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たま【つづき】 :
基本は野菜食 P37〜
午前五時。西原町に一人で暮らす93歳の比嘉厚吉さんの一日が始まる。
入れたてのお茶をゆっくり飲み、目が覚めたらその日一日分の食事作りに取りかかる。
ニンジン、キャベツ、ニラ、ゴボウ、マメなどの野菜と豚肉、豆腐にしょうゆ、砂糖、
小指の先ほどの味噌を鍋に入れ、クツクツ煮込む。「入れ歯だからよー、軟らかくしないと」。
約一時間で野菜たっぷりのンブシーができあがった。
たまに、近所の人が差し入れてくれる天ぷらやソーメンのおつゆが加わるが、
畑仕事の合間に食べる三度の食事は、ほぼ毎日同じメニューだ。
ダイコンにカンダバー(薩摩芋の葉)、フーチバー(よもぎ)、ゴーヤー・・・。
家の畑で採れる季節の野菜が一日中、食卓に上る。
「あんたも、おじいの作ったのを食べていきなさい」。繊維やビタミンたっぷりで、
適度なタンパク質も入ったンブシーは素材のうまみが引き出され、地味な見た目に似合わずおいしい。
食べ終えると、畑に“出勤”。キビ畑や野菜畑で虫を取り、水をまいたり、雑草を抜いたり。
絶えず体を動かしている。キビは出荷するが、野菜は近所の人のもわける。
「郵便配達や集金の人も、もらって帰るよー」と、みんなが喜ぶ顔を楽しみにする。
正午の時報が鳴ると家に戻って昼食のンブシーを食べ、一時間ほど昼寝。目が覚めると再び畑に向かい、
夕方六時ごろ仕事を切り上げて三度目のンブシー、そして九時には就寝。
この規則正しい生活を、もう40年以上続けているという。
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