楽屋裏Nanoチラ裏スレッドpart38

ウソです

何がウソなのかわからないままに２げと

3з3

４様にソックリです、はい

５愁傷様
ヨン様のどこがカッコイイのか未だに理解できません

6でなしブルース

>>2
38も続いてないからｽﾚﾀｲのナンバーがウソです

ソウです

てんてけてけてーん

ちゃら～

よっ！

泥スレ乙加齢！

物語が進まなくて困ってます

なぜですか？

なんか色々設定ミスったっぽくて

どうぞ懺悔してくｄさい

　　　野　　　球　　　　　　　　とか

ﾃﾗｦｱﾙsｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ
全否定じゃないですか

大体試合風景とかキツくないですかね。野球とか

漫画が描けたら表現するの楽なのになぁとか思いませんでしたか

全力で書いてアレですもん

うごさんぐらい上手だったらいいのにね

事情があってお蔵入りしそうなのでここで晒してみます
http://up2.viploader.net/pic/src/viploader321882.jpg

デスノです

絵が　　　が抜けた

>>22
言いたいことが４つくらいある

5巻だと思うんですけど

これアレでしょ？間違い探しでしょ？

どアップにして見てみたらその「裏」ページと思しき絵が見えてわろた

あの回のページ全部描いたんですよ
火口が「いいものをもらった・・・」ってシルエットで言ってる回

さぁ甲子園の話しましょうよ

全ページはくれないんですか。明日あたりみんな見たがりますよ

いや、蟹さんのキャラをはないたちにかぶせようかと思ったんですけどね

裏ページを透かして見られたのがはずかっちい＞＜
>>29
万能になりますよ
その代わり何かを失う

ものっそい便利ですよね
その代わりに初期設定とか失う

読者の数が半端ないんですからゆっくりでいいから最後まで書いてくださいね

読者の数って･･････････10人くらいでないのかな････････

最後まではやりますよ。最終決戦のシーンとか書きあがってるし

なにここ作家ｽﾚ？

別になんでもない好き勝手におしゃべりするスレです

バッタってけっこうおいしいよね

オゴポコっていると思うんですよね

オゴポゴ知ってる人がいて嬉しい

僕も嬉しいです。モケーレ・ムベンベ

オゴポゴでイメージ検索して笑った

笑うところじゃあありません。こちとら何年期待してると思ってるんですか

お絵かきみれなかた｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡

にやにや

蟹玉ソロ　作詞みんな　の　「軌道修正しましょう」は出ませんかね（;´Д｀）

どんあ軌道をお望みなのか

　　　　　　　
　　　　　　　　　　どんな

どんあ！

執筆中ですか

はぁ

誤爆に気が付かなかった。まぁいいや

だってスレタイがまぎわらわらわっし

しにあさんはどっちの目に泣きボクロ？
あの絵はかがみ見て描いたのかなぁ？

ひだりー

ああん　残念
ボク　右にあるんだ～～♪

　　　　　 п　　　　とりっく
　　　,'⌒i⌒i⌒ヽ　　　　おあ
　　（　　 ●　● ）　　　　とりーと！！
　　ヽ　 i　■　ノ
　　／/ f]つつ
　ヽ /,.く/_|l　
　　　 'ｰ'し'

┃　∧
┃ω・)
┃o)

ずいぶん放置されてまつが、お菓子もらえたん？

|･д･*)

しまった！はにかみが来ていたなんて・・・・！

|･∀･*)

うぐっZ!!!1maniaukka1分以内示威sんぢさ！

地面スレスレから放たれるボールに翻弄される華中打線は、続く5,6番いずれも凡打に倒れてしまう。
打者一巡目はどうやら初めて見る球の感触を確かめるだけに止まりそうである。

かしわぎ　「さて、肩は十分暖まりましたよ･･････っと」

調子を確かめるように肩をグルグルと回しながらマウンドに立つかしわぎに緊張の色は無い。
常日頃よりどことなく敵を小馬鹿にした態度は、ある意味今日の敵に対しては最もふさわしい投手かも知れない。
貪欲に名声を欲する彼は、これほど有名な連中と戦えるとなれば当然いつも以上に気合が入る。

ｲﾉｾﾝｽ　　　「あれ、結構やるじゃん」

たかが控え投手とタカをくくっていたｲﾉｾﾝｽは素直に驚嘆の声をあげる。
こちらは対照的に全くやる気を見せていない。
結局ストレートのみでｲﾉｾﾝｽを三振に仕留めると、その勢いのまま続くバイキング、アポロを凡打に打ち取った。

三回の表は三たび華中の攻撃となる。
７番ツルゲーネスから始まる下位打線は、やはりｲﾉｾﾝｽを打ち崩すことは出来なかった。
ｲﾉｾﾝｽはここまで外野にボールを飛ばせない完璧なピッチングで、華中スコアボードに「０」の字を並べ続けている。

意地のかしわぎも負けじと裏の攻撃をまたしても三人で終わらせる。
得意のフォークボールは未だ温存したまま、次回訪れるクリーンナップとの準備を静かに整えていた。

( ﾟ▽ﾟ)y─┛~~

あれ？

ん？

「あ、30秒だっけか。あぁめんどいなぁ　しゃあない他のスレでものぞいてこようかな
あぁこのスレ久々になんか動いてるじゃんあぁ眠いなぁ凄く眠いなぁこれ貼ったらもう寝ようっと」

誤爆ですよすいませんってば

え？

い、いや　えっ　とか言われてもですね

よくわかんないんですけど

地面スレスレから放たれるボールに翻弄される華中打線は、続く5,6番いずれも凡打に倒れてしまう。
打者一巡目はどうやら初めて見る球の感触を確かめるだけに止まりそうである。

かしわぎ　「さて、肩は十分暖まりましたよ･･････っと」

調子を確かめるように肩をグルグルと回しながらマウンドに立つかしわぎに緊張の色は無い。
常日頃よりどことなく敵を小馬鹿にした態度は、ある意味今日の敵に対しては最もふさわしい投手かも知れない。
貪欲に名声を欲する彼は、これほど有名な連中と戦えるとなれば当然いつも以上に気合が入る。

ｲﾉｾﾝｽ　　　「あれ、結構やるじゃん」

たかが控え投手とタカをくくっていたｲﾉｾﾝｽは素直に驚嘆の声をあげる。
こちらは対照的に全くやる気を見せていない。
結局ストレートのみでｲﾉｾﾝｽを三振に仕留めると、その勢いのまま続くバイキング、アポロを凡打に打ち取った。

三回の表は三たび華中の攻撃となる。
７番ツルゲーネスから始まる下位打線は、やはりｲﾉｾﾝｽを打ち崩すことは出来なかった。
ｲﾉｾﾝｽはここまで外野にボールを飛ばせない完璧なピッチングで、華中スコアボードに「０」の字を並べ続けている。

意地のかしわぎも負けじと裏の攻撃をまたしても三人で終わらせる。
得意のフォークボールは未だ温存したまま、次回訪れるクリーンナップとの準備を静かに整えていた。

って事ですか？

惜しい

ところであの曲ってなんの曲ですかぁ

イースⅥ「mighty obstacle」（中ボス戦闘曲）

だそうです。ゲー板からのＵＲＬまんま貼り付けたった

聞くだけ聞いて放置してました☆
この板だけで自分の立てたスレが８つもある

８つ？！
どれだ・・・・

５つしかわからん

８つってDAT落ちは含めないよね？

まさか食べたい系のｽﾚとか。そしたらもう無理ぽ

sarasitemi--------!

|´皿｀)彡？

http://etc3.2ch.net/test/r.i/bobby/1161513093/

ξ*‘∇‘ )ξ？？

ふっふっふー恋人夫婦ふっふっふっ　ふー

ねえ聞いてお母さんね好きな人がいるのー

それはーそれはねー

お父さん　言っちゃった♥

涙でかにも見えない・・・・(´；ω；｀)

Σ(ﾟДﾟ；≡；ﾟдﾟ)　今日も誰もいないー

なんで師匠死んでしまうん？

ここにもｗ
ある意味予想通りのリアクションで嬉しいです

やっべなんもする気がおこらにあｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

ｍ９

たすけてベイビ

やなこった

ha-ha!!

もっと巡回してください、泥犬さん

0時ジャスおめ
じゅんかいってどこどこーう？

別に狙ってジャストじゃないんだから！！

こう・・・あそことか・・・

どこですやろか
コテスレはだいたい把握してるつもりですが（３ e ３ :;）　

┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ
───────
制作・著作ＮＨＫ

〔仮〕
ｱﾝﾆｭｲ
環ｷﾓ　
病人
べむ
まりあ
かにほに　
きらたま
ジニキモ
正輝
マロッキー
ケミ丸
ｶﾜﾜ
デスノマン
394

1999年？～2005年
KIRA　鬱井　ﾆｺﾌ　他

掲示板？ハンドルネーム
警視庁　○○課？？？
携帯

華スレ？　バレスレ？　コテハン
書斎か倉庫　階段
感情（恋愛/痴情・怨恨/復讐・コンプレックス）
欲得（遺産/借金・名誉/脅迫・交換殺人）
社会（政治/不正・宗教/迷信・秘密組織）
異常（快楽殺人・多重人格・超常現象）

ゴルフクラブ「

解説を

静かにしてください

思いついた事をメモってるんです

(　´・・｀)　なんか　いいにおいがするなぁ～

プ～

　　人_人_人　ﾊﾞﾘﾊﾞﾘ
　＜プーｯ　＞
　　.Ｙ⌒Ｙ⌒Ｙ

天羽くんがでてくるのって何巻ぐらい？

あんま覚えてないですけど……10巻ぐらいから、かな？
ちなみに16巻ぐらいであぼーんします
泣いた

Ω ΩΩ< な、なんだってー!!

うーん　ぼくのなかのまりあさんはこんな感じなんだけどなぁ
http://www.s-woman.net/kanehara3/3.html

えっ　蟲がうるさくてなんですって

ああ……ふーん、そうなんですかぁ……へーぇ……

正直にリンク踏みませんって言ってくださいよ(´・ω・｀)

ふみましたよ

もう　大事にしてやる

|･ω･｀*)

ずっざー

|･ω･´*)

もらった！

うわーん！
どうしても１分以内に捕獲できないー！

1時間後にｽﾞｻ━━━━⊂(ﾟДﾟ⊂⌒｀つ≡≡≡━━━━!!

おｍでとーごあｚ－ます

|ω｀*)

しまった……！

いでよはにかみ！　我にチャンスを与え給えっへぇぇぇ！

呼んだ？

なじあいそ、！

違うやん！
よく見たら名前違うやん！

っもぉぉぉぉぉぉぉ！

ご、誤認！

まりあー！！(´д｀*)

生ーまれつきー器用にーなれない～♪

どーもまりあでーす

生ーまれつきー性器にーなれない～♪

ドキまりあだらけのんふふふ

１人でやってるかと思って納得してたら違った

|дﾟ*)

胃rkmあｓれ

１分以内に捕獲したからみんな幸せになる

し・あ・わ・せ♪♪♪

おまえを捕獲したかった

*･ﾟﾟ･*:.｡..｡.:*･ﾟ捕まえてごらんﾟ･*:.｡..｡.:*･ﾟﾟ･*

|´-`*)

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　||　　　／⌒ヽ　　　　／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　||　　（　＾ω＾）＿　＜　つかまえﾂ
　　　||　　（　,,つ⌒⌒ .ノ＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　||　／（　,,,＿つ＿　ノ|　　　　　　　　　　　
　　　||（＿＿＿＿＿＿,,／.|＿＿＿＿＿＿　　　　　
　　　||￣￣￣￣￣￣￣￣| о※※※※　　　　　　　　　
　　　||￣￣￣￣￣￣￣￣| ※※※※※
　　　||　.／|￣ё￣|／＠　| ※※※※※
　　　||／＠|￣ё￣|／＠　| ※※※※※

|´∀｀*)ﾉ

ぐっ……遅かった……！

てすと

　│　
　│ │ヽヽ
　/　＼　／/／/│/│
　　　　　／　　　　│

そそそ
学校も行かずにやってた、考えたらｽｯｹﾞばか
細かく描き込んでったら止まんなくなっちったのよね～ん

こんな熱中してるおら・・かくいい！って部分が確かにあったすね

ぼったくりでし

すんません

誤爆りました

おわびに明日から生臭たちます

めんごめんご

まさに恥かきですねｳﾌﾌﾌ・・・・

うぅぅ・・・さらにハジに精進しますでーす(>_<)

>>145がじわじわｸﾙ……

保守っときますか

今月の保守るり

きゃほい

きゃっ！保守ってハジかいてたー！！！

うひゅー！

うっひゃっほー！

なっ！？　は、はやい！

そろそろ出ると思ってたんだ

はじかきさんの正体が気になるっ

正体は次回の誤爆で！・・なんてな

| ´皿`) 彡　こそっと

食料！！

|*´皿`) 彡

はじめてだから　上手に食べてね

しゃぶりつくしてやんよ！

しまった……！

ﾌﾟﾌﾟ(>ε<)ﾌﾟﾌﾟｯﾌﾟー

ぬあっ！

あなたは……あなたはいったい誰なんじゃい……？

ﾀﾞﾚﾅﾝｼﾞｬﾛ(*´･ω･)(･ω･`*)ﾈｰ

　　　　　　　　　　はないたち一周年（フライング）記念

ここはとあるレストラン──

という有名なコピペがあるけれど、これから始まる物語の舞台となるレストランには
ナポリタンは関係ないし出てこない、と思う。

まあそれはさておきおはようからおやすみまであなたの暮らしを見つめる、見つめたい、見つめられたい鬱井です。

例えば僕の目の前には今、週刊少年ジャンプの２００７年３６･３７合併号が
あるわけだけれど、この少年向けでありながらいい年こいた大人も楽しめる
漫画雑誌には伝統があり、実績がある。

表紙には連載中の各作品を代表するキャラクター達が勢ぞろいしている。
表紙をめくると毎週のように巻頭企画や連載作品の関連グッズ(カードとかゲームとかそ
んなの)の紹介ページが続くが、僕は今までほとんどまともに見たことがない。
まあそれはいいとしてペラペラっとページをめくっていくと巻頭カラーで
ＢＬＥＡＣＨという漫画が始まる。
今週は主人公の黒崎一護がグリムジョーに強烈な一撃を喰らわせたシーンからだ。
もう１ページめくるとこれまたカラーでしかも見開きのタイトルページ。
なにやら連載６周年記念だそうで４回目の人気投票をやるらしい。
更にページをまくるとそこからまたカラーページが続くのだが、
ＢＬＥＡＣＨの続きではなくジャンプと関係あるのかないのかよくわからない
ゲームの紹介とか、赤丸ジャンプの予告だとか、コーラの宣伝とか、とにかく
色々となんか載ってる。いちいち説明すると長くなるので割愛。
で、４３ページからＢＬＥＡＣＨの続きが始まるのだ。
内容については僕なんかが偉そうに批評するのもどうかと思うので自粛しとこう。

ＢＬＥＡＣＨの次はアイシールド２１、その次はワンピース……というように
わくわくする漫画が巻末まで続いて掲載されている。
作品と作品の合間にもまぁ色々あるけどそれは置いといて。
ていうかもうこれ以上ジャンプについて語るのも置いとこう。

僕が言いたいのは最近のジャンプは熱血が足りねぇよとかこの漫画いつ終わるんだよ
とか冨樫先生もう８月ですとかそういうことではない。
熱血がなくても面白い作品はいっぱいあるし、やっぱりこち亀は必要だと思うし、
いや名前出しちゃったけど前述のこの漫画云々とかそういうアレとは無関係っていうか
別問題っていうかなんていうかあうあう。

冨樫に関してはもう宇宙の意志に身を任せるしかない。
そういえば再開するとかなんとかいう噂を最近聞いた。
連載が中断した時はどこまで話が進んでたっけ。
確かメルエムが……っていつまでやるんだ。閑話休題。
閑話休題ってのも変か。まだジャンプの話しかしてないし。

どうして僕がジャンプの話をしたのかというと、これはもうほんとに凄く複雑で
どうしようもないほど説明が難しい。

だからとりあえずは、僕の目の前にあるジャンプが２００７年のお盆前に発行された
ものだということを強調しておこう。

もしかしてこのあとなんかすっごい事件が起きて、ジャンプが事件を解決する為の
重要な伏線となってるのか？　なんて思わないでほしい。実はあまり関係ない。
あまりっていうか全然関係ない。たぶんこの後“ジャンプ”という単語すら
出てこないと思う。

やっぱ関係ないね、ジャンプは。

でもね、関係なくてもいいじゃない？
無理に意味を見出さなくてもいいじゃない？

物事の始まりというのはいつも突然なもので、それは脈絡なく訪れたり
するものなんだ。それはもうびっくりするぐらい突然に。

なんていうかね……。

わかりやすくっていうか、ぶっちゃけちゃうと準備体操みたいなものなんだね。

うん。

というわけでこれから、ここまでの話と全然関係ない話が始まるんだけど、
あまり深く考えなくていいと思うんだな。

私怨

　　　１．咀嚼

「それではみなさん、まずはお疲れ様でした」

おつかれしたー。
おつー。
したー。
店内に高低様々な声がこだまする。
KIRAは一拍置いて、すうっと息を吸い込んだ。

「早いものであれからもう一年ということで、感慨深いものがあります……」

息を吐き出しながらKIRAは出来るだけみんなにはっきりと聞こえるように
言ったのだが、ほとんどの人間がうんざりしたような顔でKIRAを見ていた。

堅苦しい挨拶なんて要らないか……。
KIRAはネクタイの結び目に人差し指をかけてきゅっと引っ張った。
首の周りが開放的になり、少し肩の力が抜けた気がした。

今日は、今日ぐらいはハメを外したっていいだろう。
KIRAは軽く咳払いをして、もう一度息を吸い込んだ。

「じゃあ、さっそく乾杯といきたいと思います。
　みなさんお手元のグラスを──」
「っしゃー」
「ういーっす」

KIRAが言い終わる前に、みんな待ってましたとばかりにグラスを持ち上げた。

「では……乾杯！」

KIRAが音頭を取ってグラスを掲げると、店内にグラスとグラスがぶつかる
乾いた音が響いた。
みんながグラスに口をつけるのを見届けてからKIRAは鬱井の隣に腰を下ろし、
一口だけビールを飲んだ。

ここは晴刷市にあるファミリーレストラン『ワイミーズ』……の、
奥にある座敷風のＶＩＰルーム。
完全予約制で、しかもある程度顔が利く者でないとこのＶＩＰルームは押さえられない。
本当はどこかもっとちゃんとした店が良かったのだが、
『一生に一度でいいんだ。どうしてもワイミーズのＶＩＰルームでごはん食べたいんだ。
　頼むよう、KIRA。お願いだよう』と鬱井に懇願され、渋々この店を打ち上げ会場に
選んだのだった。

それにしても鬱井の味覚は理解出来ない……。
嬉々としてＶＩＰルームでしか注文出来ないフリスクサラダ(通常よりも三倍フリスク
が効いているらしい)を餓鬼のように口に詰め込む鬱井を見て、気分が悪くなってきた。
出来れば目の届かない所で食べてほしい。
以前通常メニューのフリスクサラダを食べたことがあるが、
罰ゲームだとしか思えない味だったのを覚えている。

あの時食べたフリスクサラダの味を思い出し、そして目の前で鬱井が
狂ったように貪っている、“あれ”より３倍不味いであろうサラダの味を想像して
吐き気が込み上げてきた。

「うめぇ。マジでうめぇ」

目にうっすら涙を浮かべ始めた鬱井を見て、KIRAはだんだん許せなくなってきた。
食べ物の好みなんて人それぞれだし、それにケチをつけたくはない。

しかし、いくらなんでも不快すぎる。

「うっへぁ……か、辛いです。ねぇﾆｺﾌ、か、辛いですぅ」

鬱井は喜色満面の笑みを浮かべて、向かい側の席にいるﾆｺﾌに下卑た視線を送った。
ﾆｺﾌは慣れたもので、「はいはい」と鬱井から顔を背けて軽くあしらっていた。

「はふはふ……あ、あーしゃーわせ。しゃーわせだなぁ……」

鬱井が一口、また一口とサラダを口に運んでいく度に、どんどん鬱井が人間の呈を
成さなくなっていくように見えた。

鬱井、鬱井よ──。

KIRAは隣で獣のようにサラダが入った皿にむしゃぶりつく鬱井を横目に見ながら、
心の中で彼に語りかけた。

鬱井、僕はこれでもお前のことを高く評価しているんだ。
お前は頼りなく、浅はかで、軽率で、下らない人間かもしれない。
だけど僕は、お前のそんなところが好きなんだ。
それどころか羨ましくさえ思う。
お前のように、自分という人間を包み隠さず生きられたなら、どんなに
幸せだろうと思う。
僕は本当は、お前のようになりたかったんだ。

お前が僕のことをどう思っているのか知らないが、僕はお前を親友だと思っているぞ。

だけど、だけど鬱井、僕は許せないんだ。
お前のその、本性を曝け出した醜悪な食べっぷりが、堪らなく不愉快なんだ──。
どうか、気付いてほしい。
今、僕の目に、お前の姿がどれほど汚く映っているかを少しでいいからわかってほしい。

お願いだ鬱井、これ以上僕を幻滅させないでくれ──。

親友だと思っているからこそ、言えないこともある。
普段どれだけ馬鹿にしていても、言ってはいけないこともある。

口には出せないが、届いてほしい。この想い──。

KIRAは祈るような気持ちで鬱井に視線を送った。

「うっひょー！　んめっんめっ……っもう死んでもいーっひひ！」

喜んでいるのか、苦しんでいるのか、鬱井はぐぇあぐぇあと毒を盛られた
アヒルの如く奇怪な呻き声をあげた。
KIRAにはもう、彼が自分と同じ人間であるかどうかもわからなくなった。

駄目だこいつ──。

KIRAはやりきれない思いでグラスを呷った。
一息にビールを飲み干し、グラスをテーブルに叩きつけると、
鬱井は驚いたように腰を浮かせた。

「もはっ……KIRA、いい飲みっぷりだな」

がっしゅがっしゅと耳障りな音を立ててサラダを咀嚼する鬱井に、
KIRAは言葉を返す気力もなくしていた。

「おい……KIRA？」

黙って空になったグラスの底を見つめていると、鬱井は心配そうに
KIRAの顔を覗き込んできた。

「どしたん？　もう酔っ払っちゃったのか？　お前、酒駄目だっけ？」
「──うるさい」
「なんだよーなに怒ってんだよーこんな席でさー」
「ほっといてくれ」
「あっそう。すいませんねぇ」

鬱井はへっへといやらしく笑って再びサラダを食べ始めた。
KIRAは嫌でも耳に入ってくる鬱井の咀嚼音を聞きながら、黙って
グラスの底を見つめていた。

芽生え始めた負の感情が、胸の奥でどんどん大きくなっていく。

もう、限界だ──。

紫苑

　　　２．酩酊

「では……乾杯！」

KIRAがグラスを掲げ、みんな一斉に隣にいる者や向かいにいる者と
グラスを合わせた。ﾉﾜも同じようにグラスを軽く持ち上げ、隣にいる
九州にグラスを差し出した。
だが九州はグラスを持っていなかった。

「なんだ」

九州は両手を膝の上に置いたまま、冷めた目をﾉﾜに向ける。

「乾杯しないのか」
「しない」

あっさりと拒否され、ﾉﾜは仕方なく持ち上げたグラスをそのまま口元に持っていった。
一口だけビールを喉に流し込み、グラスをテーブルに置いて後ろの壁に凭れかかった。
四人がけのテーブルだったが、向かい側には誰もおらず、入り口から一番遠いこの席は
ﾉﾜと九州の二人だけだった。

「今日ぐらいいいじゃないか」
「うるさいな。そんなに乾杯したいなら前の席に行けばいいじゃないか」
「そうしたらお前、一人になるぞ」
「別にどうでもいいよ」

九州はつまらなそうにテーブルに肘を乗せて頬杖をついた。
ﾉﾜは九州に言われた通り前の席に移動しようかとも思ったが、
やはり九州を一人にするのも気が引けたのでやめておいた。

！？

それに九州がこの場に存在している以上、ﾉﾜは“向こう側”の輪に
加わるべきではないとも思った。

──ﾉﾜの立場はとても複雑だった。

３席ほど前にｲﾉｾﾝｽが、一番前の席にはｼｮﾎﾞｰﾝが座っていた。
二人とも同じ席にいる者達となにやら楽しげに話している。

ｲﾉｾﾝｽとｼｮﾎﾞｰﾝは同じＮＩＳのメンバーなのだが……。

──ﾉﾜの立場はとても複雑だった。

九州が『前の席に行け』と言ったのは、そんな微妙な俺の心情を察してくれたの
だろうか。

いや、こいつはそんな奴じゃないか……。

本当に俺が前の席に行ったとしても、九州はきっとなんとも思わないのだろう。
しかし、この席に残っていたとしてもやはりなんとも思わないに違いない。
この女は自分以外の人間には興味がないのだ。

やっぱり前の席に移ろう、とﾉﾜは隣で頬杖をついたままの九州を見た。

九州は肩にかかった髪を鬱陶しそうに払いのけていた。
しかし長さが中途半端なのか、クセがついているのか、何度払いのけても髪は
肩の上でくるんと跳ね上がる。
それでも九州は機械のように同じ動作を繰り返して髪の毛を払い続けていたので、
ﾉﾜは九州が諦めるのを待った。

「れいやつ」

何の前触れもなく九州が口を開いた。
九州は相変わらず髪の毛を払い続けていたが、視線はテーブルの端に置いてある
品書きに注がれていた。品書きの下のほうに『冷奴』と書かれている。

「ひややっこ、だろ」

ﾉﾜがすかさず訂正すると、九州は「うん」と気のない返事をした。
単にど忘れしていただけなのか、本当に読み方を知らなかったのか、
九州は感心した様子もなく、恥らう素振りも見せず、無表情のまま
髪の毛を払い続けている。

「ところでナイフ持ってるか」

品書きを見つめたまま九州が言った。

「ナイフ？　なんでだ」
「いいから。持ってるのか」
「持ってる」
「なんで持ってるんだ。危ない奴だな」
「いや念の為に……それより、なんだ？」
「これ、邪魔なんだ」

九州は肩の上で跳ねている髪の毛を担ぐようにして掴むと、
忌々しそうに引っ張ってみせた。

「美容院とかでやった方がいいんじゃないのか」
「美容院、嫌いなんだ」
「どうして？」
「背後に立たれるだろう」
「は？」
「美容師に」

殺し屋じゃあるまいし、とﾉﾜは呆れたが、九州は真面目な顔をしていた。

「考えてみろ。鋏持った奴が後ろに立ってるんだぞ」
「そりゃ美容師なんだから鋏持って後ろに立つだろう」
「考えられない」
「でも前に立たれても嫌だろう」
「当たり前だ」

九州は美容院に行く奴の気持ちが理解出来ない、という表情で眉間に皺を寄せて
小刻みに首を振ったが、ﾉﾜはそんな九州がもっと理解出来なかった。
「じゃあいつもどうしてるんだ」と尋ねると、九州は事も無げに「自分で切ってる」と
答えた。ﾉﾜは「上手いもんだな」と正直な感想を述べたが、九州は「上手くないから
こんな風に跳ねるんだ」と少し怒ったような顔をした。どうやら皮肉と取ったらしい。

「そういえばｱﾝｷﾓが美容師じゃなかったか」

ふと斜め前の席に座っているｱﾝｷﾓの姿が目に入り、ﾉﾜはそんなことを思い出した。

「あぁ、そんな顔してるな」

美容師らしい顔とはどんな顔なのだ。
しかし言われてみると、確かにそんな顔をしているような気もする。
なんだか可笑しくなってきて、ﾉﾜはつい頬を緩めて笑ってしまった。

「なにが面白いんだ」
「いや、別に」
「気色悪いな。なんだ」

訝しがる九州を見て、益々笑いが込み上げてきた。
どうしたんだ俺は。まさかもう酔ったのだろうか。
笑うまいとすればするほど、そんな自分が滑稽に思えて仕方なかった。

「乾杯しよう」

中身は既に半分ぐらいになっていたが、ﾉﾜは再び九州に向かってグラスを差し出した。

「なんだいきなり。しないって言ってるだろう」
「まぁそう言うな」
「嫌だ」
「いいから」
「しつこいぞ」
「ほら、早く」
「やめろってば」
「乾杯」
「黙れ」

嫌がる九州に無理やりグラスを持たせて、強引にグラスを重ねた。
ﾉﾜは残りのビールを一気に飲み干したが、九州は両手でグラスを持ったまま
一向に口をつけようとしなかった。

「どうした。そんなに嫌だったのか」
「いや……まぁ、嫌だが」
「ビールは嫌いか？　なら何か……」
「じゃなくてそもそも僕は酒が飲──」

と、その時だった。

「きゃふー！　飲んでるぅ～！？」

奇声を発しながら、鬱井が一升瓶を片手にテーブルの上に滑り込んできた。

「いやー、いや～！　いーい日だな～今日は！」

鬱井はテーブルに頬擦りしながらﾉﾜと九州の顔を交互に見ていたが、
焦点がずれていて目線が合わない。

さっきまでの愉快な気持ちは一瞬にして吹き飛んだ。

「あのさー、俺さーぁ、前から思ってたけどさー」

完全に出来上がっているようで、鬱井は頗る上機嫌だった。

「なんだ」
「えーっとね。……あれぇ？　なんだっけなー」
「飲みすぎだぞ。というか酔うの早すぎるぞ」
「ぐっひひひ」
「おい、大丈夫か」
「ぬっふふ、ふふっぐふふふ」

鬱井はテーブルに頭を打ちつけながらニタニタと笑っているばかりで、
とてもじゃないがまともに話が出来る状態ではなかった。

駄目だこいつ──。

へべれけになっている鬱井を見て、人間こうはなりたくないなとﾉﾜはしみじみ思った。

「あっれー？　九州、飲んでないじゃん」

九州の両手に収まっているグラスを指差したつもりなのだろうが、
鬱井の指先はﾉﾜと九州の間の壁を差していた。

九州は無言で鬱井を睨んでいる。

「あれ？　あれあれ？　まさか、あれれー？　そうなの？」

鬱井が口元に手をあてたので嘔吐するのかと思って身構えたが、
そうではなく笑いを堪えているらしかった。

「飲めないの？　九州、飲めないの？」

鬱井は爛々と目を輝かせる。
まるで獲物を見つけた狩人のような目だった。

九州はまだ無言で鬱井を睨んでいた。

「だっさ！　九州、だっさ！」

鬱井は暴発したように口元にあてた手の指の隙間から涎を噴出させてげらげらと
笑い始めた。

「は、は、は、華鼬とかかっこつけてたくせに！　お酒も飲めないんですかぁ？」

鬱井がテーブルをばんばん叩きながら、足をバタバタさせて暴れ始めた。

「おい、九州……」

ﾉﾜは九州の顔色を窺ったが、九州は表情を崩さず無言で鬱井を睨んでいる。
顔中に鬱井が噴出した唾が点々と付着していた。

これは死人が出るかもしれない──。

ﾉﾜは咄嗟に鬱井を席から離そうとした。
しかし、この時抑えるべきだったのは鬱井ではなく九州だったのだ。

「お、キタコレ！」

ﾉﾜが鬱井を無理やりテーブルから引き摺り下ろそうと立ち上がった時、
鬱井が寝転んだまま両手を伸ばして拍手し始めた。

嫌な予感がして九州の方を振り返ると、既に彼女のグラスは空になっていた。
九州はグラスをそっとテーブルに置くと、胸につきそうなほど顎を引いて俯いた。

「おい……大丈夫か」

九州の体が右に左に揺れだしたのを見て、ﾉﾜは下から覗き込むようにして
九州に声をかけたが、九州は「だいじょうぶ……」と消え入りそうな声で
答えたっきり、その後のﾉﾜの問いかけには答えずふらふらと体を揺らせていた。

いや、全然大丈夫じゃないだろ……。

みるみる青ざめていく九州の顔色を見て、ﾉﾜはひどく不安になった。
それは彼女の体調を心配してのことではなく、これから起こりえる混沌に
恐怖を感じているからだとﾉﾜは自覚していた。

九州は意識があるのかないのか、目を半開きにして自分の膝に視線を落としていた。

ﾉﾜはへらへらと笑っている鬱井の首筋に手刀を入れ、鬱井を気絶させた。
そしてぐったりした鬱井を抱え上げ、そっと席を離れた。

眠れる虎は起こしてはいけない──。

　　　３．嫉妬

ｸﾛｽは激怒した。必ず、この邪知暴虐の阿呆を除かねばならぬと決意した。
ｸﾛｽには刑事がわからぬ。ｸﾛｽは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らして来た。
けれでも邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう夕方ｸﾛｽは村を出発し、
野を越え山越え、十里はなれた此の晴刷の市にやって来た。

「ねぇ、今、村ってどんな感じなの？」

乾杯してから数分後、グラスを片手にｸﾛｽの隣に座り込んでそう訊いてきたのは
鬱井だった。既に酔いがまわっているらしく、頬が紅潮していた。

「別に……相変わらずだよ」

ｸﾛｽは自身の現況をあまり他人に話したくなかった。
そのせいか、つい吐き捨てるように言ってしまった。

「相変わらずってことは、相変わらずド田舎のまんまってことだね」
「あぁ……そうだね」
「今時ネットも出来ないって、どんだけ～！　って感じだよな！」
「あぁ……そうだね」
「ほんと、我ながらよくあんなド田舎に住んでたなって思うよ」
「……」

鬱井は酔っている。悪気はないのだと思う。
それに鬱井自身、彼が言ったようにあの何もない村で生まれ育ったのだ。
肝禿村出身の者があの村を馬鹿にしたって、誰も気を悪くしないだろう。
肝禿村出身者同士の間でなら、それは自虐的なユーモアとして受け止められる。

少し前までならｸﾛｽも、今の鬱井の発言を笑って受け流せただろう。
しかし、今の彼にとってはただのジョークも皮肉にしか聞こえなかった。
例え、相手に悪気がなくとも。

「そういや去年の今頃、肝試しだーとか言ってた頃だなぁ」

現在、午後９時を少しまわったところだ。
鬱井は何かを噛み締めるような顔になって、

「まったく、あの夜は大変だったぜ……」

と呟いて遠い目をした。

一年前、２００６年の８月１５日。
あの夜のことは思い出したくもない。

まるで最初から最後まで、誰かの考えた筋書きに沿って歩かされていたような──。
しかも、一度もスポットライトを浴びることもなく、ただただ物語の進行を
指を咥えて見ているだけだったのだ。

加害者でも被害者でもない、その他大勢の一人……。

それに比べてこの鬱井はどうか。
鬱井もまた、加害者でも被害者でもなかった。
しかし、傍観者でもなかった。

鬱井は俺とは正反対に、最初から最後までスポットライトを浴び続けていた。

何故だ？　何故こんな奴が主人公のように扱われていたのだろう。

目の前にいる冴えない男を見て、ｸﾛｽは自分自身とこの男に、一体どれほどの
違いがあるのかと疑問に思った。

「まぁね、やっぱりね、なんていうかさぁ、正義感？　いや正義“漢”というかさ。
　俺ってそういう奴だからさぁ。うっひひ、もう……困っちゃうな、刑事ってのもね」
「刑事……」
「そう、刑事だからね、俺は。仕方ないんだな～！　
　血が騒ぐっていうかねぇ、あんな状況でもさ……」

鬱井はやたらと自分が刑事であることを主張していた。
確かに、刑事と聞けばいかにも正義の使者のようなイメージも持つ者も
いるかもしれない。
彼はきっと、刑事としての自分を誇らしく思っているのだろう。

自らの身を危険に晒してまで、悪と戦う刑事……か。

そんな表現をすると大仰かもしれないが、確かにあの夜の鬱井、そしてKIRAは
あの場にいた誰よりも危険と隣り合わせな、綱渡りの捜査をしていたと言えるだろう。

だけど、それでも──。

俺はこの男を、この鬱井という人間を認められない。

同じ刑事でも、こいつとKIRAは違う。
こいつはただ、恵まれていただけなのだ。
刑事といっても、こいつとKIRAではまるで役割が違っていた。
こいつはただ、場を引っ掻き回していただけじゃないか。
何の役にも立っていなかったはずだ。
それなのに、どうしてこいつはこんなにも偉そうにしているんだ。

もしあの夜、俺が刑事としてあの場にいたなら──。

「あふぅ……な、なんかちょっと酔ってきちゃったみたい……」

不意に肩を掴まれ、ｸﾛｽは我に返った。
鬱井はｸﾛｽの肩をとっかかりにして、よろよろと立ち上がる。
片手にはいつの間にか一升瓶が握られていた。

「おにーのパーンツはいーいパンツ～……」

わけのわからない歌を口ずさみながら、鬱井は奥の席に向かって歩き出す。

ｸﾛｽは千鳥足で歩く鬱井の背中をぼんやりと眺めていた。
鬱井はあちこちのテーブルに足をぶつけたり、ｼｮﾎﾞｰﾝの子供とじゃれていた犬の尻尾を
踏んづけて足を噛まれたりしながら、九州とﾉﾜが座っている一番奥の席に向かって歩いて行った。

　　　４．忸怩

吾輩は犬である。名前はもうある。
どこで生まれたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でクーンクーン
泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めてなっちゃんというものを見た。
然もあとで聞くとそれは赤子という人間中で一番純然な種族であったそうだ。
この赤子というものは時々我々を捕まえて愛で吸うという話である。
然しこの時は何という考えもなかったから別段恐ろしいとも思わなかった。
但彼女を背に載せられてスーと持ち上げた時何だかフワフワした感じが有ったばかりで
ある。

「どうも甘くかけないものだね。人のを見ると何でもない様だが自ら筆をとってみると
　今更のようにむずかしく感ずる」
「シニア、いきなりなに言い出すの？」
「いやごめん、なんか急に言いたくなって……特に意味はないよ。忘れて、忘れて」

やばい、声に出してしまった……。
シニアは訝しがるバケ千代の顔を見て、急に恥ずかしくなった。

「大丈夫？」
「大丈夫、大丈夫……」
「あんま飲まないほうがいいよ」

慌てて誤魔化したが、向かい側に座っているバケ千代は心配そうにシニアを
見ていた。どうやら酔ったと思われたらしい。

前の方の席で、犬のげろっぱの背中に乗って遊んでいるなっちゃんを見て、
げろっぱの心理描写をしてみたくなったのだった。

恥ずかしい。私は一体何気取りなのか。顔から火が出ちゃうぜ。
いやそれだけじゃない。上手くいえないけれど、なんか色々と……
シニアは頬が熱くなるのを感じて、手を団扇代わりにして自分の顔を扇いだ。

「もう酔った？　つかシニアもう酔ったん？　火照ったの？　ねぇ、火照ったの？」

息を荒げてよくわからないセクハラをしてくるのはバケ千代の隣に座っている
下ネタマスクだ。
きめぇ死ねよとシニアは思う。

「火照った、火照ったわぁ。慰めてよ下ネタ、あの日のように慰めてよぉ！」

シニアの隣に座っていたｼｰｳｰﾏﾝがテーブルを飛び越えて下ネタに抱きついた。
下ネタは「やぁめろよぉ」と口では拒否していたが、まんざらでもなさそうだった。

なんだこの席……。

　　　５．乳房

ｱﾙｹﾐは隣の席に座っているｸﾛｽのことが気がかりでならなかった。
ｸﾛｽはさっきから一人で、同じ席にいる誰とも話をせず黙々と酒を飲み続けていた。
どうも様子がおかしい。鬱井がｸﾛｽの隣に座り込んだ時からだ。

もしかすると、家のことで何か言われたのかもしれないな。

ｱﾙｹﾐは──というよりこの場にいる多くの者がそうだが──あの一年前の夜を
きっかけに、みんなと連絡を取り合うようになった。
特にｸﾛｽとは頻繁に連絡を取り合っていて、月に一度ぐらいのペースで直接会って
一緒に飲みに行ったりしていた。

ｸﾛｽから「村に帰る」と打ち明けられたのは一ヶ月前のことだった。

ｸﾛｽの実家は肝禿村で酪農を営んでいて、代々続く家業は昔から、
例外なく家の長男が継ぐことになっている。

まだ読んでないけどとりあえず支援

ｸﾛｽには八人のきょうだいがいて、彼は次男だった。

長男、ｶﾛｽ。
長女、ｷﾛｽ。
次男、ｸﾛｽ。
次女、ｹﾛｽ。
三男、ｺﾛｽ。
三女、ﾜﾛｽ。
四男、ﾊﾞﾛｽ。
四女、ｸﾞﾛｽ。
五男、ｴﾛｽ。

ﾒﾛｽはいない。

本来なら長男であるｶﾛｽが家を継ぐはずだったが、
ｶﾛｽは高校卒業と同時に行方不明になってしまったのだ。

そしてそれからまもなくして、まるで長男ｶﾛｽを追うようにして長女ｷﾛｽも
行方不明となる。

当然、捜索願いも出された。
警察がどれほど真剣に捜索してくれたのか知らないが、二人とも
何らかの事件に巻き込まれた可能性は極めて低いという。
つまり自発的な家出だろうと見られているのだ。

そうなると必然的にｸﾛｽが家を継がなくてはならないのだが、
ｸﾛｽは長女ｷﾛｽ失踪からほどなくして、逃げるように実家を飛び出したのだ。
ｸﾛｽは実家と連絡だけは取っていたが、飛び出して以来一度も家族と会ったことは
なかったという。

私怨

俺はあんな田舎で一生を終えたくない──。
それがｸﾛｽの口癖だった。
そしてｸﾛｽは失踪した兄と姉はきっとどこかで元気に暮らしているはずだと
断言していた。何かの事件に巻き込まれたとは思えない、とも。

『二人の気持ちはよくわかる。俺だって、あんな家に閉じ込められるのは嫌だった』

以前、新宿のおさわりパブでおっぱいを揉みながらそんなことを言っていたのを
ｱﾙｹﾐは思い出した。ｸﾛｽが揉んでいたおっぱいは大きかった。

ｸﾛｽが村に戻ることになったのは、そのおっぱいが原因だった。
おっぱいとは即ちこの世の真理であるとｸﾛｽは常々語っていた。
通常、おっぱいの中には脂肪が詰まっているとされている。
しかしｸﾛｽはそんな常識に真っ向から反旗を翻していた。
ｸﾛｽ曰く、おっぱいの中に詰まっているのは夢であり希望だという。
ｸﾛｽはこうも言っていた。

『戦争がなくならないのは、男におっぱいがないからだ』

そう、ｸﾛｽはおっぱい星人だった。

ｸﾛｽはその日、新宿で出会ったおっぱいを見て、ある種の悟りを啓いた。

『よく考えたらさ、うちがやってる農業もおっぱいと密接な関係にあるんだよな』

店を出て、不意にそんなことを口にするｸﾛｽを見て、ｱﾙｹﾐは思わず他人のふりをした。
男二人が往来で農業とおっぱいについて語らうという行為は周囲から見れば
あまりに危険でうら淋しいものがある。
その時は咄嗟に『用事がある』と言っておっぱいパブの前でｸﾛｽと別れたが、
今にして思えばあの時ｸﾛｽのおっぱいと農業についての講釈を聞いてやらなかったことが
悔やまれる。

またこんな設定付けてからに

念の為もいっちょ

その数日後、ｸﾛｽは何の相談もなしに村へ帰って家を継ぐ決断をしたのだ。
電話で件の決意を聞かされた時には唖然として思わず携帯を落としてしまった。
ｸﾛｽは理由について一切話してくれなかった。
ｱﾙｹﾐがしつこく問い質すと、ｸﾛｽは『おっぱい農業、時代はおっぱい農業なんだ……』
と苦しそうに呟いて電話を切ってしまった。
すぐにかけ直したが、ｸﾛｽは電話に出なかった。

おそらくもう村での生活を始めているのだろう。
ｸﾛｽがどういうプロセスを経て、その結論に至ったかは未だにわからない。
ただあの時ｸﾛｽが構築したと思われる『おっぱい農業理論』を聞いていれば
なにかしらの助言をしてやれたかもしれない──。

あれから今日まで、ｱﾙｹﾐから電話をかけることもなかったし、
ｸﾛｽからかかってくることもなかった。今日もまだ一言も喋っていない。

「ｱﾙｹﾐ、聞いてる？」
「え？　あ、あぁごめん」

ugoに肩を叩かれ、ｱﾙｹﾐはｸﾛｽから目を離した。
その時、ﾉﾜがぐったりした鬱井を抱えて奥の席から歩いてきたのを目の端で捉えた。

また事件かな

　　　６．琴瑟

「ねぇ知ってる？　私、今すっごくドキドキしているの」
「えぇ、そうなのかい？　それはどうして？」
「当ててみて」
「えー、それってクイズかい？」
「うふふ、どうかしら」

ｷﾗｦﾀは口元に手をあてて微笑を浮かべる。

「うーん、なんだろう。なにかヒントはないのかい？」
「ヒントならちゃんとあるわ」
「じゃあ、ヒントを貰えるかな？」
「ヒント、私は今、し･あ･わ･せ、な気分です」
「おやおや、こいつは随分抽象的なヒントだなぁ」

バジルが大袈裟に肩を竦める。

「あ、わかったよ」
「はい、バジル君」
「答えは、ちょっとお酒を飲みすぎちゃったから、だね」
「ブ～！　不正解！」
「えぇ、違うのかい」
「もう、どうしてわからないの？　こんなに簡単なのにぃ」

ｷﾗｦﾀがぷぅっと頬を膨らませる。
バジルは少し困ったように頭をかいた。

「答えはなんだい」
「答えはぁ……あなたが隣にいるからっ」
「こいつぅ」
「うふふ」
「ふふふ」

答えを聞いて、ｲﾝﾘﾝは思わずテーブルをひっくり返しそうになった。
この二人はさっきからずっとこの調子なのだ。
仲が良いのは結構なことだが、そろそろうんざりしてきた。
出来るだけ表情に出さないようにしているつもりだが、
顔の筋肉が引き攣っているのが自分でもわかる。

二人とも左手の薬指に同じデザインの指輪をはめていた。
この春に結婚したばかりらしい。

ごちそうさま、としか言い様がない。

「なぁ、もしかして帰るまでこれを見せつけられるのか」

ｲﾝﾘﾝはテーブルを挟んだ向こうでべたべたと体を寄せ合っている二人に
聞こえないように、隣に座っているﾐｻｷｦﾀに耳打ちした。

「まぁ……いいんじゃない」

投げやりにそう答えたﾐｻｷｦﾀの表情も強張っていた。

「それより、なんか頼もっか」
「あぁ、飲まなきゃやってられん」

ﾐｻｷｦﾀに促され、奥側に座っているｲﾝﾘﾝが品書きを取った。
二人の世界に入っているバジルとｷﾗｦﾀには声をかけずに、
ｲﾝﾘﾝ達は品書きに書かれている中から適当なものを選んで追加注文することにした。

「えーっと……どうすりゃいいんだっけ」
「あそこ、入り口のドアの横にあるよ」

ここはＶＩＰルームなので、店員も一切入ってこない。
その為、注文する時はドアの横の壁に設置されている電話(カラオケとかにあるような
あれだ)から注文するようになっている。

KIRA達の座っている席が入り口のすぐ傍だったので、
声をかけて注文してもらおうかとも考えたのだが、ちょうどその時
ﾉﾜが鬱井を抱えてKIRA達の席にやってきたところだった。
鬱井は飲みすぎたのかなんなのかぐったりしていた。
ﾆｺﾌが心配そうに立ち上がって、座布団を二つ並べてﾉﾜに何か言っていた。
ﾉﾜは頷いて、並べた座布団の上に鬱井を寝かせた。

「んー、なんかごたごたしてるみたいだな」
「あらら……鬱井、もうぶっ倒れてるじゃん。弱いなぁ」
「しょうがないな。ちょっと行って来るわ」
「うん、お願い」

別に鬱井を介抱してやろうと思ったわけではなかったので、
ｲﾝﾘﾝはKIRA達の席の前を通る時にも立ち止まらなかった。
「おーい鬱井、生きてるか？」と声をかけただけだ。
鬱井が返事をしなかったのでちょっと心配にはなったが、
そこにいたKIRAもﾆｺﾌもﾉﾜも既に腰を下ろしていたので、
ｲﾝﾘﾝはそれ以上何も言わずにドアの横の電話に手を伸ばした。

　　　７．蘇鉄

「バジルとｷﾗｦﾀ、結婚したらしいよ」
「へぇ」
「新婚旅行、サイパンだって」
「へぇ」
「都内に庭付き一戸建てだってさ。凄いよねぇ」
「へぇ」
「でもお金はほとんどバジルの親が出したらしいよ」
「へぇ」
「携帯、人の話聞いてるの？」
「聞いてるよ」

そう答えたものの、携帯はﾗﾁﾒﾁの話をほとんど聞き流していた。
そんなことより早く帰りたい、と携帯は思っていた。
彼はこういう大勢の人間が集まる場所はあまり好きではなかった。

「いいよね」

ﾗﾁﾒﾁはバジル達のいる席を見ながらため息をついた。

「なにが」
「幸せそうで」
「そうか？」
「ほら、見てよあの二人。あんなにくっついちゃって」
「あぁ……」

はっきりいって興味ない。
バジルとｷﾗｦﾀが結婚しようがサイパンに新婚旅行に行こうが
バジルの親が都内に庭付き一戸建てを建てようがどうでもいいじゃないか。
そんなこと俺には関係ない。

と、言いたいのを我慢して携帯は目の前の刺身を箸でつっついた。

「携帯、外国行ったことある？」
「あるよ。先月ロスに行った」
「うそ、そんなの聞いてない」
「言ってないからな」
「なんで言ってくれなかったの？」
「聞かなかったから」
「……あ、そういうこと言うんだ。言っちゃうんだ。ふぅぅぅん」

携帯としては隠していたつもりはないし、言う必要もないと思っていたのだ。
だがﾗﾁﾒﾁにとってはそうではなかったらしい。

ﾗﾁﾒﾁはわざとらしいほど大きなため息をついて、

「そうだね。携帯がどこに行こうと携帯の勝手だもんね」
「なんだよ」
「違うの？」
「いや……」

その通りだ、と携帯は思う。
しかしそれを認めてしまうと更にﾗﾁﾒﾁの機嫌が悪くなるのは目に見えているので
携帯は曖昧に返答した。

「あーあ、私もどっか行こうかな～！」
「どこに」
「そんなの私の勝手じゃない？」
「そ……」

そうだな、と言いかけて携帯は慌てて言葉を飲み込んだが、

「そ？」

とﾗﾁﾒﾁが訝しげに聞き返してきた。

「そ……蘇鉄」
「そてつ？」
「暖地に生える、そてつ科の常緑高木。幹は円柱形で表面がうろこ状。
　頂に鳥の羽のような形の大きな葉をつける」
「なに言い出すの」

咄嗟に国語辞典から引用したが、誤魔化しきれなかった。
ﾗﾁﾒﾁは冷ややかな目で携帯をじっと見ている。

「もういいよ。携帯、私の気持ちなんにもわかってないんだから」
「そうかな」
「何しに行ってたの？」
「え？」
「ロスに」
「……あぁ、ちょっと、連続殺人」

これは話題を違う方向に持っていくチャンスだ。
そう思って携帯は胸を撫で下ろした。

「これが中々大変だったんだ。
　一見、無関係に見える四つの殺人事件が実は……」

本当は、自分が関わった事件のことをあまり他人に話したくはなかったのだが、
携帯は携帯なりに必死だった。
しかしこれは逆効果だった。

「またそんな危ないことに首つっこんで……」

ﾗﾁﾒﾁは呆れたように、疲れたように、力なく首をふった。

「携帯、どうしてそんなわけのわからない探偵みたいなことをしてるの？」
「そこに事件があるから」
「はぁ……」

正直に答えると、またﾗﾁﾒﾁの機嫌を損ねてしまいそうな気がして
冗談で言ったのだが、今のﾗﾁﾒﾁには通じなかったようだ。

「いや、本当は単純に生活の為だよ。うん」
「うそばっかり。お金はいっぱい持ってるじゃない」
「持ってないよ」
「あんな預金残高見たことないんだけど」

そういえばいつだったか、ﾗﾁﾒﾁに通帳を見られたことがあったのを思い出した。

「いや、まぁ……ほら、お金持っててもニートじゃ世間的にさ」
「“謎の名探偵”よりはマシだと思う」
「おい、あんまり大きな声で言うなよ」

携帯はﾗﾁﾒﾁの口を塞いで周りを見渡した。
幸いにも向かい側に座っているちさことわんたんは、
彼女達の後ろの席に座っているｲﾉｾﾝｽ･蟹玉と話し込んでいて、
聞かれはしなかったようだ。

「私はね、携帯がいつか事件に巻き込まれて殺されちゃうんじゃないかって、
　心配してるんだよ……」
「……」

巻き込まれるも何も、事件の関係者に顔を見せたりはしないから
その心配はないんだけどな、と思ったが携帯は黙って頷いた。

「こんな質問したくないけどさ、もし私と携帯が逆の立場だったらどうする？」
「どういう意味だ」
「だから、もし私がその……Ｌ？　だったとして、ロスだかニューヨークで
　起きた殺人事件の捜査の為に渡米してさ、それで事件に巻き込まれて
　殺されちゃったら……携帯はどう思うの。やっぱりなんとも思わない？」

もしﾗﾁﾒﾁが殺されたら……？
あまりにも荒唐無稽な質問に思えて、携帯の思考は一瞬停止してしまった。
そんなこと、考えたくもない。

「しかも、どこに行っちゃったかも教えてもらってないから、
　いきなり連絡取れなくなってそのまま……なんて、悲しすぎるよ」

そうか、だからﾗﾁﾒﾁは──。
こんな簡単なことに気付けないなんて、俺は馬鹿なのだろうか。
ﾗﾁﾒﾁと言い争いになると必ずといっていいいほど『このニブチン！』と罵られる。
ﾗﾁﾒﾁはきっと、いつもいつも俺のことを心配してくれているのだ。

追いついた

やっと出たメインキャラ

ああ、俺ってなんなんだ。
うう、俺って馬鹿だ。
ええ、俺ってこんな奴だったのか。
おお、俺ってニブチンだ。

俺は鬱井以下だ。つまり蛆虫以下だ。

何が名探偵だ。
一番身近にいてくれるこの人の気持ちもわかっていなかったなんて……。
携帯は消え去りたい衝動に駆られ、深い深い自己嫌悪に陥った。

「う、うぅ……ぐすっ」
「ちょっ……携帯！　なに泣いてるの！？」

知らず涙が込み上げて来て、携帯はそれを抑えることが出来なかった。
体中の水分が全て涙腺に集約され、流れ落ちていく。

「ぐ、ぐふっ……ぶぁぁぁ」
「どうしたの！？　け、携帯ってば！」
「うぶっぶばっ」
「きた、汚い！」

携帯は涙と涎と鼻水と耳水を垂れ流しながら、ﾗﾁﾒﾁの両肩を強く掴んだ。

「ﾗﾁﾒﾁ……ﾗﾁﾒﾁ……ふぐぅ、ふぐぅ……」
「な、なに？」
「俺さ、もしさ、ﾗ、ﾗ、ﾗﾁﾒﾁがこ……」
「こ……？」
「ぐっ……うぐぐぐぐ……びばっ！」
「ちょ、汚……」

膨らんだ鼻ちょうちんが破裂したが、携帯はおかまいなしにﾗﾁﾒﾁを抱き寄せた。

「もしも君の身になにかあったら……」
「え……？」
「君の身になにかあったら、俺……俺……」
「携帯……」

抱きしめたﾗﾁﾒﾁの細い体がきゅっと強張るのを感じた。

「俺が、俺がきっと事件を解決してみせるから……」
「まだ言うかコラ！」
「ぶべっ」

思いっきりビンタされた。

あと今時のコに「ぶべっ」は通じないでしょう

　　　８．訓戒

ばちん！

すごい音だった。

「なんだ、今の音」

おっかけは口元まで持ってきた箸を止めて音のした方に目をやった。

「あぁ……一番前だな」

おっかけの隣でキセルをふかしていた本家が腰を上げて前の方の席を伺う。

「なにかあったのかな」
「こわーい」

対面のsaokoとねるねが身を寄せ合う。

一つ前の席から伝わった情報によると、なにやら携帯がﾗﾁﾒﾁにビンタされたらしい。

「みんなハメ外してるなぁ」
「ふん、酒に呑まれる奴は飲むんじゃねーよ」
「ははは……」

おっかけは本家の毒舌に笑って返したが、確かに彼の言う通りだと思っていた。
酒の席というのは何が起こるかわからない。

酒は飲んでも呑まれるな……か。

おっかけはどこかで聞いたような言葉を思い出しながら、
なんとなく後ろを振り返ってみた。

後ろの席では、九州が一人、一升瓶を大事そうに抱きかかえて座っていた。
その異様な光景におっかけは背筋が寒くなった。
九州は深く俯いていて、その表情はよく見えない。

体を一定のリズムで左右に揺らせている九州を見て、
おっかけは声をかけるべきかどうか逡巡した。

九州が抱きかかえているその一升瓶は、さっき鬱井が持っていたものだ。
へべれけになった鬱井が九州にからんでいたのは知っていたが、
その時はまだ半分以上中身が残っていたはずだ。

なのに今はすっかり空になっている。

紫煙

　　　９．放蕩

「まったく……鬱井はやはり鬱井だな」

撃ち殺されたトドのようにぐったりと動かない鬱井に、
自分の上着をそっとかけてやりながらKIRAが言った。

「世話を焼かされる方の身にもなってほしいもんだ」

とかなんとか言いながら、ちゃんと面倒を見てあげるくせに……。
お母さんみたい、とﾆｺﾌは微笑ましく思った。

「なんだかここだけ、急に静かになったな」
「そうだね……」

気付けばテーブルを挟んでKIRAと二人きり。
そのことに今更気付いてﾆｺﾌは、急にKIRAのことを意識し始めてしまった。
鬱井はﾆｺﾌ達の席と、後ろのｹﾞﾛｯﾊﾟｰやｸﾛｽのいる席との間に寝転がされているし、
ﾉﾜは鬱井をここまで運んできた後は、隣のｲﾉｾﾝｽ達がいる席に移ってしまった。

元々ﾆｺﾌの隣に座っていたｼｮﾎﾞｰﾝは、犬のげろっぱに乗って部屋中を探検している
なっちゃんの後をついてまわっているのでやはりここにはいなかった。

もっかい支援

胃がもたれてますけど支援

「たまにはこんな風に、みんなで集まるのも悪くないな……」

そう呟いて、KIRAがグラスを揺らせる。
すっかり炭酸の抜けたビールが波を打つが、KIRAは一滴も零さない。

「こんなメンバーだと、なんか起きそうな気もするけどね」
「まさか」

軽い冗談のつもりだったのだが、KIRAはかぶりふって眼鏡を中指で押し上げる。

下らないこと言っちゃったかな……。

こんな場で、年中なにかしらの事件を追いかけているKIRAに仕事を連想させる
ようなことを言うべきではなかった、とﾆｺﾌは後悔した。

「まぁ……その時は僕がすぐに解決してみせるよ」

KIRAはグラスを静かにテーブルに置いて言った。
口元が僅かに緩んでいる。

しかしﾆｺﾌにはそれこそ冗談かどうか判断がつかなかった。
ﾆｺﾌが返答に困っていると、KIRAは続けて口を開いた。

「思えばあの夜、僕は何も出来なかったな」

急に遠い目をになって、KIRAは再びグラスを持ち上げた。

うえっぷ

ぶべっ

「肝心な時に、何の役にも立たなかった。
　油断していたとかそんな言い訳も出来ない。
　僕がしっかりしていれば、誰も死なずに済んだと思うんだ」

今日のKIRAはいつになく饒舌だ。
いや、本当はこんな人なのかもしれない。
誰だって、誰かに愚痴や自分の弱さを吐き出したいのだ。
こんな場でないと、KIRAにはそれが出来ないのだろう。

「僕に比べれば、鬱井の方がよっぽど──」
「よっぽど──なに？」
「──よっぽど……愛されている？」

ﾆｺﾌはつい噴き出してしまった。
KIRAの口から“愛”だなんて、なんだかおかしくて仕方ない。

「なぁﾆｺﾌ。僕って、君から……いや、周りから見てどんな人間なんだろう？」
「えぇ？　どういう意味？」
「そのままの意味だよ」
「うーん……」

ﾆｺﾌは両手の指を組み合わせて、KIRAの質問の意味を考えてみた。

ﾆｺﾌから見たKIRA。

私から見たKIRA……？

「KIRAは私を見てどんな人間だと思う？」
「質問に質問で返すのはルール違反だよ」

KIRAは意識的に意地の悪そうな笑みを浮かべる。
それもﾆｺﾌにとって新鮮なKIRAの仕草だった。

なんかいいむーどになってきたー

「どうかなぁ……難しいなぁ」
「いや、難しく考えてくれなくてもいいんだ」
「そんなこと言われても、難しく考えちゃうよ」
「見たままでいいんだ」
「見たままっていうなら……」
「いうなら？」

KIRAの目に真剣さが宿る。
ﾆｺﾌはごくりと息を呑んで、勇気を振り絞る。

「か、かっこいいと思うよ」

言われた通り、見たまま、つまり外見的特徴をﾆｺﾌの主観を交えて述べたのだが、
それがKIRAの求めている答えではないと自分でもわかっていた。

「かっこいい？　僕のなにがかっこいい？」
「な、なにって……」
「ﾆｺﾌの定義する“かっこいい”とは？」
「え、えぇ……っと」

まさかこんな食いつき方をされるとは思っていなかった。
ﾆｺﾌは誰にともなく助けを求めて視線を宙に彷徨わせたが、
救いの手はどこからも伸びてこない。

今更、『見た目が』とは言えない雰囲気だ。

「う、上手くいえないけど……KIRAはかっこいい、と思う……」
「うん、だから僕の何が“かっこいい”？」
「うぅ……」

ぐいぐい来る。
今日のKIRAはほんと、ぐいぐい来る。
鬱井並みだ。
テーブルを乗り越えてきそうな勢いのKIRAに、
ﾆｺﾌはだんだん息苦しさを感じるようになってきた。

「じゃあ少し質問の角度を変えようか」

返答に窮しているﾆｺﾌに見かねたのか、KIRAはすっと顔色を変えて、

「例えば鬱井はどうだろう？」

と毒殺された大王イカのように座布団の上にだらしなく横たわる鬱井を一瞥した。

「ﾆｺﾌから見て、鬱井は“かっこいい”か否か」
「鬱井？　鬱井はぁ……うん、まぁ……正直、かっこいい……時もある……」
「なに？」
「……ような気もする……け……ど……」
「どっちなんだ？」
「ど、どっちと言われても」
「ﾆｺﾌ、ﾆｺﾌ……あまり僕をがっかりさせないでくれ」

がっかりとか言われた……。
ﾆｺﾌはちょっと凹んだ。

「いやさ、鬱井はさ、全然かっこよくないよ？」
「なに？　かっこよくないのか？　そうなのか」
「ちょ、ちょっと待って。結論を急がないで」

若手芸人のようにぐいぐい身を乗り出してくるKIRAを抑えつつ、
ﾆｺﾌは思考を加速させる。

「鬱井はね、なんていうのかなぁ……かっこよくはないけど……たまにかっこいい？」
「それは矛盾している」
「うー……いや」

矛盾しているのはこの集まりだとﾆｺﾌは思ったが口には出さない。

「はっ！？　そ、そうか。わかったぞ！」
「な、な、なに？」

KIRAはとうとうテーブルの上に乗り上がって、興奮した様子でﾆｺﾌの肩を掴んだ。

「鬱井はかっこよくないけど、かっこいい……。
　そして僕も、ﾆｺﾌから見てかっこいい……。
　あぁ、そうか、そういうことなのか……」

KIRAは愕然とした表情で、浜辺に打ち寄せられたエチゼンクラゲのように
干からびている鬱井を見ていた。

「なんてことだ……僕は……僕は……」
「お、落ち着いてKIRA」
「大丈夫。僕は落ち着いている」
「と、とりあえず座ったらどうかな」
「あぁ……すまない」

KIRAは何度も頷き、ﾆｺﾌの肩から手を離してテーブルから降りた。
両肩にKIRAの手の温かさが残っているが、それに乙女チックな感傷に浸る余裕は
この時のﾆｺﾌにはなかった。
それほどKIRAの様子は尋常ではなかった。

「変な質問をして悪かったね」

KIRAがにっこりと笑う。
なにをどう解釈して納得してくれたのかはわからないが、
落ち着きを取り戻しつつあるKIRAを見て、ﾆｺﾌはほっとした。

この人、疲れてたのかな……。

とKIRAの身を案じつつ、自分も疲れていた。

「うん、僕は理解したよﾆｺﾌ」
「そ、そう？」
「君のおかげだ」
「はぁ……」
「いやしかし、世の中なにがきっかけとなるかわからないものだね」
「……？」
「今日、僕はまたひとつ新たな発見をしたよ」
「う、うん……？」
「きっとニュートンもこんな気持ちだったに違いない」
「へ、へぇ～ぇ……」

ﾆｺﾌはなんとか笑顔をキープしながら適当に相槌を打ち続けた。
これ以上KIRAを刺激してはいけないと思ったのだ。

「ﾆｺﾌ、なにか飲むか？」

しばらくして、KIRAはいつものKIRAに戻ったかに見えた。
ﾆｺﾌは頷き、KIRAが広げた品書きを覗き込む。

「ﾆｺﾌはどんな酒が好きなんだ？」
「どんなって……うーん、別になんでも」
「ほら、あるじゃないか。日本酒だとか、ウィスキーだとか」
「えぇ？」

随分大雑把な分類の仕方だな、とﾆｺﾌは思った。
しかしﾆｺﾌは今答えたように、特になにが好きという訳でもない。
お酒なんて、ちょっといい気分になれればそれでいい、と思っている。

「そういうKIRAは？」

ﾆｺﾌは聞き返す。

「僕か？　僕は別に」

KIRAは首を傾げる。

「なんかKIRA、ワインばっかり飲んでそうなイメージ」

ﾆｺﾌは言った。

「どんなイメージだ」

KIRAが笑う。

「ほら、お風呂上りにこうさ……」

ﾆｺﾌはワイングラスを呷るような仕草をした。

うえっぷ

ぶべっ

「バスローブを羽織ってか？」

KIRAがふっ、と噴き出す。

「そうそう、シャム猫を膝の上に乗せて」

ﾆｺﾌも自分で言いながら噴き出した。

「面白いな。……まぁワインは好きじゃないんだけど」

KIRAは緩んでいた表情を引き締めて言った。

「僕はKIRAが好きだよ」

九州がKIRAの耳元で囁く。

九州！？

一瞬、時が止まった。

KIRAの視線はﾆｺﾌに向いたままだった。
ﾆｺﾌはKIRAから渡された品書きを手にしたままだった。
鬱井は相変わらず座布団の上でひと夏売れ残ったスイカのように変色していた。

「──なっ！？」

そして時は動き出す。

(；･`д･´)な、なんだってー！！(`･д´･(`･д´･；)

ん？　ここまで？

「な、なんだいきなり。どこから──」

KIRAは大きく仰け反って九州から離れようとした。
しかし九州は吸い付くようにぴったりと動きを合わせて、KIRAに寄りかかる。

「ねぇKIRA、知ってる？」
「な、なにがだ」
「林檎がどうして赤いか──」

九州の手がKIRAの頬にそっと張り付く。

「よせ」
「林檎はね、僕ね、林檎が好きなんだ」
「なにを言ってるんだ」
「だからね、僕はKIRAが好きなんだよ」
「お前、酔ってるだろう」

九州は完全に酔いがまわっているようで、言っていることが支離滅裂だった。
KIRAは九州の手を払いのけて後ずさったが、KIRAが退いた分だけ九州も
KIRAににじり寄る。

「僕ね、真っ赤なんだ」

九州の指がKIRAのネクタイの結び目にひっかかる。

「やめろ」

KIRAは必死でそれを食い止めようとするが、
九州はするりするりとKIRAの手をかわしてあっという間にネクタイをほどいてしまった。

ここから先は未成年はご遠慮下さい

「僕ね、真っ赤なんだ」

↑
すっげえいやらしい想像しました。
ごめんなさい

ちゅうか引っかかってるべ

名有りで支援

ダメかな

僕も真っ赤だよ！

ホラホラ

てか俺がそろそろかかりそうだ

「見て、ねぇKIRA」
「なにをだ！」

続いて九州はシャツのボタンに手をかける。
KIRAは両手を使って首元に絡みつく九州の細い腕を掴んだ。
すると九州は片膝をKIRAの腹部に当ててそのままKIRAを押し倒した。

「ほら、赤いでしょう？　僕の──」
「や、やめろ！」

赤いとは一体なんのことなのか。
九州の顔は真っ赤になっているが、口ぶりからするとそうではないように思えた。

「よせと言ってるんだ！」

KIRAはのしかかる九州の体を力ずくで持ち上げた。
シャツの胸元までボタンが外されているのを見て、
ﾆｺﾌはようやく正気に戻った。

なにやってんのさ！？

九州は両脇にかかったKIRAの手を、愛おしそうにさすっていた。

「ちょっ！　九──」

ﾆｺﾌは急いで立ち上がり、テーブルを踏み越えようとした。
だが、不意に重石が乗せられたように足が動かなくなる。

「ﾆｺﾌぅ～うへへへ」

足元から生臭い臭いがした。
鬱井がﾆｺﾌの腰に抱きついている。

どっちか死にそうなんですが

これが「事件」・・・！？

九州死亡　　ＫＩＲＡ死亡

くらいにならないと

ひどい飲み会になってきましたね

なんか色々書き足そうと思ってて途中送信しちゃってそれでいて内容覚えてないっていう
最低のパターンのレスが>>249です

かなりﾄﾞｷﾄﾞｷして眠い眼がﾊﾟｯﾁﾘです

三人くらいだと良く回るかな。どうだろ

ヽ(´ー｀)ノはっけーん

「う、鬱井！　ちょっと……はな、離して！」
「うへへへ、うへへ」

鬱井は未だに朦朧としているようで、半ば眠っているようだった。
焦点の定まらない目がﾆｺﾌを見上げていた。

「KIRA、そんなに僕のこと嫌い……？」
「そういう問題じゃない！」

こうしている間にもテーブルの向こうでは危険な情事が繰り広げられている。
ﾆｺﾌはなんとか鬱井を振りほどこうとするが、鬱井は家族を人質にとられている
タコのように絡みついてきて容易には振り解けなかった。

「男と女の間で、これより重要な問題なんてないよ」
「とにかく、ちょっと落ち着けと言ってるんだ！」
「どうして？」
「どうしてもこうしてもない！　僕とお前がその……そんな関係になる理由がない！」

KIRAは無理やり九州を引き起こそうとするが、九州はくねくれと体を捻って
すぐにKIRAにしな垂れかかる。

「理由？　理由なんて必要ないんだよKIRA。おかしなことを言わないで」
「おかしくない」
「どうして理由を探す必要があるの？　ここに、僕とKIRAがいる。
　理由なんてそれだけで充分だ」
「意味がわからん」
「意味なんてもっと要らないし、考えなくていい」
「じゃあ鬱井にしろ！　ほら、そこにいる」
「鬱井は生理的に受け付けない」

九州はいつの間にか膝でKIRAの腕を押さえていた。
KIRAは身動きを取ることが出来ず、九州の下でもがいているだけだった。

濃厚なのが始まったらどうしよう

逆にｳｪﾙｶﾑです

したら我々も濃厚なのを始めるしかないですね

ですよ。大変勉強になります。

KIRA、逃げてー！

ﾆｺﾌは叫んだが、状況は好転しない。
鬱井はこなきじじいのようにﾆｺﾌにしがみつき、
なにか日本語として成立していない言葉を発している。

九州はKIRAの顔の横に手をついて、上体を折り曲げ始めた。

やばい！

ﾆｺﾌはもう一刻の猶予もないと判断し、鬱井の脳天に拳を振り下ろした。
鬱井はもるすぁと壊れたおもちゃのような奇声をあげたが、それでも
ﾆｺﾌから離れようとはしなかった。

九州は唇を窄ませる。

あ、あぁ。
ダメ、ダメだってば──。

ﾆｺﾌは思わず目を閉じそうになるのを堪えて鬱井の脳天に
品書きの角を打ち下ろす。
鬱井はにやにやと笑っている。

バイオハザードですね

らめぇぇぇ

「いっかいだけで、いいんだ──」

九州とKIRAの唇が、ゆっくりと距離を縮める。

「や、やめ──」

KIRAの表情がかつてないほどに歪む。

「だ、だめぇぇぇぇ」

ﾆｺﾌの悲痛な叫びがこだまする。

「うひひっうひひひひっ」

鬱井が下品な顔をしている。

クライマックスか

オチがつくのか
ピンクの栞か

「教えて、KIRA……」

再び時の流れが澱み始めた。

九州の黒い髪がKIRAの眼鏡にかかる。

ﾆｺﾌはついに、目を閉じてしまった。

ごぷ。

何か、湧き出すような、漏れ出るような音が聴こえた。
それはどこかで聴いたことのある音だと思う。
ﾆｺﾌは記憶の片隅にあるその音を思い出しながら目を開けた。

馬乗りに乗っている九州。
組み敷かれたKIRA。

あぁそうか、あの音は──。

「お゛えぇぇぇぇ」

きらきらと輝くオレンジ色の液体が、九州の口から滝のように溢れ出す。
一瞬でKIRAの顔を覆い尽くし、ゆるやかに畳の上に広がり、蒸気を漂わせる。

「ぎぃやあぁぁぁぁっべぼぼぶびゃっべろ」

KIRAの悲鳴さえもオレンジ色に染めて──。

あ・・・・・・・・。

うぇっぷ

アウト？

やっと追いついた。おもろいｗｗｗ

　　　　 ∧＿∧ ずーりずーり
　　　　/　・ω･)
　　...../＿＿__ﾉ

ほしゅあげ～

ほしゅ

そういえば変なの始めたせいではじかきさんを捕まえられなくなりました
出てきてください

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　＿＿_　　　　　　
　　　＿___,／⌒::_:_:_:_: ｀ヽ､　　　　　　　
　∠´::::::::::::::::::;〃´・ω・)ﾐ:::ヽ　　　　もぐりっぱ！
≪二二二二,ﾉﾉ⌒＾⌒｀⌒)ﾐﾆ）　　　
　￣￣￣￣´　`￣´￣｀´ 　　　

きてるよおおおおおおおおおお

｜・_・`）

　　　　　(´・_・｀)
　/ﾉ＼∧_∧ Ψ
／ﾉ＼( ･ω･)｜＜捕獲！
⌒⌒ (∪天 ⊃
　 ←し―Ｊ｜｡+ﾟ

ｷﾀ━━━(ﾟ∀ﾟ)━( ﾟ∀)━( 　ﾟ)━(　　)━(　　)━(ﾟ　)━(∀ﾟ )━(ﾟ∀ﾟ)━━━!!

えぇー

｜・_・`）え？ぇぇ・・

しゃあああああああああ！

くうううう７秒遅かった！

い、一分！

|ω･｀)・・・・

｜・_・`）

あ、あれ……別人なの？

｜・_・`）うん

なんという叙述トリック！

おおおお新展開！！

|´ω｀*)

わあｘ＠えｌｓｄｋ

捕獲！

|・∀・*)

｜・_・`）

｜・＠・`）

｜・_・`）うわぁぁ・・すごいのきたぁぁぁ・・・・・

また増えたのですか！？

|дﾟ*)

｜・_・`）

　　　　　　　(ﾟдﾟ*)
　/ﾉ＼∧_∧ Ψ
／ﾉ＼( ･ω･)｜＜捕獲！
⌒⌒ (∪天 ⊃
　 ←し―Ｊ｜｡+ﾟ

いただき！

と思ったらこれだよ……

｜・_・`）ﾁﾗｯ

んくえじゅ

ちくしょう！
こんな時間に来るなんて予想出来るわけないじゃないですかー！

｜・_・`）ｼﾞｨー・・

ら亜｣；ｗｌ

余裕ｗ

（´・_・`）ﾗｯー！

あうあふすぃｆ

くそう……

｜・_・`）ﾁﾗｯ

ｓｄｓｇ

えーっと……

イケてる！

｜・_・`）・_・`）ﾁﾗﾁﾗｯ

ｙｆぐｈじこ

｜・_・`）・_・`）・_・`）・_・`）ｵﾔｽﾐﾝｺ

みんこ

|ω･｀)

｜・_・`）ﾁﾗｯ

さて今日は捕獲したい気分なので出てきてください

｜・＠・`）　さわっ

ｒさｒｆｚ

くそう……

｜・_・`）ﾁﾗｯﾘ

えｒｔｓｙｒｄｔｇｆｈｊｋｌ

｜・_・`）ﾁｯ

やった
ほんとに嬉しい

｜・_・`）ﾔﾗﾚﾀー

◆7OEabiXBL2

ググれってことですね

Dr. ◆Oh/izEEHUw

ｆｇｈ

ドロシーちゃああああああああああああああああああああああああああああああん！

◆ganbo/F702

一番上に来たのが生々しくて笑いました

遭遇したら楽しいってのはうすうす気付いてるんですが
Live2chに変えるべきですかね

ああ、今日はもう疲れたんで今からLive2ch入れるかどうかは微妙っす

jane? が最強だと聞いてます

じゃあ最強のままがいいですかね。

ああ！そういえばかなり前にぃヴぇ入れてたけど動くんかなーやってみよ

使えなかった残ねん

トリップ持ちすぎです！

そうでもないよ

懐かしい

次は誰かな？ｗ

もっとワクワクさせてください！

……ネタ切れですか！

僕がアナリスクなんかするわけないだろアッー

>>347
ふざけんのも大概にしろよこのｸｿﾊｹﾞが

あ、今それリクしようと思ったんですよ

ってそろそろ規制されますね

人生三度目のさるさん

携帯から書き込んでみたけど
みんなこんなのめんどくさくないのかな

携帯にも専用ブラウザがあるらしいですね

それだけどそれでもめんどいｗ
ちなみにトリップ使って面白がられることはあっても悪用だけはしたことありません

漏れトリの悪用はダメ、絶対！

#大根おろし

どうしたどうした何があった

なにもないです

Σ(ﾟДﾟ；　ﾊｯ！？　まさか>>355も……？

これも漏れだけどカイザーは流石にしらないんじゃねえの

おいら携帯トリ知らないよ
っていうかなんかシニアさん（年下）からもらったー！！

あれ・・・？

あ、大体把握した。エロいよカイザー

「トリップキーが漏れてようが、自分のなりすましが現れようが、そんなことは問題ではない。
　何故なら誰も自分の真似は出来ないから。俺のレスは俺にしか出来ない。
　それこそコテを付けずに名無しで書き込もうが俺はいつだって俺──」

という名言があります。

そんなの小学生のときに読んだよｗ

一年経ってたんだこのスレ。そら目に付くわな

遊び行って来る

携帯さんの偽者がクレクレ厨だった話は泣けた

ニセモノってか俺がむしろニセモノかも知んないよ

目欄に携帯さんたくさん居たから当時

>>360
それ・・・
たしかコテ雑で読んだんだったか・・・

誰だったっけ・・・

>>365
確かシニア、って人だったと思います。
往年の加勢大周を思わせる人でしたね。

ものすごいキレ味でした。
キレすぎて鞘に収めることが出来なくなって自分のふともも切っちゃうぐらいに。

勢いだけなら

まだナンバリングが一桁のときのシニアスレでしたっけ？
感動しました。
でも2chだよね。ここ。

３スレ目くらいからしかログ持ってないや

過去の自分のレス見て泣いたって言ってました。
シニアさんが。

スクラップした携帯さんって人ももらい泣きしてました

2001年の自分の写真見て泣きました。
スリムで。

6年前……か

>>372
っ書くだけダイエット

毎日自分が食べたものを全て書き出し、自分の食生活を客観的に見直していくことで
自然と痩せることができるダイエット法
特に意識して量を減らしたり特定食品を避ける必要もなく好きに食べていいが
「食べたら書かなきゃ」と思うと無意識にだらだら食べ続けることがなくなり
あまりにひどい食生活だと書いてる本人がなんだか恥ずかしくなってきて
バランスを見直してみたりするようになるので痩せられるらしい

ありがとう
でも実行しないｗｗｗ

肝炎ですもの

肝炎だと書けない食事なん？

☆

｜・_・`）ﾁﾗｯ

はっ！

｜・_・`）ﾁﾗｯり

｜・_・`）・・・・

久しぶりにきてましたね！

　はないたち全然関係ないよ短編小説

　　　『ラジオ男』

　　　

「で、いつ殺す？」俺は息を吸う。「そいつの居場所に連れて行ってもらい
前もって風貌を教えてもらえればすぐ殺せる」ここで少し声に深みを
持たせて「死神は壁を抜けられるからな」と息を抜きながら流れるように
一気に言い終える。１、２、はい。「早い方がいい……」息は継がず「明日にも……」
ここでグッと間を空ける。自分の息遣いが入らないように呼吸を止めて。
「しかし今すぐその決断をするのも安易だな」短く息継ぎ「どうせLには早くても
明日にしか会えない。今晩殺し方と合わせ、よく考え、明日にも返事するよ」すふぅ。
何度もイメージした通りに意識して小刻みにセリフを切って、出来るだけ平坦且つ
繊細に読み上げる。このシーンだけでなく俺が常に気をつけなくているのは大場つぐみ
独特のセリフ回しと夜神月という知性と秀麗さを兼ね備えたキャラクターが持つ雰囲気を
如何に脳内で練り上げた通りに言葉だけで再現出来るか、ということだ。
「いいかレム。いかなる場合でも僕が指示するまでは殺すな」ここでグ、と息を
喉に詰めて「いかなる場合でもだ」ここまでは完璧。横を向いて唇の端から息を吐く。
「ああ、それは約束してやるよ」すかさず息を吸って喉を若干締めるイメージで俺は
レムになりきる。「……Lに関しては……」まず及第点だろう。よしよし。
　ほっとしたのも束の間、再び月のパートだ。
　俺は誰もいない自分の隣を横目で見る。出来るだけ首は動かさずに、だ。
「ミサ、携帯の番号教えてくれ」そう、まるで俺の隣にいる弥海砂に向かって
話しかけるように。大切なのはイメージだ。そしてここからが難しい。
「……やっと携帯の番号って遅いよ。ライトのも教えてね」ちっ、声の切り替えに
少し戸惑ってしまった。しかし停止ボタンを押さない限り収録は止まらない。
「いや僕の番号は教えられないよ」海砂声からすばやく月声に切り替えて、もう一度海砂。
「っんでょっ」
　
　っんでょっ。

　ミス。ちくしょう。舌打ちして俺は停止ボタンを押す。
　これで4回目だ。どうしても月→海砂→月→海砂のコンボが決まらない。
　特に最後の海砂のセリフではエクスクラメーションマークを付けない程度に
声を大きくしなければいけない。これが難しい。

　
「なんでよっ」
　鼻の裏側に空気で出来た丸っこい何かを詰めるイメージで俺は海砂になりきる。
「なんでよっ」
　もう一度。
「なんでよっ」
　うん、我ながら上出来だと思う。
　こうやって１フレーズずつきちんと準備してやれば何の問題もないのだが。
　しかしそれだと再生した時、セリフとセリフの合間にシュー、ンボッ、カチャッ、
ンシューともの悲しい異音が入ってしまう。セリフの度にそんな合いの手が入って来ては
興醒めである。何より聴いてて恥ずかしいだろう。俺が。

　俺はラジカセの横に置いてあるペットボトルを取る。中身はスポーツドリンクだ。
　収録中は常に一本は置くようにしている。もちろん喉を潤す為だ。
　これがプロ意識というやつか。

　一口、二口とドリンクを喉に流し込んで、俺は気を取り直して収録に臨む。

「で、いつ殺す？　……」
　慎重に、慎重に、俺は何度も練習したフレーズを紡いでいく。「……ライトのも
教えてね」よし、ここまでは順調。「いや僕のは教えられないよ」ここだ。

「なんでよっ」

　イエス！　俺は思わず拳を握る。「恋人同士でそんなのないっ」Yeah！　イケた！
　しかし浮かれてはならない。ようやく１ページ目を終えたばかりなのだから、と
俺はすぐさま自分を戒めて、テンションを一瞬でハイからローに落とす。
「僕はLにマークされていると言っただろう……今の警察は特定した電話の会話を聞くことが
出来るんだ」
　なんとか気持を落ち着かせて月のパートをやり切る。しかしここでまた海砂だ。

　一拍置いて。

「……そうらしいね」
　ここが結構難しかったりする。あまり声のトーンを下げ過ぎると声が掠れてしまうからだ。
　しかも原作だと海砂の表情が見えないので彼女の心理を読み取り難いのだ。
「あっ」
　そしてここで俺は予め用意しておいた小道具を手に取る。リュックサックだ。
　原作ではいかにも若い女性が好んで携えていそうな小さいバッグ(ブランド品なのだろうか)が
使用されているが、当然俺はそんなものを持っていないのでこれで代用したというわけだ。
　必要なのはジッパーをズィー、ィムと開ける時の音だ。この音さえ再現出来れば、極端な話
ズボンのチャックでもかまわないだろう。
　しかしラジカセに向かって下半身を突き出しながらチャックを下げるという行為にいささか
抵抗があったので俺はやはりリュックを使用することにしたのだった。
「じゃ、これ、ミサの携帯１個あげる。いろいろ使い分けてたら3個になったから」
　リュックから携帯を取り出す。特に音響効果はないのだが出来るだけリアリティーは欲しい。
「いいアイディアだ。ミサのならたぶん大丈夫だ」すかさず「やった。これで離れてても毎日
話せるね」決まった完璧。どうやら俺は確実にレベルアップしているようだ。もはや月･海砂の
コンボはおそるるに足らない。「毎日ラブコールするね。メールも沢山」
　心臓の鼓動が速くなるのを俺は感じていた。いや、高鳴ると言い換えるべきか。
　努力の甲斐あって俺は今日、また一つスッテプアップしたのだ。こんなに嬉しいことはない。
「いや……こっちの電源は切り、隠し持っておくえっそんな、電話する時は最低限、必要な
ことをこっちからのみだ」ふふふ素晴らしい。どうだこの巧みな二重奏。向かうところ敵無しだ。

「……いつ電話してくれる？」海砂。楽勝。「たぶん明日がLの処刑日になる……が、処刑する
しないに関わらず明日には一度連絡入れるよ」ちょっと息が苦しかったが無難に月。「えっ
明日っ」語尾に音符のイメージ。「なんか内容が恋人っぽくないけどその後、恋を語ればいいわ」
　組み合わせた両手を顔の前に持ってくる。そしてすぐに手を解いて神妙な表情を作る。
「じゃあミサ、今日はもう帰るんだ」余談だがこの時の月の表情が俺は好きだ。「え？　なに？
まだ７時じゃない。恋人の時間はこれからでしょ？」ふふ、可愛いな海砂。「二人でゴハン食べに
行ったりとかしてその後がいよいよ本番って感じで……」俺はぷりぷりと体を左右に揺らす。
　なんだか目の前に夜神月がいるような気がしてきた。これが“降りてくる”というやつだろうか。
「ミサ」

　俺は両腕をクロスさせて、右手で左肩を、左手で右肩を、そっと包み込むように優しく掴む。

「ん？」
　海砂のあどけない声。
　少々アレンジを効かせすぎたかもしれない。　
　かまわない。

　俺は手の甲に唇をあてて、マックシェイクを飲む時と同じぐらいの強さで
　皮膚を吸い上げて、ゆっくり離す。
　その刹那、幾千万の男女達の間で交わされる愛の音だけが世界を支配する。
「ウホッ……」これはリューク。「ライト……」右肩から左手を放して俺は虚空を見上げる。
「いいな、今日は帰るんだ」はい……「はい……」俺は目を潤ませて彼の、月の言葉に小さく
　返事をする。それが精一杯だった。今、俺の胸の内は薔薇色に染まり切っていて彼のこと以外は
　何も考えられない。

　頬が──熱かった。　

読み直し

＞俺は誰もいない自分の隣を横目で見る。出来るだけ首は動かさずに、だ。

まず最初のツボがコレ

＞何より聴いてて恥ずかしいだろう。俺が。

次コレ。　いいなぁこいつ

あ、この人アレだ

前自分でやった音読でも聞きなおしたんじゃねえのひょっとして

ジッパーはムカつくほどわろた。やると思ったけど

＞　俺は両腕をクロスさせて、右手で左肩を、左手で右肩を、そっと包み込むように優しく掴む。

物凄く期待通り

次号に期待。てかちゃんとオトして欲しいここまで来たら

映像化したい

ドラマ化

｜・_・`）ﾁﾗｯり

┃ ´皿`)彡　ｺｿｯと

ﾐﾅたん・・・（´д｀）

保守

即興いきあたりばったり小説「暗闇の中で鈍器」

『暗闇の中で鈍器』　

「だからこの廊下を真っ直ぐ歩けばいいんだよ」とヨカイさんは言う。
彼は俺の目を見ようともしない。

「真っ直ぐ？　真っ直ぐ行けばいいんですね？」

ここは暗い暗い、陰気臭い廊下だ。
気のせいかドブの臭いがする。

「だからそうだと言ってるだろう、君」

ヨカイさんはイラついたように壁を平手でべしゃりと叩く。

「本当に真っ直ぐ行けばいいんですね？　途中で脇道にそれるとかない？」
「しつこいな。真っ直ぐ行けばいいと言ってるだろう」

やたら高圧的な口調のヨカイさんだが、どこか挙動が不審だ。
目が泳いでいる。

本当に真っ直ぐ行くだけでいいのだろうか。
とても不安だ。

なんだかもうここには戻って来れないような。

「おい、わたしはもう帰るからな」

カチン。
ヨカイさんがジッポを閉じて辺りは闇に包まれる。

「せめてそのジッポ貸しといてくださいよ」

灯りもなしにこの暗闇の中を歩くのは危険だ。
それよりなにより心理的にヤバイ。

「アホ。君に貸したらわたしがここから帰れないだろうが」

顔は見えないが、きっと呆れた顔をしてるんだろう。
このオッサンには優しさの欠片もない。

支援

ガチャ、ギー……と、後ろのドアが開く音がする。

あぁ、俺は本当にたった一人でこの廊下を行かなければならないのか。
灯りもない、暗く、狭い廊下を。

はっきり言って帰りたい。
泣いて謝れば彼は許してくれるだろうか、などと情けないことを考えてしまったが
そんなことをしても無駄だ。彼は絶対に俺を許さない。
わかりきっている。

大体あれだけ威勢のいい啖呵をきっておいて今更泣きを入れてみろ、
俺はきっと死ぬまで仲間内で笑いものにされるだろう。

これから先、俺抜きでみんなが集まる機会があった時、必ず酒の肴にされるだろう。
それは嫌だ。

「健闘を祈る」

心の籠っていないメッセージと共にドアが閉まる音がした。

ｄｋｄｋ

ありえないほどに無慈悲な静寂。
本当にありえない。

こんなありえない空間に俺一人。
マジでありえない。

即効で足が震え始める。
なんという闇のレシピ（意味がわからない）。

「落ち着け、落ち着くんだヤジリ」

自分で自分を励ましてみるが事態は好転しない。
当然、“実は設置されていた電灯がどういうわけかやる気を出して辺りが急に明るくなった”なんて
都合のいいことも起らない。起こるはずがない。

ここか

この期に及んで神秘的な何かにすがろうとしている俺を誰かが笑った。

──ような気がした。

ピーンという張り詰めた空気の音が耳の奥でこだまする。

心なしか小便がしたい。

帰りたい。
でも帰れない。
帰るわけにはいかない……。

俺はめいっぱい両腕体の外側に向かって伸ばす。
何も全身を使って十字架を表現しているわけではない。
いくら心霊スポットとして有名な場所でもここは日本なので
血に飢えた吸血鬼も居ないだろう。そう思いたい。居てくれるな。

さて俺が両腕を伸ばした理由だが、これがまた目論見通りバッチシだった。
右手も左手も壁に手がついたのだ。

ものすごく奇妙な物語。状況説明まだか

胆試しか

ktkr

『真っ直ぐ行けばいい』

彼はそう言って、俺は何度も確認したが、彼の言葉は信じられない。
なんせ１０センチ先も見えない闇の中だ。
カヨイさんがジッポで辺りを照らしてくれたから今こうして俺が立っている場所から数メートル先までは
一本道になっていることが確認出来たが、その先はどうなっているかわからない。

だが、こうやって左右の壁に手をついていられる内は大丈夫だ。
もしも途中で左右の手から冷たいコンクリートの感触がなくなったら、そこはもう一本道でなくなっているということだ。

もしそうなったら俺はすぐにＵターンして帰ろうと思っている。
こんな暗闇の中で迷子になったらシャレにならない。

壁に手をついたまま、一歩進んでみる。
ちゃんと靴の裏がリノリウムの床を捉えてくれる。
そうだ、大丈夫さ俺。

何も地獄の一丁目を歩いているわけじゃあないんだぜ、と心の中で俺は俺を励ます。
今度は誰かに笑われたような感覚もない。イケるイケる。

更に一歩。
もう一歩。

ゆっくりゆっくり、生きていることを実感するように俺はリノリウムの床を踏みしめる。

これ今書いてるんですよね？
早いなぁ

そうです。
今考えながら書いてます。
なので文章がアレになってても笑わないでください。
笑ってください。

どっちですか！

もっとホメてくれって言ってるんだよ

>>414
とりあえず、ヨカイさんなのかカヨイさんなのかハッキリさせて下さい

きっと二人いたんだ

僕ならオチをダジャレにしてしまう

スベベベ、と両手が壁を擦る音が心地いい。
既に１０歩進んだが今のところスタート地点から何の変化もない。
突然リノリウムの床がぐにゃりと歪んで俺を飲み込んでしまうこともない。
リノリウムの床は今のところリノリウムの床だ。

ところで俺はリノリウムの床が大好きだ。

どこが好きかと聞かれても困るが好きだ。
まず語感がいい。そうは思わないだろうか。
りのりうむのゆか。発音した時に舌の先がてろてろててろてろと口蓋をリズミカルに叩くカンジ。
素敵だとは思わないだろうか。誰に聞いているんだろう。

そうこうしている内に２０歩進んだ。
やはり変化はない。

やべぇ、楽勝だろこれ。
さっきまで怖がっていた自分がアホに思えてきた。

どこのジェノだこれ

ええからはよ進展させえ！

ミスでした。
カヨイじゃなくてヨカイです。。。。

ｄｋｄｋ

異変が起こったのはスタート地点から３７歩進んだ時だった。
昨日卸したばかりのマイキのスニーカーのつま先部分が何かに当たったのだ。

俺は反射的にその“何か”を蹴った足を上げてしまう。

なんだろう。
感触的に蹴り心地の良いモノではなかったぞ。

ズシリと重厚で、しかし苦痛で声をあげるほど硬くもなかった。
俺が蹴ったせいでその“何か”は微妙に形体を変化させたのがインパクトの瞬間はっきりわかった。

そっと下ろした足を、床を滑らすようにして伸ばしてみる。

ブニョ。

異常あり。

何だこれは。

もう一度足の先で突いてみる。

ツン、ブニョ。

何だこれは。

うんこだったらそのまんまコメディへ
人の顔だよぉ～～～　だったとしてもそのまんまコメディへ

ツン、ブニョ。
ツツン、ブニョニョ。

埒が明かない。

俺はその場にしゃがみ込む。
それからちょっと悩んでから、一呼吸ついて今度は手を伸ばしてみる。

それは。

マネキンでした。

暗過ぎて全然見えないが、触ってみるとすぐにわかった。
カツラ付きの頭、胴体、腕、足を確認。

蹴ったのはマネキンの頭だったことを知り、俺は胸を撫で下ろした。

気を取り直して立ち上がり、両手を壁に向かって伸ばす。

マネキンかい！

ちょっ　　　　　と！

──続く（？）

続くのかよ！

すごい終わり方しましたね
第二のラジオ男になる気配が漂ってきてます

ラジオ男のようにならないことを自分で祈りつつ次回へ引きます。。。

最初に思いついたことを即興で書き進めながらどれだけやれるか、という……

大丈夫さ！

マネキンをまたいで俺は再び歩き出す。
依然としてお先真っ暗だ。

さて、ここいらで俺が何故こんな所でこんなことをしているのかを語ろう。

遡ること数日前、俺は仲間達と共にとある居酒屋で安い酒を飲みながら馬鹿話に花を咲かせていた。

『でもさ、幽霊はマジいるよね』

今にして思えば全ての始まりは童顔、なのに巨乳が売りのユンミのこの一言だった。

『いるわけないだろそんなもん』

と、すかさず反発したのは俺だ。
これがいけなかった。

もしこの時『いるかもねぇ』とか言って適当に流しておけばこんなことにはならなかっただろう。

『ヤジリは心霊現象否定派か』

砂肝を頬張りながらヲンダが言った。
こいつのトレードマークは変な形の猫がプリントされたニット帽だ。
ヲンダは常にこのニット帽をかぶっていて、屋内であろうと誰かの家の中であろうと決してニットを脱ごうとはしない。
こいつがニットをかぶっていない姿を誰も見たことがないのだ。
誰も本人に問いただそうとはしないがきっと髪の毛が薄いのだろう。

『見たことがないからね、幽霊を』

俺は自分の目で見たものしか信じないんだ、という確固たる信念に基づいての発言だったわけじゃない。
正直に告白してしまうが、俺はユンミが好きだった。
いや、過去形にするのはおかしい。
今現在、この瞬間も彼女に好意を抱いている。

が、俺は彼女に自分の気持ちを告げたことはないし、俺のそんな気持ちに彼女は毛ほども気付いていない。
俺と彼女の関係は友達以上でも以下でもない。今のところは。

なんと言えばいいのだろうか。
俺が彼女に対して反発するのは、好きな子に対してつい反発してしまう子供のような、そんな心理からくるもので
何か根拠があるわけじゃなかった、と思ってくれればいい。

＞『見たことがないからね、幽霊を』
「じゃあお前は原子核を見たことあるのかよｗｗｗ」って感じですよね

本音を言えば俺は幽霊の存在はともかく、人知を超えた得体の知れない“何か”は確かに“ある”と思っている。
ただ実際に心霊現象に遭ったことはないし、この時言ったように俺は幽霊を見たことがない。UFOとかもない。
でもそういうのって、もしかしたら“ある”んじゃないか、とは思っている。だからこそ俺はこの暗闇が怖い。

話を戻そう。

『なら、怖いものなんてないってわけだ』

意地の悪い笑みを浮かべてヲンダは言った。

『いや……』

なにもそこまで言ってないだろ、と俺が言おうとした時だった。

『じゃあさじゃあさ、今度の土曜はヤジリの心霊スポット検証で決まりだね！』

一体どこからどうやってそんな発想が出てきたのか全くの謎だが、
ユンミのその一言で事態はとんでもない方向へと転がり始めたのだった。

光るネーミングセンス

『お、それいいな。決定。ヤジリの度胸がどれほどのモンか見せてもらおうか』

ヲンダが拍手してユンミ発案の企画を後押しする。
そして追い討ちをかけたのが、それまで黙々と酒を飲み続けていたヨカイさんだ。

『ならわたしがとっておきのスポットを紹介しよう』

この時ヨカイさんの目が完全に座っていたのを、俺は夢にみるほどはっきりと覚えている。
酒に酔った勢いで適当なこと言っただけかと思っていたが、ところがどっこい、
こんな素敵な場所に俺を連れて来てくれたのだから、あの時既にヨカイさんは
全身全霊を込めて俺を恐怖のどん底に叩き落そうとしていたことが今になってわかったのであった。

ところで現在、スタートから約１００歩進んだのだが、マネキンを通過してから何の変化もない。
距離にしてどれぐらいになるだろうか。

この廊下はどこまで続いているのだ。

だんだん壁を擦っている手のひらの感覚が薄れてきた。
暗くてわからないが、きっと汚れで真っ黒になっていることだろう。

支援

試練

──ただこうしてひたすらに歩くだけというのは実に苦痛だ。
それがこんな寒気のするような場所なら尚更である。

一歩進むごとに神経がすり減っていくようだ。

気を紛らわせる為に、俺と俺の愉快で素敵な仲間達の話でしよう。

俺とユンミは高校からの同級生で、二人とも今年で２０歳になる。
俺はユンミと同じ大学に通いたかったのだが、学力的な事情からそれは叶わなかった。
ユンミはプリンのような言動が多いがあれでも頭はいい女なのだ。

ヲンダとはユンミを通じて知り合った。
奴は俺やユンミと同い年で、ユンミと同じ大学に通っている。
どうやって二人が仲良くなったのかはよく知らない。
初めてヲンダ会った時にユンミから『同じ学校のヲンダ君』と紹介されただけだ。

最初は恋のライバル出現か、と焦ったが、３人で遊んでいる内に
どうやらそれは杞憂だったとわかった。
ヲンダには将来を約束するほど真剣に交際している相手がいるらしいということを
ユンミから聞かされたからだ。

えてして杞憂ではないんだけどな

本人があまりその交際相手のことを話したがらないので、
一体どんな女性なのか全く知らない。
俺が気になったのはヲンダの恋人の顔より、その恋人とデートする時も
こいつはニットを脱がないのだろうか、ということだった。

そして最後にもう一人、ヨカイさん。

ヨカイさんとはヲンダを通じて知り合った。
それはユンミも一緒だ。

ヨカイさんは俺達よりも一回り年上で、俺達の中では当然最年長となる。

『ヨカイです。よろしく』

初めて会った時の紳士的な笑顔はとても印象的だった。

ヨカイさんという人間を一言で表すなら“謎”である。
俺とユンミが知っているあのオッサンの情報といえば
俺達より一回り年上だということぐらいだ。

(；･`д･´)

ヲンダは『海洋生物の研究なんかをやってるんだよ』なんて言っていたが、
ヨカイさん本人はというと、『作家の真似事をしていてね』と言ったり、
かと思えば『最近はボランティア活動に興味があるんだ』などと方向性の見えない
ことばかりを言うので、どれが本当でどれが嘘なのかさっぱりわからない。

ヲンダとの関係は『ネットで知り合った』とのことだが、はたしてそれが本当なのかどうか。

で、既に２００歩を超えたわけだが。
未だマネキン以来これといった変化はない。

本当にこの廊下に終わりはあるのだろうか……。

そこで、俺はハッとする。

もしかして、もしかして、だ。
この廊下に終わりはないんじゃないか……？

いや、待て。落ち着けヤジリ。
いくらなんでもんなこたぁない。

ｄｋｄｋ

あまりにもそれっぽい雰囲気に惑わされているだけだ。
そんなはずはない。

自分に言い聞かせて、俺は更に歩を進める。

……しかし、一度不吉な考えにとらわれるとどんどん悪い方へ悪い方へと
考えてしまうのが俺という人間だった。要はマイナス思考なのだ。

なんだか全身の感覚がおかしくなってしまったようだ。
視界は相変わらず闇に覆われているが、そのせいで他の器官が
敏感になっているうな気がする。

ここの来た時に嗅いだドブみたいな臭いは、時間が経つにつれ慣れて
麻痺したはずなのに、少し鼻に意識を集中させてしまうと途端に
下水を思わせる悪臭が鼻腔をつく。

これはあれだ、強迫観念というやつじゃないのか。

俺は恐ろしい考えがじわじわと湧き上がってくるのを必死に抑えつける。
そうだ、そうに決まっている。

この、誰かに見られているような奇妙な感覚は全部気のせいだ。

心臓の鼓動が速くなる。

ふと、耳を澄ましている自分に気付く。

俺を憑り殺そうとしている恐ろしい何かが、すぐ後ろまで迫って来ていて……。

俺の耳元で嗤っているような……。

ないないないない。
あるわけがない。

俺は今極度の緊張状態にあって、そのせいで過敏になっているだけだ。
無理やりにでもそう思い込め。

じゃないと精神的に参ってしまう。
肝試しなんてものは怖がったら負けだ。

何か楽しいことを考えろ。
正気を保つ為に。

ｄｋｄｋ

というわけで、今宵の目的でも語ろう。

居酒屋での飲み会の翌日、ユンミからメールがきた。

土曜（つまり今日）に俺の肝を試す場所が決まった、という内容だった。

その場所（つまりここ）については諸般の事情により伏せざるを得ない。
オカルトマニアでは有名なよくある廃墟か何かだと思ってくれれば大体相違ない。

そして俺が目指しているものは、これまたオカルトマニアの間では有名らしいのだが、
この廊下の終点にあるという『ロカちゃん人形』だ。

ロカちゃん人形とは、大きさにして全長６０センチ（でかい！）ほどだそうで、
噂によると元々は綺麗な金髪だったらしいのだが、この廃墟に住んでいた
持ち主の女の子がどうのこうのされて今では頭髪が血で真っ赤に染まっている！　とかなんとか。

それが本当にあるのかどうかを確かめるのが目的だ。

『本当にあったら持って帰って来てね』とユンミは言っていたが、
そんなもん持って帰っていいのだろうか。

そっか、おくまでいったら戻らなきゃいけないのか

しかし、人形が置いてなかったというケースもあり得る。
その場合は廊下の終わりが行き止まりになっているので、そこの壁に
『ヤジリ』と書いて来なくてはならない。

そして明日の朝、明るくなってから今度はみんなで俺が本当にゴールまで行ったのかを
確認する、というわけだ。

いやぁ、お馬鹿な企画だなぁ。

……と、笑い飛ばせるほどの余裕が今の俺にはなかった。
もう、どれぐらい歩いただろうか。
あまりにも変化がないのでいつしか俺は歩数をカウントするのをやめていた。

ただただ歩く。
一人で。
闇の中を。

スタート地点からどれだけ歩いたかわからない。
今、何時だろう。

そうね、だいたいね

“灯りになる物を持っていかない”というルールを課せられた為、
携帯電話も没収されてしまったし、俺は腕時計もしていない。

俺が持っているのは、終点での落書き用にユンミから渡された赤色のマジックだけだ。

さて、次は何を考えよう。
どんな楽しいことを考えて気を紛らわそうか、と思った時だった。

それまでずっと続いていた左手の壁が消えたのだ。

なんということでしょう。

どうすればいいのだ、この場合。
しばらくの間、その場で立ち止まって悩んだが、
右手は壁についたままだということに気付いた俺は
そのまま進んでみることにした。

右手だけでも壁につけていれば、少なくとも迷うことはないと判断したのだ。

左手から壁の感触が消えて、２歩ほど進むと今度はつま先が何かにぶち当たる。

ひぎぃぃぃい

……壁？
壁っぽい。

前方に左手を伸ばしてみると、やはりそこは壁になっていた。

ということはまさか。

右手と左手を壁につけたまま両手を交差させるつもりで滑らしていくと、
どうやらここは曲がり角になっているらしいということがわかった。

そこで俺はまた悩む。

これ、ここが終点なのか？　と。

両手で辺りを探ってみるが、人形らしき物体はどこにもなかった。
どうしよう。ここの壁に自分の名前を書けばいいのか？　

『真っ直ぐ行けばいいから』

ヨカイさんはそう言った。
そして俺は言われた通り真っ直ぐ進んだ。

騙された！

しかし、ヨカイさんの行った『真っ直ぐ』とはどういう意味だろうか。
あれは『道なりに進め』という意味にもとれる。

ていうか、ここが曲がり角になってるんだから当然この先にまだ廊下が続いているわけで……。
ということはここは終点じゃないわけで……。

臆病風に吹かれて強引にここをゴールにしようとしていた俺。

そう、はっきりと宣言しなくてはならない。
俺は死ぬほど恐怖を感じていると。

だが、ここで帰るわけにもいかない。

俺は覚悟を決めて、角を曲がって歩を進める。

何歩か進んで左手を伸ばすと、左側にも再び壁が出現した。
どうやら両側の壁から壁までの距離は角を曲がる前と一緒のようだ。

そして俺はまた暗闇の中を歩き始める。

───┐
　　←　│
─┐　 │
　 │↑│

読んでみたらカまだドいっこ曲がっただけかコラ

読んでみたらまだカドいっこ曲がっただけかコラ

吊ってきます。降ろさないで下さい

角を曲がってから、眠れない時に羊を数えるのと同じ感覚で
俺は改めて歩数をカウントし始めた。

何歩進んだかなんてどうでもよかった。
少しでも意識を何かに向けていたかったのだ。

歩くペースは最初と比べるとかなり速くなっただろう。

俺が再び曲がり角にぶち当たるまでに要した時間は、
最初の曲がり角に到達するまでにかかった時間よりも遥かに早かったように思う。

「またかよ……」

つい声が漏れる。

距離的には最初の曲がり角までと大体同じぐらいだった。たぶん。
そしてさっきと同じように左に曲がれるようになっている。

１分か２分ほどその場で壁にもたれかかって休憩してから、
俺はいつ終わるとも知れない暗闇の中を歩き始める。

┌───────┐
│　　　　　　　　←　│
│　 ┌───┐ 　│
│↓│　　　　 │↑│

これアレだ。一周するんだ
で、あと2回曲がったところでさっきのマネキンもっかい踏むんだ

でも来た入り口が見つからないんだ････････

(;ﾟдﾟ)ｧ....

オチ予想しようぜ

ヨカイ「なんでそこから出てきたんだ？」
ヤジリ「え、まっすぐ・・って」
ヨカイ「曲がり角を曲がっただろ」
ヤジリ「え、あ、はい」
ヨカイ「ルール違反だ。死ね」

badend

「なると」の渦巻きみたいな廊下なんだと思う
良い感じでマネキンが等間隔で置いてあって偽無限回廊みたくしてて
「をいコラ入り口ねーよｗｗｗｗｗｗｗ」　　的な

行き止まりは要は中心なアレ

床が動く歩道になってるとかですか

足も疲れてきたが、それより腕がキツイ。
ずっと上げっぱなしだったせいか、両腕が鉛のように重い。
これは明日、全身筋肉痛だな。

俺は左手を壁から離して、ジーンズのポケットにつっこんだ。
ちょっとこっちだけ休憩だ。もう右手だけ壁につけていれば大丈夫だろう。

ポケットの中にはビスケットがひとつ……なんてことはなかったが、
指先が何かを見つけた。小さな、丸いものだ。

感触だけで何かわかった。
パチンコ玉だ。

何を隠そう俺は知る人ぞ知るパチンカーだ。
週に３回か４回はチンチンジャラジャラして過ごしている。

まぁ、トータルすると圧倒的に負けているのだが。

あぁ、そういえば明日は贔屓にしてるあの店が新装開店だったなぁ、
なんてことを思い出しながらポケットから玉を取り出す。

ｷ…（-_-）ｷ（_- ）ｷ!（-　）ｷｯ!（　　）ｷﾀ（　ﾟ）ｷﾀ!（ﾟ∀）ｷﾀ!!（ﾟ∀ﾟ）ｷﾀ━━!!

今、俺の手の中にはパチンコ玉がある。
見えないけど確かにあるはずなのだ。

闇、というものの恐ろしさの正体を知った気がした。

“あるはずの物が見えないから恐ろしい”のだ。
至極単純なことだ。

俺が壁に手をついて歩いていた理由もそうだ。
何も見えないから、俺は壁に手をつくことでなんとか安心感を得ようとしていたのだ。
考えるまでもない。明るかったらこんな廊下なにも怖くないに決まってる。

そうだそうだ、そうなのだ。
要は俺が勝手に、闇に対してマイナスイメージを持っているだけなのだ。
それが人間心理なのかもしれないが、灯りがあろうがなかろうがこの廊下に
なにか変化があるわけじゃないだろう。明るいか暗いか、見えるか見えないかの違いだけだ。

……と、そこまで考えて、それが幽霊の存在するかどうかとはあまり関係ないことに気付く。

┌───────┐
│　　　　　　　　←　│
│　 ┌───┐ 　│
│↓│　　　　 │↑│

「あっ」

パチンコ玉をポケットにしまおうとしたが、うっかり手を滑らしてしまった。
指先からパチンコ玉の感触が消え、一瞬遅れて「ピチッ」と床を跳ねる音が
俺の耳に届いたが、当然この闇の中ではどこに転がって行ったかはわからない。

しゃがんで適当に手を床に這わせば見つけられないこともないだろうが、
別にあんなの失くしたってかまわない。

パチンコ玉は無視して俺はまたまた歩きだす。

「で、またこれか」

ある程度予想はしていたのだが、やはり曲がり角はやってきた。
歩数も同じぐらいだろう。
これで三度目だが、ここまで来る間に俺は色々なケースを想定していたので
迷わず先に進む。ちなみに今回も左折だ。

そしてこの時、俺は密かにゴールが目前に迫っていることを予感していた。

┌───────┐
│　　　　　　　　←　│
│　 ┌───┐ 　│
│↓│　　　　 │↑│
│　 └─
│　　→
└───

今までそうしてきたように俺は両手を壁についている。
このまま真っ直ぐ進めばどうなるか。

必ず今までとは違う変化があるはずだ。
何故なら、スタート地点から最初の曲がり角まで、最初の曲がり角から二度目の曲がり角まで、
二度目の曲がり角から三度目の曲がり角まで、全て同じ距離だと思われるからだ。
そりゃきっちりと測ったわけじゃないから絶対とは言い切れないが、同じ距離だったとして、
今回も今までと同じだけの距離を真っ直ぐ進んだらどうなる。

俺は確信していた。
階段が出てきたり左右どちらかの手がドアらしきものが触れたり
十字路になってたりしなきゃ必ず行き止まりだぜ、と。

出来れば行き止まりが望ましい。
これから二階に上がってまた同じような廊下が続いたらさすがに辛い。

一応そういったケースも想定しつつ、気を引き締めて俺は歩き出す。

┌───────┐
│　　　　　　　　←　│
│　 ┌───┐ 　│
│↓│　　　　 │↑│
│　 └─　　　│　 │
│　　→　　　　│S │
└───　　　└─┘

＞ちょっとこっちだけ休憩だ。もう右手だけ壁につけていれば大丈夫だろう。

なんかありそうですけども

マネキン以来の異変らしい異変が起きたのは、今までの通った直線と照らし合わせると
おおよそ中間あたりと思われる地点だった。

この頃になると俺の歩行スピードは平常時と同じぐらいの速度で、
まさか足元に何か仕掛けがしてあるなんて考えもしていなかった。
慣れというか感覚の麻痺とは恐ろしいものだ。

「うわぁっ」

不意を衝かれたせいで、これまでの人生で最も派手に転んでしまった。
受け身をとろうとして無理やり変に体を捻ってしまい、俺は思いっきり壁に頭をぶつける。
一瞬で気が遠のいていくのがわかる。

あぁ、これが気絶か。
そういえば以前にもこんな体験をしたな。
確か小さい頃にジャングルジムから落っこちた時だ……と、
過去の記憶がぼんやりと蘇ってくる。

いかんいかん。これは危険だ。

ギリギリのところで意識を保ち、何とか起き上がる。

>>480
まだ途中で予想しますけども

いやゆうべ考えたんですけども、廊下ごと四角い螺旋階段というかそんな感じになってたらどうでしょうか
何回曲がっても元の位置には辿り着けないし、どっかに適度にマネキンみたいなの置いておくトラップみたいな

で、このパチンコ玉がさ。緩い勾配ついてるから転がって行っちゃうんだよきっと伏線なんだよ俺すげー

で、最後には頂上に辿り着くんだよみんなが待ってて「おめでとう！」ってスタンディングなんとかをやるんだよ

┌───── ──┐
│　　　　　　　　 ←　│
│　 ┌─── ┐ 　│
│↓│　　　　 │↑│
│　 └──　　│マ │
│　　→転　　　│S │
└────　　└─┘

ずれてきた
次からjpgでいいっすか

逆か。下にゆっくり降りて言ってるのがいいか。したらさっきのパチンコ玉が追いつくな俺すげー

っていうかさっきから乙すぎるぞ貴様

「うぅ……うおっ」

立ち上がった途端、平衡感覚がなくなりまた転びそうになる。
暗闇の中で俺はバタバタと両手を振りまわしてバランスをとろうとしたが、
あっさり転倒してしまう。

今度はなんとか受け身をとることが出来たので頭を打ちつけたりはしなかったが、
代わりに肩を強打してしまった。

「ってぇ……ちくしょう……あ、あれ？」

両足にほとんど力が入っていないことに気付いて一瞬痛みを忘れる。
これが脳震盪というやつだろうか。

生まれて初めての体験にある種の感動を覚えた俺だったが、すぐに
激しい痛みが頭部と肩に走る。

真っ暗で何も見えてはいないのだが、きっと視界がぼやけていることだろう。
気を抜くと体が左右に傾いていくのがわかる。

一体、何に足を引っ掛けてしまったんだろう。
壁にもたれかかって平衡感覚が回復するのを待ちながら、床に手を這わしてみる。

どんだけずっこけとんねん！

さっきのマネキンですね
厳密に言うと同じ形をした別のマネキンです俺推理によると

dkdk

スタンド攻撃だ

っていうか今のショックで前後分かんなくなって逆走しちゃえばいいのに

それだと地図作った俺涙目

矢印書き換えるだけでいいからむしろお得です

とりあえずペイントで作ってくる

まりあさんが慌てふためきながらすいませんすいませんとか言ってる声が聴こえる

完成前に完結したら泣く

この廊下の四角形の一辺がおよそ何メートルなんですか

罠の正体はロープだった。といっても見えないのだが。
床から１５センチほどの高さにピンと張られているようだ。

まったく、どこの暇人がこんな仕掛けをしやがったのか。
しかし効果抜群だったことは確かだ。ちくしょう。

５分ほどして、俺は壁に体を預けたままゆっくり立ち上がった。
なんとか足に力も入る。多少ふらつくが歩けないほどではなかった。
ぶつけたところはズキズキと痛んだが、ここで休んでいたって仕方ない。
とっととゴールして帰ろう。

また罠に引っ掛からないように、まず右足をロープに当てる。
それから左足をそっと上げて、慎重にロープをまたいだ。

頭が痛い。肩も。
それに今気付いたが、さっき倒れる時に体を捻ったせいか、腰のあたりに違和感もある。
もう早く帰りたい。そして出来ればユンミに介抱してもらいたいなぁ、なんて思ったその時だった。

間違ってもう一回ひっかからねえかな

「──。」

何か……何かの気配を感じた。

ほんの一瞬だが、確かに今、俺のすぐ傍に何者かの気配を感じたのだ。
心臓が飛び出そうになったが、俺は足を止めずそのまま歩く。

痛みも吹っ飛ぶほどの恐怖が俺を襲う。

恐ろしくて振り返ることも出来ない。
もし振り返って、そこに何もいなかったらやっぱり怖い。
でももっと恐ろしいのは、この闇の中に血だらけの少女が立っていた時だ。

もしそんなことになったら次こそは問答無用で卒倒してしまう。
いや、それだけじゃない。そのまま俺は帰らぬ人となってしまうかもしれない。

決して振り返ってはいけない。
直感的にそう思った。

俺はただただ前に進むことだけを考えようとしたが、
心とは裏腹に体は危険を察知してようとしていた。

え。。。。ホラーなの。。。。。

http://nikov.img.jugem.jp/20080418_348995.jpg
間違ってたら言ってくれ

すげええええええーーーーーーーー

あと、一辺なげえええええええーーーーーーーーーーー

作者涙目

聴こえるのだ。はっきりと。
亡霊の息遣いが。

死人のくせに息をしているのか？　とんでもない奴だ。
だが今はそんなくだらないことに疑問を抱いている場合ではない。

今ではもうはっきりと感じる。
背後に奴の気配を。

どうすればいい。
どうすれば。

俺は殺されるのか！？

「あわわわナムアミダブツアーメンホーレンゲキョーリンピョウトウシャレイズアレイズ
　ニフラムシャナクドーマンセーマン……」

俺は文字通り祈るような気持ちで思いつく限りの呪文（？）を唱える。

オヤシロサマだな

http://nikov.img.jugem.jp/20080418_348999.jpg
あれ、ﾎﾗｰになってきた

ｸｽｸｽ……。

しかし奴の気配は一向に消えない。
それどころか奴は、必死に祈る俺を嘲笑う。

ああああダメだ。
もうダメだ。
俺は今日、ここで死ぬのだ。

俺はなんて愚かなことをしてしまったのだ。

“面白半分に心霊スポットなんて行くもんじゃない”

誰かが言ってたっけ。
まったくだ。こんなところ来るんじゃなかった。
くだらない見栄を張るんじゃなかった。

だけど、だけどそんなに俺が悪いのか！？

ちょっと廊下を歩いただけじゃないか。
何もしてない。俺はまだ何もしてない。
ロカちゃん人形だって持って帰ったりなんかしてない。
憑り殺されるほどのことはしてないじゃないか。

ユンミだなこりゃあ

夢オチ

──いや、待てよ。

この時……走る……！　九死の俺に……圧倒的閃き……！

天啓……！

奴が俺を殺そうとするのは何故だ。
まずそこだ。

俺が今、奴に狙われている理由で納得のいきそうなものといえば一つ。
俺がここに来たから、だ。

が、今のところ俺は危害を加えられたわけではない。
ただつけまわされているだけだ。

なら俺はいつ殺されるのか。
奴にかかれば俺のような腐れ大学生など赤子の手を捻るようなものだろう。
なのにまだ生かされている。

何故奴はすぐに俺を殺さないのだろう。

もしかして……奴の狙いは俺を殺すこと以外にあるんじゃないか……？

狙いすぎだ福本

　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　,､-─z___
　　　　　　　　　　　　　　　＞　　 `"　　　 _r┴z＿
　　　　　　　　　　　　　＜　　　　　　　　/r-(__"ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 / >- ､＼.ヽヽ　　　　　──いや、待てよ。
　　　　　　　　　　　　∠　　　　　　　　 /;:;,`-､＼　ヾヽ
　　　　　　　　　　　　ｲ　　　　　　　　　＼_;,;,,ilヽヽヽ;;,}
　　　　　　　　　　　　 /　　　ﾊ　　 r､　　　ヾ;;;;;|　 ;, illi;|　　　　　　　この時……走る……！
　　　　　　　　　　　　 {　　　∧ヾ|ﾊ|小ヾ／ﾊハ .| ;;,;,,,　 |　　　　　　　　九死の俺に……
　　　　　　　　　　　　 |　　 /＿ヾ_) ;;:;:= ,､"─‐! |　,; ;;,　|
　　　　　　　　　　　　/　　ﾄ､_ ・ `) i|;:;"_・＿／!;;|　　厂ヽ　　　　　　　　　　　　圧倒的閃き……！
　　　　　　　　　　／　　「l ! ;ヽ r' ,;;i| ,;; i　! ;;:　!;;,ヽ／ _○ﾊ
　　　　　　　　　／　 _,　 V:| ;;,,i j ;.:;;i| ,'";U;;'';;, i! ;;,,,, V　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　天啓……！
　　　　　　　／,､-''　/　　 '､ rrrｪｪｪｪｲｪｪｪ /!| ;;,,"　';;lll!　;;,, ;:;,＼
　　　　_,､-'"''",､ -''" |L　　 |'､^`~^三~`^~''/;/| ;;,,;;!　/|　illlii;;,, ;,.;:.＼
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この廊下に迷い込んだものは精神的不安定に陥り目の前にある全ての物が化け物に見える
で、大切な仲間を傷つけてしまう難病に冒されるというのはどうだろう

ゴールしたけどユンミを殺すend

ヤジリのイメージがカイジで固まった

俺を殺すという物騒な狙い以外に、俺をつけまわす理由とは？

真っ先に思いついたのが、“供養”という言葉だった。

俺はここに来たから奴に目をつけられた。
ここに来なければこんなことにはならなかったはずだ。
俺だけじゃない、俺以外の誰だってきっとそうだ。

そう、奴はここから動けない。
いわゆる自縛霊だ。

奴は“ここ”に何か未練があるのだ。
何か、どうしても果たしたい想いがあるからいつまでもここに留まっているのだ。
そうに違いない。

そしてその未練とは……？

──！　

そうか！　
ロカちゃん人形だ！

超論理

俺が生きてここを出る為の方法は一つしかない。

ロカちゃん人形を……“持って帰ること”だ。

普通、今の俺と同じ状況に置かれたら誰だってロカちゃん人形に
触れてはいけないと考えるだろう。祟られるんじゃないか、と。
だからこそここの足を踏み入れたことを詫び、誰もが一目散に脱出しようとするだろう。

奴はずっと待っていたのだ……ずっと。
いつの日か、ロカちゃん人形を持って帰ってくれる者が現れることを……。

何年も何年もずっと、一人で……。

なのに誰もロカちゃん人形を持って帰ってくれない。
みんな、奴の気配を感じると逃げ出してしまう。

奴がロカちゃん人形を持って帰ってほしいと願えば願うほど
人間は恐れてしまうのだ。

結果、犠牲者だけが増える。
哀れな少女の無念な想いが、憎しみへと変わり新たな死者を産むのだ。

大切なのは、信じる心と一かけらの勇気……。

惚れ惚れするほどの自己完結

文末に

（0.982秒）　　とか書いて欲しいくらいですね

即興と仰っていたけど、どのくらい当初の予定通りなんだろう

なんかまるで俺の推理からかけ離れた方向性に向かっていってますけど、
既に精神破壊を起こしてるような気がしなくも無いですね大丈夫かヤジリ

ロカちゃん人形を持って帰って、ちゃんと供養してやることが
奴を呪縛から解き放つ唯一の術なのだ。

もう恐れることはない。

背後に奴の気配を感じながら、俺はロカちゃん人形が置いてある行き止まりを目指す。

待ってろよ。
俺がお前を救ってやる。

もう少しだ。
あともうちょっとで行き当たるはずだから、どうかそれまでは俺を殺さないでいてくれよな……。

ほら、そろそろだ。

途中で転んじゃったからちょっとズレてるだろうけど、歩数はちゃんと数えてるんだぜ。

あと３０歩……。

２０歩……。

１０歩、９、８、７、６、５、４、３、２、１。

>>528
多分、倍以上に膨れ上がってるんじゃないの例によって

あ、クライマックスなのかコレ

地図涙目

あまりにもご苦労さん

壁に行き当たった。

よし……！
正面の壁に手をついて俺は闇の中で達成感に浸った。

あとは足元にでも置いてあるだろうロカちゃん人形をゲットすれば終わりだ。

俺はその場に膝をついてロカちゃん人形を探す。

──ない。

どこにもない。
手が触れるのは床、床、床、俺の大好きなリノリウムの床。

「え、えぇ！？」

一気に心臓の鼓動が速くなる。

ないないないないないないないないないないないない。
ロカちゃん人形がない。

どうして！？　何故！？　
あるはずなんだ。ここに、奴が大事にしていたロカちゃん人形が！

この後ろに居るヤツがロカちゃん人形そのものだというおっかないオチか

http://nikov.img.jugem.jp/20080418_349013.jpg

俺は必死に床の上を雑巾がけするように手を走らせるが、ロカちゃん人形の手ごたえはなかった。

──落ち着け。
きっとある。

俺は立ちあがって、ムーンウォークのように床に足をつけたままゆっくり後ろに下がる。

５歩ほど下がって、両手を左右の壁につける。
自分が廊下の真ん中に立っていることを確認。

今度はここで膝をつく。
そして床の上に両手を這わせて闇雲に動かしてみる。

ない。

膝をついたままで少し前に進んで同じことを繰り返す。

ない。

少し前に進んで同じことを繰り返す。

ない。

マジックの出番

ここは解かんといかんとですよｴﾛﾊｰｹﾞﾆｺﾌ

背後のロカちゃん人形が浣腸のスタイルです

少し前に進む。
壁に当たった。

……ない。

全身から血の気が引いていくのを感じる。

今日は“初めての体験”というやつが多い。
これほどまでの絶望感を味わったのは初めてだ。

俺は正面の壁に額をくっつける。
冷たい。
こうやって冷やしていれば何か思いつくだろうか。

ここから生きて帰る方法を。

だが俺がそれを思いつく前に、奴が動いた。

すぐ後ろに奴がいる。

嫌だ。
死にたくない。
死にたくない。

こんなところで死にたくない。

殺される前に壁に名前を書け！

壁はデスノート

ところで、ダイの大冒険のマァムのお父さんの名前はロカと言います

マァムのおっぱい好きだよ
24巻はバイブル

なんか言ってくれ

あまりにもご苦労さん

ｻｰｾﾝ

「うわっうわああわうああああ！」

死んでたまるか！

俺は立ち上がり、奴の方を振り返りながら思いっきり両手を振り回す。

「やめろぉ！　やめてくれぇ！　殺さないでぇえ！」

俺は必死に命乞いをしたが、奴は答えない。
ただ俺の目の前で黙っているだけだ。

「ひいいやあああっ」

壁を背にしてひたすら前方に向かってパンチを繰り出すが、
奴はじっと俺の様子を窺っているだけで何もしてこない。

助けてくれ、誰か助けてくれ。

本能的に体が逃げ場を探す。
背中を壁につけたままで、俺は角に向かって倒れるようにしゃがみこんだ。

冒険は終わりか

帰り道同じように歩いたはずなのに脱出できない　とか？

そして俺は本当に倒れてしまう。

俺は壁に背をつけたままで、蟹のように左に移動したのだ。
ここは袋小路で、そこにはやはり壁があるはずだった。
なのに、俺の体を受け止めてくれるはずの壁がなかったのだ。

「あぁ、ああああっ！？」

ここは行き止まりじゃなかった！？

まだ先に進めるようになってたなんて。
ということはこの先にロカちゃん人形があるのか！？

よかった、まだ生きて帰るチャンスは残っていたんだ……と安堵した瞬間、
背中に激痛が走った。

「ぎゃあっ」

奴の攻撃だ。
何故だ？　まだチャンスは残ってるんじゃないのか！？

うん？

再び攻撃。
今度は耳をかすっただけだった。

数秒遅れて焼けるような痛みが走る。
おそらく出血したのだろう。

「ひいいいっ」

間違っていた。
俺の推理は間違っていた。
奴は最初から殺す気だったのだ。

奴に話し合いは通じない。
もう、どうすれば奴の怒りを鎮めることが出来るのかわからない。

俺は無我夢中で新たに発見した道を走る。

もう左右の壁に手をつく余裕もない。
ひたすら奴から逃げることだけを考えた。

走って走って走りまくる。

「うああっ！？」

目の前に星が飛ぶほどの衝撃。
壁だ。
またしても行き止まりか！？

だが、そうでない可能性もある。
俺は必死で壁に手をあてて辺りを探る。

道はあった。
ここも曲がり角になっている。
相変わらず一本道だったが、なんとか先に進むことは出来る。

こうなったらとことんまで逃げてやる。
俺の足が動かなくなるか、完全に行き止まるまで。

そして俺は暗い廊下を走る。
奴は追って来ているのだろうか？

気配を探っている余裕はない。

「あがうっ！？」

またも目の前に星が飛ぶほどの衝撃。
壁だ。
今度こそ行き止まりか！？

いや、諦めるな。そうでない可能性もある。
俺は必死で壁に手をあてて辺りを探る。

道はあった。
ここも曲がり角になっている。
相変わらず一本道だったが、まだ先に進むことは出来る。

まだまだまだまだ逃げてやる。
俺の肺がパンクするか、完全に行き止まるまで。

そして俺は暗い廊下を走る。
奴はまだ追って来ているのだろうか？

気配を探っている余裕はない。

地図作成を諦めざるを得ない感じになってきたｗｗｗ

ってか本当に追われてるんだろうか

「あわあうっ」

何かを踏んづけて俺はすっ転ぶ。
今日は転んでばかりだ。

くそっ！　一体何を踏んだのか。
そうだ、武器になるようなものなら！？

俺は踏んづけたそれに手を伸ばす。

モサッとした何かを掴んだ。

この感触……これは、確か。

それはマネキンだった。
そう、スタートして間もなくの頃に出会ったアレだ。

「な……え！？　な、なんでここに！？」

ｷ…（-_-）ｷ（_- ）ｷ!（-　）ｷｯ!（　　）ｷﾀ（　ﾟ）ｷﾀ!（ﾟ∀）ｷﾀ!!（ﾟ∀ﾟ）ｷﾀ━━!!

>>555-556とかアリなんだなぁ

何故？　どうして？　このマネキンがここにあるはずがない！

「うあああっ」

俺はマネキンの頭を掴んで、顔を床に叩きつけた。
何故マネキンがここにあるのかなんてどうでもいい。
とにかく逃げないと。

と、床に手をついて立ち上がろうとした時だった。

床と手のひらの間に違和感。
俺は、この感触にも覚えがあった。

「パパパパパッパチンコ玉！？」

それはパチンコ玉だった。
そう、俺のポケットに入っていたアレだ。

「なんでここにあるんだよおおお！」

そしてこれが俺の生前最後の言葉となった。
この直後に俺は後頭部に強い衝撃を受け、意識を失い、そのまま死んでしまったらしい。

！？

ユンミは俺の死を知ってどう思っただろう？
俺の為に泣いてくれただろうか。

ユンミ、ずっと言えなかったけれど、俺は君のことが好きだった。
俺はもう君にそのことを告げることも出来ないから、君の幸せを願っているよ。

ヲンダ、一度でいいからお前がニット帽を脱いだところを見てみたかったよ。
例の恋人とお幸せに。

ヨカイさん、あなた本当は何の仕事をしてたんでしょうか。
あなたがこんな素敵な場所を見つけてきたせいで、俺死んじゃいました。
でも恨みはしません。自業自得ですから。

ユンミにも、ヲンダにも、ヨカイさんにも、言いたいことや聞きたいことがたくさんあった。

いや、過去形にするのはおかしい。

ユンミにも、ヲンダにも、ヨカイさんにも、言いたいことや聞きたいことがたくさんある。

そうか、これを未練というのか。
だから俺は自分が殺されたこの場所から動けないでいるのだろう。

次回（明日）でようやく終わりです。
本当にすいません。

ていうか地図ありあとやしたｗ
自分で作成しようと思ってたので。。。

あ、書き忘れたことがあった、、、
まぁいっか☆

ここまで約５０レス

いやぁ……

先に寝ちゃってごめんNe
終わってしまうとなると寂しいね

>>555-556で左右どっちに曲がってるのかわからなくて断念です(´；ω；`)

全くですよね

　　　◆　第一章（終章）

「どうでしょう」

自信たっぷりといった表情で彼女は胸を張るが、俺は呆れてものも言えなかった。

「お、あまりの出来の良さに言葉を失っているようだね」

絶句している俺を見て満足そうに彼女は一人頷くが、
俺は目の前の原稿用紙を破り捨てたい衝動に駆られていた。

「……とりあえずコンポタ作ってくれないか」
「お？　時間稼ぎかな？　かな？」

確かに時間稼ぎには違いなかったが、それはなんと言えば彼女を傷つけずに済むかを
考える為の時間が欲しかったのと、怒りにも似たこの感情を鎮める為だ。

(　ﾟдﾟ)

「まぁゆっくり考えてくれていいよ～」

弾むような足取りでキッチンに向かう彼女の後姿からは絶対の自信に満ちていた。
こんなにも無邪気な彼女を俺はこれから叩きのめさなければならないのかのと思うと胸が痛む。
だが、それが彼女の為なのだ。
こんなものを俺以外の人間に読ませてはいけない。

「はい、どうぞ」
「……ありがとう」

コーンポタージュスープを一口啜って、俺は覚悟を決める。
他の誰にも任すことは出来ない。これは俺の使命なのだ、と。

「さ、じゃあ携帯……いや、名探偵Ｌの推理を聞かせてもらおうかな」

ラチメチは勝利を確信したように微笑むが、彼女の笑顔が美しければ美しいほど
俺の心は乾いていくのだった。

あ、誤。。。

(　ﾟдﾟ)

はないたち外伝だったのか

「ところでこれはホラーなのか」
「ん～……それに答えると推理する楽しさが半減しちゃうんだけど」

推理する楽しさなんてどこにも見当たらない……とはさすがに言えない。

大体、推理しようにも提示されるべきヒントがあまりにも少なく、雑過ぎる。
これなら作者がホラーだと言いきってしまえばそれで通ってしまうだろう。

というより設定があまりにも破天荒で、現実的に考えてあり得ないことだらけである。

創作なのだからある程度は現実離れしている描写や設定があってもいいだろう。
しかし、いくらなんでもこれはどうかと思う。

「ま、推理する時は先入観を持たない方がいいとだけ申し上げておきましょうか。ぬっふふふ」

色々と気に入らないところはあるが、こうやって俺に推理させようとしているからには
ミステリ小説を書いたつもりなのだろう。本人は。

なら俺も数少ない（本当に少ない）手がかりを基に、自分で納得のいく（ギリギリ許容出来る範囲で）
推理（というほどのものでもない）を展開していくしかない。

がんばれ携帯

え、僕らも推理（というほどのものでもない）したほうがいいのかな

「犯人はヨカイ……でいいんじゃないか」
「ほほう、どうしてそう思うのかな」

ラチメチの顔が僅かに引き攣ったのを俺は見逃さなかった。
……が、だからといって確信を得ただとかそういう嬉しさは一切ない。

「まず、登場人物が主人公のヤジリ、ヨカイ、ユンミ、ヲンダの四人しかいないわけだが」
「ん、んー？　本当にその四人だけでいいのかなぁ？」

おそらく揺さぶりをかけようとしているのだろうが、彼女が可哀想に思えるぐらい俺の心は揺るがなかった。

「“奴”の存在を忘れてないかな？」
「だから、その“奴”がヨカイなんだろう」
「むっ……」

登場人物はヤジリを含めたったの四人。
と、なるとホラー路線を否定した場合この四人の中の誰かが犯人と考えるのが当然だ。

作中で終始自分の心境を語っていた主人公が犯人であるはずがないのでヤジリは除外。
残りは三人。

推理の視点がメタです！

ここで第一の疑問。転じて不平がある。

これ、ヤジリ以外なら犯人誰でもいいだろう……？

「なんでヨカイさんが犯人だと思うの？」
「この廃墟？　の中にヤジリと一緒に入ったのはヨカイだけだろう」
「ふぅん……それで？」

彼女は明らかに機嫌を悪くしているようだった。
だが一度口火を切ってしまった以上、俺に後退の道は残されていない。

「それで、と言われても。だからヨカイが犯人でいいんじゃないか……と」
「その“いいんじゃないか”ってなに？　なんでそんなにテキトーなの」
「いや……」

それは君の状況描写や伏線の張り方があまりにもお粗末だから……と言えたならどんなに楽だろうか。

「……まぁいいけど。じゃあヨカイさんが犯人だとしたら、どうやってヤジリ君を殺したのさ」

ここで第二の疑問。転じて不平がある。

犯人は如何なる凶器を用いてヤジリを死に至らしめたのだろうか。
作中ではそれらしき小道具が一切出ていない。

凶器はパチンコ玉

ヤジリが“奴”に攻撃された時の描写を見る限り、とりあえず拳銃で撃たれたのではないな、
ぐらいしか推理のしようがないのだ。

タイトルが『暗闇の中で鈍器』と題されているからには、おそらく凶器は鈍器なのだろう。
となると、作中で出てきたものでそれらしい物といえば何があるだろうか。

何もない。

逆に言えば、何を凶器にしたってかまわないのかもしれないが。

小道具らしいものといえば、マネキンが印象に残ってはいる。
だがヤジリは殺される直前にマネキンを発見しているので、最初に攻撃された時にあのマネキンを
犯人が使用出来たはずがない。

ならば他には何があるだろうか。

冒頭でヨカイが持っていたジッポ？
まさか。

パチンコ玉？
もっとあり得ない。

もっとありえないｗｗｗ

「ほら、早く言ってごらんなさいよ。ヨカイさんはどうやってヤジリ君を殺したのさ」

ラチメチが睨むので、ひとまず凶器のことは置いておこう。

「大体さぁ、ヨカイさんは冒頭ですぐ帰っちゃったんだよ？
　いつの間に戻って来たって言うの？」

そのあたりに関しても納得のいかないことはあるのだが、とりあえずラチメチの構築した
フィールドに乗らないことには話が進まない。

「帰ってなかった……で、いいんじゃないかな」
「納得のいく説明してみてよ」

納得のいく説明をしてほしいのは俺の方である。

俺もである。

「冒頭でヤジリとヨカイは既に廊下に……作中での呼称を借りるとスタート地点に立っていた。
　最初はヨカイがジッポで辺りを照らしていたので彼の表情や仕草などがヤジリの主観によって
　描かれていたが、ジッポの火が消えた後は全てヤジリの想像によるものだ」
「……それで？」
「ジッポを閉じてすぐ、ヤジリ達の後ろにあるらしいドアが開く擬音が書かれている。
　そしてヤジリの独白を挟んでヨカイのセリフと共にドアの閉まる音がするわけだが、
　この時ヨカイが外に出て行ったとは書かれていないし、暗闇で視界が奪われている
　ヤジリにはヨカイが本当に出て行ったかどうか目で確認することは出来ない」

ズバン！
早押しクイズで優勝が懸かった最後の一問に臨む解答者の如き豪快さでラチメチはテーブルを叩く。

「お、落ち着け」
「落ち着いてるし……」

鬼気迫る形相だが、彼女が自分でそう言うのだから落ち着いているのだろう。

「……だからヨカイは帰ったふりをして、ヤジリの後を追っていた……
　で、いいんじゃな」ズバン！　コンポタの入ったカップが宙に浮く。俺は慌ててカップをキャッチする。

テーブルを挟んですぐ目の前にいるというのに、顔がよく見えないほどラチメチの周囲には影が差し込んでいた。

外伝なら目が合ってｳﾝｺ漏らすレベル

コンポタってあたりがすっげえ携帯ぽい

「いや、落ち着け」
「落ち着いてるし……」

苦虫を噛み潰したような形相だが、彼女が自分でそういうのだからやはり落ち着いているのだろう。

「お前の分もコンポタ作ってやろうか」
「いや、いい……」

どこかからキリキリキリキリと不穏な音が聴こえる。
逼迫したこの状況に耐えかねた俺の胃が悲鳴をあげ始めたのかと思ったが、
耳を澄ましてみると、ラチメチの口の中から漏れ出ている音だとわかる。

尋常ならざる咬筋力を以てして歯ぎしりをするとこんな不気味な音がするのだなぁと俺は感心してしまう。

「ふふ……ふっふふふ……いやいやいや……まいったよ、携帯。さすがだね……ふふふ、あっはっは……」

ラチメチは力なく笑い始める。
俺は彼女にかけてやるべき言葉を模索するが、あらゆる方向から多角的に検討した結果、何もないと悟った。
それほど彼女が作り上げた世界は脆弱なのだ。

俺はぬるくなったコンポタを啜りながら時が経過するのを待った。
根拠のない優しさは却って人を傷つけるからだ。

むぅ

しかし時間稼ぎも空しく、俺はすぐにコンポタを飲み干してしまう。
彼女に自尊心を取り戻させる為に与えた時間的猶予も尽きてしまった。
カップの底に現れた“電子レンジやオーブン等には使用しないでください”という注意書きまでもが
彼女を責め立てているようだ。

俺がカップをテーブルに置くと嗚咽にも似た乾いた笑い声が途絶え、
ラチメチは放心したように天井を見上げて動かなくなった。

俺はラチメチが今どんな想いでいるのかを推し量るべく彼女の瞳の奥を覗きこもうと試みたが、
俺達の視線は交錯することなく、それまで天を仰ぐように虚空を見つめていた彼女は
突然重力を思い出したように深く頭を垂れる。
テーブル上のカップに向けられた俯角の視線が彼女の心情を物語っていた。

「引導を渡して頂戴」

空っぽのカップがどちらつかずで中立的な態度を示しているように見えたのは、
彼が容器としての役割を果たし終えたからだろう。

自虐的に呟いたラチメチの視線は尚もカップに注がれていたが、
彼女の言葉は虚ろに響くだけでカップは何も答えようとはしなかった。
この閉塞した空間に身を置いているのは今や俺と彼女だけだ。

うめぇ

待てやコラ

ﾊﾟﾊﾟ、もっと怒って！

ならば彼女の求める言葉を紡ぐことが出来るのは俺しかいない。
彼女を救えるのは、彼女を楽にしてやれるのは、俺だけだ。

それこそが俺の果たすべき役割であり、使命なのだ。
だからこそ今、言わなければならないことがあった。

「ラチメチ」
「はい……」

彼女が顔を上げるのを待ってから、
俺は今まで一度として口にしたことのなかった本当の気持ちを彼女に告げる。

「俺は君を愛している」
「えっ……」
「愛してる」

飾る必要はない。
真っ直ぐに伝えたかった。

(　ﾟдﾟ)

作者の弁明は後で聞くとして、ものすごいいっぱい推理した俺どうしよう

あまりにもご苦労さん

今日、お仕事中に僕の出した結論は

「背後の気配はヤジリ自身の幽霊。このままでは死んでしまう自分をなんとか救い出そうと
　懸命にもがくが、結局追いつけずに死んでしまう。生身のヤジリが死亡した時点で幽霊は消え
　また、新たにやってくるヤジリを救い出そうとする無限回廊物語」

でした

それにしましょう

「ど、どうしたの携帯……その、そんないきなり、そんなこと……あの、えっと」

狼狽する彼女を見て、俺は気持ちが伝わったことを確信した。
そう、たったこれだけのことでよかったのだ。
こんなにも追い詰められなきゃ自分の気持ちも素直に言えないなんて、情けない話だ。

「どうしてもこれだけは言っておきたかったんだ」
「う、うん。ありが……とう……」

ラチメチは頻りに手ぐしで髪の毛を梳きながら、落ち着きなく視線を宙に彷徨わせていた。

「じゃあ、続けるよ。推理を」
「はい……」

俺達は見合いのように居住まいを正して向き合う。

「もう一度整理し直して説明するよ」

犯人はヨカイ。
灯りを消して外に出たふりをしたヨカイは息を殺してずっとヤジリの後をつけていた。

コメディ路線の昼ドラ始まったぞ

どうしたらいいんだろう

この時点で既におかしいところは多々あるが、一つ一つ指摘していくとキリがないので
ひとまず話を先に進めよう。

作中で描かれた中で不可解な点といえばまず、ヤジリの死。
そしてラストでのマネキンとパチンコ玉の出現だろう。

ヤジリの死については悪霊による呪いといった類のものではなく、
ヨカイの物理的な犯行によるものだ……と、とりあえず仮定するしかない。
はっきりいってこれはかなり強引である。
あくまでも可能性の一つに過ぎなし、作中でそれを完全に証明出来るヒントは皆無だ。
しかしそれでも予想し得る結論はこれしかないように思える。

マネキンとパチンコ玉の出現については至って簡単に説明をつけることが出来る。

「ヤジリは最終的に、スタート地点から37歩目にあったマネキンのところまで戻ってきただけだ」

この件に関しても納得のいかないことは並べて叩き売るほどたくさんあるが、
ラストがああなっていた以上、これしかオチがつけられないと思う。

ここでヤジリの行動を簡潔に追っていきつつ、おかしなところにも軽くつっこみを入れていこうと思う。

逆走したんか結局俺イェー

大真面目にキン肉マンを解説するスレみたいなノリになってきたな

これで終わるわけがない

オチがついてるのかこのあとつけるのかによる

スタート地点。
まずこれが意味不明だ。この廃墟は一体どういう構造になっているのかさっぱりわからない。
読者からすれば主人公がどこかの建物内に立っていることぐらいしか読み取れないからだ。

ヨカイとの会話を終えて、ヤジリ、スタート。

スタート直後にヤジリが声に出して自分で自分を励ますシーンがあり、
そのすぐあとで“誰かが俺を笑った”とホラー的な演出があるが、
おそらくこれはヨカイが笑ったのだと思われる。伏線のつもりだろうか。どちらにしてもお粗末だ。

37歩目。
ヤジリがマネキンを蹴る。
もしかするとこのマネキンこそがロカちゃん人形なのではないかという線もあるが、
それを証明する手立てはない。
一体誰が何の目的でこのマネキンをこんな所に置いたのか不明である。
たぶん一種の演出と伏線のつもりだろう。

マネキンをまたいでヤジリは再び歩き出す。
この“またいで”という表現はもしかすると伏線のつもりだったのかもしれないが、
とりあえずそれについては今は横に置いておく。

＞スタート地点。
＞まずこれが意味不明だ。この廃墟は一体どういう構造になっているのかさっぱりわからない。
＞読者からすれば主人公がどこかの建物内に立っていることぐらいしか読み取れないからだ。

俺らがあえて伏せていた事を流石携帯さんですね

いや、なるほど
おもろくなってきた

それからヤジリの回想シーンが始まる。
この回想シーンが挿入されたのは簡単な登場人物紹介……というよりは、
ラチメチなりの“容疑者リスト公開”なのだろう。

ヤジリ以外の三人について簡単な説明があり、何故ヤジリが暗闇の中を一人で歩くことになるかが
徐々に明かされていく。

ここで断言しておこう。
この回想から得られる“犯人の動機”など、ヒントになる材料は一つもないと。

回想が一旦終わり、ヤジリが歩き出して100歩を超えたことが説明され、
再び回想シーン。ヤジリ達の人間関係について語られる。

ここでもう一度断言しておこう。
この回想で“犯人を絞り込む為のヒント”などは特にないと。

回想が終わり、ヤジリスタートから200歩。
この時にもヤジリは何かの気配を感じている。ヨカイが後ろにいるとは考えなかったようだが……。

普通気付くだろう。

そしてこのあたりでようやくヤジリのいる場所についての説明が入る。

いわゆる「解」なんですね。やっと狙いが分かった罰当たればいいのに

そわそわする

『その場所（つまりここ）については諸般の事情により伏せざるを得ない。
　オカルトマニアでは有名なよくある廃墟か何かだと思ってくれれば大体相違ない。』

実にアバウトだ。
実在する心霊スポットを参考にしたのかどうかも不明だが、
なによりこの廃墟？　らしい建物の外観すら描かれていない。

ヤジリが歩数をカウントするのを途中でやめてしまったりするところを見ると、
作者本人もこの廃墟の広さなどを把握しきれていないのが見受けられる。

ヤジリ、最初の曲がり角に到達。
状況から見て左折したことがわかる。

二つ目の角までは特に何も起こらずでヤジリ左折。
ポケットの中からパチンコ玉を発見、落してしまう。
ヤジリはパチンコ玉を探さずそのまま前へ進む。

三度目の左折。
それからしばらくしてヤジリ転倒。頭をぶつけてしまう。
軽い脳震盪を起こしでもしたのか、ヤジリは世界がひっくりかえったような錯覚に陥り、
平衡感覚を失って再び転倒してしまう。

もの凄く上手い物語なのかも知れない
俺らはまんまとしてやられたんだ単純に「外伝かよ！」ってオチじゃない

ふむ

ﾊﾟﾊﾟがどのくらい本気で感心してるのか測りかねる

わりと本気

(´･ω･`)

数分休んだあと、ヤジリはロープをまたいで歩き出す。

この“またいで”というのが一応ヒントらしい。

転倒する時に、ヤジリはロープを越えたはずだ。
なのにヤジリは立ちあがってからロープをまたいでいる。

「ここでヤジリは、来た道を戻り始めるんだな？」

しかしはっきりそう書かれているわけではない。
微妙過ぎるヒントなので、これはさすがに作者であるラチメチに確認を取らなくてはならない。

「うん……そうだよ」

正解だったようなので俺は安堵する。

歩き始めてすぐ、ヤジリは何者かの気配を敏感に察知する。
ヨカイだ。

「これはヤジリが急に来た道を戻り始めたので、ヨカイとぶつかりそうになった……ってことでいいのか」
「そうそう、そんなカンジ」

しかし……気付けよ、ヤジリ。
わけのわからない念仏を唱えて笑われてるし。

ほー

恥ずかしいから>>537消してくる

ものすごく説明が上手く出来ないけど、この一連の小説の作者はまりあさんであり作中のラチであると
俺らは作中の携帯さんであり、俺らに推理させる事そのものが狙いであり、ええとなんていうか

違います

「名探偵の掟」みたいな感じ？

そっこー否定されとる

「で、ヤジリはロカちゃん人形を目指して歩くわけだが……」

当然、来た道を戻っているだけなのでロカちゃん人形に辿り着けるはずもない。
もっとも、本当にロカちゃん人形が存在していたのかどうか誰にもわからないが。

そしてヤジリは壁に行き当たる。

「これが三つ目の曲がり角」

当然、ロカちゃん人形はない。
ヤジリは必死で人形を探すが見つかるわけがない。

と、ここでよくわからない展開になる。
それまでずっとヤジリのあとをつけていただけのヨカイが急に殺意をあらわにするのだ。

「何故このタイミングなのか、いくら考えてもわからないんだが」
「……うん」

自分でもわからないらしい。
なら仕方ない。

ちょっと違うなぁ　上手く説明出来ない

これ、単に愛の物語だったらどうしよう

メタミステリ的な感じで
信用できない語り手の語りの「嘘（あるいは真実ではない部分）」を名探偵が見破るんだけど
なんだけど信用できない語り手を別の信用できない語り手が描いててなんか入れ子風味になってて騙された俺たち涙目っていう

──ヨカイがヤジリを攻撃する。

ここでまたよくわからない描写がある。
本編から抜粋しよう。

　　俺は壁に背をつけたままで、蟹のように左に移動したのだ。
　　ここは袋小路で、そこにはやはり壁があるはずだった。
　　なのに、俺の体を受け止めてくれるはずの壁がなかったのだ。

と、ある。

「えぇと、それは……絵にしないとわかりにくい、かも……」

小説なのに絵が必要なのか。
なら仕方ない。
かなり好意的に解釈すればなんとなく理解出来ないこともない。

要はヤジリが勝手に袋小路だと思い込んでいるだけで、
実際には曲がり角になっていて、新たに道が出現したのではない。

なんたらなんちゃらっていう、主人公視点の物が正しく無い可能性があり、それらは
作中で明らかにされないどうのこうの？

……ヤジリ、走る。
壁に激突する。

ここがスタート地点から数えて二つ目の曲がり角。
当然、角を曲がれば道はある。

ここでもまた納得のいかないことがある。
右に曲がった、と書いておくべきだ。
その次もそう。

「いや、雰囲気的にわかるかなぁ、と」

なるほど雰囲気的にか。
なら仕方ない。

「そしてヤジリは犯行現場となるマネキンの元へ戻ってくる」

ヤジリからすれば何が起きたのかさっぱりわからないだろうが、
なんてことはない、ただ戻ってきただけだ。

ヤジリ、殺される。
謎の鈍器で──。

俺らに対する壮大な無茶振りに見えてきた

鈍器ー

凶器についてはまだ触れず、その前にアレの謎を解き明かしておかなくてはならない。

「パチンコ玉──だけど」

何故パチンコ玉までここにあるのか……という謎。
これは廊下に勾配がついていた、ということなのだろうが……。

「気を悪くしないでほしいんだが、これを組み込む意味はあったんだろうか」
「……えっと」

ラチメチが言いにくそうにしているのでとても気まずい。

「あのね、それは……本当はね、ラストでヤジリ君が『うわーどうしてパチンコ玉までここに
　あるんだー』って混乱してね、それから『はっ！？　まさか霊的な何かの力によって
　外から入ってきたモノは全てここに戻ってくるのかーなんていうことだ！　もう俺は抜け出せないんだ
　ギャー誰か助けてくれー』みたいな……ループ的な……」

……なら仕方ない。

更に詳しく聞いてみると、どうやらこの廊下は螺旋のような構造になっており、
ヤジリがロープの地点から引き返さず進んでいくと、新たに左折出来るようになっているとのこと。

うん？

「そこでヤジリ君はこう思うの。『俺は階段を上ったわけでもない。なら距離を考えればここは行き止まりに
　ならなきゃおかしいじゃないかーギャーうわわー』みたいな……ループ的な……」

……なら仕方……ない。
色々とおかしいが、仕方ない。

さて、これで一応はラストまでこぎつけることが出来たのだが、
これで終わるわけにはいかない。

「じゃあ、まとめるけど……再確認していくよ。犯人はヨカイ、でいいんだな？」
「うん……」
「動機についてなんだが……」
「……うん」

ここからは、あまりにもラチメチが可哀想なので俺が代弁するしかない。

　犯人……ヨカイ
　凶器……鈍器のような物
　動機……わからない（？）

ということらしい。

やっぱり俺らへの挑戦状じゃねえか

　　　　　　　　　　　 __,.-----.,___
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　　　　　　　　　　|:::r'~　　~"""''-､::| 　
　　　　　　　　　　|;;|　,へ､　 ,.ヘ、.|::|　　
　　　　　　　　　r'ﾚ'　　.･ .::::::. ・　 .'y^i
　　　　　　　　　ゝ'､　　　'､___,'.　　,;'-' 　
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　　　　　　　　　　　　';､　　　　 .,;' 　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

「そのへんは……まだ、考え中なの。これから決めるつもりで……その……」

目が泳いでいる。
涙が出そうになった。

ヤジリはどうして殺されなければならなかったのか。
ヤジリは何で攻撃されたのか。
犯人はヨカイだと作者は認めているものの、ヤジリを殺したあとヨカイはどうしたのだろう。
自首したのだろうか。どう考えても逃げ切れる犯行ではない。
ヤジリが肝試しをしている間、ユンミとヲンダは何をしていたのだろう。
ロカちゃん人形は本当にあったのか。
ヲンダがニット帽を脱ぐとどうなるのか。また、彼の恋人とは一体どんな人物なのか。
ヨカイの職業とは。謎が謎を呼ぶ。

……もしかすると、俺も、作者であるラチメチさえも気付いていない真相があるのかもしれない。
そう思わずにはいられない。

作品の存在自体が一番のミステリーだ。

　|￣￣￣￣￣￣￣￣|
　|　　ここで考えて!!! 　　|
　|＿＿＿＿＿＿＿＿|
　　　 ∧∧ ||
　　　 ( ﾟдﾟ)||
　　　 /　づΦ

「それで、ラチメチ。これ、どうする気なんだ？」
「とある賞に応募しようと思ってるんだけど……」

絶対にやめた方がいい。
絶対にだ。

俺が審査員なら原稿用紙を破り捨て、作者に電話して声が枯れるまで罵倒するだろう。

「ラチメチ」
「はい」

俺はさっき彼女への気持をしっかり伝えた。
彼女もきっと受け取ってくれた。
だから、もう一つ、これだけは、きちんと、言ってあげなければならない。

「……これはないわ」

清水の舞台から飛び降りる覚悟だった。
きっと俺の表情は硬かっただろう。

だが、ラチメチは笑ってくれた。
彼女の笑顔につられて俺の頬も緩む。

これは笑うわ

ラチメチはいきなりキレた

「もう！　そこまで言わなくてもいいでしょーっ」
「いや、でもこれはないよ」
「ひっどーい」

ラチメチはテーブルを乗り越えて俺の頭をはたく。

「いてぇ、なにするんだ」

俺はラチメチの手を掴もうとするが彼女はひらりとかわす。

「携帯！」
「なんだ」

俺とラチメチはお互いに立ち上がり、テーブルを挟んで向き合う。

「あなたは悪を捕まえる名探偵のくせに、大変なものを盗みました！」

ラチメチの細い指が俺をさす。

「わたしの、心です！」

彼女がいて──。
俺がいる。

まとまった！

まとまったのか！？

　　　　＿人人人人人人人人人人人人＿
　　　　＞　　　　彼女がいて──。　　　＜
　　　　＞　　　　俺がいる。　　　　　　　＜
　　　　 ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^Ｙ^ＹＹ^^^Ｙ^Ｙ

「うふふふ捕まえてごらんなさーい」
「こいつぅ」

大好きな人と一緒にテーブルの周りをぐるぐると走っているだけで、人は幸せになれる。
そんな真理に気付いたある日曜日の昼下がり。

──俺はいつまでこの人と一緒にいられるだろう。

そんなくだらないことを考えてしまうのも人間なら、
あんなあり得ない小説を書いてしまうのも人間だ。

これで充分だ。
これ以上を俺は望まない。

……だが、現実はそれを許さない。
束の間訪れた安息の一時は、いつも突然に誰かの悪意によって吹き飛ばされてしまう。

「あ、携帯。電話鳴ってるよ」

ラチメチに言われて、電話が鳴っていることに気付く。
ディスプレイには『鬱井』と表示されていた。

ここでアレか。この小説そっくりの殺人事件が起こると

まりあさんはそこは外してくる

ああ、でもラチメチさえわからない真相の部分を携帯が解かなきゃいけないとかか

難儀だなぁ　　で次回へ続く（？）　で終了か

「もしもし」

自然と声のトーンが下がってしまう。
俺はもうこの時すでに事件を察知していたのかもしれない。

『た、大変だ！　ﾆｺﾌが誘拐された！』

鬱井の切羽詰まった声は隣にいるラチメチの表情を凍りつかせた。

始まりはいつだって突然だ。
俺の意思など無関係に事件は起きる。
そして否応なしに俺を巻き込むのだ。
それがＬとしての定めであり、俺の存在理由なのだ。

だが、俺はそんな自分を悲観しない。
ラチメチと共に笑い合って生きることが日常なら、
血生臭い事件に立ち向かうことも日常だ。

事件は小説の中で起こってるんじゃない、現実で起こっているのだ。

戦え、俺。
負けるな、俺。

いつか訪れる平穏な日々を夢見て。

　　　　　　　　　　『暗闇の中で鈍器』

　　　　　　　　　　　　　　　完

とんでもない予告を残してお疲れ様でした

僕なら>>648でendってたとこだが
これは次回作への振りなのかな！？

超面白かったよ。ありがとう。

面白かったです！！

時系列いつなんだろねコレ
2008年かな

いや、本当に……すいませんでした。

ありがとうございます。

楽屋で記者会見を行います

guest/guest

ものすごい勢いで保守

今年ももう終わりですねぇ

てーれってれー

寒い

ちらーりらりらり

らりっ

りーらりら

るるりーらら

らっらっるー

　　　　　　　　彡彡彡　　　　　　　　　　　　　ミミミミ　　　　　`ヽ、
　　　　　彡彡彡彡　　　　　　　　　　　　　　　　ミミミミ　　　　　　`ヽ、
　　彡彡彡彡　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ミミミミ　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　,,ヅ彡ﾆミ;;,,　　　　　　　　　　　　　ヅ彡ﾆミ;;,,　　　　　　　　　　l
　　　　　　ィ<"　 , ‐ ､　ﾞﾐ、　　　　　　　　　　ィ<"　 , ‐ ､　ﾞﾐ、　　　　　　　　ﾞi
　　　　　ﾐミ､,　ゝ_ﾟ_,ﾉ,, ｲ　　　　　　　　　　 :ﾐミ､,　ゝ_ﾟ_,ﾉ,, ｲ　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　ﾞ'ヾ三≡彡'"　　　　　　　　　　　　ﾞ'ヾ三≡彡'　　　　　　　　　　　　 i!
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i!
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　 ',/　　　　　　　',　　　　　　　　　　　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　!　　　　　 l　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　l
　　　　　　　　　　　　　、　　　　 ,' 、　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　　i!
　　　　　　　　　　　　　　ヽ . ＿ ..　'　　ヽ . ＿ ..　'　　　　　　　　　　　　　　　　 i!

何やってるんですか

＞＜

新年

明けていてすいません

(･∀･)ﾆﾔﾆﾔ

(＾ω＾;)

どようびです

|ω･)！

ずざー！

いい年になるといいですね

なります！

続き物を書こうとすると「前から読んでない人は辛いんだろうなぁ」って思うようになって、あんまり筆が進まない現実

続き物の宿命ですよね

ゆっくりとゆっくりと

やさしくね

はにかみきてたー(´；ω；｀)

一応宣伝です
【蟹玉】ミ（ﾟ皿ﾟ）彡17くらい【可児玉】
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/bobby/1231503367/l50

ともちゃんでしたか

しばれるしばれる

今日知ったことば

睥睨遊弋

なんでそんなに生き急ぐんですか？

＾＾

おお寒い寒い

三人称を一人称に切り替えるために、60頁ぐらい書いてたのをバッサリ切ってしまった。
バックアップとっておいて良かったと思った今日この頃

三人称で書きたい

前へ……

|´ω｀*)

はにかみがきてるのにー！！

ｽﾞｻ━━━━⊂(ﾟДﾟ⊂⌒｀つ≡≡≡━━━━!!

星湯

保守

おおかみかくし

ほ

test

文芸部

ぴっくるぴー　ぴっくるぴー　ぴっくるぴー　ぴっくるぴー　ぴっくるぴー　ぴっくるぴー　ぴっくるぴー
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