なんかあんまり865−アニメのキョラの名前はキモイー

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293 ◆IO10GeuROg
街の中はどこもかしこも赤や緑の装飾で飾られ、木には電飾が光っている。
周りを見回すと街中はカップルで溢れている。
そう、今日は12月24日。
クリスマスイブだ。

私は夕方から買い物をしに街に出たが、そんな街の状況を見て買い物に来たことを後悔した。
必要な買い物だけをさっさと済ませて早々に家へと引き上げた。

こうして私は17回目のクリスマスも家で妹と迎えることになった。
プレゼントを楽しみにしていた幼少時代以来、クリスマスにはとんと縁のない生活を送っている。
食卓にあがるのがケンタッキーのクリスマスバーレルであること以外、いつもの夕食と何も変わらない。
294 ◆IO10GeuROg :2006/12/17(日) 00:56:52 ID:???
「ごちそうさん」
チキンをたらふく平らげ私は自分の部屋に戻った。
「あー、最後の1本はやめとくべきだったかなー」
と口では言うものの、ほとんど後悔していないから困ったものである。
後で体重計に乗ったら怖そう。

おもむろにパソコンのマウスを握り、お気に入りのサイトを巡回をする。
なんらいつもと変わらない生活だ。
「どいつもこいつもイブだっていうのに暇そうだなぁ」
そんな独り言を言っても、お前もだろと突っ込んでくれる人などもちろん居ない。

そう言えば今頃シンとかアスランは何をしてるんだろうか?
そう思いつつ、やっぱり手持ち無沙汰な私はTVのリモコンを弄りながら

「あぁ、今日はラクス様のクリスマスイベント日だったか」
テレビを付けるとサンタクロースの格好をしたラクス様の姿が映し出された。
「うわ〜なんかだっさ〜い」
ブツブツ文句を言いながらしばらくテレビを眺めていたが、チキンをお腹いっぱい食べたこともあって早くも眠気が襲ってきた。
295 ◆IO10GeuROg :2006/12/17(日) 00:57:35 ID:???
眠い目をこすりながらリモコンでチャンネルを1周してみるも、面白そうな番組がみつからなかった私は、ちょっと早めだったが眠りにつくことにした。


やはり早く寝すぎたのだろうか。
夜更け過ぎにふと目が覚めた。
私は布団を掛けなおし、再び眠りにつこうとした。

しかしその時、窓の方から物音がすることに気がついた。
「クリスマスに泥棒か?」
目をこすりながら窓の方に目をやった私は、その光景に目を疑った。

「ルナマリア!」
そこには赤いダボダボのサンタクロースの衣装を着た男の子いいやシンが居た。
「うわっ。や、やばっ」
慌ててその場を立ち去ろうとするシン。
「 ちょ、ちょっと待って」
「わぁ!」
(ドデーン)
慌てたシンはダボダボのズボンにつまずいて思いっきりコケてしまった。
296 ◆IO10GeuROg :2006/12/17(日) 00:58:07 ID:???
「イタタタタ。ったく、こんなダボダボのよこすかな」
なにやらブツブツと文句を言っている。
「何やってんのよシン」
私は目の前で繰り広げられる光景に目を疑いながらもそう聞いた。
「あー、うん、大丈夫、大丈夫だよ。これだけはっきり見られちゃあしょうがないか」
そういうと観念したような顔で立ち上がった。
「えっとー、あのー、シン?」
「あいよっ!」
サンタの衣装をしたシンはピシッと直し、気だるそうに挨拶をした。
297 ◆IO10GeuROg :2006/12/17(日) 00:59:15 ID:???
「で、なんでシンがこんなところに?」
頭の中には色んな疑問が浮かび混乱していたので、そんな質問しか言葉が出てこなかった。
「こんな日にこんな衣装でやってきたんだから、大体分かるだろ?」
そう言いながら背中から白い大きな袋を下ろした。
「もしかして、クリスマスプレゼント?」
「せいかーい」
シンは嬉しそうにそう言うと、白い袋に手を突っ込んで中を探り始めた。

「あっれー? もう残ってないじゃん」
どうやら袋の中はすでにからっぽのようだ。
「おっかしいなー。えーっと、」
シンは慌てふためき
私はその姿をただただポカーンと眺めていた。

「あれ? どっかに落としてきちゃったかなぁ。ちくしょう」
シンは困ったぞという表情で何度も袋の中をのぞきこんでいる。
とうとう諦めたのか申し訳なさそうな表情でこちらに向き直った。
「えっと、なんかすごく期待させちゃって申し訳ないんですけど、プレゼントを忘れてきちゃったみたいで、わりぃな」
298 ◆IO10GeuROg :2006/12/17(日) 00:59:48 ID:???
うわ〜何やってんだかシン。私は白い目でじ〜と見つめるとシンはモジモジしはじめた。
ちょっと可愛いじゃん。
まぁ、私はやれやれと言いながらシンに向けて出来る限りやさしい声で言った

「私さ、シンからのプレゼントなら今年1年でいっぱいもらってますから」
「えっ?」
シンは不思議そうな顔をしていたが、その澄んだまなざしでこちらを見つめた。
その表情のかわいさにたじろぎながらも、私はさらに続けた。
「はっきり言葉にするのは難しいけど、元気とかいっぱいもらったし、えっと他にも」
私がそこまで言うと、シンはニッコリと笑顔を見せ、ただ一言「ありがとうな」と言った。
その言葉に戸惑った私もつい「こ、こちらこそ、ありがとう」と返した。
どこかその間が可笑しく感じて、思わず笑ってしまった私に、シンもやさしく微笑んでくれた。


「あ、いけない。そろそろ戻らないとアスランさんにどやされる」
シンはそう言うと、慌てて白い袋を手に持ち直し、窓の方へ向き直った。
そして、窓のところまで行くともう一度こちらを振り返って今迄で一番の笑顔を見せてこう言った。
299 ◆IO10GeuROg :2006/12/17(日) 01:00:29 ID:???
「メリークリスマス、ルナ」


その言葉とともに、私の目の前は一瞬にして白い光で包まれた。


その眩しい光で私は目を覚ました。
カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。
「えっ? 今のって夢?」

あまりに鮮明に思い出されるさっきまでの光景に、今の出来事が夢なのかどうなのか分からなかった。

ただ、この暖かい気持ちだけは私の心の奥の奥まで間違いなく届いたよ、シン

Fin