺のことは青木玉も書いてて、
こちらも面白いです。ちょっとホロッと来る。
23 :
吾輩は名無しである:01/12/13 11:59
「みそっかす」
24 :
吾輩は名無しである:01/12/13 12:22
「卒啄(字がアヤシイ)」が好き。この世の学問。
25 :
スローボート:01/12/14 03:20
大好きです。おのまとぺの使い方が独特で、テンポもよくていい。
ただ、「きもの」はどうかと思いました。
どなたか読んだ方いらっしゃいますか。
26 :
吾輩は名無しである:01/12/31 22:30
文子さん好き好きage
美術評論家をしていた叔父の書庫を探していたら
若かりしころの幸田文と玉が写ったお見合い写真を発見。
幸田文は娘と叔父を結婚させようと画策していた。
でも叔父を好いていたのは幸田文で玉の方ではなかった。
28 :
吾輩は名無しである:02/01/02 19:09
玉って、三毛だったっけ? それともトラ?
29 :
吾輩は名無しである:02/01/22 18:08
うーん。落ちそうなのでage。
30 :
吾輩は名無しである:02/01/22 18:29
わたしも幸田文さん大好きです、といってもタイトルを殆ど覚えていないのでいい加減なものですが。
幸田さんが書かれた文章を拝読すると、日本に生まれたことの幸福をしみじみ感じます。
もう少し日本語を大切にしていきたいと思わされます。
いつまでも読みつがれていってほしい作家の一人です。
31 :
吾輩は名無しである:02/01/31 21:40
きもの読みました。
ラ、ラストの途切れ方にはやられた…
そこはかとない哀しさと美しさを感じる作品だと思います。
他のも読んでみよう。
32 :
吾輩は名無しである:02/01/31 22:13
『流れる』が好き。この前金井美恵子の『噂の娘』
を読んでいてなんとなく思い出した。
『木』って、高校生の頃についうっかり買ってしまって
ぶっ飛んだ記憶があります。
な、なんて地味なエッセイなんだ―って(笑)
でも今でも読んでます。じわじわと読むものですな。
33 :
吾輩は名無しである:02/01/31 22:16
僕も『流れる』って好きだな。
ちなみにこれって映画は、あの成瀬が撮ったんだよな。
それも傑作だ。観るべしですよ!
34 :
吾輩は名無しである:02/01/31 22:25
映画あるんですか?
知らなかったー。
35 :
吾輩は名無しである:02/01/31 23:26
>>33 もうちょっと情報をキボヌ
レンタルビデオ屋にはなかった
かなし!
36 :
吾輩は名無しである:02/02/02 00:05
私も知りたいな。
レンタルビデオ屋にはなさそうよね。
37 :
スローボート:02/02/03 00:46
うちのちかくのレンタルビデオ屋は偶然ですがありました。
ビデオにはなってるみたいですなあ。
「おとうと」(1960) 市川昆監督、岸恵子、川口浩、森雅之、田中絹代
「流れる」(1956) 成瀬巳喜男監督、田中絹代、
山田五十鈴、岡田菜莉子、杉村春子
ちなみに「流れる」は2/19〜2/23、「おとうと」は2/24〜2/28
渋谷のシブヤ・シネマ・ソサエティ で上演されます。
お近くの方はいってみるのもいいかもです。
38 :
吾輩は名無しである:02/02/03 22:18
情報、ありがとう。
偶然にもタイムリーな話題だったんですね、
「流れる」は。
観にいってみようかしら。
しかしソーソーたる役者陣ですね。
39 :
吾輩は名無しである:02/02/05 04:32
確かに、良くまあ、これだけの女優を一同に集めたもんだな!
40 :
吾輩は名無しである:02/02/05 21:50
もし映画化するなら・・・『きもの』なんか観てみたいな。
大変そうじゃない?下手すると半分くらい、ファッションショー
みたいになっちゃったりして。ストーリーの合間に挿入される
「きもの」の描写描写描写・・・
なんてね、映画とその原作ってのは比べても
不毛なものだけど。
41 :
吾輩は名無しである:02/02/10 23:27
「きもの」いいですよね。
「崩れ」って本、年とってから日本のあっちこっちの崖崩れとかを見て回るエッセイなのですが、秀逸!
作者の視点の繊細さと業のこわさがジワジワきます。
42 :
吾輩は名無しである:02/02/13 16:22
>作者の視点の繊細さと業のこわさがジワジワきます。
納得、この時代にまだ、幸田文が読まれていることに
なんだが安心を見いだす私は、おかしいのでしょうか?
43 :
吾輩は名無しである:02/02/13 21:17
偉大な父を持った才能ある女性の悲劇は幸田文に始まる。
しかし、その悲劇は吉田健一ほどには悲惨ではなかった。
文の文には希望があり、健一の文には絶望があった。
それは、それぞれの父が背負ってきた重荷にもかかわろう。
44 :
吾輩は名無しである:02/02/16 11:59
>偉大な父を持った才能ある女性の悲劇は幸田文に始まる。
しかし、その悲劇は吉田健一ほどには悲惨ではなかった。
もうちょっと、この対立する二つの悲劇の輪郭を書いて!
45 :
吾輩は名無しである:02/02/27 21:16
幸田文の読者層って女性が圧倒的に多いの?
年輩の人が多いの?
46 :
吾輩は名無しである:02/02/27 23:46
「おとうと」好きです。
特に印象的なのは、弟の病室で氷が溶けながら立てる音のくだり。
その音の哀しさに耐え兼ねて静かに病室を出て行く父。その背を見送る姉。
若い病人を抱えた家族のやりきれなさ、切なさが、その音に凝縮されていました。
文章の美しさと、冴え渡る感性。
私が文章を読んでいて、幸せを感じる作家のひとりです。
ちなみに私は28歳女ですが、私の周りでは読者は女性の方が多いです。
47 :
吾輩は名無しである:02/03/04 21:19
age
48 :
吾輩は名無しである:02/03/04 22:24
露伴は江戸と東京の二つの都市で生きた作家であり、岸恵子はパリと東京で暮らした女優である。
おとうとを見守る視点は、姉独特のものであり、文そのものである。
その姉の役に映画監督は、あるいはプロデューサーは岸恵子を選んだ。
露伴は江戸趣味のみの作家ではなく、文は露伴の従属物のままではいなかった。
しかし、露伴は、たとえば漢籍を趣味とする漱石が文明の衝突の痛みに苦しんだことと比べて、明治という時代そのものを楽しむことができた。
同じように、文は、父の重みに押しつぶされることなく、軽やかに自らの文学を紡ぎ出すことができた。
父の重み、あるいは祖父の重みは娘、孫娘にとって息子以上に過酷なものであるかもしれない。
すなわち、真紀子にとっての角栄、貞子にとっての毅は歴史的な家族関係といえよう。
もし、恵まれた家庭環境が幸福というものであるならば吉田健一は幸福であらねばならなかった。
そして、文は不幸でなければならなかった。
しかし、文の人生は幸福であった。
49 :
吾輩は名無しである:02/03/14 08:15
>>一方の木が台風か何かで少し傾いでしまい、隣の兄弟木がまるで日陰で
支えるようにして助け合っている姿を、人の兄弟の関係のように、流れるような
筆致で書いた随筆が秀逸だった。
あれはどこにおさめられているのだろうか?
>新潮文庫の「木」という本に収められていた気がします。
確か、題名はひのきだったとおもいます。
どうも檜ではなくて、兄弟木は松だったような木がしますが・・・
50 :
吾輩は名無しである:02/03/17 21:16
露伴の娘がこうも出来物だったというのは、素晴らしいことだと思う。
父について書いた随想のコワいことといったら。
娘に書き留められたことで実物大の露伴、生活人としての露伴が
残ったとはいえますね。
51 :
吾輩は名無しである:02/03/17 23:06
露伴と電話のことを書いた随筆…あれは、泣けたな…。
なんていうタイトルだったっけ…
幸田文の文章って、さらっとしていながら、しっとり残るものがある。
軽やかでいて、重い…。
52 :
吾輩は名無しである:02/03/17 23:20
嫁にいくときも「いつでも帰ってきていいぞ」とか言われてるんだよね。
そりゃ、出戻ってもくるさ。
53 :
吾輩は名無しである:02/03/22 19:01
age
54 :
吾輩は名無しである:02/03/22 20:53
あやタン
55 :
吾輩は名無しである:02/03/23 23:20
幸田文のことばづかいって、"東京下町弁"みたいなものかもしれないけど、
ほかのどの作家にも見られないような特異な言いまわしがありませんか?
とくにキャリアの初期にそれが顕著なような(後年の随筆のよい読者ではないですけど。)
露伴の影響でもない(というのは、露伴晩年の作はすべて口述らしいのですが、
そんなに特異な言いまわしはないからです。)
56 :
吾輩は名無しである:02/03/23 23:52
東京下町弁って虎さんの浅岡ルリ子みたいな感じ?
57 :
吾輩は名無しである:02/03/24 00:04
西の言葉を引きずった山の手の住人の言葉でもなく東の言葉を色濃く残す下町の住人の言いまわしでもないとすれば江戸の町屋の女言葉であろう。
>>55 それよくわかります。対談で「父が亡くなってから、
自分と娘でフーチャカ、フーチャカしていた」みたいな
発言(うろ覚え)があって、何じゃこりゃと思いました。
露伴も「ヒョコトン駆け」とか「おっぺしょれる」とか、
時々面白い表現がありますね。
59 :
吾輩は名無しである:02/03/24 09:52
>>55 「駟もまた及ばぬ早さで」とか「じぶくった」とか、「すてきにおこった」とか。
これは『みそっかす』から目についたところですけども。漢籍の漢語はそんなに使わないひとですが、
突然、あんまり類例のないことばが出てくる。「すてきに」のこの副詞用法は露伴によくあるけど。
60 :
吾輩は名無しである:02/03/24 21:12
>>59 「すてきにおこる」とかの「すてきに」は歌舞伎なんかでよく聞く気がするけど?
フーチャカとかじぶくるなんてのは、下町口語みたいなのを
文中に巧く取り入れてるんでしょう。
61 :
吾輩は名無しである:02/03/24 22:15
この時代に、幸田文が読み継がれていることに、日本文学の希望を感じる。
文体の素晴らしさを味わえる読者がまだ、日本にいるのだろう。
62 :
吾輩は名無しである:02/03/26 21:54
「ほかのどの作家にも見られないような特異な言いまわし」 ナントナクワカル。
「文体の素晴らしさ」という紋切型の表現で覆い隠してはイケナイ。
このひと、いわば成り行きで職業作家になってしまったけれど、
疲弊した既成の「文士」っぽさとはまったくちがう生活者的なところに根を下ろしていて、
言葉にならないものを愚直に表現するようなところが神々しいのでは。
一種、文学のアマチュアリズムに徹したひとというかんじがするが如何?
63 :
吾輩は名無しである:02/03/26 21:57
>一種、文学のアマチュアリズムに徹したひとというかんじがするが如何
鋭いね
64 :
吾輩は名無しである:02/03/26 22:00
>ほかのどの作家にも見られないような特異な言いまわし もっと例を挙げてくれ
65 :
吾輩は名無しである:02/04/01 22:00
文
玉
孫娘も著作業をしているらしいが、なんていう名前なの?
どういう本を出しているのですか?
66 :
吾輩は名無しである:02/04/01 23:33
67 :
吾輩は名無しである:02/04/04 19:15
青木玉さんが『小石川の家』を書いたのは幸田文全集が完結するまで売れつづけるように
という宣伝目的だったのだそうな。さいきんの「サライ」でのインタヴューにあった。
68 :
吾輩は名無しである:02/04/07 12:34
>64
「心がしがむ」って表現、ありませんでしたっけ?
69 :
吾輩は名無しである:02/04/13 22:59
>ほかのどの作家にも見られないような特異な言いまわし
「別れは愚女ふたりを清くした。」
『流れる』より抜粋。
この一文に辿りつくまでいろいろあって、
それを読まないとピンとこないかもしれませんが。
うちの母はスポーツクラブで自転車こぎながら『流れる』を
読んでいて、上の一文のところで涙が溢れ出して、自転車をこぐことが
できなくなったそうです。
いったい彼女の中で何がおこったのでしょうか
ヒマな方はチェックしてみては。
70 :
吾輩は名無しである:02/04/15 15:37
>この一文に辿りつくまでいろいろあって、
それを読まないとピンとこないかもしれませんが。
どうしてお母様が涙されたのか、「別れは愚女ふたりを清くした。」を
わかりやすく解説していただけないでしょうか?
しかし自転車を漕ぎながら「流れる」を読むとは、ちょっとすごい
お母様ですね。なんかそれだけで感動しました。
71 :
吾輩は名無しである:02/04/29 01:28
age
72 :
吾輩は名無しである:02/05/02 01:30
w age
俺の奥様も『流れる』を読んでさめざめと泣いていた!
74 :
吾輩は名無しである:02/05/05 22:35
>70
なぜ、母は泣いたのか?
それはですね・・・ってちょっと長くなるなあ。
ここんとこちょっと忙しくて(←えらく個人的なこと書いてごめんね)
ヒマになったら、また書きにきますんでアゲとこう。
75 :
吾輩は名無しである:02/05/12 17:41
>>74さん お母さんのエピソード自体が小説みたいですね。続きをお待ちしています。
『きもの』も面白いですよ。主人公の祖母が賢者の風格。
着物をモチーフにした幸田風ビルドゥングス・ロマン。
76 :
吾輩は名無しである:02/05/12 19:51
ちくま文庫ででてるのを電車で読んだのですが、
露伴の飲む酒を季節の事物によせて書いた随筆がよかったです。
(タイトル「蜜柑の頃まで」だっけ?ちょっと曖昧)
77 :
吾輩は名無しである:02/05/12 22:05
学校の問題集に「みそっかす」の
「父はよく酒を飲んだ」っていうくだりがでてました。
78 :
吾輩は名無しである:02/05/13 22:49
すみません。幸田文の孫(青木玉の娘?)で作家の方の名前って
何ておっしゃるんですか?
79 :
吾輩は名無しである:02/05/14 02:26
80 :
吾輩は名無しである:02/05/21 01:22
幸田家は女系一家だね
81 :
吾輩は名無しである:02/05/23 22:50
幸田文の読者って、露伴を読んだりしてんのかな?
露伴、いいですよね。最近、目覚めました。
『五重塔』あたりは明治文学ってかんじの美文調の読みにくさがあるけど、
青木玉さんのエッセイに出てくるむすっとした爺いの年齢に
なってから書いたものは、語りの至芸・達意の文章ってかんじ。自由自在。
でも気難しい爺だった。
82 :
吾輩は名無しである:02/05/24 00:01
露伴は素晴らしいですね。
でも『運命』が難しすぎて私には読めません。
漢和辞典にも出ていない言葉が多すぎて・・・。
『五重塔』や晩年のものはまさに81さんの言うとおりだと思います。
物凄い才能の一家ですよね。
83 :
吾輩は名無しである:02/05/24 23:41
小林勇『蝸牛庵訪問記』(岩波書店、古本屋で買ってください)を読むと、
まだ「露伴の娘」にすぎなかった頃の文さんが出てきます。
ばたばた埃っぽい毎日を送っているかんじだし、看病疲れしてる様子もわかる。
玉ちゃんもちゃんと出てきます。
幸田家の娘たちのエッセイを、幸田家の目線の外から見ることができる。
ただ、小林は、自分は書画の腕前のある文人で、
高名な出版人(小林は岩波茂雄の娘婿というにすぎないが)で、
偏屈な露伴翁に気にいられているばかりか、頼りにされてると自惚れているから、
なんか文さんを見下してるような目線を感じるけど。
文章は、文さんにくらべると、そりゃあ・・・・・・・・・・・ヘタ。
もっとも、小林はたぶん文さんのデビューに一役かったはずです(仔細は知らないが。)
岩波文庫にぽつんと『みそっかす』が入ってるのも、その辺の事情でしょうかね。
84 :
吾輩は名無しである:02/05/27 18:12
女性作家でこれだけの名文家って、いないんじゃないでしょうか?
85 :
84にあらず:02/05/27 18:32
いないと思います。
86 :
吾輩は名無しである:02/05/27 19:53
露伴はちょっと読みづらくて投げちゃいました…。
幸田一族ってのはしかし凄い名家揃いなんですね。
87 :
吾輩は名無しである:02/05/28 00:07
すいません、挑発するわけではないのですが、ほんとに「名文」ですか?
たしかに優れた物書きだと思うのですが、同時代の書きコトバに比べても、
かなり個性的な語用をする人なのではないかと思えるのですが、どうですか?
少なくともわたしにとっては幸田文を読むことは、「名文」に酔わされるような心地よい体験ではなくて、
もっと居心地の悪い、不意打ちに脅えるような読書体験です(もちろんそれは心地よい不意打ちですが。)
「名文家」という床の間に鎮座していただくには、あまりに不穏な文章だと思うのです。
不穏というのを、大江あたりがかつてよく言っていた「異化」された文章といいかえてもいいし、
書くことは一期一会の体験だと喝破した文さんの持続する緊張感の賜物としての不穏さだといってもいいのですが、
それを、「美文」(「文体」の「美しさ」)とか、教科書的な「名文」と名づけて済ますことほど
反幸田文的なふるまいは他にないのではないかと、思ってしまうのです。
それならどのように「文さんについて、まったり語らう」のかというと、
もう、各人が思わず息を呑んでしまったというくだりを各々引用することしかないのかな、と。
そのくだりが発表された婦人雑誌が書店店頭に並んだ時代を羨望しつつ・・・・・
88 :
吾輩は名無しである:02/05/28 00:10
89 :
吾輩は名無しである:02/05/28 01:13
>>87 私もそう思います。
幸田文の文章はスキップしているようで、すっとは読めない
直観的な表現が多く、それを共有していない私はしばしば中断してしまう。
同時代の他の作家を読むのとはまったく異なる態度を要求されます。
90 :
吾輩は名無しである:02/05/28 19:18
>もう、各人が思わず息を呑んでしまったというくだりを各々引用することしかないのかな、と。
>>87 例えばあなた的にはどういう文章?
91 :
吾輩は名無しである:02/05/28 19:19
92 :
吾輩は名無しである:02/06/04 20:17
デモやぱり”名文家”だろう
何度も読んでみたいと思うよ
93 :
吾輩は名無しである:02/06/08 15:00
定期アゲ
94 :
吾輩は名無しである:02/06/16 09:14
う〜ん「木」は良かった。
95 :
吾輩は名無しである:02/06/18 01:59
王道で 「台所の音」 「呼ばれる」(これは泣ける)。
「おとうと」よりも 「闘」 かな。
96 :
吾輩は名無しである:02/06/19 03:17
「きもの」母とるつ子が行った倒産前の呉服屋の一幕。
着物に対するつ子の気持ちが手にとるようにわかる。
名文かどうかはアレだけど、印象に残ってる。
97 :
吾輩は名無しである:02/06/19 05:23
映画の「おとうと」よかったYO!
ちょっち言い回しが「くさい」はがまん。
岸恵子のおねえさんがセンスたっぷり!!!
ちょっと「矢野顕子」風!
98 :
吾輩は名無しである:02/07/06 18:27
その「くささ」がまたたまらなかったりして。
99 :
吾輩は名無しである:02/07/09 17:58
アゲアゲ
岸恵子あんなにいいとはおもわなかたYO!
101 :
吾輩は名無しである:02/07/23 20:25
あげ
102 :
吾輩は名無しである:02/07/29 00:08
age x 2
103 :
吾輩は名無しである:02/07/31 00:24
>69
「別れは愚女ふたりを浄くした。」
新潮文庫版では140ページ(古本屋で買った古い版だけど。)ですね。
『流れる』の主人公「梨花」が大晦日だというのに高熱を出したというので、女中奉公先の芸者の置屋から
従姉夫婦の家に転がりこんで、他に身寄りもなく、七草までそこで臥せっている。
出された白粥の「あたじけなさ」(幸田文的語彙ってやつですね)について
梨花の視点からずいぶん辛辣なことが綴ってあって、さて、快癒して梨花が芸者家に戻るというときに、
荷物は今しばらく預かっていただきたい。お礼も何もできない身の上で、と従姉に挨拶を述べると、
従姉もうってかわって、いかにも血のつながった従姉らしいことばである。
そう云われて梨花も恐縮して応え、「別れは愚女ふたりを浄くした」と。
ここが『流れる』の一番の泣かせどころというわけではありませんよね。
でも身につまされる人は確かにいるでしょうね。
『流れる』の人間観察は随分いじわるで、しかも文さんは登場人物に容赦なく書いている。
自分の力量が十二分に発揮されるのを、みづから楽しみながらねちねち書いてたってかんじ。
文さん流の「特異な言いまわし」については、新潮文庫には高橋義孝の解説がついていて、
擬声語が多いことを指摘し、「女性的な感覚的態度に拠って事物を見ている」と解説している。
なんとまあ単純に図式化した詰まらない解説なんだろう。でも、この退屈な解説でも読まないと、
幸田文の不穏なことばづかいに乱されて、到底眠れなくなってしまう。
「不穏」なのは語彙ではなくことばづかいなのですが、
語彙を挙げても:
たぐまって・つぐなんで・あたじけなさ・とばつく・なんどりと・
こぐらかり・ひぞりあい・ぞわつく
と、耳慣れない。
104 :
吾輩は名無しである:02/07/31 22:44
NHK教育で夜10時から45分まで
「祖母・幸田文への旅」 代々作家が続く幸田家の物語 青木奈緒
というのを誰かカキコしてると思ったけどしてない
俺がしときゃよかったかも、スマソ
それにしても孫娘の青木直子さん・・・なんか、(・∀・)イイ!!
105 :
名無しさん:02/07/31 22:49
106 :
名無しさん:02/07/31 22:50
再放送はないのかな?
>>105 よかったですよ
ほとんど娘さんや孫娘さんの幸田文に対する思いとか
みたいな感じで、現在から顧みるって感じだったけど
でも映像で動き、喋る「幸田文」を始めて見れたのはよかった
でもそれを見た俺はあんま幸田文について知らんのです。本は持ってるのに
明日から読みます
108 :
吾輩は名無しである:02/08/01 01:08
わたしも最後のところしか見られませんでした。
青木奈緒さんの話し方って、天然○○・・・というか、なんというか。
話と身振りも微妙なテンポで噛みあっ(ていなく)て、
こういうのを不穏なお方というの?
109 :
吾輩は名無しである:02/08/01 03:33
文、玉、奈緒とだんだん小粒になっていってる気がする。
文の創作のダイナミズムが失われている。奈緒にいたっては
ドイツで何もすることがなくなって、仕方なく作家にでもさせてもらった
という感じが否めない。あー日本の二世、三世社会にちょっとうんざり。
文は大好きなんだけどね。
つーか、作家と呼べるのは露伴と文だけだろう。
露伴から文への才能の落ち方が30ぐらいだとすると
玉は10000ぐらい。
奈緒にいたっては50000ぐらいかな。(意味不明)
いくらコネエッセイストとはいえ、独自な仕事するならともかく祖母の
仕事現場を改めて巡ってみましたってな仕事引き受けてるようじゃ、
センスなさすぎでしょう。
文はいいと思うけど、それでも父の神格化みたいな部分は時として鼻に
つくぐらいなのに、、、ああ。
「代々作家が続く幸田家の物語」って副題はすげー皮肉だと思いますた。
直子さんじゃなかった!
奈緒さんスマソ
>>111 ホント何でああも才能の違いが歴然としてあるのかな。
森茉莉も父とはものすごく差があるような気がするが。
>>111 酷い番組でしたね。幸田文の業績に焦点を当ててるのかあのお嬢さんの
売り出しに眼目があるのかよくわからないような纏まりのない内容で
閉口しました。母親の玉(この人自体は講演など聴いても大した気取りもなく
ちょっと頭の弱いのほほんおばあさんという憎めない役所をうまくこなせる方です)
も単に親ばか的なノリで中途半端に出て来て絡むという。。もうなにがなにやら。
砂防関係の業界紙にまで祖母のコネで食い込んでるところを見ちゃうと
これも形を変えた旧建設省の砂防利権のひとつなのかなとすら思えました。(w
115 :
吾輩は名無しである:02/08/08 03:28
幸田文の特集、見たかった…。
酷い番組でも、動く幸田文見たかった。
以前、江戸東京博物館でやった玉さんの講演に行ったことがあります。
玉さんが若い頃の写真とか見ると、あまり幸田文に似てないのに、
講演の時の歳とった玉さんは似てるかも…と思った。
あの幸田文の言葉遣いの一端も、玉さんに受け継がれていたような。
でも、やっぱり動く幸田文見たかったな。
奈緒さんの文章は、某着物雑誌で連載しているものしか読んだことないんですが
無理して難しい日本語を使おうとしているっぽくて読みにくい…
117 :
吾輩は名無しである:02/08/10 08:57
最近着物に興味を持ったってテレビで言ってたね。これも
文を模倣して仕事をとるためか。。。とうんざりするぜ。
でも文の「きもの」はとってもいいよ。着物の手触りとか、生活の
実感とかほんと伝わってくる。文庫にもなってたかな。
118 :
吾輩は名無しである:02/08/11 00:35
でも奈緒さんには妙な魅力があって女性としては好きなんだけど・・・
俺があと10歳歳くってたら確実にトライ!
119 :
吾輩は名無しである:02/08/11 22:41
不自然なんだよなあ、奈緒さん。
ブラウスとか、昔の音楽の先生みたいだしなあ。
旅館のおばさんの方がよっぽど素敵だったよ。
>無理して難しい日本語を使おうとしているっぽくて
そうそう。そして、なんかこう、自分の存在自体も無理して
孫っぽく・・・孫っぽいっていったらおかしいけどさ、なんていうの、
あのブラウス(しつこい)とかね、「あたくし・・・」とかね、「きもの」
を着ることとかすべてが、パロディみたいじゃない?パロディ精神なきパロディ。
120 :
吾輩は名無しである:02/08/11 23:18
>俺があと10歳歳くってたら確実にトライ!
・・・・・・。
121 :
吾輩は名無しである:02/08/12 02:15
煽らせていただきます。
翻訳家の女友だちから貸してもらった『闘』という小説を読みました。
結核病棟の話で、いろいろな登場人物が出てきます。最後まで読めましたが
自分にとっては本当の意味で「どうでもいいこと」の羅列にしか思えません
でした。あとがきには「女性ならでは繊細な感性」というようなベタなこと
書いてあり、こんな「女性ならではの感性」など全く必要なし、ゴミだな、
とまで思いました。
このような私に、「じゃあ、いいからこれ読んでみろ!」という一冊をおし
えてください。
幸田文なら、小説よりも随筆。
123 :
吾輩は名無しである:02/08/16 22:40
「闘」は雑誌連載小説のはず。読んだあとそのことを知ると、「羅列」である訳が
なんとなく納得できたよ、自分の場合。
おすすめは新潮文庫にも入っている「父」ではないでしょうか。
父露伴が喀血するくだりは(引用は敢えてしませんけど、)
なまなましく、読み手の胸中を何か穏やかならざるものにする稀有な文章だった
と記憶します。
「女性ならではの繊細な感性」なんてベタさとは異なる「感性」を
感じていただけると思います。これは小説ではないし・・・随筆ともちがうかな。
>123
どうもありがとうございます。探して読んでみたいと思います。
125 :
吾輩は名無しである:02/08/27 22:54
どうでもいいことが心地よかったり、鼻についたり・・・
趣味の問題よね。幸田文モノは「流れる」「きもの」のふたつが
好きだなあ、やっぱり。「おとうと」は、好きなんだけど読んでて
つらくなっちゃう。
「きもの」は、着物の話と人生におけるシリアスなテーマが、同じ
真摯さ、同じユーモアで語られている感じがして良い。
それを「女性ならではの繊細な感性」っていうと、すごくつまんなそうだけど。
まあでも女性ならではって感じはするよね。いい意味で。
126 :
吾輩は名無しである:02/08/28 21:19
「台所のおと」が一番好きです。
装丁もシンプルでいいです。
127 :
吾輩は名無しである:02/09/02 11:41
繊細というより鋭い感性と観察眼だと思います。<文さん
玉子さんのほうが繊細かな。
たぶん読者層としては男性よりも圧倒的に女性が多いと思うけど、
50以上のおばさんが多いのかなあ?
10代20代は少ないよね。
受験勉強中、テキストに出てきた一節が、まるで掃き溜めに鶴みたいに思えて、
大学にいってからも、図書館で古い雑誌の連載を集めたりしてた。(今は苦労し
なくてもいろいろ手に入るようになってるけど)その頃は、作家志望で唯文章論
で、この文体をマスターすれば、この繊細な感覚が手に入るみたいに逆さまな考
え方をしていて、ほとんど明治、大正、昭和初期、という感覚で暮らしてた。今
思うと、あの着物とか小物とかの女性ならではのこまごました話というのはほと
んど覚えてなくて、露伴とかとの会話とか、こういうのが本当の人間関係だよね
という部分の印象だけは残っているので、ああいう、日常生活の1つ1つにいい
意味での緊張感のある世界に憧れていたのかな、という気がする。
130 :
吾輩は名無しである:02/09/05 02:33
幸田文、萌える。
るつ子ちゃん萌え
ここでカキコしている人ってほとんど女性の方なのかな?
幸田文のファンって8;2くらいで女性優位だと思うのですが・・・
132 :
吾輩は名無しである:02/09/22 20:40
age
133 :
吾輩は名無しである:02/10/05 11:56
幸田家の人々って男性で文才のある人って露伴以外にはでなかったの?
134 :
吾輩は名無しである:02/10/05 12:16
この人ってファザコンなの?
135 :
吾輩は名無しである:02/10/05 17:25
他は実業家とか音楽家とか凄いのばかり>幸田一族
露伴さんちが一番というか例外的に貧乏だった、
136 :
飲んでます:02/10/05 21:42
私も彼女のファンですが、決して、彼女が名文家であるとは思いません。
ただ、物語に引きずり込む力が非常に強いと思います。文の力でしょうか。
「流れる」、「おとうと」など私小説であると考えていますが
かなり分かりやすい文体で書かれているので
傍目には淡々と書いているような感じがしますが、実は自身の内部では、
かなり激しい戦いと葛藤がなされていると感じます。
137 :
吾輩は名無しである:02/10/06 20:39
他は実業家とか音楽家とか凄いのばかり>幸田一族
えっ、それ初耳、一体どういう人がいるの?
138 :
吾輩は名無しである:02/10/06 21:07
近くに住んでるもんで、この前、天気のいい日に、
自転車でうろうろしてたら、幸田・青木宅の前に出ました。
もちろん、たまたまです。
なんだか、ぴしーっとしていて、空気が穏やかに張りつめていました。
少々たたずんでしまいました。
その日はとても気分がよく過ごせました。
139 :
我輩は名無しである:02/10/06 21:50
倒木更新をやった
むずがった・・・・・・・
「きもの」は面白い。
ただ幸田文に対して世の中が求めたものが「露伴の娘」としての
スタイルであり、彼女自身も意識的にだか無意識的にだか分からないけど
終生、そこから抜け出ようとはしなかったような印象が個人的には
どの作品、どの文体にもあって、そこが哀しき限界かなあ、とも思う。
「よくしつけられた下町の娘。」のまま、というか。
もしも自分自身の一歩を踏み出すのなら、夫との別れやなんだろ、もっと
生々しいセクシュアリティについて書いても良かったんじゃないかと
思うけど、頑ななまでにそういうのを排除してるよね。
せいぜいが「流れる」に出てくる生理用に使う脱脂綿を買うのを、男が
ニヤつきながら見ている、とかその程度。
青木奈緒は恥を知るなら、とっとと一般人に戻って欲しい。
処女作読んで、そのひどさに呆れて、二作目は読んでません。
141 :
吾輩は名無しである:02/10/06 23:39
うちのおばあちゃんに似てる、顔が。
142 :
吾輩は名無しである:02/10/07 00:28
幸田文が夫と離縁するきっかけになった
酒屋の男だかの乱暴未遂(?)の描写ってのはどうなの?
このあたり読んでないからわかんないけど、それこそセクシャルな面はないのかな?
143 :
吾輩は名無しである:02/10/07 23:48
>生々しいセクシュアリティについて
そういうのが出てこないから好きなんだけどなあ。
幸田文って、本当に自分の書きたいことだけ書いていた
気がするねえ。着物のこと書いたり、木のこと書いたり、
掃除のこと書いたりで、セクシャリティを排除してる
というよりは、書こうと思わなかっただけなんじゃないかなあ
、なんて思ってみたり。
そうするとさ、一見(見たことないけどもね)「よくしつけられた下町の娘。」にしかみえなくても、
実は、おんな幸田文(笑)と、作家幸田文は、また別なんじゃないか、というのは
ほら、今も昔もそうだけど、いわゆる女流なんていわれる作家って、
そういう区別ついてない人たちって多いじゃない、あたしの生き様が文学
みたいな。そういう人たちと比べると、意外とクールっての?うん、クール
だと思う。
>>143 私個人は、一度結婚して「娘」から「妻」になった人が
出戻りになったからといって、また「妻」であった時代がなかったかのように
セクシュアリティをほぼ一切排除した「娘」像を全うすることに対する
不気味さを感じる。
もちろん彼女の文章にそういうものが出てこないから好き、というのも
分かるんだけど、はっきり言って作家としての矜持、というよりも
すごく抑圧的なものを感じるんですね。
時代とか社会とかそういうものもあったんだろうけど。
だから、家事心得を仕込む「あとみよそわか」等に対しても
手放しの賛同はしにくいというか。
むしろ、父露伴の巧妙なる支配とそれを慕う娘が不気味。
もちろん好きなんですけど、あの奇妙な関係を美しき追憶に変えている
エッセイを手放しで賛美する気にはなれない。
145 :
吾輩は名無しである:02/10/08 23:26
>私個人は、一度結婚して「娘」から「妻」になった人が
出戻りになったからといって、また「妻」であった時代がなかったかのように
セクシュアリティをほぼ一切排除した「娘」像を全うすることに対する
不気味さを感じる。
そこがいいのです(笑)。おばさんってのはね、少女に戻るんですよ、、、、
不気味がらないでん。
146 :
吾輩は名無しである:02/10/08 23:53
>>144 そういう人もいるだろうと思う。
でも、三つ子の魂百まで。文はそういう育ちで、そう育ってしまい、
それが自然だったのだろう。そう想像するよ。
本人だってもしかしたら、悲しくもあったかもしれないけど、
そういう人生を結果的に選択して、生き切ったということだよね。
その徹底のさまに触れると、何でも個人の自由という現代にあって、
複雑な思いに駆られるよ。どっちが幸せなのか、と。
果たして幸せって何なのかな、と。
そういう人生を全く評価しない人もいるだろうことは、もちろんよくわかるよ。
147 :
吾輩は名無しである:02/10/08 23:58
>>146 少なくとも、父と夫に関しては幸せではなかっただろうね、彼女は。
父親にも愛されず、夫ともうまくいかなかった、と
いう思いをずっと抱えていたから。
「どっちが幸せだったんだろうね」という座りのいい言葉で
まとめてしまうのは、安易過ぎて違うでしょ。
>>146 ???私は人生の話をしているのではないんですが・・・。
別に彼女がどういう人生を送ろうと勝手ですし、そもそも
それを云々してる訳ではありません。
多分に意識的に創り上げたノスタルジックな過去を作品に
持ち込んで、そこから一歩も踏み出さなかった限界について
述べているだけですので。
149 :
吾輩は名無しである:02/10/09 00:31
文章で表現するってことは、どんなことだって意識的に創り上げてることなのではないか。
何を持ち込むか、それは趣味の問題だね。
一歩も踏み出さなかった限界、というけれど、そもそも踏み出す必要があったのか。
文自身、意識的であったかはともかくとして
あえてノスタルジックな過去くらいにとどめておいたというような気がしなくもない。
>>147 わかりにくくて、すまん。
文のように、有無をいわせず運命づけられて人生を送った人もおれば、
自分で選べることになってて、とりあえず選択肢がたくさんあるように見える
現代の世の中の我々、どっちが幸せなのかな、と。
文と我々との比較ではなく、文のような選択肢のない形と我々のような
(とりあえず一見は)選択肢がある形との比較という意味。
で、場合によっては、比較すらしなくてすんだ文「的」状況(文ではない)
のほうがよかった〜、なんて結果すらありうるよな、という意味。
意味はわかってもらえますか。賛同するかは別として。
で、個人的には、文ってまわりがおもうほどには不幸を感じて
いなかったんじゃないかと想像(←あくまで)します。
本当に不幸だと感じてたら、自分の前半生をもっと否定したりしないかな。
(あくまで印象のレベルにとどめておくけど)
>>148 146は144へのレス。話題は既に移っています。
151 :
吾輩は名無しである:02/10/09 00:51
昔のことは知らないけど、少なくとも
今、幸田文を好きで読んでるって人は、「露伴の娘」という
レッテルには、あまり左右されってないんじゃない?
基礎知識としてはある、深く読むうちに父との関係について
思いをめぐらすこともあるだろうけどさ。なんかうまくいえないけど、
そういうのって2次的なことだよね。良くも悪くも。
経験としては知らないが、知識として刷り込まれているノスタルジー、
例えばカスリ着て番茶飲んで、ああやっぱり日本人っていいわねえ的な
、そういのってありますよね。幸田文もそういうののひとつとして読んでいる。
カジュアルだな。けしからん?
だけど、今でもこんなに幸田文が読まれている(かどうかはしらんが売られている)
っていうのはさ、私みたいな読み方してる人が多いからなんじゃないかと。
違うか・・・。
152 :
吾輩は名無しである :02/10/09 00:58
>>151 人それぞれ全く自由。
時代の変化はそこから生まれる。
あくまで露伴に思いを馳せる読み方も一つの読み方。
ほんとだー(笑)
155 :
吾輩は名無しである:02/10/13 21:33
>>143 >、いわゆる女流なんていわれる作家って、そういう区別ついてない人たちって
多いじゃない、あたしの生き様が文学みたいな。
柳美里
156 :
吾輩は名無しである:02/10/16 22:18
>>144 「あの奇妙な関係を美しき追憶に変えているエッセイ」
幸田文はなぜ作家になったのか? 父露伴の生前に習作を書いていたという証言は
ぼくの知る限りありません。デビューしたのは父親のことを書いた文章ですが、
これは、焼け跡のまだ残る時代に、幸田家(文、玉しかいない家)の生活を助けるために、文さんに
扶助的に与えられた仕事だったのではないかと思います(仕事を手配したのは小林勇あたりかと。)
やがて「露伴全集」の刊行がはじまりますが、全集刊行を頓挫させないようにするには、
売上を落とさないようにすることが必要なので、文さんはPRとして露伴の事を題材にして
文章を書く必要があったと思います(これについては、最近「サライ」に載った玉さんのインタビューに
そういう含意の発言もある。つまり、刊行中の「幸田文全集」のPRとして自分も幸田家のことを
書いてるのだという・・・)幸田文の文章のほとんどは書き下ろしではなく注文生産(雑誌連載)だったと思います。
「美しい追憶」とおっしゃる部分は、ある程度はコマーシャル的な目的を持った
文さんのポーズだと思うのです。どう思われますか?
ただ、ぼく自身は文さんが書く露伴翁は美しい追憶に彩られているとは全然思いません。
口うるさくアクの強い老獪な男との「奇妙な関係」をリアリズムで露骨に書いてあると思います。
(少なくとも、ぼくは露伴の書くものが好きですが、その家に生まれてこようとは思わせません。)
>>「セクシャリティを排除してる」というのについても、「流れる」の中で、芸者屋の主人が熱を出した子供に抱きつかれ、
よろける場面にさえ、主人のよろけ方から主人公が玄人の濃密な性愛の場を連想するといった書き方があり、そこが典型的だと思うのですが、
表現上は極めて抑制的でありながら、喚起するものは濃密であるという、それこそがセクシャルな書きぶりは結構あると思うのですが。
>>「女流」って、文さん存命中の女流って、有吉佐和子とか、河野多恵子とか、倉橋由美子とかだろ(あまり思いつかない)。
柳某とか林某とかとカテゴリからしてちがうと思うんだけど。でも 143さんの文さんクールってのは同意しちゃいますね。
157 :
吾輩は名無しである:02/10/26 16:08
幸田文のスレッドが、こんなに伸びるなんてちょっと感動!
158 :
吾輩は名無しである:02/10/27 17:58
>145
>おばさんってのはね、少女に戻るんですよ、、、、
おばさんが幸田文好きな理由が分かる気がする。その通りだよね。
うちの母、最近狂ったように文の本ばかり読んでる(w
159 :
吾輩は名無しである:02/10/28 02:55
てゆか
2ちゃんのレベルてこんなもんなんだ、、
がっくし
160 :
吾輩は名無しである:02/10/28 19:34
>159
どれほどのレベルを求めてるのか興味あるから何か残してけゴルァw
161 :
吾輩は名無しである:02/10/29 12:38
>>160 相手にするな、こいつは、同じ文章をあちこちに張り付けている
出たがりの中学生だから・・・
162 :
吾輩は名無しである:02/11/06 19:52
こないだ「藤」を読みました。
文さんの文章はこれが初めてだったのですが…
とても歯切れ良く、読みやすかった。
これから他の作品も読んでいこうと思っております
163 :
二十代の女:02/11/07 16:49
こんなスレがあったのね、知らなかった。
『雀の手帖』にはじまり、随筆集や小説など五冊読みました。
今のところ一番好きなのは『流れる』です。
文さんはジワジワと心に染みてくる文の書き手だと、思います。
今度は『季節のかたみ』を読みますわ。
164 :
吾輩は名無しである:02/11/08 12:06
『草の花』私的には好きなんだけど。
165 :
吾輩は名無しである:02/11/08 16:04
文章は単につるつるとしてて美味いな、という感じですが、物を見る目がすごいなと思いました。特に随筆とかは。
やばい あげ
167 :
吾輩は名無しである:02/11/22 19:21
露伴の娘だったのら
168 :
吾輩は名無しである:02/11/26 16:13
気丈な登場人物にひかれます。
「台所のおと」いいですね。あの本に入ってるの、1話完結だったころの
東芝日曜劇場でやってくれたらなぁと思いました。「祝辞」とか。
>>164 『草の花』って幸田文のがあるんですか? 福永のだったら自分も好きです。
169 :
吾輩は名無しである:02/11/26 18:08
旧幸田邸いったっけな〜。
何も無かったけれど。
170 :
吾輩は名無しである:02/11/26 18:25
>旧幸田邸いったっけな〜。
どこにあんの?
離婚して実家にもどって、ここで死ぬまで文は暮らしたの?
171 :
吾輩は名無しである:02/12/04 18:07
>170
日暮里あたりの墓場の近くのトコです。
旧幸田邸っていっても、ずっと住んでたわけじゃなかったはず。
そこから露伴共々引っ越して、
晩年はまた別のとこにすんでいたんだったっけ?
172 :
吾輩は名無しである:02/12/04 21:01
>170.171
おおざっぱに
墨田区向島→千葉→文京区小石川(蝸牛庵)→新川→千葉菅野→文京区小石川(蝸牛庵跡)
>>168 『祝辞』、イイ!
・・・玉さんの本、買ってきた。これから読む。
174 :
吾輩は名無しである:02/12/07 18:19
こんなスレあったんですね。
私にとって幸田文のイメージは「暮らしの手帳」です。(悪い意味じゃないですよ)
age
176 :
吾輩は名無しである:02/12/30 13:10
177 :
吾輩は名無しである:03/01/02 21:37
NHKage
178 :
吾輩は名無しである:03/01/02 21:40
NHKキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
文よりも孫のナオとかが「アタクシ」とか言ってて何かムカつきます。
179 :
吾輩は名無しである:03/01/02 23:19
奈緒さんって・・・変わってる
美人なのにしゃべるときの口の動かし方がお母さんにそっくり。
180 :
吾輩は名無しである:03/01/03 01:03
きっと幸田文もあんな喋り方だったんだろう。
181 :
吾輩は名無しである:03/01/03 01:41
あやや
182 :
吾輩は名無しである:03/01/03 12:46
幸田文がテレビに出たときの映像まえ見たけど
違和感なかったよ。
183 :
吾輩は名無しである:03/01/03 12:47
ナオって、青木玉の娘なの?
露伴の御蔭で薪割りが樂になったよ。
185 :
吾輩は名無しである:03/01/03 19:02
179 >奈緒さんって・・・変わってる
↑ごめん、すっげーワロタ。あんまり単刀直入に言ってるから、ウケタ!
186 :
吾輩は名無しである:03/01/08 19:17
文さん以降、玉さんも奈緒さんもエラがあるなあ。
でも好き。
奈緒さんの「呟き」がなければいい番組だったのに。
と露伴に取り組んでる人が言ってた。
自分も、かなり痛いと思う。
188 :
吾輩は名無しである:03/01/14 23:55
奈緒さんはけっこう背が高い。
以前近所に住んでたことがあるので時々見かけた。
(^^)
娘:文
孫:玉
曾孫:奈緒
まできたから、曾曾孫まであるのかなあ?
(^^)
(εε)
193 :
吾輩は名無しである:03/02/04 18:11
きもの文化人としていまだにおばさん人気の高い著述家。
幸田文
白洲正子
思うんだけど、文さんと正子ね、育ち上がった資質のまま、
互いに環境入れ替えて生まれ変わったらよかった気がする。
正子なら露伴の薫陶を喜んで受け継いだろうし、文さんなら
存分に白洲家の財産を享楽的に食いつぶせたろう。
文さんはたしかにクールだが、ものすごく抑圧されたものを
感じて切なくなるんだよね。
なんといっても露伴の再婚相手が即悪人で自分の結婚はなかった
もので卵で玉子産んだみたいな感じ、ちょっと異様だ。
その筆力には圧倒されるが、露伴と父娘ごっこを永遠にやってて
くれや的ウンザリ感もついてまわるんだな、これが。
194 :
吾輩は名無しである:03/02/22 16:05
だいぶ前のスレだけれど、
露伴から文への才能の落ち方が30ぐらいとか
言っている人がいた。
でもね、それは幸田露伴が教科書的に文豪といわれていることや、
文が露伴について書くことから作家として出発したということに
とらわれすぎているのではない?
歴史とは皮肉なもので、日本の近代文学の中で幸田文が占め始めている位置は
すでに露伴よりも上になっていると思う。
もっとも、これは決して露伴を貶める意味で言っているのではない。
露伴も歴史に残る作家である。
ただ、悲しいのは、文の娘の玉、そして孫の奈緒をちやほやする人たち。
彼らの雑文は、文の文章と質がまったく違う。
文(そして露伴)の名を汚しているだけなのに。
>歴史とは皮肉なもので、日本の近代文学の中で幸田文が占め始めている位置は
すでに露伴よりも上になっていると思う。
漏れも露伴は読んだことないけど文は読んだぞよ
196 :
吾輩は名無しである:03/02/23 22:06
露伴はちょっとカテゴリーが違う気がする
「露伴から文にかけてレベルが落ちたかどうか」っていうのは
たとえていえば
「井原西鶴から二葉亭四迷にかけてレベルが落ちたかどうか」
っていうのと同じくらい意味がないような・・・
文と子孫は同じカテゴリーでよかろう
今の時代に、露伴を読む人は、もうほとんどいないでしょう。
それに対して文を読む人はまだいる。
どんなに露伴が文豪と言われていも、実際に読む人口が少なくなれば
影響力が少なくなるのは仕方ない。
露伴の文への躾って
まるで星一徹……。
15年ぶりに文の『父・こんな事』を読んだ。すげぇよ。これ。
戦中戦後に介護と看取りを女手一つで。
最晩年の露伴の身体描写が凄い。死にゆく肉体って
ほんと、こうなるんだよね。
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
あげ
文ちゃんファンは、もう2ちゃんから
離れたものと思われ。
204 :
吾輩は名無しである:03/05/01 23:30
野暮を承知で質問させて下さい。
昨日「きもの」を読んだのですが、終わり方が気になって・・・。
部屋の錠を確かめ、窓の締まりを確かめた後で
そのさんに渡されたたとう包みを開けようとしますよね。
あれの中身ってなんだったんでしょう?
そのさんとお別れする時の「あとはすべて手配ずみ」っていうそのさんの
言葉となにか関係あるのかななんて思ったり。
るつ子の気持ちが冷えきっているからか、なんとも不吉な終わり方に思えて
仕方ないのです。私の考え過ぎでしょうか。
皆さんはどう解釈されましたか?
205 :
吾輩は名無しである:03/05/20 01:14
幸田文作品を論評した著作(市販の)を、教えてください。
206 :
吾輩は名無しである:03/05/21 12:41
幸田文の『流れる』を最近読み始めました。
私の勝手なイメージでは(というか昔国語の教科書に載ってたので)
女流作家らしい繊細で清らかな小説かと思ったのですが、
読み始めて本当にビックリしました。
まだ最初のほうなので続きがどきどきです
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
208 :
吾輩は名無しである:03/05/30 10:01
こんなところまで山崎渉
寂しい奴なんだな。
ネットを休憩して
まあ、文学でも読めや
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <僕も幸田文、大好きです(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
210 :
吾輩は名無しである:03/07/12 15:33
本当に山崎渉も幸田文のファンなのか。
もう、やめよ、幸田文のファン。
211 :
吾輩は名無しである:03/07/15 02:17
だいぶ前の話を蒸し返すようですが、「草の花」は、文のセクシュアリティじゃない
ですか。文のセクシュアリティって言い方もアレだけど(笑)。
ところで「草の花」を読んだ方に聞きたい。Sってなんですか?文脈からいって、レズビアンの
ことなんだけど。Sって何の略?サドじゃないよね?
「草の花」おもしろいなあ。「流れる」とか、「きもの」とかとはまた違った感じで。
ただ、解説が野暮ったい。
212 :
吾輩は名無しである:03/07/15 23:21
>193
いっている意味がよくわからない。
213 :
吾輩は名無しである:03/07/16 01:58
幸田 文はほぼ同年代だった祖母への思慕から引かれて読むようになった。
わたしは幸田 文の骨格をなしている、日本人の持つ四季折々の暮らしの
中から培われた美意識に、それは日々の掃除とか、季節ごとの衣替えとか、
毎日のお惣菜作りとか、そんなかつてはあたりまえだった日常生活に根ざす
美意識にとてつもなく郷愁を感じてる。
214 :
吾輩は名無しである:03/07/18 00:29
むむむ。
>日本人の持つ四季折々の暮らしの
中から培われた美意識
そんなかつてはあたりまえだった日常生活に根ざす
美意識
そういうのを書いてる昔のひとはいっぱいいると思う。
むしろ、そこからはみ出してしまうような部分が幸田文の魅力なのでは
ないかと思ったりもする。
ま、ひとそれぞれだけどね。
>そういうのを書いてる昔のひとはいっぱいいると思う。
むしろ、そこからはみ出してしまうような部分が幸田文の魅力なのでは
ないかと思ったりもする
ただ書いてる人わね、たしかに一杯いると思う。
でもそういう毎日の生活の隅々まで美意識を自分の労力でもって実践した人と、
自分はなんにもしないで、人のしてくれた成果の上でただ日常の美を語るだけの
人の間には天と地ほどの差があると思う。
家事労働という誰からも評価されない、やって当たり前を日々もくもくと
徹底してこなしていく中で、幸田 文は、強さ、ものを見る厳しさを身につけ
さらには物事の本質というものを見据えていったのでは。
何かを徹底した人だけが達成できた境地を「はみだしてしまうような部分」
となるのでしょうか。
216 :
吾輩は名無しである:03/07/22 00:13
家事に対する美意識(?)みたいなものは、露伴からたたきこまれたものだよね。
露伴もかなり「はみ出して」いるように思えてならないのだけど。
『こんなこと』に出てくる「水の掃除の稽古」のエピソードなんか、コントを見ているようで
おかしいですよ。
「水は恐ろしいものだから、根性のぬるいやつには水は使えない。」
・・・バケツもむずかしくて、しかも不粋だと云う。・・・こういう破壊性をもっているものを御して、
掃除の実を挙げるのは容易でないと聴かされて見ると、なるほどである。・・・雑巾は刺したものより、
ならば手拭のような一枚ぎれがいい。・・・「性の無いようなぼろっきれに丹念な針目を見せて、
糸ばかりが残るなんぞは時間も労力も凡そ無益だから、よせ。そのひまにもっと役に立つことでも、
おもしろいことでもやれ。」・・・「いいか、はじまるぞ、水はきついぞ。」にこにこしているから心配は
いらない、こっちもにこにこしている。稽古に馴れたからもある。雑巾をしぼるのである。
・・・・・とまあ、こういうのを読んでいる限り、「誰からも評価されない」などといういじけた思いは
微塵も感じられない。だから、
>家事労働という誰からも評価されない、やって当たり前を日々もくもくと
徹底してこなしていく中で、幸田 文は、強さ、ものを見る厳しさを身につけ
さらには物事の本質というものを見据えていった
みたいな感想は間違いとまではいわなくても、あまり的を得ているとも思えないな。
確かに、「身を以ってやった厳しさと思いやり」には、感動を覚えもするけどね、雑巾しぼるのに、
「いいか、はじまるぞ、水はきついぞ。」って。なんかはみ出してる気がしませんか?うまく言えないん
だけど、
>家事労働という誰からも評価されない、やって当たり前を日々もくもくと徹底してこなしていく
ことから、なんかはみ出してない?なんかこぼれてない?そこが好き。
露伴は貧乏な大家族で育って、いろいろ手伝いをやらされて、いかにして能率を挙げるかを工夫したそうです。
それによって編み出された家事術を美意識、という言葉で表すのは違和感がある。
そして、それは幸田文の孫に感じる違和感に似ているかもしれない。
217 :
吾輩は名無しである:03/08/10 03:51
あげ
218 :
吾輩は名無しである:03/08/13 12:21
>>211 Sはシスターの略語です。
女性同士の淡い恋愛感情をそのように呼んだ時代があります。
>>213 家事労働を実践し、そこに暮らしの美意識を発見し、それを淡々とこなしたのは、
むしろ沢村貞子さん的人ではないでしょうか?
>>216さんとほぼ同じ感想なんですが、文さんの不思議さは、家事労働を男性的に
徹底的に対象化・合理化・機能化し、哲学と絡めて大上段に叩き込んだ、
父露伴の妙ちくりんさにあったのであって、文さんは露伴の洗脳に、
ある部分心酔しつつ同時に生理的に拒否するという、
ややこしいWスタンダードの狭間で生涯揺れていたような気がします。
青木玉さんになると、時代の違いや女性同士だったせいもあって、母文さんから
かなり距離を置いてますね。でも、人柄は文さん以上にきついというか、すごく怖い
刃物めいた部分は強くなってる。温厚そうにみえて、そうではない。
基本はニヒリストですよ。それもかなり徹底した。
文さんはまだ純真無垢の夢見る乙女めいた側面があり、素直な理想主義があり、
それはおそらく明治というロマンチックな時代精神の中を歩んだ父露伴なる異性ただ一人
によって育ち鍛え上げられた己の処し方来し方を、誠実に反芻する、文さんのお行儀の
よさ・娘らしさによるものだと感じます。
でも、文さんが露伴に叩き込まれた情操教育は、どの時代からもはみ出していて、
結局現実的着地点はありません。そこが、どこか切ないところですが。
219 :
吾輩は名無しである:03/08/14 00:03
>父露伴の妙ちくりんさにあったのであって、文さんは露伴の洗脳に、
ある部分心酔しつつ同時に生理的に拒否するという、
ややこしいWスタンダードの狭間で生涯揺れていた
ああ、そんな感じですよね。
そうか。Sはシスターか。淡い、んですね・・・
今日び、女同士の恋愛感情を描いたものは
あまり淡くなくっていささかうんざりですものね。
220 :
吾輩は名無しである:03/08/14 22:12
幸田文の文体ってどうなの?
高校の教科書で「水は怖い」だったかな〜、しか読んだこと無いけど。
「崩れ」ってこの人のテーマですか、それとも子供かな。
似た文体の小説家がいるとすれば最近の小説家ではだれですか。
箇条書きですまん。
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
age
224 :
吾輩は名無しである:03/08/26 11:38
幸田文、一時期大好きだった。
生きる為の知恵、生活の知恵。
表っかわだけじゃない、深いところまで染み込んで
日々の中にふと現れてくる。その魅力。
頭でっかちじゃない、知識だけじゃないあたりが
机上論をこねくり回している本よりよほど素敵に思えた。
んでもってスレ違いだが梨木香歩の『からくりからくさ』
と『りかさん』。なんか表側だけ取り付くろった感じが嫌だ。
まだ人間に深みがない奴が、幸田文のようなきらりと光る知恵を
作品の中に織り込んでもただ違和感があるだけで
鼻についてたまらない。
あぼーん
あぼーん
保守。
228 :
吾輩は名無しである:03/10/26 22:59
保守
229 :
吾輩は名無しである:03/10/27 03:03
「イトコ」・・・・
幸田露伴の娘ということも知らずw きものに興味があったので
読んでみたんだけど、はまってしまった。
それから、「流れる」「台所のおと」「闘」を文庫で読んだ
一冊一冊、読み始める前に楽しみでわくわくする。
次はちくまの文庫買った。父、おとうと も読まねば。
巛彡彡ミミミミミ彡彡
巛巛巛巛巛巛巛彡彡
r、r.r 、|::::: |
r |_,|_,|_,||:::::: /' '\ |
|_,|_,|_,|/⌒ (・ ) (・ )| ハァ?
|_,|_,|_人そ(^i ⌒ ) ・・)'⌒ヽ
| ) ヽノ |. ┏━━━┓|
| `".`´ ノ ┃ ノ ̄i ┃|
人 入_ノ´ ┃ヽニニノ┃ノ\
/ \_/\\ ┗━━┛/|\\
/ \ ト ───イ/ ヽヽ
/ ` ─┬─ イ i i
/ | Y | |
232 :
吾輩は名無しである:
戦争中に、せめても、という気持ちで縫いとった文さんの刺繍の半襟の話、
かなしくてきれいで、沁みた。
石坂洋次郎にもあるけれど、戦時下、戦後すぐの女の着物についての物語は
直接生死にかかわりがないだけに、哀切さが際立って感じられる。