甲田式で野菜ジュースのみの食生活を目指す8

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210たま【レス代行】
 精神的危機の克服によって菜食主義になったトルストイ

このころのトルストイは菜食主義である。彼が意識的に菜食を初めたのは59歳で、その後82歳で亡くなるまで
頑固にそれを守った。が、もともと狩猟が大好きで、したがって肉も好んで食べていた大地主で大金持ちの貴族であった。
名性欲も名誉欲もあり、作家としてもっと有名になりたいと思っていたし、土地を買ったり財産を増やすことにも
心を配っていた。その彼が、いったいどうしてそんなふうになったのか。
それはひとつの精神的危機を乗り越えたことによる。

50歳頃からトルストイは奇妙な感覚に襲われ始める。それは人生に対する疑問であり、どう生きていっていいか
わからなくなる感覚であった。その感覚は時がたつにつれて激しくなり、自分の人生をかたちづくっていたものや
生きる手立て、すなわち自分が立っていた基盤を失うに至る。
客観的には幸福で健康な人間でありながら、たびたび自殺の衝動にかられるのである。
何かが間違っていると思うのだが、何が間違っているのかわからない。

そんな状態から抜け出して、自分の置かれた状況を確かめることができるようになるまでに、時間が随分かかっている。
ようやくそんな精神的危機を克服した時には、彼はまったく生まれ変わり、その結果として菜食主義になって
いるのである。この自己変革を、一般的にはトルストイの「回心」と呼んでいる。
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