1 :
吾輩は名無しである :
01/09/20 20:20 前スレが消えたので立てました。 新世紀にカミュの哲学を再考しましょう。
あげ・・・・
あげ・・・・・
カミュなんて結構語りたい人がいる作家だと 思っていたんだけど、案外誰も書き込まないんだね。 あ、漏れはあんまり明るくないんでパス。
5 :
吾輩は名無しである :01/09/24 00:01
age
6 :
(-_-) :01/09/24 00:14
先生!異邦人が死ぬほど退屈なんですが、どこがどう面白いのか 教えてください!
7 :
吾輩は名無しである :01/09/24 01:26
8 :
吾輩は名無しである :01/09/24 01:31
矢井田ひとみの卒論はペストだったそうな。
9 :
( ´_ゝ`) :01/09/25 17:56
何度も読みなさい ムルソーの視点を手に入れられたら面白くなる
10 :
吾輩は名無しである :01/09/25 22:02
文学好きの第二外国語フランス語履修者は、基礎を終了したら 原書で「異邦人」を読む、というのが世の習いであった。 ところが最近この座が「悪童日記」にとって替わられつつある。 Le monde se coule si rapidement!
11 :
吾輩は名無しである :01/09/25 22:06
>>8 新潮文庫の『ペスト』の帯に
矢井田瞳の卒論のテーマはこの本!!
って書いてあったね。
12 :
夜明けのダザイスト :01/09/25 22:11
シシューポスの神話とかよくない? 勇気付けられた感じがしたけどな。 異邦人は確かに、最初あたりは退屈かも。なんか突き放された感じで……。
13 :
吾輩は名無しである :01/09/26 01:23
>>13 優秀な論文かもしれないよ。
それはそれで鬱か。
15 :
吾輩は名無しである :01/09/26 07:13
>>15 なんでそう思うわけ?偏見?ペストの面白さって素人にもわかるしね・・・。
それはそうだけど、どう面白かったかを延々書いてみたところで卒論にはならんでしょ。 まあ、歌詞からの推測だけど、独自の視点がある人物ではないやね。
18 :
吾輩は名無しである :01/09/26 20:54
というよりも、キャッチコピーが歌手が論文書いただなんて。 名作の扱いがなっとならんよ
19 :
吾輩は名無しである :01/09/27 19:50
>>18 まあ、そのキャッチコピーを見て普段ぜんぜん文学読まない奴らが『ペスト』を手にとって、
それがきっかけで文学に興味を持ち出したらよいことじゃないの。
20 :
吾輩は名無しである :01/09/29 09:53
21 :
吾輩は名無しである :01/09/29 18:55
>>20 それもそうですね(w
ごめん逝ってくる。
23 :
マルティン・ハイデガー :01/09/30 05:37
私が今後2、3年の間に第一級のカミュ論を書くので それまでまってなさい。
横レスかも知れないが、文学板のロゴはどしたの? 含羞のカミュおじさんは何処に消えたの? おせーろ。
25 :
吾輩は名無しである :01/09/30 09:44
26 :
吾輩は名無しである :01/09/30 12:01
要するにここには異邦人の面白さを語れない人ばっかりってことでOKなのか? 全然、駄目じゃん。
>>25 カントじゃ台無し。
>>26 やりたきゃあんたがおやり。皆に辟易されないような新しいのを頼むよ。
28 :
吾輩は名無しである :01/09/30 17:06
まず第一にムルソーという名前がいい 思わずムルソー君と君づけで呼びたくなってしまうのだ
29 :
吾輩は名無しである :01/09/30 17:33
ママン
30 :
吾輩は名無しである :01/09/30 19:00
31 :
吾輩は名無しである :01/09/30 20:08
>>26 もう語り尽くされてるんだ
斬新なのを頼む
>>27 ハイデガーってカント論本当に書いてたよね
32 :
吾輩は名無しである :01/09/30 20:33
>>31 ハイデガー全集より
3 『カントと形而上学の問題』(1929)
25『カントの純粋理性批判の現象学的解釈』(1927/28 冬学期)
41『物への問い』(1935/36 冬学期)
この前読んだ心理学系の本に依ると、 異邦人の登場人物は、殆どムルソーの父と母に分類されるらしい。
いや、漏れは最悪に退屈だった。 だからどこがどう面白いか2ちゃん住人の説明をキボンヌしたのさ。 語り尽くされてるんだ、で終わり?
35 :
吾輩は名無しである :01/10/01 01:34
>>34 分からないなら何度も読め。
君の感性が鈍いのか、受け付けないのかは知らないが。
ロゴが戻ってきたねー、うっれしいなー。
>>35 一応言っとくが煽りじゃないぞ。
だから要は語れないってことなんだろう?
それとも批評家先生の言葉でしか語れないのか?
感性、なんて言葉は聞き飽きたよ。
>>37 理解出来そうもなかったムルソーに、徐々に近づいていく体験は面白かったですよ。
一人称で語られている話だし、そう単純に納得出来る小説でもない。
何度も読めば、世界の見方が変わるほどの力を持った作品だと思う。
自分も数回読んで、やっと作品の世界に入っていけた。
それまでに何度人の意見や感想を聞いても、やっぱり面白くないでしょう。
とにかく、徹底的に読めばいい。
それでも駄目なら「ペスト」「転落」あたりから読んでもいいし、
神話を先に読むことで何か変わるものがあるかもしれませんよ。
39 :
吾輩は名無しである :01/10/01 18:27
26は甘ったれ( ゚ω゚)
>>38 「神話」は読んでますよ。
でも作家の言うとおりに読んだって面白くないのでは?
だから読者の意見が聞きたいわけで。
泥仕合やるか? 39よ。
42 :
吾輩は名無しである :01/10/01 18:33
>>40 何でおめえのために感想を書いてやらにゃならんのだ
検索でもしてこい
2ちゃんねらーがこういうこと嫌いってのは分かってるだろ
それでも納得できんのなら本を破れ
甘ったれが( ゚ω゚)
…と思ったが荒れても仕方がないので、去る。アバヨ
44 :
吾輩は名無しである :01/10/02 03:00
仏文ではどちらかというと初心者向けとされているカミュであるが、 深く仔細にながめてゆくと、奥深い部分が見えてくるような気がする。 初期の『結婚』から、 晩年の『転落』『追放と王国』まで・・・ サルトルとの論争あり、 アルジェリア戦争反対もあった・・・ 短い人生を駆け抜けたカミュであったが、彼の人生はフランス、 ひいてはヨーロッパ全体の戦後史そのものだったといってもよい。
45 :
吾輩は名無しである :01/10/02 17:55
>>38 例の三作品を併読せよという意見には禿同。
46 :
吾輩は名無しである :01/10/03 22:18
「幸福な死」という作品が面白い。 主人公の名前はパトリス・メルソーというのだが、 これはムルソーと酷似している。多くの研究者が「異邦人」との 類似性について言及しているが「原型」とまでは言えないものの ようである。しかしそれでもテーマは夏と太陽と死であり、カミュ の初期作品に共通に頻出してくる主題である。そしてメルソーも また殺人を犯す。「幸福な死」を得るためには、「幸福な生」を 得るべきなのか? そして「幸福な生」を得るためには、殺人も許 されるのか? 各エピソードは煩雑だが、「異邦人」とは異なる、 極彩色の陰気な陽気さに到達している。
47 :
アフガニスタン :01/10/04 23:49
ここのスレのカキコって、カミュを評価する人もしない人も 単なる感想書いてるだけみたいに思える。 もう少し、距離を置いて客観視しようよ。 つまんないよ。
48 :
吾輩は名無しである :01/10/05 02:23
↑オマエモナーって言っていいか
49 :
吾輩は名無しである :01/10/07 09:10
単なる感想を書きます(笑)。 >>46 >極彩色の陰気な陽気さ 禿同。 内容はもうほとんど忘れた中で忘れられないセリフが1つ。 「カトリーヌ、決してあきらめてはいけない。 君にはたくさんのものが自分の中にある。 そしてすべてのものの中でもっとも高貴なものは 幸福の感覚なんだ。 男の生活だけに期待してはいけない。 多くの女たちが欺かれるのはそのためなのだ。 そうではなくて君自身に期待するんだ。」 かっこいいセリフだが、でも無責任でもあるよなと思った。
50 :
吾輩は名無しである :01/10/07 10:54
( ゚ω゚)
51 :
吾輩は名無しである :01/10/07 23:45
なんだよ ー
( ゚ω゚)← このキャラクターの名前なんていうの? 可愛い! もにゅもにゅ?
( ゚ω゚)これもしや嘲りの表記? じゃ訂正→ ( ゚-゚) 氏ねと言われそうなので寝る。
( ゚-゚) ニコニコ君?
56 :
吾輩は名無しである :01/10/08 00:58
(=゚ω゚)ノ←カミュ
57 :
吾輩は名無しである :01/10/10 23:02
???
( ゚-゚) ニコニコ君 ( ゚ω゚) もにゅもにゅ
59 :
吾輩は名無しである :01/10/12 02:21
私は「ペスト」の面白さがあまりわからない。 「幸福な死」や「異邦人」はかなり好きなんだけど。 「異邦人」の視点は、かなり今の若者の共感を呼ぶ気がする。
60 :
吾輩は名無しである :01/10/15 01:37
ムルソーは 自分の価値観を、herd moral によって左右される事を始めは無意識に拒否してたけど、殺人を犯したあと 弁護士や、検事、おまけに神父にまで、各自の価値観を押し付けられることによって自分の存在、自分のモラルや価値観に目覚めたわけですよね。 結果的には、それらを貫くために死刑に服するんですよね。 個人が自分らしく生きるには、世捨て人になるか、死なない限り無理と言う、厭世的なストーリーだと思うんですが、私は 自分に嘘が付けなくて死に服した(?)ムルソーに共感を覚えました。 カミュのあとがきの、Meursault doesn’t play the game という言葉は人生観かわりました。 すんません、冗長で。
>60 冗長じゃない。久し振りにマジなカキコ。花まる。
62 :
吾輩は名無しである :01/10/15 02:34
>>60 ムルソーが「自分のモラルや価値観」に目覚めた、という意見には激しく反対。
道徳や価値判断といった社会との関わりにムルソーは背を向けるはず。
死を前にして、新たな生を感じる。
これだけだと思う。
63 :
吾輩は名無しである :01/10/15 02:40
日本でテレビタレントやってる セント・カミュって孫にあたる奴は、 有名人の子孫を崇拝する日本では、大アマでぬくぬく生きていけるからいいね. 本人自体には何の才能もないのに、馬鹿日本のテレビに出てがっぽり儲けている
65 :
吾輩は名無しである :01/10/15 23:15
別にカミュの子孫だからって出てるわけじゃないだろ 大体カミュなんて皆が読んでるのでもねーし
66 :
吾輩は名無しである :01/10/16 02:14
>>59 要するに「不条理に力を合わせて立ち向かう人間たちの姿」を描いたんだろう。
レジスタンス運動とアルジェリア独立戦争、どっちが背景だったんだっけか?
67 :
吾輩は名無しである :01/10/21 07:36
ほうほう
異邦人の、ムルソーが神父をののしる場面が好き。
最近、異邦人とペスト読んだんだけど、異邦人は簡潔でわかりやすくて傑作だと 思ったんだけど、ペストってただの不条理作品じゃなくて、不条理に対して 肯定的な人、否定的な人、悲観的な人、楽観的な人といろんなタイプの人間が 出てきて一読して作品の全体像を掴みにくいし、ストーリの起伏で読ませる作品 でもないから凄いと感じにくかったんだけど、 日本人が一読しておもしろいと感じられる作品なんだろうか? どう思います。 向こうではペストの状況がナチス侵攻とだぶって感じられた為に一般の読者にも 受け入れられ売れまくったみたいだけど。 初めて読んで傑作だーと思った人いる?
70 :
吾輩は名無しである :01/10/29 05:05
サルトルカミュ論争はサルトル側に分があるみたいな形で収束したらしいけど、今考えるとカミュのほうがいいと思えるね。 フランスでも今ではサルトルよりもカミュのほうが読まれてるんじゃないかな。 横レス失礼。スマヌ。
ムルソーは基地害。これ定説。
>>70 あけすけに言えばその当時はサルトルのほうがイデオロギー的に
明快で極端に走っていたからさ。大衆は極端なものにより目を惹か
れやすい。カミュはその点でサルトルより慎重で晦渋だった。
ところで論争の事よりもカミュは第二次大戦中、何をやっていたんだろうか?
アルジェリアにいたようだが、アルジェリアも既にドイツ軍の影響下にあったはず。
そこで本国のレジスタンス運動とは何か連係はあったんだろうか?
73 :
吾輩は名無しである :01/10/29 17:28
カミュは'39年に従軍希望願を出したが、徴兵審査委員会によって拒否される その後パリに行って一時ジャーナリストとして働いていたが、ナチ占領によって パリを脱出。アルジェリアに戻る。 『シーシュポスの神話』はこの戦時中に書かれた
74 :
吾輩は名無しである :01/10/29 17:33
カミュ、ナイーブすぎ 俺って変わり者、でも傷ついたボクの心を癒して欲しい、みたいな イカリシンジ
75 :
吾輩は名無しである :01/10/29 17:37
カミュを文壇に激賞の上引っぱり出したのが、マルロオ?
カミュを引っぱってきたのは、やはりサルトルじゃないかな
77 :
吾輩は名無しである :01/10/29 17:47
そうか。 手元にあるマルロオの年譜に「ガリマール書店出版委員としてアルベール・カミュの文壇登場を協力に支援する」って書いてあるから、てっきりマルロオが引っぱり出したのかと思ったが・・・
78 :
吾輩は名無しである :01/10/29 17:49
協力に>強力に、だった。 スマヌ。
>>77 あ、そうなんすか。失礼。
てっきり「シチュアシオン」の「異邦人」評が最初のカミュ評価かと思った
80 :
吾輩は名無しである :01/10/29 17:59
いや、俺も詳しくは知らない。 手元のマルロオの年譜にもそれ以上のことは書いてないから。 けど、どこかで、ガリマールに送られてきた「異邦人」の原稿に驚嘆したマルロオが、それが入った包みに「重要」の文字を付けてしかるべき部署に回したと読んだ様な気が・・・ うろ覚えでスマヌ。 詳しい研究者の人がいたら教えてちょ。
81 :
吾輩は名無しである :01/11/01 01:12
戦時下のカミュについて一言。 1942年カミュがフランス中部で結核の療養をしていたときに、 連合軍の北アフリカ上陸作戦がはじまり、彼は妻フランシーヌ と離ればなれになります。(再開は終戦後。) 翌43年、彼はパリに転居し、レジスタンスの地下出版の新聞 コンバ(戦闘)の編集に携わるとともに、『ドイツ人の友への 手紙』と題する文章を書き、ナチズムを激しく非難しました。 カミュ自身は自らのレジスタンス体験をあまり語ろうとはしま せんが、サルトルよりもはるかにアクティブにコミットしたと いえるでしょう。
82 :
吾輩は名無しである :01/11/01 01:18
81です。 「再開」は「再会」の間違いでした。 あとマルローについて、カミュの所謂「不条理の3部作」 『異邦人』、『カリギュラ』、『シーシュポスの神話』は パスカル・ピア、アンドレ・マルローを経由して、ガリ マール書店に届き、出版されることになります。 その意味では、マルローはカミュの恩人と言えるでしょうが、 「マルローがカミュを世にだした」というのは言い過ぎかと 思います。(無論、「サルトルがカミュを世にだした」は全 くのナンセンスです。) まあ、カミュはマルローを崇拝しており、『シーシュポスの 神話』の「征服者」の章は、マルローへのオマージュである わけですが...
83 :
吾輩は名無しである :01/11/01 01:35
81です。 あともうひとつだけ。(このスレッドをみつけて嬉しかっ たのでつい連続書き込み。お許しを。) カミュ・サルトル論争はいまだにサルトルの勝ちみたいに 思っている人が日本では多いようですが、当時サルトルの 側についたフランシス・ジャンソン(正確にはサルトルが ジャンソンの肩をもったというべきでしょうが)は、のち に自らの非を認めています。
ああそういやぁ「コンバ」ってあったわ…
調べてもらって、ありがとう。
>>81 、82
俺の持っている資料と、記述の仕方は微妙に違うのだが?...
しかしその程度なら「マルローがカミュを世に出した」
と言って差し支えない程度だと思う。『幸福な死』もマルロー
からの影響が見られる、というのをどこかで読んだ記憶があるし。
また「刊行後、カミュを最大限に評価したのはサルトルだ」という
のも確かだと思う。
85 :
吾輩は名無しである :01/11/01 07:50
いまフランスでは、サルトルは死んだ犬扱いなの? カミュは?マルロオは?
ムルソーは世界文学最強のキャラ。多分・・・。
救いようのない駄目人間の俺としてはカミュの不条理はなんとなく心地よいよ。 スピード狂マンセー。 さてと、岩をころがしにいくとするか・・・。
88 :
弁証法的理性批判放棄 :01/11/01 14:54
サルトルの文学について語ろうヨォ
89 :
吾輩は名無しである :01/11/01 16:04
死んだ犬扱いどころか、いまフランスではちょっとした サルトルブームでしょう。 日本でも、ここ2、3年、サルトル関連の出版物は多い ように思います。 カミュはコンスタントに読まれている感じかな。 マルローは、ちょっと?ですかね。 サルトル、わたし、好きですよ。とくに戯曲ね。 でもスレッド違いでは?
90 :
スメルジャコフ :01/11/01 17:38
>>88 あなた様の名前は、サルトルに関してはおあつらえむき、ですからね・・・
いや、全く賢い人とは何を喋っても面白い。
91 :
吾輩は名無しである :01/11/01 17:59
サルトルブームって・・・ それは構造主義・ポスト構造主義が行き詰まった後の退行現象? それとも何か要因が?
92 :
吾輩は名無しである :01/11/01 18:11
93 :
吾輩は名無しである :01/11/01 18:18
俺が聞いた話では、サルトルはもうあんまり読まれず、カミュはいまだによく読まれている、マルロオの「人間の条件」は「生涯の一冊」みたいな企画によく選ばれるという話だが・・・ 違うの?
出鱈目にあらず。 日本でも大きな本屋へ行ってごらん。 結構、サルトル関連の本が出てるから。 一時期絶版になっていた人文書院のサルトル全集も、 復刻や新訳が予定されているはず。 カミュについては、もう10年位前になるけれど、フ ランスの若者(大学生?)を対象に大規模なアンケー トを行った結果、一番よく読まれている小説の第1位 が『異邦人』、第2位が『ペスト』とボリス・ヴィアン の『うたかたの日々』だったという話がある。 いまも似たようなものじゃないの。 まあ、学校で読まされるからというのが大きな要因な のだろうけど。
95 :
吾輩は名無しである :01/11/01 19:56
人文書院のは訳が滅茶苦茶だから、「復刻」なら買わない方がいいよ。
話かわるが。 カミュの作品特に「異邦人」などは非常に口語的な文 体で書かれている。いま翻訳で読むとその味が消えて しまう(それはそれで面白いが)。最近の訳あるなら そちらで読むことをおすすめします。
97 :
吾輩は名無しである :01/11/02 01:19
最近の訳っつても、『異邦人』は中村光夫訳と 窪田啓作訳くらいしかないんでは? 窪田訳は、たしか、ストーブでソーセージかなん かを焼くとかいうとんでもない誤訳があったよう な。(正しくは、フライパンでソーセージを焼く ね) ま、あらさがしみたいな話だけど。 ムルソーもいいけど、ぼくはクラマンスが好き。
98 :
吾輩は名無しである :01/11/02 07:06
中村光夫訳は今手に入るの? そして、その訳はいいの?
99 :
吾輩は名無しである :01/11/02 12:27
中村訳が特にいいとか、窪田訳が特に悪いとかいうことはない と思うよ。 新潮社のカミュ全集の『異邦人』は、中村光夫訳だったけど、 いまは絶版。 新潮社、新しい全集、出してくれないのかな。 『裏と表』や『結婚』や『反抗的人間』が読めないのは、残念 だものね。 『幸福な死』って、いまでも文庫ででてるの? あれは、習作だし、それほど面白いものでもないと思うのだが。
100 :
弁証法的理性批判放棄 :01/11/02 13:11
101 :
吾輩は名無しである :01/11/02 21:11
ムルソー対スメルジャコフ あなたはどっち?
102 :
吾輩は名無しである :01/11/03 20:42
スメルジャコフ
103 :
名無しマン :01/11/03 20:50
間違いなくムルソー。スメルジャコフ脇役だし。 なんで死んだのかいまいちわからん。
104 :
吾輩は名無しである :01/11/03 22:08
いや、ムルソーみたいな人間よりは、スメルジャコフに共感を覚えるな。 脇役で、「なんで死んだのかいまいちわからん」からかもしれない。 しかし、ムルソーの立場からすれば、「なぜ死んだのか」は愚問じゃないのか。
105 :
吾輩は名無しである :01/11/03 22:10
つーかムルソーは「死んだ」じゃなくて、法律で裁かれたんじゃねーのか
106 :
吾輩は名無しである :01/11/04 00:12
なぜ死ぬ→なぜ生きるってことじゃないの
107 :
and a dog :01/11/04 08:25
死ぬべき人間が生き、 生きるべき人間が死ぬ。 時間の与える恩恵は平等だが、 与えられた時間はいつでも不平等。
108 :
吾輩は名無しである :01/11/05 03:02
『異邦人』は小説の約束事をことごとく破る小説。 そこに魅力があるように思う。 その意味で、小説の約束事に慣れていない人には 面白くないかも。 そういう小説だから、ムルソーがなぜ母親の葬式で 泣かないのかとか、なぜアラブ人を殺したのかとか について、一切説明がないのは、当然というか、作 者はわざとそうしてるんだろうね。 説明がないから、深読みしだすと、ほんとにいろんな 解釈が可能なわけだけど。
109 :
吾輩は名無しである :01/11/07 14:55
あんまり盛り上がってないね。 カミュってみんなあんまり読まないの?
今更って感じじゃないの?
111 :
吾輩は名無しである :01/11/08 00:34
そういやあ今日はカミュの誕生日だな。 ああ、もう昨日か。
112 :
名無しマン :01/11/08 23:35
ムルソーを想像したカミュはマジすごすぎ。
実在のモデルはいたらしいですよ>ムルソー
114 :
吾輩は名無しである :01/11/09 08:30
ムルソーのモデル? モデルはおらんじゃろ。 裁判の場面に出てくる若い新聞記者はカミュだろうし、 サラマノ老人のもとになったのは、カミュの伯父さん だろうけど。
115 :
フェリシテ :01/11/09 16:47
>>114 わたしはモデルというか、カミュ自身がムルソーに自分を投影してどうのこうの
って本で読んだことがある。
「二重の殺人」って説だったかな。
あと、ムルソーって名前にも意味があるんですよね。
ムルソーってMERSAUTって書くんだっけ??
なんか、海と死がどうたらこうたらって誰かから聞いたような気がする。。。
知ってる人いませんか?
すいません薄識で。。。
116 :
フェリシテ :01/11/09 16:48
メルソーだかマルソーだか、似た名前の人がほかの作品に出てきましたよね。 すっかり忘れてしまったけど。
117 :
吾輩は名無しである :01/11/09 19:12
ムルソーは「死」と「太陽」の合成語だっちゅうやつね。 それっぽい話だけど、ちょい無理があるかなあ。 ムルソーはワインの銘柄からとったとカミュが言ってた なんていう説もある。 「二重の殺人」はアラン・コストだね。 邦訳されてないはずだが、なんで知ってるの? あれは精神分析だから、「カミュが自己を投影した」と いう話とは、ちょっと違うと思うよ。 で、ムルソーに似た名前というのは、このスレッドの上 の方にもあるけど、『幸福な死』のパトリス・メルソーだね。 こっちは「海」と「太陽」の合成語ってことになってるけど。
118 :
フェリシテ :01/11/16 02:48
>>117 あ、そうそうアラン・コストね。邦訳はされてないようですね。
授業のプリント資料で大量にアラン・コストの資料が渡されて、
『異邦人』のレポートで引用したことがあったのです。
それと一緒にワインの名前とは無関係だとカミュが言ってる資料も
でてきたのでそれも違うでしょう。
合成語の線は無理があるんですか?私はすごく納得した覚えがあるんだけど
ちょっと失念しました。どういう風に無理があるのかご教示願えればとっても
嬉しいです。
私の友達が『異邦人』卒論にするのでこのスレ紹介しようかと思ったけど
9日の書き込みにレスしてる自分を振り返り、やめときます。
最近ほんと人口減りましたよね、文学板…
>>118 「un coeur simple」か。
>>118 さん
ムルソーはMeursault。
「彼は死ぬ」はIl meurtだから、Meurが「死」を意味する
というのは言えなくもないでしょう。
ただ、saultが太陽(soleil)を意味するというのはどう
ですかね。
saultとsoleilは違い過ぎる気がします。
「ムルソーはワインの名前とは無関係」とカミュが言った
という資料はわたしは初耳です。
出典がわかるようなら、ぜひ教えてください。
ちなみにムルソー=ワインの名というのは、カール・ヴィ
ジアニというひとが言っています。
121 :
フェリシテ :01/11/18 01:58
>>120 ムルソーとワインが無関係というのはカミュが言ってたんではありませんでした。
ごめんなさい。なんと、私のゼミの先生の後輩の人がいってたやつでした。
フランス語の資料で、かつ、プリントの構成がそう勘違いさせられるように
出来ているので、発覚したときは立腹しましたが120さんにもご迷惑を
お掛けしてしまいました。
ちなみに私はワインというのはちょっと…とおもうんですが
合成語に無理があるのもなんとなく分かりました。
どの説もあくまで、一つの説である段階を超えないという
感想です。自分が論文を書こうとするときに、一番都合のいいものを
援用していけばいいかな…
私の研究範囲でないのであんまり深入りしないようにします(w
ぜひ、マダム・ボヴァリースレにも遊びにいらしてください(^o^)
122 :
吾輩は名無しである :01/11/19 15:34
あげ
123 :
名無しマン :01/11/21 22:00
あと20ページでペスト読み終わります。
124 :
吾輩は名無しである :01/11/21 23:32
犯人はリウー医師...とか言ったら怒る? でもあの語り手は誰だと思った? 最初に読んだ時わたしはグランだと思ってた。 わたしの知り合いは新聞記者のランベールが 語り手だと思ったと言っていた。
125 :
吾輩は名無しである :01/12/05 20:55
>99 幸福な死っておもしろくないかな。 私からすると「異邦人」と「幸福な死」って2冊で一冊って観じ。 「異邦人」を完璧な小説にする為に書けなかった事を「幸福な死」で表現しているよ な。「幸福な死」を呼んでから「異邦人」に対する読み方が深まった。
126 :
吾輩は名無しである :01/12/06 12:09
異邦人を読み終えて、シーシュポスの神話を読み始めているんですが、 予備知識が無いと深く理解できないですかね? ドストエフスキー、ニーチェ、キルケゴール、シェークスピア等の引用が出てきますが、 やはりそれらを読んでいるのが前提になるんでしょうか?
127 :
吾輩は名無しである :01/12/06 13:08
>>125 私は『幸福な死』と『最初の人間』は「作品」ではなく
「資料」だと思ってます(そう思って読むと面白い)。
「作品」として読むと、『幸福な死』は第1部と第2部が
ばらばら、登場人物からして全然違うので、統一性に欠け
るし、メルソーの行動原理がよくわからない(たとえば、
なぜプラハなんぞに行ったのか)ように思います。
ただ、たしかに『異邦人』と比較する価値はありますね。
「異邦人」は夏にしか読めない私。
130 :
吾輩は名無しである :01/12/11 17:29
それは太陽がさせたことだよ。 夏の太陽が。
131 :
吾輩は名無しである :01/12/11 20:34
宿題を忘れた高校生が、「なぜやってこなかったんだ」と先生に 言われて、思わず「太陽のせいです」と答えたら、「おっ、君は 『異邦人』を読んでいるのか。感心感心」とほめられ、それに味 をしめて「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも、みーんな 太陽のせいだ」と言い出すマンガが昔あった。 で、最後にそのマンガの編集者があらわれ、「どうしてこんなつ まらないマンガ書いたんですか」と言う。 すると作者が「えーと、太陽のせい...かな」というのがオチ。 いや別にだからどうという話ではないんだが...
出たのは幸福な死→異邦人の順番だよ
133 :
吾輩は名無しである :01/12/12 12:01
132>> 書かれたのは、『幸福な死』が先だけど、出たのは異邦人が先。 『幸福な死』はカミュの死後出版だから。
134 :
吾輩は名無しである :01/12/12 14:51
子供たちが空に向い 両手をひろげ 鳥や雲や夢までも つかもうとしている その姿は きのうまでの何も知らない私 あなたに この指が届くと信じていた 空と大地が ふれあう彼方 過去からの旅人を 呼んでる道 あなたにとって私 ただの通りすがり ちょっとふり向いてみただけの 異邦人 市場へ行く人の波に 身体を預け 石だたみの街角を ゆらゆらとさまよう 祈りの声 ひずめの音 歌うようなざわめき 私を置きざりに 過ぎてゆく白い朝 時間旅行が 心の傷を なぜかしら埋めてゆく 不思議な道 サヨナラだけの手紙 迷い続けて書き あとは哀しみをもて余す 異邦人 あとは哀しみをもて余す 異邦人
135 :
吾輩は名無しである :01/12/18 16:53
小説として「異邦人」って素晴らしいけど、カミユが書きたかった事がはいってるのが 「幸福な死」だと思います。だから私にとってはこの2冊はペアです。
136 :
吾輩は名無しである :01/12/18 16:57
徒労だよ。 「糞転がし」の神話にでも勝手に感動してろ。
137 :
吾輩は名無しである :01/12/18 16:58
せめて 徒労→不条理 とぐらい言ってやれよ。
138 :
吾輩は名無しである :01/12/18 22:03
いや、その「糞ころがし」の「徒労」こそが素晴らしいのだという 逆説を可能たらしめたところにカミュの凄さがあるのじゃない? 「糞ころがしは幸福だと想像すべきである」(『糞ころがしの神話』)。
139 :
吾輩は名無しである :01/12/18 23:07
>131 kekkouomoroiyo!
140 :
吾輩は名無しである :01/12/20 17:05
異邦人は中学生の時に読んだが、別にブンガク少年でも なんでもなかったし、たぶんその頃って五木ひろしの 青春の門とか読んでたりしてたと思うけど 正直凄いショックだった。痺れた。 不条理もクソもなく小説として震えるほどの感動をおぼえた。 哲学に興味が湧いて、系統立てて読んでみようと思って どういうわけか方法序説から読み始めたが、すぐやめた(笑 何が言いたいかっていうと、むずい事は知らない普通の人間が読んでも 異邦人は優れた小説であるということ。 これを読まなかった自分の人生って凄く違っていたと思う。 マイベストワンです
141 :
吾輩は名無しである :01/12/20 22:17
>>140 そうですよね。
カミュって「不条理の哲学」とか「実存主義」とか抜きにして
面白い...というか、そういうものを考えずに読むほうが小説と
しての面白さが伝わってくるような気がします。
カミュ自身「わたしは実存主義者ではない」「わたしは哲学者で
はなく芸術家だ」と言っていますし。
142 :
吾輩は名無しである :01/12/21 09:28
そう、単純に(というのは語弊があるかもですが)面白い。 同じ不条理でもベケットになると理解できません。 ゴドーって面白いですか?
143 :
吾輩は名無しである :01/12/21 10:52
>>142 昔、大学の授業で、ある先生が「カミュやサルトルは不条理を
ことばで説明しようとするが、ベケットは体感させようとして
いる」というようなことを言っていました。
たしかにそんな気がします。
ゴドーは正直言ってそれほど面白いとは思いませんねえ。
でもべケットの小説『モロイ』はそれなりに面白かったと思い
ます(『モロイ』はオモロイ?!)。
「不条理演劇」なら、私はイオネスコが好き。
144 :
吾輩は名無しである :01/12/21 12:42
なるほど 舞台で観るのがそういう意味では良いのかも知れませんね。 本しか読んでいないから、私。 昔の話しに戻りますが、異邦人以降、不条理というコトバが 頭に住み着いちゃって、スコセッシのタクシードライバーなんかも 不条理映画として観てました。 単純な私のオツムの思考形態に影響を与えたという点では やっぱ哲学的なのかも知れませんね、異邦人(w ル・クレジオなんかはどうなんですか?
145 :
吾輩は名無しである :01/12/21 19:31
セイン・カミュって血縁ですか?
146 :
吾輩は名無しである :01/12/21 20:09
>>144 ベケットは『ゴドー』と『賭の終わり』と、あとなんか短かめ
のを舞台でみましたが、面白いかと言われると...
カミュの『カリギュラ』も舞台でみましたが、あれは最高でし
た。私がいままでにみた舞台のペスト5に入ると思います。
でも、『誤解』『正義の人々』はいまいち。本で読む方がいい
ように思いました。
ル・クレジオは...
大昔『調書』を読んだきりですねえ。
改めていろいろ読んでみようかなあ。
>>145 セイン・カミュはアルベールの兄さんの孫だと思います。
いつのまにかアメリカ人になってますねえ。
前にテレビでタモリがセインについて「この人は名門の出なん
だ」というようなことを言ってましたが、カミュの家って赤貧
洗うがごとしってやつですから、「どこが名門?」って思いま
した。
>>146 レスどうも。
タモリの教養の程度が知れました。w
しかし、ひょっとしてTVだから、そう喋ったのかもですね。
>>145 まあふつうはノーベル賞受賞者が親戚にいたら「名門」ということに
なるのかもしれません。
ただ、カミュは貧困が売り(?)というと語弊がありますが、自分が
生まれ育った「光と貧困の世界」に忠誠を誓っている部分があります
からちょっと違和感がありました。
そういえばカミュ=サルトル論争のとき、サルトルが「あなたは以前
貧乏だったかもしれないが、いまは違う」とかなんとか書いてました
ね。ひどい言い方だと思います。
149 :
吾輩は名無しである :01/12/22 00:15
>>144 >>146 クレジオは「調書」と「大洪水」がいいね。
あと、「ル・クレジオは語る」っていうインタビュー集も面白いよ。
ぜええんぶ絶版だけど。残念。最近のはペケ。
150 :
吾輩は名無しである :01/12/22 00:25
20世紀フランス小説ってすぐに絶版になっちゃいますね。 それだけ売れないということなんでしょうが。 ジッドなんてほとんど絶版だし、マルローもあぶない。 ル・クレジオやフィリップ・ソレルス、ロブ=グリエあた りも同じ運命。 ジュネだってあやしいもの。 カミュだって安穏とはしていられない...かな(と、一応 本来の話題に戻しておこう)。
151 :
吾輩は名無しである :01/12/22 18:56
>>126 >>140 漏れは最初異邦人から読んだがゼンゼン分からず
シーシュポスの神話から不条理の概念をなんとなく掴んで、
やっと異邦人の言わんとするところをちょっと了解した。
ダメダメなんだけど、そういう奴もいるんすよ。
152 :
吾輩は名無しである :01/12/22 20:04
『シーシュポスの神話』を『異邦人』の「解説書」として読むという
のは、サルトルの「『異邦人』解釈」以来の伝統ですから、それもア
リかとは思いますが、もうそろそろ『異邦人』を「哲学」のくびきか
ら解き放ってもいいような気もします。
>>151 『異邦人』がゼンゼン分からないとのことですが、ある意味で分から
なくて当然では?
分からないけど面白い、分からないから面白い、それが『異邦人』の
魅力ではないかと思う今日この頃です。
>>152 なるほど・・・
そりゃそうですよね。異邦人てそもそも小説なんですもんね。
でも自分的にカミュって、小説家というより哲学者というイメージが強いです。
ていうのも、異邦人よりシーシュポスの神話のほうに感銘を受けてしまったからで。
不条理の概念は凄く面白いもんだと思ったんですが、
彼の小説にはそれほど萌えないというか、根になる哲学の部分から派生した
ヴァリエーションのひとつというふうにに感じてしまうんですよねー・・・
>>151 合う合わないってあるんじゃないでしょうか?
私はペストは合いません。
サルトルの嘔吐も合いません。
20年も前に読んだので、今はどうか分かりませんが。
でも異邦人はするする体内に入ってきました。
思うに、うどん好きと蕎麦好き程度の違いなんですよ、きっと(笑
155 :
吾輩は名無しである :01/12/22 23:48
>>153 私も『シーシュポスの神話』は好きですよ。
今を去ることン年前、卒論のテーマにもしましたし。
ただ、カミュは哲学者としては一流とは言いがたい
気がします。
『神話』も私はひとつの「文学作品」として読みまし
た。
>>154 ありますねえ、たしかに。
私は『異邦人』『ペスト』『転落』は大好き。
『嘔吐』も好きだけど、『自由への道』は全くだめ。
あとなぜだかわからないんですが、カフカを読んで
いるといらいらします。
私は遂に今、異邦人を読み解くキーワードを発見しました。 異邦人がうまく伝わってこないと云う貴男にこっそりお教えします。 簡単なことでした。 あの有名な冒頭 きのうママンが死んだ。 この後にたった1行を付け加えるだけでムルソーの心理状態を 簡単に理解できるのです。 では書きます。 きのうママンが死んだ。 鬱だ氏のう。
157 :
吾輩は名無しである :01/12/23 13:39
>>156 「きのうママンが」ではなく、「今日ママンが」ではない?
「鬱だ氏のう」というレス、お待ちしてます。
158 :
吾輩は名無しである :01/12/23 21:41
え! 昨日じゃなかった? 20年も勘違いしてました。 マジで鬱です。 ホントに今日でしたっけ?? 赤面をとおりこして青くなってます。 嘘でも良いから昨日と言って 一応リクエストにはお応えします。 氏ぬほど鬱で氏んでも氏にきれません。
159 :
吾輩は名無しである :01/12/23 22:30
>>158 リクエストに応えていただきありがとうございます。
こちらもリクエストにお応えしてーー
御心配なくあれは「昨日」です(嘘)。
「今日ママンが死んだ。ひょっとしたら昨日かもしれない
(...)多分、昨日だったのだろう」。
ムルソー自身も今日か昨日かわかってないので、どっちでも
いいといえばどっちでもいい訳ですが...
160 :
吾輩は名無しである :01/12/23 22:59
ママンが死んだ日に女友達とセックス したってことが裁判で責められてるんだから 重要なんじゃない? それが母親に対する不敬と裁かれ、 んで、たまたま前の法廷で議論された父親殺しの件と 因縁づけられてレッテルを貼られるわけでしょ。 社会の目からすれば大変な事でも、 ムルソーからすればどうでもいいってことなんじゃない?
162 :
吾輩は名無しである :01/12/23 23:46
>>160 ママンが死んだ日にセックスしたというのはちょっと違うでしょう。
ムルソーが母親の死を知らす電報を受け取るのが木曜日。
葬式が金曜日。マリイと会ってセックスするのは土曜日の夜です。
ある批評家はママンの死が「今日」なのか「昨日」なのかわからない
ムルソーに「精神分裂病特有の時間的観念の喪失」をみています。
「精神分裂病」とまで言い切るのはどうかと思いますが...
163 :
吾輩は名無しである :01/12/29 14:04
もうじきカミュの命日だね。 自殺説はどうなったんだろ。 まあ、あれは事故死だろうけど。
164 :
吾輩は名無しである :02/01/03 14:46
妹に薦められて読んだ 「文学」はあまり読まないが「異邦人」はとても良かった。 主人公の考え方にはかなり共感できる部分がある。 俺は「鶴見済」や「ねこぢる」が好きなので自分でもカナリ危ない奴だと思う。
165 :
吾輩は名無しである :02/01/04 12:49
いい妹さんをおもちで。 そうですか、ムルソーに共感しましたか。 くれぐれも浜辺でアラブ人を撃ち殺したりすることのないように。
166 :
吾輩は名無しである :02/01/05 02:01
ブッシュになっちゃうよ。
世界の優しい無関心に、わたしは心を開いた。
168 :
吾輩は名無しである :02/01/05 12:15
>>166 笑わせてもらいました。
でも、ほんと、そうですよね。
カミュやサルトルが生きていたら、アメリカの報復について
どんな発言をしたでしょうかね。
169 :
吾輩は名無しである :02/01/05 22:55
戦争の原因って殆ど宗教(キリスト、イスラム、ヒンズー・・)。 宗教が無くなれば、きっと戦争は減ると思う。 この世に実在しないものを信じたりするから間違いが起こる。
170 :
吾輩は名無しである :02/01/05 23:28
アフガニスタンの問題は宗教的対立には還元できんでしょう。 宗教がなくなれば戦争がへるというのは、いささかシンプル すぎる気がします。
171 :
吾輩は名無しである :02/01/06 17:07
この世に実在しない、というのなら、神無き社会主義国家はどうなる。 おれたちのこの日本は? 逆にこの世に実在する日本の天皇は?あれは信じるに価するのか?
172 :
吾輩は名無しである :02/01/06 17:21
>>169 たしかに戦争は減るだろうね。歴史がそれを証明している。
でも悩める人も増えるだろうな。そこが問題だ。
173 :
吾輩は名無しである :02/01/06 17:23
>>172 いったい、どんな歴史がそれを証明しているのかな。
無茶を言ってはいかんよ。
あ、宗教が戦争をもたらした歴史的事実はあるよ。
でも、それは宗教がなくなれば戦争がへるというのと
は明らかに別の話だからね。
174 :
吾輩は名無しである :02/01/06 17:34
歴史は何も証明しない
175 :
吾輩は名無しである :02/01/06 18:30
自分勝手で社会性に欠ける俺は自分以外の「宗教」や「国家」 なんて全然信用してない。 だからそんな物のために命をかけるなんて到底不可能。 世の中、本当に大切な事は結構テキトーに決まったりしてるし・・ (それを嫌とは思わないけど) ただ何かにすがって生きている方がラクなのは確かだよね。
176 :
吾輩は名無しである :02/01/06 18:36
カミュは個人主義者なんで、戦争の構造や起源といったものには無関心でしょう。
177 :
吾輩は名無しである :02/01/06 18:38
全くそのとおり。
178 :
吾輩は名無しである :02/01/06 19:53
>>176 と、バルトはカミュを批判したね、たしか。
179 :
吾輩は名無しである :02/01/06 20:02
カミュが好きな人、他に好きな作家は??
180 :
monkey ◆wncubcDk :02/01/07 08:58
>>176 カミュが個人主義者だというのなら、連帯をテーマにした
『ペスト』はなんなのでしょうか? と思ってみる。
いきなりですが。
カミュの無関心は、無関心を装っているだけだとぼくは思います。
ムルソーは無関心なのではなく、むしろ社会の無関心に苦しんでいたからこそ、
最後の神父に対する心情の吐露がぼくらの胸に迫ってくるのだと思う。
「自分はこんなにがんばって誠実に生きているのに、
この神父はちっとも理解していない」
って気持ちが彼にはあっただろう。
要は、そういった無関心に対する強がり(=無関心を装うこと)を
最後まで押し通すことはできなかったってことだ。
そこが共感を呼ぶところなんだと思うし、ぼくの好きなところ。
でも、初期のカミュが子供っぽいと思われる理由でもあるかな。
(自分は理解されないって思いこんでしまうから)
『ガタカ』って映画もぼくは好きなんだが、
そこに出てくるせりふ「無関心を装うなら、見てはだめ。」
が、ムルソーにも当てはまる気がする。まあ、この監督は確実にカミュ好きだ。
ま、読み返してみたらたいしたこと言ってないね。 別のことだけど、カミュとサルトルはパーソナリティからして 全然違うと思うので、テロに関する意見は一致するかも知れないけど、 だからといって「実存主義」のイメージでもって 一緒にくくって欲しくないと思いました。 で、個人的予想としては、サルトルはアメリカ支持、カミュは報復反対 だろうと思います。それぐらい両者は違う、と。 まあ、サルトルはカミュスレに直接関係ないのでsageときます。
あれ?さがってないぞ。なんでだろ。まーいいや。それじゃ。
>>175 個人が「宗教」や「国家」を信用するしないに関わらず、「宗教」や
「国家」が個人を激しく既定する場合があるでしょう。
そっちが問題じゃないの?
184 :
吾輩は名無しである :02/01/07 14:53
monkeyさん ムルソーは無関心なのではなく、本当は社会の無関心に苦しんでいるのだ という指摘は鋭いと思いますよ。 ルネ・ジラールという批評家もそのようなことを言っていますし。 わたし自身はムルソーの無関心はカミュの母親の無関心が投影されたもの だと思っていますけど。 サルトルとカミュの政治的態度は全然違いますから、テロに関しても意見が 一致するとは思えませんねえ。 ただ、サルトルがアメリカを支持するというのは、ちょっとありえない気が します。 まあ、すべて仮定の上での話ですから、むなしいといえばむなしい話ですが。
世界の優しい無関心に、わたしはこころを開いた。 の箇所に、読者のわたしもこころを開きました。
186 :
吾輩は名無しである :02/01/07 15:36
>>185 そうだよな。そのまま書いてある。
大抵の人は、ムルソーが無関心だなんて思っていないよ。
187 :
吾輩は名無しである :02/01/07 16:17
>>186 え?
ムルソーが無関心じゃなかったら、だれが無関心なの。
「どちらでもかまわない」「私には関係のないことだ」
というのが無関心のあかしでなければなんなのかな。
ただ、一見無関心と思えることが実は...という仕掛けが
あるということじゃないの。
>>180 カミュが『ペスト』で描いたのは個人という主体としての連帯行為なのであって、「連帯」という状況を俯瞰しているわけではないとおもうけど。
189 :
吾輩は名無しである :02/01/07 20:12
『ペスト』には個人主義と連帯との葛藤みたいなものが 描かれてますよね。 新聞記者ランベールがそうでしょ。 ランベールは結局、連帯を選ぶのだけれど、リウーやタ ルーは必ずしもその選択を支持していないというところ にこの葛藤が一筋縄ではいかないというのがよくあらわ れているように思えます。
190 :
吾輩は名無しである :02/01/07 21:55
>>183 「宗教」や「国家」が個人を激しく既定する場合がある
=殆どの場合、これに当てはまると思う。
人間が社会を形成する以上、当然だと思う。
それを受け入れられない人間は「異邦人」
社会全体から見れば「必要の無い人間」・・・
191 :
吾輩は名無しである :02/01/11 19:36
「必要のない人間」であるばかりか、「いないほうがいい人間」 「いてはならない人間」な訳だ。 で、「母親の葬式で涙を流さない人間は死刑を宣告される」羽目 になると。
192 :
吾輩は名無しである :02/01/11 19:51
193 :
吾輩は名無しである :02/01/11 23:58
俺は去年、母親を亡くしたが、葬式で涙は流れなかった。 正直、疲れ果て、とにかく早く葬式が終わって欲しいと思った。 家族以外の大勢の「他人」がスゴク邪魔だと思った。 翌日は、早く気分転換したいと思い、夜遅くまで遊び歩いた。 母親の死は医師から宣告されていたので、「葬儀の日」以前に 涙も悲しみも使い尽くしていた。 だから何の感情も湧かなかった。 母は死ぬにはまだ早すぎたので 俺は冷酷な人間に見えたのかもしれない。
194 :
吾輩は名無しである :02/01/12 00:43
自分の為に泣けても人の為には泣けない♪
196 :
吾輩は名無しである :02/01/12 19:29
だれの歌?
197 :
名無しマン :02/01/12 21:13
異邦人>>>>>>>>>>>ペスト。 ムルソー最強。 リウーがんばりすぎ。
>>195 おお、しぶいね。「バニラ」もいいよね。
199 :
吾輩は名無しである :02/01/12 22:31
>>197 ペスト、好きだけどなあ。
でも、カミュほど一作ごとに作風を変える作家も珍しいよね。
異邦人、ペスト、転落、全部、全然違う感じがする。
>>197 橘いずみってシブかったんですか(笑
知らなかった。
高校時代に死ぬほど聴いてました。2枚目と3枚目のアルバムは今でも持ってます。
今でも結構あの詞の世界に住んでる自分がはずかしくもあるけど。
ちなみに自分はオトコ。
202 :
吾輩は名無しである :02/01/16 18:10
このスレッドでは『ペスト』が不評みたいだけど、 リウーの謙虚さが、私は好き。 天を仰がず、救済を求めず、人間の健康だけを考え、 自分の仕事をするーーある意味で、カリギュラの 対極ともいえる人物だよね。
203 :
吾輩は名無しである :02/01/16 19:24
>>200 チャカ・カーンを気取って生きていないかーい!?
204 :
吾輩は名無しである :02/01/16 19:27
残念ながらチャカ・カーンとしらんのよ わははは!
205 :
吾輩は名無しである :02/01/16 21:04
カミュ(特に異邦人&ムルソー)が好きな人には 文学では無いが「山野一」のマンガが絶対オススメです。 特に「四丁目の夕日」は強烈デス。 (あまりに非道徳的なので一時、発禁になり最近、再版された)
>>200 いや恥ずかしながらわしも。最近聞いてないけど、2,3枚目の
あたりはすごかった。その後はちょっと楽曲が。詞はいいね、たしかに。
「女尾崎豊」とかいうひどい売り出され方してたけど。十年早かった、
出てくるのが。
>>205 あの漫画家は完全にいちゃってるね。丸尾末広も真っ青って感じがする。
カミュとどう結びつくのか分からないけど、救いようがない絶望感を味わえるのは確か。
>橘いずみ 確かに「女尾崎豊」みたいに売り出されていました。プロデューサーが須藤晃だったからでしょうけどね。 1枚目はまったくふつうなカンジで、じつは聴いてない。 4枚目以降は曲調が変わらなくなってしまって、いつのまにか聴かなくなって、売却してしまいました。 でも2枚目、3枚目は今聴いても響くものがあります。 まだ活動していて、この前も新しいアルバムを出したみたいです。
209 :
吾輩は名無しである :02/01/16 22:11
通り一遍の世間の「良識」を完全に否定している部分で 「異邦人」と山野一は共通していると思う。 ただカミュの場合、読者に考えさせる余地を残しているが (いわゆる「良識」は残している) 山野の場合、救いようが無く、完全に突き放している。 (良識は無視。自分にのみ忠実) それが、かえってスカッとする。(ときもある)
210 :
吾輩は名無しである :02/01/20 19:58
カミュ自身、ムルソーと同じくカナリ人でなし(再婚し、浮気をくりかえす) etc・・交通事故で死亡。 ある意味、社会の落伍者だったのかも。
サイードのカミュ批判を読んだのを契機にカミュを読んでみました。 『ペスト』はともかく、『異邦人』のほうは、どうもぴんと来ない。 主人公の犯罪の理由が不可解としかいいようが無いのだ。 ところが、最近面白い本を見つけました。南アフリカ出身の英語作家(ボーア人) ローレンス・ヴァン・デル・ポスト(『戦場のメリークリスマス』の原作者)です。 カミュもポストも同世代で、かつ植民地で生を受けた「リベラル」の作家です。 さて、ポストによれば、植民地化で原住民ばかりではなく、植民者も文化変容 を被ると言う。とくに、原住民と植民者との関係が悪くなると、植民者が 妙な病的犯罪を犯すようになるというのです。 というわけで、ムルソーのおかしげな犯罪は、植民者(異邦人)の病理を描いた ものなのではないかと思いました。
212 :
吾輩は名無しである :02/01/23 02:35
>>210 たしかに女性に関しては「ひとでなし」ですね。
あの女好きはやはり結核が影響しているのかなあ。
作家としては好きだけれど、恋人や妹は紹介したくないタイプ
です。
>>211 『異邦人』を「植民地の物語」として読むというのはアリだと
思うのですが、そう言い切ってしまうのもなんだかなあという
気がします。
213 :
吾輩は名無しである :02/01/23 20:10
「異邦人」を読んだ。友人からすすめられて・・ 友人が言うには「自分の性格」はかなりムルソーと似ているらしい。 小説の最後の部分は、自分が常々感じている事を代弁していて スゴク共感した(全くその通り!って感じ)。 高校生くらいの奴が読んでも多分、本当の意味で理解は出来ないと思う。
214 :
吾輩は名無しである :02/01/23 23:13
>>211 多くの読者はたんに「不可解」とは感じてはいないからこそ、『異邦人』は支持を集め続けているのでしょう。
貴方の口ぶりからは、まるで人間のあらゆる行動には動気づけが必要だといっているかのようにも思える。
「太陽のせい」で殺人を起し得ることは、まったく正常な人間にもじゅうぶんあり得るのではないのでしょうか?
215 :
吾輩は名無しである :02/01/24 00:53
>>213 私がはじめて『異邦人』を読んだのは高校のときだったなあ。
本当に理解していたかどうかは疑問だけどね。
ま、それを言い出せばいまだって本当に理解してるかどうかは
あやしいものだけれど。
>>214 私は211ではないが、ムルソーはやっぱり不可解だと思うよ。
「『太陽のせい』で殺人をおかすことは、正常な人間にもあり
得る」と言われると、ちょっとどうかなあと思う。
近年たしかに「動機なき殺人」が増えてきてはいるが、ムル
ソーの殺人と同列には論じられないんじゃないかな。
ムルソーは自分に似ていると言われると、ふと不安になるのは
私だけ?
216 :
吾輩は名無しである :02/01/24 02:27
ムルソーに人格なんてあるのかな。 世界を感受して生きてるだけのように見える。 地中海世界だからそれもありになってるのだろうけど。
217 :
吾輩は名無しである :02/01/24 09:57
ムルソーの殺人には、正当防衛という動機と、太陽のせい、生活を離れたバカンス という空間的要因がある。 なにも、ただ「太陽のせい」だから殺したというわけじゃない。
218 :
吾輩は名無しである :02/01/24 18:44
>>217 正当防衛というのはわかるが、「生活を離れたバカンスという
空間的要因」って何?
219 :
吾輩は名無しである :02/01/24 19:02
ムルソーのどこが不条理なのかわからない。 ごく普通に考えてごく普通に行動している普通の人じゃん。 最後だけちょっと変わるんだけど。
220 :
吾輩は名無しである :02/01/24 19:09
「太陽のせい」ってのが、ふつうは殺人の理由にならない。 条理から逸脱してるということじゃないの?
221 :
吾輩は名無しである :02/01/24 20:01
私もムルソーは「不条理な人間」ではないと思う。 でも、「ごく普通に行動している普通の人間」かどうかは 疑問だなあ。 あれが普通と言われると、「ああ、時代が変わったんだ」 と思ってしまう。
222 :
吾輩は名無しである :02/01/24 21:15
ムルソーの犯罪はともかくとして、 裁判で普通に後悔の念を見せていれば、 重たい刑罰にはならなかったわけでしょ。 要するに 死刑を挑発して、勝ち得たわけですよね。 このことについては、みなさん、納得されているの? 僕は、今ひとつ、わかりません。
ムルソーが「太陽のせい」というとき、 それはそのまま「太陽」を指し示しているわけではないでしょう。 おそらくそれは、 かれの住む地中海世界、そして存在の根源的不安(=不条理)という二重の象徴として 吐き出された台詞であるようにおもいます。 しかし、ムルソーという人格を鑑みるならば、 かれはそのようなことは意識することはなかったでしょう。 わたしたちは、それが殺人などの犯罪にまでむすびつくかは別として、 往々にして言葉にできない衝動に突き動かされて行動することが多々あります。 そしてそこには言葉や理由が介在する必要がない (能動的な行為そのものが答えとなりうるでしょう)。 ムルソーのような、ほかのひとびとにとって、 その曖昧さゆえに「危険な」人物というのは、 じゅうぶんに一般人として存在しうるとおもわれるのです。
224 :
吾輩は名無しである :02/01/24 23:06
どうでもいい話だけれど さっきテレビのニュースをみてたら 外務省の事務次官が 「不条理ですね。カミュの世界ですよ」 とコメントしていた。
225 :
吾輩は名無しである :02/01/24 23:09
ムルソーは「人間社会の決め事」に背いた為に死刑になるのはやむを得ない。 しかし、自分を欺き「反省してるフリ」をする事はだけは絶対許せない。 と考えたのではないでしょうか? 社会とは相容れない、「自分自身のルール」を持っていたのだと思う。
226 :
吾輩は名無しである :02/01/25 00:21
>>225 フランスの植民地でアラブ人を殺しても、罪は軽いでしょ。
(アラブ人を殺して死刑になった事例はないそうだ)。
だとすると、死刑になるというのは、かなり異例な事態だという
ことだと思います。
227 :
吾輩は名無しである :02/01/25 00:29
ムルソー、イケてるぅ。死刑にさえならなきゃ・・・
228 :
吾輩は名無しである :02/01/25 00:44
>>225 その通りだと思います。
ましてや正当防衛が成り立つような状況だった訳ですから、
ふつうなら絶対死刑になるはずはない。
新聞記者として多くの裁判を取材したカミュがそれを知ら
ないはずはないんですが。
でも、だからこそ、ムルソーは「母親の葬式で泣かないか
ら死刑にされる」のだという言い方が可能になるんじゃな
いですかね。
229 :
吾輩は名無しである :02/01/25 00:55
自分の中に自分の条理があるという点では、全然「不条理」じゃないね。 それは思想闘争でしかない、とは言える。 無ルソーは言語的な存在でしかない。
230 :
太陽がまぶしい1月 :02/01/25 11:46
自殺したといわれる事故のとき乗っていた自動車のメーカー・車種を 誰か教えてくれろ。
231 :
吾輩は名無しである :02/01/25 12:34
>>230 私は車のことはさっぱりわからないので、どんな車か
わからないんだが、ものの本によると「ファセル・ヴェ
ガ」という車らしい。
でも、どうしてそれを知りたいの?
私も最初あれは自殺かなあと思っていたけれど、事故の
模様を知るにつれ、事故だと思うようになった。
カミュに自殺志向があったのは本当だが、いくらなんで
も友人3人を道連れに発作的に自殺を試みるというのは
非現実的だと思うよ。
232 :
吾輩は名無しである :02/01/25 12:45
>>223 ムルソーの殺人を近年の無動機の衝動殺人といっしょにしていいの
かなあ。
まあ、考えようによっては、カミュは無動機の殺人が横行する現代
の世相を予言したといえなくもないのかもしれないけど、やっぱり
どこか違うような気がします。
233 :
太陽がまぶしい1月 :02/01/25 13:52
234 :
吾輩は名無しである :02/01/26 00:41
235 :
太陽がまぶしい1月 :02/01/26 15:44
>>254 >『第一の男』にはちょっと笑ったけど
あは、たしかに。
でも、クシシュトフ・キェシロフスキのトリコロール、青の冒頭の
事故のシーンも同じ感じ。きっと意識してると思う。
キリスト教とカミュってやっぱ切っても切り離せないなぁと、
クシシュトフ・キェシロフスキの映画を思い出して思ったのでした。
236 :
吾輩は名無しである :02/01/26 18:03
トリコロールは3つとも見たはずだけど、冒頭の事故のシーン って覚えてないなあ。もう一回、見直してみますね。 ただ、キェシロフスキ(7つの大罪を映画にしてましたよね) はともかく、カミュとキリスト教って、もうひとつピンとこな いんですが・・・
7つの大罪ではなく、十戒(『デカローグ』)かと思われ。>キェシロフスキ
238 :
吾輩は名無しである :02/01/26 18:18
あーっ、ほんとだ。 ありがとね。どっかでセブンとごっちゃになってました。
239 :
太陽がまぶしい1月 :02/01/27 11:10
>>236 >カミュとキリスト教って、もうひとつピンとこな
>いんですが・・・
なんつぅか、キリストをうすぼんやりと理解したような
気になると、カミュが鮮明に浮かび上がってくるみたいな
ところがぼくのなかであるんですよ。(言葉にする能力が
ないんでうまくいえないけど)
連想ゲームみたいだけど、異邦人→文庫のカミュの写真
→自殺?事故?→映画のシーン→キェシロフスキ
→デカローグ→シェンキエビチ「クオ・バディス」
→これでよし(ペスト)
ペテロがどこへって聞く相手とこれでよしが重なるんです。
ぼくのなかではね。
240 :
吾輩は名無しである :02/01/27 12:35
なるほど。 連想というのは面白いものですね。 私が「十戒」と「七つの大罪」を取り違えたのも連想のなせる わざですし(「錯誤行為には意味がある」?)。 私はキリスト教+映画=チャールトン・ヘストンです。 高校生のとき、『十戒』を観に行かされたのが原因のようです。 (あと『ベンハー』もそうですね。) 全然関係ないけど、本屋でカミュの写真が表紙になっている本 をみつけ、これ何だろうと手にとってみると、ハンフリー・ ボガードについて書かれた本だったというのを覚えています。 似てますよね、ボガードとカミュ。 カミュ本人も意識してたみたいですけど。
241 :
太陽がまぶしい1月 :02/01/27 12:55
カミュは権威化して実態と乖離したキリスト教を 痛烈に批判したのではないかと。 「薔薇の名前」のなかのキリスト教のなかの派閥争いなんか 読んでると笑っちゃうじゃん。王様と教皇が権力争いしてたり して。形骸化した宗教などになんの意味もないって考えたん じゃないかな。ストレートに人の心を掴むのは、カミュも キェシロフスキも同じ。そして、たぶんあの人もそんな人だった んじゃないだろうか、と想像したりする。
242 :
吾輩は名無しである :02/01/27 15:10
カミュはキリスト教には無関心だったんじゃないですかね。 『異邦人』の最後でムルソーが司祭に激しい怒りを爆発させるのも、 彼が司祭だからではなく、社会が死刑囚に遣わす最後の使者だった からという気がします。 カミュは晩年カトリックに接近していたというひともいるようですが、 一体、何を根拠にそう言ってるんでしょう。 カトリックの人達が自分に都合のいいようにそんなことを言ってるの かなあ。 私自身はカトリック、決して嫌いじゃないんですがね。
243 :
monkey ◆wncubcDk :02/01/27 16:50
カミュとキリスト教ということで言えば、
『転落』のなかで、クラマンスが結構直接的に言及していますよ。
「ちょっと、なぜ人々があの男を磔刑にしたかごぞんじですか?
ほらあの、たぶん今あなたが考えていらっしゃるに違いない男をですよ。」
(転落の第5章)
詳しくはそれぞれ自分であたってもらうこととしますが、
『転落』では、クラマンスは「キリストも偽善者であり、自分たちの共犯者だ」
というふうに考えており、ある種の共感を示していると思われます。
>>184 遅れましたが、レスどうもありがとうございます。
ジラールのカミュに関する評論は、この前図書館で読みました。
とても感銘を受けました。
本当にカミュのことを良くわかっているなあ、という感じです。
ぜひ皆さんも読んでみたらどうでしょうか?
タイトルは『地下室の批評家』です。その中の40pくらいがカミュ評論です。
244 :
吾輩は名無しである :02/01/27 17:22
184=242です。 いや、勿論、『転落』にキリストに関する記述があるのは 知っているんですが、クラマンス=カミュではないし、ク ラマンスはどう考えてもキリスト教に帰依しそうな人間で はないので・・・ ジラールは『異邦人』を論じるには必携の文献ですよね。 ムルソーを「劇場型犯罪をおかす非行少年」にたとえるのは ちょっと抵抗がありますが、やはり説得力はあります。
245 :
monkey ◆wncubcDk :02/01/27 19:31
>>244 まあ確かに、クラマンスがキリスト教を信じるというのはありえないと思います。
しかし、クラマンス自身には、
「一般的罪を説くことで、聞き手に罪の意識を抱かせる」
という意味で、キリスト教の神父に近い性質があると思われます。
もちろん彼は、神父の行う説教のずるさ(自らの「裁きをさける」から)
を自覚した上で、それを模倣して利用しているわけですが。
そういうわけで、クラマンスの態度は、「キリスト教に無関心」というのとは
ちょっと異なっているような気がぼくにはします。
『転落』って面白いですよー。
『異邦人』『ペスト』に比べると読まれてないけど…。
246 :
吾輩は名無しである :02/01/27 22:27
『転落』面白いですよね。 私も一番好きな作品です。 クラマンスのしてることって、告白/懺悔のパロディなんですよね。 イエスへの言及だけでなく、「良きしらせ」を運ぶ鳩なんかも出て きますから。 ただ、それをしてカミュのキリスト教への接近と言うにはなんだか ちょっとなあと思ってしまいます。
247 :
吾輩は名無しである :02/01/28 21:57
だれか、『反抗的人間』を読破したひとっていますか?
248 :
吾輩は名無しである :02/01/28 22:47
『反抗的人間』かあ。 「読破」はしたけど、「理解」はしてないなあ。 まあ、私自身の興味がああいうところにないというのが 大きいんだけど。
249 :
吾輩は名無しである :02/01/29 00:01
『反抗的人間』 結局、暴力は不可避だが、正当化してはならないということなの かな。
250 :
吾輩は名無しである :02/01/29 21:29
「常識」に反する正しい事を言える作家は数少ないと思う。 ムルソーの人間像は、わざと創り上げたというより 作者自身の偽らざる心境だと思いたい。 「反道徳的な作品」を知っていたら是非教えてほしいデス。
251 :
プロフェッサー真紀子 :02/01/29 22:06
野上教授「カミュは面倒見のいい人です。」 タッソ教授「どちらのカミュ様ですか。」 カミュ「カミュ様は神様だ。弱いものの味方だ。」
252 :
吾輩は名無しである :02/01/29 22:46
>>250 『異邦人』に法曹界批判、文明批判が含まれていることは
たしかですが、部分的にせよカミュとムルソーを同一視す
るのはどうですかねえ。
カミュはムルソーに自己を投影したというよりむしろ、ム
ルソーを利用しただけのように思うのですが。
「カミュはムルソーを利用しただけ」というのは、誤解を招くかも しれないので、補足します。 『異邦人』は何通りにも読める作品なわけですが、カミュの文明批判 の書と考えるなら、作者はムルソーを死刑にすることで、「母親の葬 式で泣かない人間」を排除しようとする社会を批判したという程度の 意味です。 母親と息子の関係に焦点を絞ると、『異邦人』はカミュが生きた苦悩 や葛藤を表現していると思います。
254 :
考える名無しさん :02/01/30 01:09
クラマンスのモデルはサルトルとばかり思ってたのだが・・・ あ、それとカミュとキリスト教との繋がりはなかなか興味深い。 彼の学位論文は原始キリスト教と新プラトン主義との関係についてのものだし なにより彼が死の直前まで構想していた「最初の人間」というのが、 どうもイエス・キリストを想起させる感じがする。
255 :
吾輩は名無しである :02/01/30 01:27
「最初の人間」というのは、父祖の導きもなく自ら道を 切り開かねばならない人間のことですから、キリストとは 違うのでは? それにキリスト教で「最初の人間」というと、イエスでは なくアダムになると思うのですが・・・
256 :
考える名無しさん :02/01/30 03:08
なにぶん文献がないのでなんともいえませんが しばしば「母性」に還元されるといわれるカミュの文学 (海はその象徴)の最後に、父性を想像させる「最初の人間」が登場したことが 非常に気になるんです。(え?女かもしれないって?うむむ・・・)
257 :
吾輩は名無しである :02/01/30 18:07
父性を想像させるっつうか、はっきり「父親の探求」と銘打っており ますな、『最初の人間』では。
西村博之氏はカミュのファンなのか? ガイシュツだとは思うが。
万年厨房のひろゆきが? まさか。 やつなら「こんなのがどうしてノーベル賞なんですか〜?」とか言いそうだよ。
260 :
吾輩は名無しである :02/01/31 11:27
>>254 『転落』にはカミュ=サルトル論争の中でサルトルが書いた事柄が、
いわばパロディの形で使われてはいますが、サルトルがクラマンス
のモデルだとはいえないでしょうね。
モデルという意味では、橋から身投げする女性はカミュの奥さんが
モデルだという話がありますが・・・
261 :
吾輩は名無しである :02/02/01 23:24
>>259 ぢゃあなぜ「文学板」の写真をカミュ先生にしたんだろ・・。
それにしてもカミュ先生しぶいぜ!!
262 :
吾輩は名無しである :02/02/02 23:13
ペスト「だけ」つまらないよね!
263 :
吾輩は名無しである :02/02/02 23:24
>>262 そうかなあ。『ペスト』、面白いと思うよ。
最初はちょっと退屈だけど、だんだん引き込まれていくような
気がする。
まあ、戦争の寓話として「だけ」読んでしまうとつまらないと
思うけど。
ade
265 :
吾輩は名無しである :02/02/13 21:53
すみません、あげさせてください。
266 :
吾輩は名無しである :02/02/13 22:09
ありゃ、なんであがってるの? じゃあ、ここはひとつカミュと母親のテーマで盛り上がりましょうか?
>>262 風邪ひいてひとりで部屋に寝ているとき、読んでみろよ
あの世界にトリップできてすげー面白いぞ
268 :
吾輩は名無しである :02/02/14 23:09
ペストに罹ってひとりで部屋で寝ているとき読むと、どういう感じなの だろう?
269 :
吾輩は名無しである :02/02/15 15:00
漏れ今から、38度の熱を押して 幸福な氏をひとりで読んでみたいと思います。
死にそうな感じ
納得。
272 :
吾輩は名無しである :02/02/15 18:40
そういう意味では、なにもかも嫌になり、やけっぱちのときは、 『カリギュラ』がおすすめ。
273 :
吾輩は名無しである :02/02/25 15:50
ペストのコタールに感情移入してしまうボクって変ですか?
274 :
吾輩は名無しである :02/03/10 18:26
あげ
275 :
久保田早紀 :02/03/10 22:27
♪あなたに、とって私、ただの通りすがりィ〜 ちょっと、振り向いて、みただけの異邦人〜 ムーンライダーズも『ヌーベルバーグ』かなにかで 異邦人かららしき引用をしてたっけ??
276 :
吾輩は名無しである :02/03/10 23:28
昔から名前や作品名くらいは知っていたが 最近初めて「異邦人」を読んだ。 常日頃、自分が感じている事を主人公は見事に代弁していて とても共感した。 多分、高校生の頃の自分が読んでもよく解らなかったと思う。 作者が自分と同じくらいの年の時に出した作品を読むのが 一番共感できるのでは・・と思ったりする。
277 :
吾輩は名無しである :02/03/11 00:40
久保田早紀の「異邦人」はみんな言うなあ。 私はキャンディーズの歌に、なんとかかんとかエトランゼ(=異邦人)と あったのが印象深い。 ここは地の果てアルジェリア、どうせカスバの夜に咲く・・・というのも あったが、さすがに古すぎる? 前にもちょっと書いたのだが、ムルソーに共感できるって人、結構多いね。 あの人物に共感できるというのは・・・うーむ、ちょっと考えてしまうの ですがね。 いや、『異邦人』は勿論好きなんですよ。好きなんだけれど、主人公への 共感と言われるとちょっと・・・
278 :
吾輩は名無しである :02/03/13 22:48
age
「異邦人」「転落」が面白い。 こんなにうまく「『常識』の非常識」を表現してくれる 作家っていないと思う。
280 :
吾輩は名無しである :02/03/27 16:26
でも、現代のコンクリートジャングルに生きてる俺らからすっと、 今更実存主義でもねーだろって思うぜ? どうよ?
アスファルトと半導体の子から見たら、 けっこうアクチュアルな視点じゃないかと思うんだが。 時代はそれを通り過ぎたかもしれない。でも自分にはまだ未開地だったら、 それはそれで楽しめる可能性ってのもあるわけだ。 実存主義を楽しんだからって染まらなきゃならないってわけじゃないし。
282 :
吾輩は名無しである :02/03/27 17:12
カミュは実存主義の作家なのかな。 本人は「私は実存主義者ではない」と言ってるけどね。
283 :
吾輩は名無しである :02/03/27 17:29
>280 今なんかただ不毛で物質的、実際的なものばかりだから、ああいう素直な観点に人間を見つけた感じで感動するんだけどな。 こう言うふうに考えてる人もいるんだあ、ってなんか安心する。 ムルソーはよくわかるよ。最後に、なんか不意に全人間に対する愛を感じた、なんてとこじゃ、涙さえ出そうになった。 でも、実存主義に染まるってどう言うこと?どういう行動をとるわけ?
284 :
吾輩は名無しである :02/03/27 17:47
実存主義=ロリ
285 :
吾輩は名無しである :02/03/27 17:48
>>284 そういう常識的な事を鬼の首取ったみたいに自慢するバカがいるんだよ。
春の季節だねえ。
286 :
吾輩は名無しである :02/03/27 17:49
例えば後輩(新入社員。新卒)を無理に飲みに誘って、 自分だけそこそこベロンベロンになった状態で、 「え、君みたいな若い子はどうなんだね。実存のほうは。 今どき会社人間でもないだろう。君の実存はどうなんだ。実存は」 と絡んでみる、とかな。 もちろんあとでそこらにゲロまき散らすわけ。
287 :
吾輩は名無しである :02/03/27 17:51
実存主義=日清焼きそば
288 :
吾輩は名無しである :02/03/27 17:53
小学校で十六人の子供を殺害。 中学三年生の西新一郎君逮捕 「実存を確かめたかった」
289 :
吾輩は名無しである :02/03/27 17:55
時代はカミュです
290 :
吾輩は名無しである :02/03/27 17:57
単に退屈なだけだろ
291 :
吾輩は名無しである :02/03/27 17:58
>>290 失せろ。氏ね。消えろ。おまえなんかカミュのへそのゴマありがたく食ってろ。
キショイ。クズ。ろくでなし。
292 :
吾輩は名無しである :02/03/27 18:01
>291 その髪型似合わないよ
293 :
吾輩は名無しである :02/03/27 19:42
ずっと下がっていたスレッドが上がったかと思うと、このありさま。 一体何がおこってるんだ。
294 :
吾輩は名無しである :02/03/27 20:17
よし、じゃあ気を取りなおして考えて見よう。 まずは、カミュとサルトルの違いを初心者の俺に教えて下さい
295 :
吾輩は名無しである :02/03/27 20:20
サルトルは実存主義 カミュは単なるペシミスト 勝敗は目に見えている
296 :
吾輩は名無しである :02/03/27 20:21
297 :
吾輩は名無しである :02/03/27 21:31
私高校一年でこの前カミュ読んだけど、 正直そんな異様な感じは受けませんでした。 ムルソーがアラブ人を殺すのは、ただ太陽でいらいらしただけですよね。 そういう些細なことで爆発するっていうのは、すごく共感できました。 そして、最後に神父さんに対して言う事も、現代的、唯物論的思考だと思ったんです。 でも、どうしてムルソーは死刑を求めたのかがわからなかったです。 だれか私に教えてくれませんか?
前レスにいろんな意見があります。
299 :
こんたろう :02/03/27 22:15
今日は盛り上げますよ…カミュスレ。うふうふ
300 :
吾輩は名無しである :02/03/27 22:21
DQNムルソーは氏ね
>>297 われが唯物論者なのかどうかなんぞ、知らん。
死を前にしてわれがメタフィジカルな思考に依拠せんかどうか、じゃ。
不条理な状況、絶望的な無関心を前にして、ただ死ねるか、だど。
われは押し上げた岩を再び転がすとき、四方の監獄の壁を前にしたとき、
生に意義を与えず、反抗を反復することができるんかい。
よっしゃ、よう考えてみ。まだ高校生やもんな。
先駆的決意性を求めるのも酷なんかもしれんわ。
それとな、われ、太陽でいらいらしただけ、ちゅうのはまあ確かに一つの真実や。
おれもここでヘーゲル的歴史観へのアンチテーゼなんぞという腐ったこと言いとうない。
でもな、われ、そんなことで「すごく共感」するんかい。
まあ、掲示板の会話でこんなこと言うてもしゃあないわな。それはええわ。
死刑を求めた、ちゅうのも難しいな。最後のシーンは多様な解釈がありくさる。
「解釈」なんて言葉も空しいけどな。でもま、高校生やろわれ。
色々本読んで試してみんかい。
おれが高校生のころは、アホやったからムルソーを古典的エディプスの図式に当てはめたど。
そう、あれじゃ。登場人物を父の名において分類するんじゃ。
若かったのう。あのころは。バルトなんか読んでのう。
最近の若者はようおのれらの現代的虚無感でもって分かったつもりになっとるが、
それは異邦人をつまらんものにするど。
たしかに、おれも浅はかなこと言うとるがのう。
追伸。連れもていこら、和歌山県。
昔コリン・ウィルソンの本に載ってたので読んだ(ヘミングウェイの 「兵士の故郷」なんかも並べて紹介されてたかな)。 アウトサイダーの一典型らしいけど今の若い奴ってこんなんばっかりな 気がする。というよりムルソーの方がまだマシかな。
303 :
吾輩は名無しである :02/03/27 22:45
>>301 笑ったけどな
あきゆきいが ろらんばると なんてよむかあああああああああ!!!!!
304 :
吾輩は名無しである :02/03/28 00:22
しかし、秀雄を殺した秋幸と アラビア人を殺したムルソーというのは、全く別次元だね
305 :
吾輩は名無しである :02/03/28 00:42
>>295 勝敗って、あーた。
まあ、フランシス・ジャンソンはのちにカミュが正しかったと認め
ましたけどね。
ところでバルトの『異邦人』論なんて、いまでも信奉しているひと
いるの?
あれはとっくの昔に時代遅れになってると思うよ。
. /⌒彡 . / 冫、) . / ` / 人 Y′ ( ヽノ 人 Y′ ( ヽノ 人 Y′ ( ヽノ 人 Y′ ( ヽノ 人 Y′ ( ヽノ 人 Y′ ( ヽノ 人 Y′ | ( ヽノ | 人 Y′ | ( ヽノ |人 Y′ | ヽノ | Y′ |ヽノ |Y′ |'
307 :
吾輩は名無しである :02/03/28 01:15
>>305 バルトに関しては、エクリチュールについての言及しか知らないんだけど、
彼の異邦人論ってどんなの?
で、どう時代遅れで何が時代の最先端なのか教えて欲しい。
308 :
吾輩は名無しである :02/03/28 02:45
>>307 『零度のエクリチュール』を別にすれば、バルトの『異邦人』論というと
「『異邦人』ーー太陽の小説」だけれど、この論文は『異邦人』における
太陽の役割ーー太陽は死の象徴として三度あらわれるとかなんとかーーに
ついて述べたもの。
当時としては鋭かったのかもしれないけれど、今日的な眼でみるとちょっ
とどうかなあという感じ。
最先端といえるかどうかは別にして、少なくともムルソーの殺人に関する
研究は、上の方のスレッドで名前があがっているルネ・ジラールの「『異
邦人』のもうひとつの罪」が画期的で、ジラール以前・ジラール以後とい
う区分さえできるのではないかと思うよ。
誤)上の方のスレッド 正)このスレッドの上の方 でした。
ブチころしたろかぁ、ブチころしたる、おまえ死ぬんやよ
>>295 カミュは詩人なんや、哲学者である前にの、詩人なんじゃ。
そんとこがサルトルと違うんや。
それをなんや、ペシミストペシミスト言いくさって。
異邦人読んでみい、美しい文章に眩暈するんじゃ。
311 :
老人と海馬鹿にする奴は殺す :02/03/28 08:57
>>兵士の故郷 は傑作だぞ。みんな読んで置けよ。
312 :
吾輩は名無しである :02/03/28 09:27
初期の作品が好きだ
新潮社から出ている「直観」、「幸福な死」、「異邦人」
これが好き
これら諸作品の死生観って「自我への固執」の乗り越えっていう視点が
強く存在する様な気がする
>>310 ハゲドー
実存主義とかペシミストとかいった視点でしか
読めない人間は視点が狭いと思うな
313 :
吾輩は名無しである :02/03/28 09:30
中上キャラ、おもろいぞw
314 :
吾輩は名無しである :02/03/28 11:00
初期作品が好きっていう人、結構多いね。 それなら『裏と表』『結婚』がおすすめなんだけど、いまは絶版。 新潮社、なんとかしてくれ。
315 :
カミュ好き :02/03/28 11:57
カミュって世間的には「異邦人だけの一発屋」という評価だけど、 実はかなーり奥が深いです。前の人が言っているように、 実存とか不条理とかの絵解き小説として読むとおもしろみにかけるのは当然だと思う。 やはり彼の透明感のあるそれでいて濃厚にとろけるミルクコーヒーのような描写を味わって欲しい。 もっと若い人とかいろんな人に読んでもらいたいな。
316 :
吾輩は名無しである :02/03/28 12:14
カミュって「異邦人だけの一発屋」と思われてるの? そりゃあ、あんまりだね。
317 :
吾輩は名無しである :02/03/28 13:59
現在新潮文庫で出てるのは 異邦人 幸福な死 ペスト カリギュラ・誤解 転落・追放と王国 革命か反抗か だけですか?
318 :
吾輩は名無しである :02/03/28 15:04
異邦人 幸福な死 ペスト カリギュラ・誤解 転落・追放と王国 革命か反抗か シーシュポスの神話 異邦人以外、字がちっちゃいのをなんとかしてほしい
とりあえず、異邦人とペスト、転落の繋がりはそのままカミュの思想遍歴だわな この順番で読むのがええんやよ。 おれら反抗するど、やからおれら在りじゃあ。
320 :
吾輩は名無しである :02/03/28 20:18
高卒ドキュソだけど、カミュは好きで良く読みます。
教えてほしいことあるんよお ばるとが言うた「白いエクリチュール」ってどういうことを指してんの 上のひとが言うた、 「透明感のあるそれでいて濃厚にとろけるミルクコーヒーのような描写」 というのも、一つの独特なエクリチュールとちゃうのんかあ どこがしろうてどこが透明なんやァ
322 :
吾輩は名無しである :02/03/28 21:25
>>321 非常に簡略化して言ってしまうと、感情のともなわない没個性的な
書き方をしておるということではないかな。
323 :
吾輩は名無しである :02/03/28 23:00
>>322 没個性的な書き方ということならば、
この僕の文章も白いエクリチュールと言えるだろうか。
324 :
吾輩は名無しである :02/03/28 23:30
没個性的というのは、下手な文章という意味ではないよ。 下手であることが個性かもしれないしね。 その意味では非個性的といったほうがよかったかな。 あ、323さんの文章が下手という意味ではないので、一応念のため。
325 :
吾輩は名無しである :02/03/28 23:38
で、実際323のエクリチュールは白いの?
326 :
吾輩は名無しである :02/03/29 00:49
たった2行でわかるか、ボケエ といってみるテスト。
327 :
吾輩は名無しである :02/03/29 01:06
木綿のハンカチーフではある。
あっすっのあさ〜〜〜 ぼくは、処刑さる〜〜〜〜♪ 憎悪の叫びを、く〜ださ〜い〜〜〜
329 :
吾輩は名無しである :02/03/29 01:26
零度のハンカチーフ
幸せの黄色いエクリチュール
331 :
吾輩は名無しである :02/03/29 02:09
太田裕美っていまでも小説書いてるの?
332 :
吾輩は名無しである :02/03/29 03:17
チンチンカミュ
333 :
吾輩は名無しである :02/03/29 05:03
世界のやさしい無関心 なんてやさしいんだろう
age
335 :
吾輩は名無しである :02/03/29 13:26
公表した小説としては3冊目。中篇。 アムステルダムの夜。語り手クラマンスが、やはりフランスからやってきたと思われる聞き手に、何度かにわたって語る談話体小説。談話体小説には珍しく、書簡体小説のように語りの行為が複数回にわたるのは、 長さのせいというよう構造上の要請であろう。 クラマンスはかつて有能な弁護士だったが、自分の偽善に気づきつつその偽善にまみれて転落していく。「オレはこんなにダメなやつ。人間なんて、みんなそうじゃないか」という修辞は、太宰治の『人間失格』を裏返して攻撃性を持たせた形になっている。 こういう告白体は基本的に嫌いだが、 『転落』のほうは、過大評価さえしなければ、まあけなすほどのものでもないかな、と思う。むかしの日本の文学青年は、 こんなのに痺れたのかな、という感じはわかって、そういう意味でおもしろい。 この批評、すげームカツクんだけど。某ページより。
336 :
吾輩は名無しである :02/03/29 16:23
>>335 別にむかつきはしないが、この文の書き手は全然『転落』がわかって
いないと思う。
>>335 同意。だが、たまに気に入らない作家を批評するのに
その読者まで貶す奴がいるんだが、腹が立つ。
>>337 同意してくれるのは嬉しいが、これじゃあ、自作自演みたいじゃないかー。
339 :
吾輩は名無しである :02/03/29 21:12
偽善なんて言葉が既に安っぽいんだよ! 善悪の彼岸に転落は在るのさ。
340 :
吾輩は名無しである :02/03/29 21:51
336=337 晒しあげ
341 :
吾輩は名無しである :02/03/29 22:33
336=337=341 不条理だな(藁
同意。 ほんとに不条理ですな。
344 :
吾輩は名無しである :02/03/30 09:53
カミュかこいい
345 :
吾輩は名無しである :02/04/02 09:48
というか、カミュは『ペスト』を話すのがよいと思われ。 なんだか『異邦人』論ばかりで、いかにも日本人の議論くさい。 それと335の様な批評は批評でもなんでもない。 批評というのは分析することであって「まあまあだ」とか よりごのみ的判断を基調とした判断ではない。 ああいうヤシに限ってまともな小説、いや短編の一つもロクに かけないんだ。 批評オタク、文学論述オタクは一度自分で小説を書いてみると 良い。そうすれば批評の仕方も変わってくるし、自分小ささも わかる。本当、読書しているだけの批評家は駄目。 サッカーやったことのないヤシが解説しているようなもんだ。
346 :
名無しマン :02/04/02 15:32
>>345 だって「ペスト」より「異邦人」のが面白いと思わない?
347 :
吾輩は名無しである :02/04/02 15:59
面白いってどういうことかわからんが 分量や話の誤落成のこといってるなら検討違いだし そもそも『異邦人』と『ペスト』の優劣ではなくて、 カミュの話となると前者に偏りがちだということを指摘 しているだけ。
348 :
吾輩は名無しである :02/04/02 18:27
それなら『転落』と『カリギュラ』も入れてやってくれい。 私、大好きなんだ。
349 :
吾輩は名無しである :02/04/02 18:30
>>345 前半部分は同感だが、後半はどうかな。
小説を書かなければ批評はできないというのは違うと思うぞ。
実作者と批評家は資質が別のように思う。
まあ、その両方を兼ね備えている作家もいるけどね。
美学の本など読むと、トルストイなどの文学観があまりに 単純であることに驚かされるなどということが書いてあったりする。 優れた実作者が優れた批評家になれるというものでもないだろう。
351 :
吾輩は名無しである :02/04/02 20:30
>優れた実作者が優れた批評家になれる 我らが国の文学者、中上健次を忘れないで(ボソッ
352 :
吾輩は名無しである :02/04/02 21:43
カミュの批評家としての資質はどうなんでしょうね。 『シーシュポスの神話』や『反抗的人間』の中で、いろいろな作家を 論じてはいますが。
353 :
名無しマン :02/04/16 21:59
「異邦人」ほどシンプルで深い作品はなかなか無いと思う。 今でも時々読み返す本の一冊。 「ペスト」はあんまりしっくりこなかった。 「シューシポスの神話」はカミュが偉そうに、 哲学者気取りで書いてるので断片的にしか読んでないな〜。 ドストエフスキーが好きだから、ドストの事が書かれてるとこは読んだけど。
354 :
老人と海馬鹿にした奴は殺す ◆zIdJrjf. :02/04/16 23:13
異邦人 と 転落 は良い
355 :
吾輩は名無しである :02/04/17 00:18
くわしくはわからん。ムルソーのキャラは昔のフランス文学の正統的なものだと 沙流採るがゆった。没個性といえば光源氏みたいなものかしら? ムルソーは刑務所に入ってから、大分判りやすくなるが、 それまでの優柔不断ぶりは、ダンディズムの系譜と思うぞ。 転落は読んでないが(失礼!)刑務所入った後のムルソーみたいなものか?
>沙流採るがゆった。 沙流採るってだれ?
沙流採るって、サルトルか。いまやっとわかった。蛍光灯だ。 でもサルトルはムルソーのキャラがフランス文学の伝統に属していると 言ったのではなく、『異邦人』がそうだと言ったのではなかった?
358 :
吾輩は名無しである :02/04/17 21:00
シーシュポスはすごいと思ったよ。 それでも浅いと思った人は、本当にすごいと思うものをすすめてほしいな。
359 :
吾輩は名無しである :02/04/17 22:57
361 :
吾輩は名無しである :02/04/21 18:59
362 :
老人と海 ◆zIdJrjf. :02/04/24 22:59
age
363 :
吾輩は名無しである :02/04/27 19:51
いまペスト買ってきた。わくわく
364 :
吾輩は名無しである :02/04/27 23:10
「シーシュポス」はぜんぜん哲学者気取りなんかじゃないだろ! むしろ哲学者なんか死んじまえ!っていってるようなもんだよ。
365 :
吾輩は名無しである :02/04/28 08:31
文章が論文調(というかそのもの)だからじゃないのかな? 俺は転落が好きだね。
邦訳タイトルは「シジフォスの神話」にしてほしかった。
367 :
吾輩は名無しである :02/04/28 12:34
昔はシジフォスだったよ。それが後になって原語に近い表記ということ でシーシュポスになったらしい。
わかりまいた。
369 :
吾輩は名無しである :02/04/28 20:24
そういえばムルソーの母親の婚約者の名前は、以前はトマ・ペレだった のに、今はトマ・ペレーズになっている。
370 :
吾輩は名無しである :02/04/29 02:25
『シーシュポスの神話』、私は文学作品として読んだ。 哲学論文として読むと、ちょっと・・・だけど、文学作品としては 一流だと思った。
371 :
吾輩は名無しである :02/05/01 21:24
『異邦人』読んだけどいまいちピンとこなかった。残念。 不条理文学とかよく言われるけど母親が死んだ次の日海水浴行って映画行くって所も 不条理として読むのかな? 個人的にはそこは全然違和感なかったし殺しのシーンも違和感なかった。 読む前はもっと滅茶苦茶なのを想像してたからそこがピンとこなかった理由かも。 次はペスト読んでみる。
372 :
吾輩は名無しである :02/05/01 22:47
ムルソーのキャラって、今では普通にいるんでないの? 感情の起伏が少ない、ていうか常に冷静さを保とうとする。 法廷のシーンはそういうふてぶてしさ漂うムルソーに憎悪の 視線が注がれた。 毒入りカレーの林真須美や麻原に注がれた邪眼と一緒。 私は、そんなキャラが好きでも無し、いいとも言わないけど。
うーん、異邦人よりペストの方が私には読みやすかった様な気が。 よく、ブラックジャックに影響されて医師になったという人間はいるが、私は リウーが好きだった。結核の妻と離ればなれに成りながら、淡々と医師として の職務を遂行するリウーの姿が印象的だったような。 何だかしばらくぶりにペストが読みたくなりました。
なぜ誰もジェイムズ・マラハン・ケインに触れない?
375 :
吾輩は名無しである :02/05/03 07:46
『シーシュポスの神話』は重要だろう。 その生きる人間の置かれざるを得ない状況という主題よりも 不条理の感覚そのものが。 ここには人間の「世界」に対する聖性の感覚が含まれている。 例えばドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』のイワンが 「あの青空を愛して生きたいんだよ」というようなことを言った時 その不条理の感覚は彼を激しく襲っていたことだろうと思う。 だがそれは彼が此岸と同時に彼岸にありつつ最も純粋であるがゆえの感覚だ。 「世界」「存在」「個人」「生」「死」といったものに対する不条理にして真正 にして聖なる感覚の表出だ。 「自分」という裸の記名性なき怪物じみた人間の発見。 見知らぬ他人のように自分を感じること。 にもかかわらず徹底して個人であることを知っていること。 その恐怖。謎。安易さ。不安。対象のはっきりしない切望。 ここにはバタイユの云う「非-知」「聖性」と重なり合う部分がかなりある。 だがこの感覚こそ現代人に必要なものである。 そう、現代日本のような神もなく宗教もなくすべてが日常性の延長と化し、 俗や感情までもが簡便化した空間(例えばこの電脳空間)で生きている我々にこそ、 この不条理の感覚もとい聖なる感覚は必要不可欠なものなのである。 ここには一種の神秘性がある。それは否定できない。 いや、この神秘をこそ人間は取り戻さなければならないのだ。 宗教を抱いていない者ほど。 世界、自分、あるいは他人。これらは永遠に一個の謎である。 だからこそ愛し嫌悪しなければならないし、求めざるをえない。 いまだに、というか今こそ カミュ(『シーシュポスの神話』)そしてバタイユは重要な存在となっている。 僕は非常にそう思います。
異邦人はそこそこだったけど、ペストはすごくおもしろかった。 まさかこれほどのものとは思わなかったな…
377 :
吾輩は名無しである :02/05/03 09:38
──カミュは、個人的には好きだが、将来彼の作品が残るとは思えない。 (トルーマン・カポーティ) それはてめえだろ!!
378 :
吾輩は名無しである :02/05/03 20:52
不条理の感覚が、聖性につながるものだと初めて知りました。 勉強になりました。
379 :
吾輩は名無しである :02/05/03 21:43
不条理の感覚は聖性にはつながらないでしょ。 カミュは『シーシュポスの神話』のなかで、不条理との直面せず聖性の中 へ逃避する態度を「哲学上の自殺」として批判していますよ。 それにしても母親の葬式で涙を流さないばかりか、翌日海水浴へ行き、そ こでナンバした女と一夜を共にすることが、ショッキングでないばかりか 共感を呼ぶ時代になったとは・・・(絶句)。 あれをあたりまえと思ってしまうと、『異邦人』は読めないような気がす るんですがね。
380 :
吾輩は名無しである :02/05/03 22:29
>>379 あたりまえだからこそ、
そんなことで死刑にされちゃうのが不条理なんですよ。
381 :
吾輩は名無しである :02/05/03 23:04
ムルソーは変な奴だ。だから「異邦人」であるわけで、こんな 奴よくいるよ、ふつうじゃんと言われると、ああ、この人には 『異邦人』のよさはわからないんだろうなあと思ってしまう。 それ以上に、ああいうのがふつうだという人の神経が(スレ違い のみならず、板違いなので、以下略)。
382 :
吾輩は名無しである :02/05/03 23:10
>380 発言の大筋では関係ないことですが、 死刑にされたのは、殺人を犯したからです。
383 :
吾輩は名無しである :02/05/03 23:41
>>379 いや、カミュの主張は本人の望むところに反して逆説的になってるんだよ。
不条理の先端にはまぎれもなく聖性と非-知がある。
そこにまたジレンマがあり、さらにその不条理性に引き裂かれるわけだけどね。
「世界」の中にありつつ「世界」と乖離(非-関係)し「世界」と相対している
完結しえない無記名の個人という存在の永久運動として。
そして次第に不条理性と聖性が一体化してきてしまう。恐ろしいことに。
また不条理の感覚に至る前段階として、より低次のきわめて安易で素朴な聖性の
領域があるわけだけど、それにガマンならない、疑念をうやむやにせず誤魔化しを
良しとしない「世界」と相対峙しようとする個人が不条理の感覚に至る。
そしてその後は上記の通り。
また、
>母親の葬式で涙を流さないばかりか、翌日海水浴へ行き、そ
>こでナンバした女と一夜を共にすることが、ショッキングでないばかりか
>共感を呼ぶ時代
な現代では、もちろん不条理な感覚を体験する条件のようなものが変化して
きている。僕が思うところでは、インターネットの世界に嵌りつつ外の世界
(社会、自然界、宇宙レベルでの「世界」、形而上的世界。あるいはハイデガー
の云うところの四方界)への感覚に鋭敏な人ほど不条理、聖性、非-知の感覚に
(たとえ一瞬だとしても)陥りやすい。無感覚、麻痺とも隣り合わせなんだけど。
いや、だからこそ余計にね。このへんのところは黒澤清の映画「回路」にちょこ
っとヒントが隠されてるような気がする。
だから今「異邦人」を書くならそういう属性を持った主人公を設定しなければ
成立しないだろう。
また、『シーシュポスの神話』の中でも表されていることだけど
不条理の感覚というのは何も「知」と「科学」あるいは批評精神が発達した
近代以降に特有なものでもないわけで。
古代あるいは人間が人間となった暁の時代に既にそれはあったと思われる。
わかりやすい例で言えば、それは、燦燦と照り輝く太陽や満面の星空を前にして
「自分」という人間(存在)を一種の謎のような疑問と共に強烈に意識した瞬間、
沸き起こっていたはずである。あるいは雄たけびをあげていたはずだ。
だから本来は原初的体験とさえ云ってもいい。
なんだか曖昧かつ神秘主義的な物言いになってしまってるかも知れないが
とりあえず僕が今掴んでいるのはここまでです。
384 :
吾輩は名無しである :02/05/03 23:49
>>382 違うだろ。
それもあるが、母の死の直後に恋人と海に行ったとか、太陽のせいだとか、
当時の連中にとって(゜Д゜)ハァ?ということを言ったから、というのが非常に
大きなファクターだっただろ。
385 :
吾輩は名無しである :02/05/04 02:06
>>374 「郵便配達は二度ベルを鳴らす」の文体に啓発されて書いただけの小説が、
この盛況ぶり。世間というのは実に有難いものですなあ。
386 :
吾輩は名無しである :02/05/04 16:09
age
387 :
吾輩は名無しである :02/05/04 17:57
ありゃ? 倉庫落ちしたと思ってたんだけど、上がってる。 私の思い違い? なにはともあれよかった、よかった。
388 :
吾輩は名無しである :02/05/04 21:39
ペスト読んだ。 カミュってとっても生真面目な人だよね、異邦人しか詠んだこと無いから意外でした。 不条理を神秘的に見るのではなく、カミュは不条理と戦うことを言いたかったんじゃないかな 不可知論者のボルヘスとは正反対だと思った
389 :
吾輩は名無しである :02/05/04 22:21
>>388 ほんと生真面目な人ですよね。
女性関係だけは別ですが・・・
結核の影響もあるのかなあ。
>不条理を神秘的に見るのではなく、カミュは不条理と戦うこ
>とを言いたかったんじゃないかな
383さんには悪いけれど、カミュには神秘主義的なところは全くあり
ませんよね。
もしあるとすれば世界を前にした異教的なエクスタシーくらいのも
のでしょう。
まあ、カミュが言っていることの先には「神」がみえるという意見も
ありますし、晩年のカミュはキリスト教に近付いていた、改宗しかけ
ていたという意見もありますが、多分にカトリック側の我田引水のよ
うに思います。
シーシュポスって難しくないですか? もっと色々読んでからじゃないとムリなのかな・・・。
391 :
吾輩は名無しである :02/05/05 07:03
”手帖”は手に入らんのですか?
392 :
吾輩は名無しである :02/05/05 21:56
手帖、第1巻と第2巻は、昔、『太陽の讃歌』『反抗の論理』という勝手 につけた題名で新潮文庫から出てましたね。 さすがにいまは絶版かな。 その後第3巻をあわせて、『カミュの手帖』として単行本で出たはずです。 こちらはまだ入手可能では?
393 :
吾輩は名無しである :02/05/06 19:29
「反抗的人間」って売ってる? あと 「転落・追放と王国」っておもしろいかな? 今まで読んだのは異邦人とペストとカリギュラ。 それぞれおもしろかった
394 :
吾輩は名無しである :02/05/06 21:37
『転落』はすごく面白い。 『異邦人』『ペスト』のカミュとはまた違った味わいがある。 『追放と王国』は短編集であることもあって、好みがわかれると思う。 「背教者」や「ヨナ」なんて私は大好きだけど。 『反抗的人間』は新潮社のカミュ全集に入っているけれど、いまは絶版。
395 :
吾輩は名無しである :02/05/06 22:04
>>394 アドバイスありがとうございます。
なんか今までずっと本読んできて、ボヘミアンみたいにこれといった作家を選ばずに漁ってたんですが、
「異邦人」「ペスト」「カリギュラ」の主人公達の誠実さ、人間と世界の対立についての極限の描き方に凄く共感を受けたんです。
じゃあ、転落とか読んで見ます。
反抗的人間、読みたいなあ。復刊してくんないかな。
>>395 >「異邦人」「ペスト」「カリギュラ」の主人公達の誠実さ、人間と世界
>の対立についての極限の描き方に凄く共感を受けたんです。
それなら、『転落』はきっと気に入ると思います。是非お読みください。
カミュは否定的な人間像というか、人間の否定的な部分あるいは悪魔的な
部分を書くのがうまい作家で、カリギュラや『ペスト』のコタール、『転
落』のクラマンス、『追放と王国』の中の「背教者」などは非常に魅力的
な人物だと思います。
とくにクラマンスと「背教者」は、カミュの作品には珍しいおしゃべりな
主人公=語り手で、いつ読んでも、その饒舌ぶりに魅せられてしまいます。
新潮社から出ていたカミュ全集全10巻は、『幸福な死』も『最初の人間』
も、『直感』の題名でまとめられた初期作品群も、手帖も入っていない非
常に不完全な全集でした。
本家本元フランスのプレイヤード版も近々新しくなるという話ですので、こ
こいらで新しい全集をだして欲しいところです。
語りクンなら「〜と思う」て書くのヤメロウ。 思うのは勝手。こむずかしく論じたいなら、だ、である調で いかないと通用しなそ。 語るだけ語って「〜と思う」なんていわれたら説得力0。 そしてカミュはやはりペストが最高なのだある。
398 :
吾輩は名無しである :02/05/07 02:14
>語るだけ語って「〜と思う」なんていわれたら説得力0。 そお?
はやく転落・追放と王国読みたいなあ。 地方に棲んでるから月一回の東京出征の時(八重洲ブクセンタ)しか買えないんだー
400 :
吾輩は名無しである :02/05/07 18:29
400シーシュポス
>>399 アマゾソで買えないのかな。
401 :
吾輩は名無しである :02/05/07 19:04
たしかに論文で「〜だと思う」と書かれると、あれ?と思うよね。 でも、こういう場所では違うでしょ。 あれって遠慮や謙譲を表す表現なんだよね。 ま、ナルシスを名乗る人物に遠慮や謙譲は無用だろうけど。
402 :
老人と海馬鹿にした奴は ◆zIdJrjf. :02/05/07 19:36
ペストはカミュの単純だが誠実で力強い思想が現れているのである。 それは世界が人間に課した呵責のない宿命との戦いであり、 それに団結して反抗していくことで世界と戦うという事への高らかな叫びである。 私は最近カミュを読み始めたのであるが、サルトルより正しいと断定した。
403 :
吾輩は名無しである :02/05/07 21:57
断定しましたか?
ナルチス(Narziss)はヘッセの『知と愛』に知の象徴として 登場する人物の名前で、ナルシストとは関係ないのだある。 場所に限らず、論ずる場合には自身の考えに自信がなければ。 知識と発想を披露したのに「〜と思う」と自ら引いて しまっては、せっかくの理論もやすっぽくなってしまう。 自ら持論を殺さないように「だ。である調」をわたしは すすめるのだある。
405 :
吾輩は名無しである :02/05/08 07:15
法律の基本書に出てくる、 「〜であると解すことも可能であると言えなくも無い」 なんてのはハァ?って思うね。 そんなに自信無いんなら書くなよゴルァ!と。 ”価値相対主義を前提とし、自説と異なる見解にも一定の理解を示し、 人としてのバランス感覚を見せる”という狙いがあるのだろうが、 文章力が無いのか?知識に自信が無いのか?という印象しか受けない。 ま、掲示板の議論だったら、どちらでも良いのでは?
406 :
馬鹿丸出しさん :02/05/08 07:16
木ヘンに 抗の左の てへんを抜いた漢字の読み方教えて下さい
407 :
吾輩は名無しである :02/05/08 08:37
くい
408 :
吾輩は名無しである :02/05/08 16:39
青春の放棄。 僕が存在や物事を放棄するのではない。 (僕にはそんなことはできないだろう。) 存在や物事の方で僕を放棄するのだ。 僕の青春は、僕から逃れてゆく。 病気というのはそのことだ。 「手帖」 …最近毎日のように思い浮かべるフレーズ。
409 :
吾輩は名無しである :02/05/08 21:19
私も掲示板の議論は「だ・である」でも「です・ます」でもどちらでも いいと思う。 が、しかし、そもそも議論なんてしてねーじゃねえか、君たち。
410 :
吾輩は名無しである :02/05/08 21:44
ナルチスの語源はギリシャ神話のナルシスである。 その名を『知と愛』で使ったのは、ヘッセのウィットである。 そんなことも知らないでナルシストとは無関係というのは噴飯もの なのである。
411 :
老人と海馬鹿にした奴は ◆zIdJrjf. :02/05/08 23:04
「誤解」は展開、シナリオは好きだが、クライマックスがちょっとイマイチである。 「カリギュラ」は今読むと、大変感慨がある。彼の行動は強間できる。 である。
406に神を感じます。
413 :
吾輩は名無しである :02/05/11 17:45
『誤解』は本で読むと大変面白い戯曲だが、上演されているのをみると それほど面白くはない。 『カリギュラ』は本で読んでも、舞台をみても、大変に面白い。 である。
安サラリーマンです。 古本屋で何気なく手にしたペスト読んでマジに感動しました。 外国文学を読むのは本当に何年ぶりでした。 特に役所に勤めるグランという壮年の男が 帰宅後毎晩一生懸命文章を書くという慎ましい生活の描写に なんとも身につまされるような感動を覚えました。 その他にもとにかく市井の無名の庶民たちの何気ない 生き方がなんとも愛情こもったタッチで描かれているところが なんとも言えず新鮮でした。 ちょっと表現が難しくて意味がとりにくい部分もありましたが、 それは翻訳のためでしょうか? フランス語で読まれた方がいらっしゃったら教えてください。 原語で読むのと日本語訳とではかなり違いますか?
「カリギュラ」「精霊たち」が好き。舞台で見てみたい。
異邦人は英語版でも読んでみました。訳者の解説に簡潔で抑制された 美しい表現とあったので、それを少しでも味わおうと思ったのです。 しかし所詮英語も中学生程度の実力しかなくよく分からなかった。 というか日本語版とそれ程変わった印象はありませんでした。 ペストの英語版もアマゾンで取り寄せてみましたが、あんまり分厚くて 恐れをなしてまだ読んでません。 フランス語の原語版はどうなんでしょうか。 それが日本語版での印象とそう変わらないものであったなら 自分の感覚が間違っていなかったと大変うれしいのですが・・・。
カミュの小説の暖かいタッチが好きなだけで実存主義とかはよく 分かりません。でも異邦人、転落、ペストと読んでゆくと と彼は偽善とか、モラルの押し付け、人に対する決め付けとかを 異常に嫌ってたみたいですね。それで連帯ってことになるらしいの ですが、その道筋はよく分かりませんねえ。
418 :
吾輩は名無しである :02/05/25 22:20
『ペスト』のジョゼフ・グラン、いいですねえ。 ペストにかかったグランが、リウーに原稿を燃やしてくれと言う。 その原稿には同じ文章が限り無くくり返されているが、最後のページには 「いとしいジャンヌ、今日はクリスマスだ」と書いてある・・・なんてと ころは、本当に泣かせます。 カミュの作品の中で一番好きな人物のひとりです。 (他に好きなのは、カリギュラとクラマンス。ちょっと偏ってますかね。) グランのことをダメ人間のように思っている批評家もいるようですが、 『ペスト』の語り手リウーがグランを「もしこの物語に英雄がどうしても 必要だというのなら、それはグランだ」と述べていること、グランがペス トから生還する最初の人物であることを考えて欲しいものです。
私は『ペスト』をフランス語と日本語の両方で読みましたが、とく に違いというか、違和感はなかったですねえ。 翻訳を読んでいて意味がとりにくいところがあったとのことですが、 具体的にはどのあたりなのでしょうか?
>>418 「ペスト」は唯長いだけでつまらなかった。
「転落」の方が傑作だよ。
>彼は偽善とか、モラルの押し付け、人に対する決め付けとかを >異常に嫌ってたみたいですね。それで連帯ってことになるらしいの >ですが、その道筋はよく分かりませんねえ。 偽善を嫌うというのはよくわかるような気がしますが、「モラルの 押し付け」「人に対する決め付け」というのは、どうもピンとこない 感じがします。 連帯というのは、勿論、『異邦人』や『シーシュポスの神話』の頃 のカミュの思想の論理的結果でもあるわけですが、やはり占領・レ ジスタンスというコンテクスト抜きでは語れない部分があるのでは ないでしょうか。
何と言うか全体的に主人公のリウーさんの目まぐるしい思考や感覚の表現 が複雑過ぎてあっちいったりこっちいったり読んでいると訳が分からなく なるような部分があちこちありました。私の頭が論理性に欠けるのかも しれませんが、すっと頭に入る日本文学とは違うなあと思ったことは確かです。 「転落」も率直言ってそんな部分が多かったです。「異邦人」はもう日本文学 以上にスカッと頭に入ってきました。簡潔で印象的ですばらしかった。 しかし「ペスト」の人物描写は、グラン以外にも猫に唾を吐く老人とそれを観察 する人や新聞記者など兎に角在日韓国人の私の心に染み入って来ました。 まあ人の思考や感覚なんていうのはそんな簡単明快なものではないはずだから カミュの描写は本当のリアリズムなのかも知れませんね。 あの「モラルの押し付け」「人に対する決め付け」は異邦人のムルソーや ペストのタルーの世の中に対する抵抗を私なりに解釈したものです。
最初の人間って一部訳でもあるのかなぁ・・
424 :
吾輩は名無しである :02/05/26 00:14
>>423 え?
『最初の人間』は新潮社から完訳(といってももとが未完だから
完訳ではないか)がでてますが。
ぉぉ!それはどうも★ カミュの全集新しく出ないかなぁ。あの黄色のやつ、古いよ。 まぁ1万で買ったので文句はいえんが。。
神はいるからカミュはsage
427 :
吾輩は名無しである :02/05/26 03:40
神がいようといまいと、別にぼくには関係ないもんねーと言ったのは サルトルだったage
>>427 サルトルもカミュもヴァカだったんだな。
429 :
吾輩は名無しである :02/06/05 00:37
いたら関係あるだろうな、確かに。
430 :
吾輩は名無しである :02/06/09 22:06
質問です。カミュの言う「明晰」ってなんですか?
431 :
吾輩はサルとるるるるるるる :02/06/09 22:21
文学自体があまりにもいい加減なものなので それを認めたくないカミュは明晰明晰いいました。 だからカミュいう明晰自体もあいまいなものです。 それに形を与えようと必死でした でもそのまえに逝ってしまいました かれは偶然の事象の中で死を与えられたのです。
432 :
吾輩は名無しである :02/06/09 22:38
泣きage
>>431 有難うございました。
あいまいなんですか・・・
でも、一応必死だったんですね。それを聞いて安心しました。
434 :
吾輩は名無しである :02/06/09 23:12
あ、あのう、431の説明で納得しちゃうの? まあ、それはそれでいいけど。 だいたいカミュってそんなに「明晰」「明晰」って言ってましたっけ? 『シーシュポスの神話』だけじゃないの、それは。
最初の人間げっと
436 :
吾輩は名無しである :02/06/28 22:00
最初の人間が最後の作品とはこれいかに。 つ・・・つまらん。
カミュース
438 :
吾輩は名無しである :02/06/30 03:16
英語読みするならアルバート・カマスといって欲しい。
439 :
吾輩は名無しである :02/06/30 09:09
コニャック。
440 :
吾輩は名無しである :02/06/30 19:47
アルマニャック。
441 :
吾輩は名無しである :02/07/05 20:05
カミュ『異邦人』の特に冒頭部って句読点多くないですか?全編にも言えることですが。。 あれは、あえてそうしてるのですか?意見キボーンヌ。
あと ― 前もって言いますが、俺は教養が少ない ― 異邦人のかたくななまでの、俗世や神などを拒絶し、自己や現実を見つめてたけど、 あれは、ニーチェの超人思想と通じるところがあると思うのですが、どうでしょうか? 意見キボーンヌ。
異邦人のかたくななまでの→ムルソーはかたくななまでに に訂正. 意見待ってます。
444 :
吾輩は名無しである :02/07/05 20:17
それはどうかしてるんじゃないか? ボクはニーチェには新しい偶像への誘いを感じるぞ。 ボクが彼奴を嫌っているのもそこに理由がある。 あまり哀れな男だ。 真理、偶像、そういったものの魅力につかれた男の敗北絵巻だな。 カミュのムルソーについては別の機会にしよう。 今はこれで失礼する。
445 :
吾輩は名無しである :02/07/05 20:21
>>444 >新しい偶像への誘いを感じるぞ
ニーチェが提示したツァラトウストラが一人歩きしているってことですよね?
>カミュのムルソーについては別の機会にしよう。
うえぇぇぇぇん!!
446 :
吾輩は名無しである :02/07/05 20:39
>>445 一人歩きっていうかさ、志高性に彩られてるでしょ。
ま、偶像を求めた時点でキミはムルソーと無縁だよ。
わがムルソーは離人症でいい感じ。
いまサルトルのシチュアシオンT『唯物論と革命』をひっぱり出してる。
《異邦人》解説から明日にでもすこしだけ引用しよう。
キミはシジフォを読むなり読み直すんだ。
447 :
吾輩は名無しである :02/07/05 20:48
>>446 ちょ、、ちょっとまってよ。。。
何時俺が偶像を持ち出したんだよ?
俺はただ、ニーチェの超人思想に似たものがないか?と言っているだけだよ。
あなた、ニーチェが嫌いなだけじゃないですか??
俺は、ニーチェ信者でもないし、むしろ形而上学的ものに傾倒しているように自分で感じてるんですが。
それに、引用なんてせず、自分の意見ってものを言って欲しいのだが。。
離人症であるという意見は、同意ですが。
448 :
吾輩は名無しである :02/07/05 20:51
超人思想=俗世や神などを拒絶し、自己や現実を見つめてたけど と言う意味で使ったことが悪かったのか?解釈がおかしいでしょうか?
449 :
吾輩は名無しである :02/07/05 20:55
>サルトルのシチュアシオンT『唯物論と革命』をひっぱり出してる 勿論読んだ事ないんですが、そこに何について書いてあるんですか? 今手もとにないんで、どうしようもないんです。 答えを急ぐのは良くないけれど、俺は答えが知りたい。
サルトルの異邦人解説はいまだもって読むに堪えるものらしいよ。 んー、ひらったく逝っちゃえば、『異邦人』という作品の中に ちりばめられた言葉の連なりひとつひとつが全き等価値の下に 展開されているってことかなぁ。でもってその条件を約束するのが 思惟と行為が別々に働くムルソーでしかない、みたいな。 (みつかんねー、友達に貸しちゃったみたい) ん、偶像か。 あのロマンの中では読者たる僕等もまたムルソーだってことを 言いたかっただけ。 ごめん徹夜二日目だからまともに答えられんのよね。 カミュなに読んだの?
451 :
吾輩は名無しである :02/07/05 22:02
サルトルの「『異邦人』解説」は、『シーシュポスの神話』を『異邦人』 の解説書と考えるというものですね。 『異邦人』に所謂「不条理の哲学」を持ち込むことに関しては賛否両論あ りますが。
不条理と悲劇だと思いました。 ムルソーは自分の正義を貫いた結果生命の死が訪れたのだから。 免れぬ死であるわけだからね。自分の正義を貫いた結果。 正義とは、悪意の反対語として使いました。 つまり、ムルソーは悪意のこもった行為はしていないので。
453 :
吾輩は名無しである :02/07/05 23:36
不条理・・・ですかねえ。 個人的にはムルソーは不条理以前の人間のように思うのですが。 ムルソーの「真実」なるものも、カミュ自身「否定的真実」と 言っていることからわかるように、「〜すべし」ではなく、「〜 すべきではない」という類いの真実(嘘をつくべきではない、 演技をするべきではないなど)ですからねえ。
>>453 そうだすね。不条理ではないかもしれない。
カミュとは別種の人間の俺にとっては、やはり悲劇に見えてしまう。
つまり、なにも悪意のあることはしていない(あなたの言うように
演技するべきではないから)のに生命の死が訪れる点でです。
ディオニソス的悲劇とは言えないけど。。。
ディオニソス的悲劇が積極的悲劇だとするとムルソーのは消極的悲劇だと思いますが。
俺としては。
age
456 :
吾輩は名無しである :02/07/06 01:07
『異邦人』の研究書で絶対にはずせないものというと、サルトル の「『異邦人』解説」以上に、ルネ・ジラールの論文でしょうね。 たしか「『異邦人』のもうひとつの罪」とかいう邦題がついてま した。 『地下室の批評家』というジラールの論集に入っていたはず。
457 :
吾輩は名無しである :02/07/06 22:41
異邦人のラストで、世界のやさしい無関心に心を開いたムルソーが、 何故処刑台の上、観衆に憎悪の叫びを強く望んだのかが未だに理解できない。 あれはどういう風に解釈されているのだろう。私は「観衆の憎悪の声が、 、自分を偽らないで迎えた誇り高き死への賛美になる。」という風に解釈したのですけども。 「転落・追放の王国」の新潮文庫版で読んで、転落はスラスラと読め、面白いと思ったのですが、 追放の王国になったら、途端に文章の訳がクソになり、いまだに最後まで読めていません。 改めて、原文で読む必要性を思い知らされました。フランス語がてんでできないので、 原文で読むのは、時期にということにして、どなたか追放の王国を別の訳を知りませんか? あの訳がどうしても厳しくて。
458 :
吾輩は名無しである :02/07/06 22:44
カミュ全集
459 :
吾輩は名無しである :02/07/06 23:40
>>457 見物人たちの憎悪の叫びについては、一番ふつうの解釈は、それによって
ムルソーが十字架にはりつけにされたキリストと重なるというものでしょ
うね。
ただ、ルネ・ジラールはムルソーは犯罪をおかすことによって世間の注目
を集めようとしている、だからこそ処刑の日に多くの見物人が来ることを
望むのだと言っていますし、精神分析学者のアラン・コストは、カミュの
父親が死刑を見物に行ったことを踏まえて、ムルソーは見物人の中に自分
の父親をみつけようとしていると言ってますね。
『追放と王国』の翻訳はいまのところひとつしかないと思いますよ。
暗めの風景描写が多いので、読みにくいのかな。
460 :
吾輩は名無しである :02/07/07 02:15
憎悪の声によって自己を確立したかったんじゃないか?
461 :
吾輩は名無しである :02/07/07 22:35
459> 457のものです。丁寧にレスをつけていただき有り難うございます。 ルネジラール図書館で借りてみます。 追放の王国は暗いから読めないのではなく、 訳文が合わないのです。今度こそつべこべ言わず読もうかと思ってますが。
462 :
吾輩は名無しである :02/07/08 22:32
『追放と王国』はたしかに『異邦人』『ペスト』『転落』からみると ちょっと落ちる感じは否めないですね。 でも、それでも「不貞の女」「背教者」「ヨナ」あたりはやっぱりいい なあと思います。 なかでも特に「背教者」かな。 カリギュラといい、クラマンスといい、カミュはこういう悪魔的な人物 を書かせると、うまいなあと思います。 個人的には、『ペスト』のコタールや『戒厳令』のナダも好きです。
463 :
吾輩は名無しである :02/07/19 03:39
age
464 :
吾輩は名無しである :02/07/26 09:00
異邦人再読記念あげ
465 :
吾輩は名無しである :02/07/26 13:53
よく一度読んだ本をもう一度読めるな。
466 :
吾輩は名無しである :02/07/26 14:30
468 :
吾輩は名無しである :02/07/30 22:56
もうねたがなくなっちゃったかな。
469 :
吾輩は名無しである :02/07/31 00:27
シジフォスの神話ってようするに何よ?
470 :
吾輩は名無しである :02/07/31 00:56
改悛した判事の喩えマンセー
471 :
吾輩は名無しである :02/07/31 01:13
「改悛した判事」は誤訳。 正しくは「改悛者にして判事」。
472 :
吾輩は名無しである :02/08/04 13:30
このスレも終りか……
473 :
吾輩は名無しである :02/08/07 00:47
定期age ところで、「追放と王国」の”不貞”で、カミュは何を言いたかったの? 最後に女が砂漠の星空に向かって自分を開いた、とあったが、 これは何を示しているのか、解説キボンヌ
474 :
吾輩は名無しである :02/08/09 21:52
高一の時異邦人を読んだけど、 今までに呼んだことがないすごい小説だった。 カミュサイコー
475 :
吾輩は名無しである :02/08/10 01:21
>>473 「不貞の女」は文字どおり女が世界と性交する話じゃないですか。
人間が世界と同一化するというのは、カミュの最初からのテーマ
な訳ですが(『異邦人』でもラストでムルソーが「世界に自分を
開き」ますよね)、「不貞の女」では、主人公が女で、世界が男
というところがミソ・・・なのでは。
476 :
吾輩は名無しである :02/08/10 23:08
ふと思い立って、新潮文庫『異邦人』を原書と対照して読んでみたので すが、ひ、ひどい。 これほど誤訳が多いとは思いませんでした。 残念ながら絶版ですが、同じ新潮からでているカミュ全集の中村光夫訳 で読むほうがいいですね。
477 :
吾輩は名無しである :02/08/10 23:17
>>476 とてもひどいと思ったところを上げていただければ嬉しいです。
例えば、第二部第一章で、ムルソーがあまりにも馬鹿正直なので 弁護士が怒って出て行く場面。 「憤慨した様子で、彼は出て行った。彼を引きとめて、同情を得たい と望んだが、それもよりよく弁護されるためではなく、言ってみれば むしろ当たり前にやってもらうためなのだ」 とあるけれど、「当たり前にやってもらうためなのだ」は誤訳。 ここは、「よりよく弁護してもらうため(という打算から)ではなく、 自然にそうしたいと思った」が正しい。 また、裁判の場面(第二部第四章)で、検事の弁論が長過ぎて「しま いには、この朝の暑さを私が感じなくなったほどであった」も誤訳。 「朝の暑さしか感じなくなった」が正しい。
479 :
吾輩は名無しである :02/08/19 20:14
480 :
吾輩は名無しである :02/08/22 22:36
>>479 神保町で売ってましたよ。
店の名前は忘れましたが、大きな店で2階建て、
2階には哲学宗教系の本があって階段には文学全集が積んである店。
その1階にありました。でも考え直してみると日記だったかもしれません。
ところで宮崎嶺雄訳の新潮のペストについてですが、
とても読みにくいと思うのは私だけですか?
うまい訳だとは思えないのですが・・・。
481 :
吾輩は名無しである :02/08/24 04:15
カミュ好きは倉橋由美子の「婚約」も読んでみてください。 カミュの作品に出てくる登場人物が出てきます。 新潮文庫で絶版です。
482 :
吾輩は名無しである :02/08/24 11:58
>>481 倉橋由美子ですか。
彼女はカミュよりも、カフカに傾倒した作家だと思っていましたが、
カミュの作品の登場人物(誰だろう?)を自分の小説で使っている
のですか。
絶版ということですので、そのうち図書館で借りて読んでみます。
483 :
キリングバイツ :02/08/24 12:04
やっぱカミュ先生はシーシュポスの神話だね! あれは面白い!難しいけどね。
484 :
吾輩は名無しである :02/08/24 16:13
カフカとカミュとサルトルの三位一体などと自分で抜かすところがちょっと何ですが、 まあ確かにそんな感じです。倉橋由美子。
485 :
吾輩は名無しである :02/09/06 15:34
スレ読んで「転落」がおもしろいというのが多かったので読んでみましたが さっぱり意味が分かりません。一体主人公は何がいいたいのでしょうか? それよりもああいう書き方の文章は初めてで面白かったんですが、よくあるのですか?
486 :
吾輩は名無しである :02/09/09 16:41
カミュって、この板のトップの写真の人でしょ? 知ってますよ〜
487 :
吾輩は名無しである :02/09/15 09:53
>>486 あ、やはりそうなんですか。
昔文庫で買いあさったけどすっかり中身は忘れてしまった・・・
唯、何となく人柄が好きになれそうな気がしてました。
サルトルとは友達になれないだろうけど、カミュとは、煙草を吸いながらペルノーをいっぱいやれそうな。
うう、なんだかしらんが思うと涙が出そうになるよ。
なんであんなに早く死んでしまったんだろう、って。
サルトルみたいなエエカッコしの助平オヤジが長生きしてさ。
両方ともよんでもちっともわからなかったのに、
何故かカミュは知り合いのおじさんみたいな気がする・・・
488 :
吾輩は名無しである :02/09/20 22:52
カミュの全集(新潮10冊組)がほしいんだが、どこにも売ってない。 ネット古本屋だと相場どのぐらいなんだろ? あと新潮以外ででてる著作を知ってる人いたら教えてください。 (伝記、評伝じゃなく、本人の著作で) 教えてくんですまんが。
>>457 メチャクチャ遅レスだけど、
個人の心証としては、ドストエフスキーの悪霊のスタヴローギンと同じで、
そういったある種の醜悪な状況に、快楽っていうか、癒しを見つけてたような気がする。
どっちも道徳やコモンセンスとは無縁の人だし。
でも多分、459のキリストに重ねるって言うのが確かに正しそう。
490 :
吾輩は名無しである :02/10/07 17:42
あげ
491 :
吾輩は名無しである :02/10/12 23:14
神保町で手帖買ってきました。 7500円もしたけど読んだ形跡がないくらいきれいだった。 図書館から借りてたけど、これで自分のものになったってのは最高やね。
492 :
吾輩は名無しである :02/10/12 23:16
手帖ねえ。 昔は新潮文庫で出ていたものですが。 今にして思えば、よく文庫で出したものですね。
まだママンは死んでない。
494 :
吾輩は名無しである :02/10/14 13:06
ママンはカミュより長生きした。
確かに『異邦人』の主人公は、母親の死に不感を抱くことの「?」から 物語が進んで、地盤となるのは絶対愛=キリストになるのだけれども、 それはカミュにとっては大きな物語に回収されてしまった過去的な図像 、大文字の他者への不信感というか、不信を抱く前に不感な自己の周囲 を取り巻く人間のやたら感情的な冒涜行為をただポカーンと眺めやること しかできない寂しさ、自らを大きな物語の端っこに立つ他者に見立てて、 周囲の騒動に、知らずに巻き込まれていく不条理、だから、『異邦人』 は主人公の目線で書かれているから、そうした騒動がただ淡々と描かれている ことを「退屈」と捕らえてしまうのも無理はない。その「退屈」こそが、 小説の原点となる虚構への入り口なのだから、一見読者のことを何も考えて いないように見えて、その実、「何も理解しななくていい」あるいは 「何も理解することなど不可能」であるというポストコロニアリズム、 カルチュラルスタディーズの先見的小説であるというのは正しい。 物語の登場人物が同じ小説の地上に立っているというだけで、無条件に 分かり合える、分かり合う運命にある、という作者の独断の方がよほど、 不条理なのである。
496 :
吾輩は名無しである :02/10/29 01:12
tうぇr4sysrgyhrsdysr4ygsw!!!!!
497 :
吾輩は名無しである :02/10/29 22:01
そもそもカミュの作品を「不条理」ということばで説明しようとする ことが、間違いのもとではないのか。
>>495 の前半部でその「不条理」が適用される以前の間テクスト性
みたいなものに直結しようとさせたのだけれど失敗かな?
499 :
吾輩は名無しである :02/10/29 23:52
495は前半部だけでなく、全部が失敗だと思う。
500 :
吾輩は名無しである :02/10/30 00:02
こぴぺ。
てか、テクニカルタームつかうなら定義調べたほうがよいんでないか。 間テクスト性なんて495のどの言及とも関連せんぞ。後半は意味不明。 よって499が正しい。
a
ageられてしまったので答えよう。 間テクスト性と接続しているという言説はいささか強引にすぎた かもしれないがまったく偽であるということでもないのである。 間テクスト性とは、おのずと形相だてられた紙媒体あるいはインターフェイス の表層に散りばめられた綴り字を隔てて、その拡散する意味、概念 内容、観念とうとうの散種をその綴り字にまつわる確定記述の束として 見立てて、その集合的無意識のようなある物語、大きな物語全般と 大体接続する。要するに間テクスト性とは、テクスト以前、文字が書かれる以前 にある空間としてそこに存在する人間の無意識あるいは唯識の形相を 指示するのである。 この点で言えば、カミュの『異邦人』に見られる「不条理」。それが 一貫して説明的にではなく、人間の描写、内面ではなく表層の描写を とおして私たち読者の無意識、人間の全一識を統御するある確定記述の 束であるということは、あながち間違いではないのである。
504 :
吾輩は名無しである :02/11/05 09:09
506 :
吾輩は名無しである :02/11/05 12:07
>>503 もうちょい簡単に書けよー
要するに、
『異邦人』の主人公は大きな物語の一部でありながら大きな物語自体を疑いの目で見つめているヤシであり、
その主人公に対して大きな物語が及ぼす影響が内面描写をともなわず淡々と語られているため、
かえって大きな物語の姿が「不条理なもの」としてはっきり見えてくる、ということか?
507 :
吾輩は名無しである :02/11/09 01:23
カミュの誕生日って、昨日だったけ、おとといだったっけ? 1913年生まれだから、生きていれば89歳かな。 そう考えると、同時代人なんだよね。
508 :
吾輩は名無しである :02/11/09 01:27
小島信夫とタメだ。小島ってスゲェな。今年も新作刊行してるし。
509 :
吾輩は名無しである :02/11/09 06:13
>503 だいじょうぶか。すぐに崩れそうな文体だな。
「これほど世界を自分に近いものと感じ、自分の兄弟のように感じると、 私は、自分が幸福だったし、今もなお幸福であることを悟った。一切が はたされ、私がより孤独でないことを感じるために、この私に残された 望みといっては、私の処刑の日に大勢の見物人が集まり、憎悪の叫びを あげて、私を迎えることだけだった。」(『異邦人』窪田訳 新潮) この「内面描写」は「内面」からの「外延」への自我の放出を欲望しており その欲望を代補する装置として「憎悪の叫び」を必要としている。 「憎悪の叫び」は、それもまた人間の「内面」から発せられたものである。 しかしその「内面」からの無理解によって「内面」と「内面」の接合は辛うじて 避けることができる。他者からの理解は、「内面」の輪郭を唾棄し、飽和させ そのまま「大きな物語」の超越論的読解の彼岸へと放たれてしまうからだ。 主人公は、「世界を自分に近いものと感じ」ることを「今もなお幸福である」 と感じる実存主義者に設定されている。「世界を自分に近いものと感じ」 というのは、つまり「世界」をあらゆる装飾や弁証、レトリックとは接合 しない無根拠なものとして感じるということである。この点でいうと、 主人公は「処刑」される日に、誰からも無視されただ自己の死を自然発生的に 終わらせることを望んむべきだが、「憎悪の叫びをあげて、この私を迎える」 ことを「望み」としている。これはつまり「処刑」という非能動的で非自然的 な「死」への到達をあらかじめ前提とした上で、それでも「世界」との近接 関係を欲するためには、あらゆる人間からの「無理解」を望むしかないという 苦しい判断のもとに立った「望み」として書かれていると思われる。
この主人公は「不条理」を体現しているというのではなく、そもそも「不条理」 というのはあらゆる諸規定、法、規則と人間の情念との内部齟齬として形相 だてられるものであるからして、その人間の個人的な物語と、世界の寓話化 としての「不条理」=大きな物語とは別の位相にあるものとして読解すべき である。「不条理」が世界は確かにそうなっている、という寓話性の主題 だとすれば、その寓話的な御伽噺からの開放をめがけて「世界」の実存的 位相の発見に主人公の欲望が傾いているのは、一読すれば明らかである。 しかし『異邦人』は一貫して主人公の自意識の特権化、「誰でもが特権を持って いるのだ」という「内面」の暴露をして、その「内面」の思弁性をして同一性 の必然性を盲信し、「世界」それ自体との近接に失敗する。大きな物語と 個人の同一性の間を生きる主人公は、冒頭で母親の死に対し涙を流さなかった 自分に「何人といえども、ママンのことを泣く権利はない」という特権化に よって当初の自分の無意識に答えを付与してしまうのである。 母親と自己の近接性に言語が介在することで、主人公は「泣く理由」と 「泣かない理由」の位相を振り分ける意識に回収されてしまう。 ラストの語りにおいては、その理由付け、定義づけに自らの欲望の発露を 発見することが、そのまま実存的な世界との断絶を逆説的に反証してしまって いるのだ。
513 :
吾輩は名無しである :02/11/09 18:15
>>511 新しい種類のアラシなのか、たんなるデンパなのか、それとも
かまってちゃんなのか・・・
野に埋もれた天才という可能性は・・・ないだろうね。
514 :
吾輩は名無しである :02/11/09 18:21
>>513 若い頃に背伸びしたかった時期は君にもあるでしょう? きっとそれです。
515 :
吾輩は名無しである :02/11/09 19:12
なるほど、そうかあ。なっ・と・く。
516 :
吾輩は名無しである :02/11/11 10:33
で、実存主義って何なんですか?
517 :
吾輩は名無しである :02/11/11 11:42
>512 部屋でもんもんとしてないで、ちゃんと授業に出て、単位取れ!
518 :
吾輩は名無しである :02/11/11 12:50
>>516 実存主義とはヒューマニズムであるとサルトルは言ってますなあ。
で、カミュは「私は実存主義者ではない」と言ってますね。
519 :
吾輩は名無しである :02/11/11 13:23
今日は学校にいかない。太陽が眩しいから。
だれか僕のママンになってください。 生みの親は殺してしまいました。
>>518 いや、そういう漠然としたのじゃなくて、
もっと具体的に、しかも噛み砕いた内容を知りたいです...。
分かりやすいやつ。
522 :
吾輩は名無しである :02/11/11 16:37
こんなところで訊くなよ・・・ 本読んでくれ。 4冊15時間でオッケーだよ。
523 :
吾輩は名無しである :02/11/12 22:45
4册で15時間・・・ 一冊あたり3時間45分? えらく中途半端な数字・・・
524 :
吾輩は名無しである :02/11/13 21:27
「異邦人」の窪田訳は読みづらかった。 というより訳者はきちんとカミュの主張を把握できているのか? 原文をそのままズルズル訳されても困るわけで。 カミュはすべてを疑おうとしてるわけじゃなく、 そもそも疑いすらもっていないということですよね。 そして、それに対して裁かれることが不条理だと。
確かに読みづらい。でもそれでいいと思うんだよね。疑問を持ってない主人公から 見た風景だから。文脈が取りづらくて大変なんだけどね。主人公が最後に答えを 提示しちゃうところが、実存主義から距離を置くっていうことになってると 思うんだけどね。カミュ自身も実存主義者じゃないらしいので。
526 :
吾輩は名無しである :02/11/16 02:03
異邦人のルムソーと人間失格の葉ちゃんに共感する(というか、どこか安心感を覚える) 私は人間社会に不適応な感じですかね?(ニガワラ
読みづらい? そうかな?私はまるで美しい詩を読んでいる気分になりましたけど。 窪田訳は名訳だと思ってますよ。 シーシュポスとかもたまに凄く詩的な表現があるし。
528 :
吾輩は名無しである :02/11/22 06:47
ところで文学板の写真ってカミュなの? こんな顔してたっけ?
ブライアン・セッツァーみたいよね。
530 :
吾輩は名無しである :02/11/26 20:06
ふせぎあげ
531 :
吾輩は名無しである :02/11/26 22:20
ブライアン・セッツァーって誰?
532 :
吾輩は名無しである :02/11/26 22:52
元ストレイキャッツ(たぶん)、で、ギターの神
533 :
吾輩は名無しである :02/11/26 22:58
神じゃないと思うな。
534 :
吾輩は名無しである :02/11/26 23:01
いま若手のバンドから、神と崇められてる。 オーストラリアのリビングエンドのクリスもそう。
535 :
吾輩は名無しである :02/11/29 00:13
みなさん、サルトルも読んだことありますよね?
536 :
吾輩は名無しである :02/11/29 22:01
>>532 教えてくれて、ありがとう。
でも、ストレイキャッツって知らないなあ。
トムキャッツなら知ってるんだけど。
>>535 読んだことありますが、それが何か?
保守
538 :
吾輩は名無しである :02/12/10 19:51
革新
539 :
吾輩は名無しである :02/12/10 19:52
なんちゃって
540 :
吾輩は名無しである :02/12/11 17:20
セインのおじさんだったんだってね。知らなかった。
異邦人から無人くんへ
保守
543 :
吾輩は名無しである :02/12/20 21:27
実存主義=ロリ か...
544 :
吾輩は名無しである :
02/12/27 16:39 三野博司『カミュ「異邦人」を読む:その謎と魅力』という本が出ている けど、誰か読んだ人いる?