半盲、閃輝、内視現象等残像のスレ

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7病弱名無しさん
http://www.pariet.jp/helpful/vol54/no560/sp16.html
質問 閃輝暗点の本体は

 片頭痛の前症状として尖輝暗点を訴える患者がいますが、頭痛症状はなく、
短時間(数分〜20分位)暗点のみ訴える方がいます。患者には不快ですので
相談されるのですが、
(1)発生の機序(血圧は関係ないように思えます)
(2)加齢と関係するか
(3)頻繁に起こる場合、検査を必要とするか(何科を紹介すべきか)
(4)治療についてお教えください。(東京都・内科)

8病弱名無しさん:2012/09/17(月) 09:25:04.21 ID:Yzkyzu3t0
回答 北里大学医学部 神経内科学教授 坂井文彦
 国際頭痛分類第2版の日本頭痛学会訳(2007)では、「閃輝暗点」と訳している。
閃輝暗点(図1)は片頭痛の前兆として訴えられる特徴的な症状である。視野の中心あたりに
小さな光って見えにくい部分が現れ、徐々に波紋状に拡がる。半円状に辺線がジグザグ模様に
輝いて拡大する(陽性徴候)が、そのあとを追うように見えにくい部分(陰性徴候)が続く。
 通常、20〜30分かけて片側の視野の辺縁まで拡大して視野の外に消える。その後に、
視野の対側に拍動性の頭痛が始まるのが典型例である。
 閃輝(輝く部分)暗点(見えにくい部分)が連続して拡大する現象は脳皮質に
起こるcortical spreading depression(皮質拡延性抑制)が原因と考えられている。
大脳皮質の一部の神経細胞に始まる興奮と抑制が、周囲に伝播する現象が実験動物のみでなく
片頭痛患者の前兆期にMRIなどで画像化されている。
9病弱名無しさん:2012/09/17(月) 09:26:38.20 ID:Yzkyzu3t0
(8の続き)
 片頭痛患者で前兆のあるものは約3割である。これらの患者は、前兆のない片頭痛発作も
体験する。片頭痛は前兆を起こす神経系と頭痛を起こす血管系との連結した病態によると考え
られている。前兆のない片頭痛を経験する人が多いが、前兆のみを経験する人もいる。若年期
には前兆と頭痛のあった人が、加齢とともに頭痛が減少し、前兆のみとなることも少なくない。
閃輝暗点のような前兆は片頭痛の部分症状であり、他の疾患が原因となる可能性はない。
しかし高齢者で今まで片頭痛を経験したことのない人が、初めて前兆らしき症状を訴えた場合には
脳疾患を鑑別するためにMRI、脳波、脳血管SPECT検査を行う必要があり、神経内科に紹介する。
 片頭痛の予防薬は、前兆と頭痛のいずれか、あるいは両者を予防することになる。
前兆を予防する薬剤のメカニズムは皮質拡延性抑制を減少させると考えられる。
本邦では塩酸ロメリジン(商品名 テラナス?、ミグシス?)が片頭痛予防薬として保険適用が承認
されている。前兆のみの片頭痛、すなわち閃輝暗点のみの治療も塩酸ロメリジン(5r)を1日2〜4錠
(朝夕に分服)が第一選択である。3カ月継続し、発作が減少すれば漸減中止する。片頭痛の前兆である
閃輝暗点は予後良好な疾患と考えられている。

10病弱名無しさん:2012/09/17(月) 22:15:38.60 ID:Yzkyzu3t0
(9の続き)
文献
1)日本頭痛学会編「慢性頭痛の診療ガイドライン」、医学書院、2006年
2)日本頭痛学会・国際頭痛分類普及委員会訳「国際頭痛分類第2版新訂増補
日本語版」、医学書院、2007

注(商品名 テラナス?、ミグシス?)の?は商標マーク