ドクター江部の糖尿病徒然日記 2009年07月07日 (火) 糖質制限食の効果と長期予後
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-category-33.html <米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに
心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。
総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。
この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、
所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。
権威ある研究により、従来の常識(脂肪悪玉説)が根底から覆ったわけですね。
<New England Journal of Medicine、2006年11月9日>
『米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、
冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった』
このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。
今まで、 糖質制限食(即ち高脂肪・高タンパク食)の長期的な予後に関する本格的な研究がなかったのですが、
とうとう出たという感じですね。
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論文を要約すると
『1980年、米国の女性看護師82,802人に対して、質問票を使った食事調査を行い、研究を開始した。
1980年から1998年までのあいだに、2〜4年間隔で食事調査を6回実施し、一人一人の低炭水化物食の度合を得点化。
2000年まで20年間の追跡調査を行ったところ、1994人が心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患した。
解析の結果、「低炭水化物食得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は、下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
つまり、脂肪とたんぱく質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
**Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women.
New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.』
低炭水化物食を長期に続けた場合、心臓病リスクの上昇などの害が生じるのではないかという批判が、従来の医学界おいてありました。
今回の研究は、低炭水化物食の長期的な安全性を調べる目的で、20年間、82,802人の女性の分析が行われました。
その結果、少なくとも心臓病に関しては、高タンパク・高脂肪食の長期的安全性があるていど保証されたということになります。
このように、理論的にも短期データ的にも、長期の疫学的データでも 、糖質制限食(高タンパク・高脂肪食)の有効性と安全性が、
確立されつつあるといえるでしょう。(おわり)
知っておきたい狭心症・心筋梗塞
http://heart-care.sakura.ne.jp/index.html 現在、日本人の死因の第二位を心臓病が占めており、その多くが虚血性心疾患という名で総称される狭心症や心筋梗塞です。
この疾患は心臓に血液を供給する冠動脈が動脈硬化によって狭窄し、心筋に十分な血液が送られなくなるために起こります。
この動脈硬化には高血圧や高脂血症、糖尿病、肥満などが関わっており、
虚血性心疾患は生活習慣病の最終段階といっても過言ではありません。
虚血性心疾患の恐ろしい点は、自覚症状なく冠動脈硬化が進行し、ある日突然心臓発作に襲われて死に至る事があるということです。
仮に死を免れても、大きな後遺症が残る事もあります。
しかし、この虚血性心疾患は予防できない病気ではなく、万一発症しても早期に適切な治療を行えば克服する事も可能です。
虚血性心疾患の原因、症状、検査、治療を正しく理解し、恐ろしい心臓発作が起こらないような日常生活を心掛けていきましょう。
※血管の老化(動脈硬化)に始まり、身体全体に老化現象として表れる。
(カルシウムの不足やリンの過剰、塩分の摂り過ぎ、糖質の摂り過ぎが老化の要因として大きいと思う。もちろん大食も。
玄米食の指導者にはリン過剰、カルシウム不足の為か、晩年骨がもろくなり骨折する人が多い。
玄米は強酸性食品なので〔食品成分表によると非常にリンが多い〕
黒胡麻のカルシウムや海藻、野菜でバランスを摂らなければ、〔日光浴も〕骨が弱る。
塩分過剰でもカルシウムの排泄を促す。仙人や行者、ラマ僧は穀物、塩を避けるが、胡麻は摂ったりする。)