過去十年来、古守病院が行なう巡回検診に参加、棡原の食生活の変化と健康とを研究されている
岩手大学の鷹觜テル教授と私は、棡原中年層の死因と死亡年齢との正確なデータを知りたいとの悲願に燃えていた。
たまたま昨秋、法務局と上野原町当局の協力のもと、昭和元年より
60年間における棡原住民の死亡診断書約3000枚をチェックした。これは大変な作業だった。
この作業結果は岩手大学鷹觜研究所にて分析検討され、本書においてその詳細が発表されているが、概略は次の通りである。
昭和元年より20年毎に3本の年齢別死亡曲線を画くと、昭和41年から58年まで18年間において
45から65歳までの中年層は死亡曲線がそれ以前に比し、急上昇していることが判明した。
これは実際に村を歩いて観察した事実と完全に一致した。
同時に年代別、死因別死亡曲線では昭和20年、終戦を境として脳卒中が激増し、老衰死にとって代った。
しかしガンは横ばいであることは注目してよい。
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