多産、多乳、糖尿病予防
棡原の女性は前述の穀菜食でありながら、驚くほどの多産かつ母乳豊富である。
あの肉食の少ない食生活で本当かと読者は大きな疑問を抱くにちがいない。しかも座産で安産だ。
8人の子を一人で産み上げた白鳥たけさん(90歳)は、寝そべって産むなんて、そんな横着なことを
考えたことはないと語る。横着の語源は寝て産むことから来たのかも知れぬ。
なにしろ恐るべき多産で、13人を産んだ女性を筆頭に9人、10人、11人は軒並みである。
しかも母乳は約98%の女性が多乳である。
中にはオッパイが出過ぎて困り、乳のとまるくすりはないかと医師に相談に行ったほどである。
この母乳分泌を旺盛にするもの、それが穀菜食、とりわけアワ、キビ、ヒエ、穂モロコシなどの雑穀で、
これを食べて寝ると乳房が痛いほど張ってくるという。恐らくビタミンEの作用ではあるまいか。
これが実は棡原の心の真の姿である。
いやこれが戦前までの日本全国、農村地帯の本当の姿ではなかったか。
このあたりでもう日本人は肉食信仰をやめるべき時に来ていると思う。
なぜなら最近「母乳と穀菜食」が糖尿病学の学者たちの間から見直されだしたからである。
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