このなかで、エジソンは、ニューヨーク支部のメンバーだったので、ガンジーとはおそらく会っていないと考えられるが、
ウォーレスやクルックスはロンドン支部所属だったので顔を合わせるチャンスはあったであろう。
エジソンが菜食であったかどうかはっきりしないが、その食事はいつもたいへんつつましいもので、
量に関しては頑固なほどに少なめにしていた。
水を含む食物を一食につき5オンス(約142グラム)、一日に三回食べるだけであったという。
ブラバツキー夫人は菜食を説いているので、メンバーとなっている人は菜食志向をもっていると考えるのが自然であろう。
アンナ・キングスフォードとアニー・ベザントの恋人であるバーナード・ショー(1856〜1950)も
25歳から死ぬまでの70年間、徹底した菜食主義を通した。
ショーはイギリスの劇作家で、『人と超人』『メトセラに還れ』などの予言的作品を書いた人物だ。
菜食主義者にはめずらしい無神論者だが、彼の菜食に対する見解は、こういうものである。
彼は、肉体は脳、すなわち容れ物であるから、常に健康に保たねばならないと考えていた。
思考の宿る身体にアルコールや死肉を与えると、本来ならできるはずの最上の仕事ができなくなる。
思考は命であり美であるから、動物の肉や酒、煙草で汚してはならないというのだ。
また、肉食は人類を養育するために、不必要な労働力を多量に浪費するので、食糧にするための
家畜や魚を殺すのには関与したくないともいう。それに肉食はショーの美的感覚にも合わないのだそうだ。
ガンジーは菜食主義を通じて、ショーとも出会っている。また、ショーと並び称される作家、
H・G・ウェルズとも、やはり菜食主義仲間ということで出会っている。二人ともまだ若かった時代である。
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