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現代の断食聖人
私たちは、おもに中世(後期)の聖人について詳しく述べてきた。しかしそれより後の世紀になっても、
中世期の先輩たちときわめてよく似た生活をしている若干の女性がいた。
十九世紀においてさえ、チロルのマリア・ドメニカ・ラッツァーリやベルギーのルイーズ・ラトーのような女性が、
強い宗教的な霊感を得て断食を実行した。しばしば聖痕があること、聖別された聖体だけを口にする事実もあったが、
二十世紀にもこのような敬虔な断食女性が認められる。
例えばポルトガルのアレッサンドリーナ・マリア・ダ・コスタは十五年間食物をとらないで暮らしたと言われている。
1924年に、二十歳の娘が、侵入してきた男から逃げるため、窓から飛び降りた。彼女はこのとき以後、
1955年に死亡するまで、ベッドに寝ていなければならなかった。数年後に、彼女はキリストの聖痕を現わし、
その少し後から三十年間(1924〜1955まで)聖体拝領だけで生きていた。
教皇ベネディクト十四世(後述)の法令によって、彼女は四十日間連続的に監視を受けたが、
なんらの偽りもないことが明らかになった。多数の人びとがこの驚嘆すべき女性を訪問した。