甲田式で野菜ジュースのみの食生活を目指す3

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341たま
米を一生食わないでも天意によって七十六歳の寿を永遠にたどりいけるという
奇態な老人が二十三日の正午本社へ舞い込んだ。
それは栃木県佐野町字(あざ)堀米大森彦作君という人で、一代の侠骨田中正造翁とも親交があったといい、
一見したところでは七十六歳とは思えず、五十六、七くらい、顔色のつやつやした一巨漢、
黒の綿服に白襟をかさね、半白の頭髪は長くして後ろにチョコンと結び、疎ぜんながく垂れるところ、
いかにも頑固そうな気勢をもって語るところのだいたいはこうである。

「私は三十九年から今日まで米を食わない。常食は大豆一合五勺でほかの食物はいっさい摂らぬ。
これは神のお告げである。この頑強さである。大豆は挽き割りにしても、焙ってもうまい。
だいたいこの滋養のある豆を肥料にするなどとはもってのほかの不都合で、
この米高の時期にその常食をすすめる。物価調節などは朝飯まえの仕事である」
としきりに気焔を吐いた。

こんな記事も出ていたほどですから、大豆一合五勺で、この人の栄養は十分に足りていたことと思います。
もっともこの人は大豆のほかに路傍の草をなんでも摘んで食べるそうです。
その大豆から製した豆腐ですから、豆腐の栄養の大なることはだれにでもわかりましょうが、
あまりに価が安いため、いままで世人に重要視されませんでした。
しかし高価な肉類や魚類を食べないでも豆腐と豆腐殻をたくさん食べれば、
かえって肉類や魚類よりもからだのためには好結果を奏します。(おわり)