1 :
21世紀の名無しさん:
ご協力お願いします。
2 :
勝哉:03/04/23 18:54 ID:DlNTcfwI
いいですけど…・僕で大丈夫ですか??
何の?
4 :
(`‐` )ろんろん ◆RON4J91MMM :03/04/23 19:12 ID:hPVv2RJU
勝哉さん!!
「や、やぁ。美幸ちゃん」
勝哉と呼ばれた男は少女に気づいた。
7 :
21世紀の名無しさん:03/04/23 20:14 ID:rim79gD+
そして勝哉はむかつく女のアドをさらすことにした
8 :
dts:03/04/23 20:41 ID:???
第一章
〜勝哉とメアドと狂喜と・・・〜
9 :
dts:03/04/23 20:44 ID:???
彼が実行に移すまでそう時間はかからなかった。
美幸は、某中学校に通う女の子だ。
彼との繋がりは近所に住んでいる自閉症のお兄ちゃんと
明るく暮らす女子中学生くらいのものでつい最近まではただの赤の他人であった。
が、しかしあるでき事が勝哉を狂喜の道へと誘うのであった。。。。
10 :
dts:03/04/23 22:45 ID:???
さて、まず最初僕の・・いや俺勝哉の自己紹介でもしておこうか。
先ほども述べたように自閉症でもあり引きこもりでもある僕は
部屋でインターネットをして遊んでいた。
一日のスケジュールはだいたい決まっている。
朝は七時に起床する。割と早起きだと思う。
まぁ、七時におきる目的は一つしかないのだが。。。
毎朝七時半に僕の家の前を通るあの子、名前はまだ知らない。
おそらく中学生くらいだとおもう。小柄で明るくて・・・・まぁ僕の好みだ。
彼女が通り過ぎる15秒弱の間、カーテンの隙間から見守っている。
見守ると言い方も変だが、自分的には強姦や暴漢、今の日本じゃいつ何が
起きるかわからない。そのためにもこの数秒間だけど彼女を守っている。
後から知るが彼女は・・・・
おっと、そのことは後でもいい。
七時半が過ぎ彼女の事を妄想したあと、一階に下りて飯を食う。
ちなみに今日は牛乳とパンだ。パンはレーズン入りが旨い。
まぁ対外いつもレーズン入りのパンしか食っていないが。
ゆっくり食事を終えるとすぐさま部屋に戻る。
あまり家族と会いたくないからだ。
11 :
dts:03/04/23 22:45 ID:???
9時から12時まではとりあえずインターネットをする。
先日、ネットのオフ会に誘われたのだがどうしても会うのがいやで拒否した。
いつも会話する人達に会うのが怖い。何されるかわからない。
自分が正しい。他人は敵。
自分の信条だ。
そーこーしてるうちに1時になる。
1時なるとゲームをする。最近は・・・うーん3年くらいかな
外に出ないので新作のゲームもやらなくなった。
今ハマってるゲームはスーパマリオだ。
単純なゲームなだけに思考を使う事も無いが
飽きやすい僕には丁度いい。
2時くらいになるとお腹が空くので下に下りてレーズンパンを食べる。
すぐ二階にあがるけど。
3時からは寝る。10時まで。
10時から12時にまでネットをやって寝る。
七時に起きて、、、、、の繰り返しだ。
割と充実してるほうだと思う。
自己紹介はこんなもんか。
12 :
21世紀の名無しさん:03/04/25 05:59 ID:Ai2mkjvV
すると・・・
13 :
21世紀の名無しさん:03/04/25 13:35 ID:nIXByolP
今度は彼女の紹介をすることにしようか
14 :
豆鉄砲*`σ゚)ノ:03/04/25 15:25 ID:Q6dcgvMe
続きが気になって仕方ない(;´Д`)
15 :
21世紀の名無しさん:03/04/25 17:29 ID:imI/IMTW
彼女はあといくばくもない命だった。
16 :
dts:03/04/25 23:29 ID:wzWWatQU
残り少ない命をどうやって生きるか凄く悩んでいた。
これからって時に2年前の冬宣告をうけた。
病名はいまいちわからないのだが
持って6年少なくて3年。。。。
しかし、美幸は何事も無く毎日を過ごしていた。
毎朝歩く通学路。
朝7時15分には家を出る。
7時30にいつもの家の前を通る。
通称「オバケ屋敷」自分だけで思っていた。
別になんてことない普通の一軒家なのだが
美幸にとっては凄くいやな感じがする家だった。
いつも誰かに見られてる数分間。
カーテンの奥から誰かが見ている。
いつも思っていた。
嫌なのはその家だけでその場所を通ったほうが
近いのだ。
だいたい徒歩30分くらいで学校に着く。
30分だと結構な距離である。
美幸の親は体を気遣って毎朝タクシーで通学するように進めたのだが
彼女は断固拒否。
普通でいたい。。。それが彼女の思いだった。
特別扱いを受けたくない、彼女の願いで学校には病気の事を先生以外知らない。。。。。
(す、すみません思った事書いてるだけです)
17 :
21世紀の名無しさん:03/04/26 17:16 ID:HNXYjKOc
すると、屋敷の前に一人の少年がたたずんでいた。
18 :
でーてーえす:03/04/26 21:31 ID:pHC4KC54
彼は執拗に私を見つめていた。哀しそう?いや、何かを伝えたそう。 私は思い切って、
19 :
21世紀の名無しさん:03/04/26 21:33 ID:7NNIU+ze
今や人気絶好調の堤さやかちゃんの作品!
やっぱり可愛いすぎます、あんな純粋な顔してカメラ目線で
美味しそうにギンギンに立ったチンコをしゃぶっちゃいます!!
また、この子のチッチャイマンコにピンク色の膣の中なんてもう最高!
ベロベロ舐めてる男優が羨ましい!
おかずなら過激に
http://www.dvd01.hamstar.jp
20 :
レイン♯´〜`)y―~~~ ◆LAIN.UrtZ6 :03/04/30 07:50 ID:pZUoJOPP
いまさっき小説家になる夢を諦めてきたところです。
それではじめてのロビーに書き込んでみたりしてます。
誰か女の人かもてください。
もうやめ。失礼しました。
22 :
21世紀の名無しさん:03/05/12 08:18 ID:Zvo4GDRy
そこに暗黒宰相が現れ、彼女をかっさらっていった。
〜序章1〜
あなたは現在、独身ですか?
あなたは現在、学生ですか?
あなたは現在、一人暮らしをしていますか?
この先、もしあなたが一人暮らしを始めるのであれば、
また、すでに一人暮らしをしているあなたは次のような事を
一度でも考えたことがあるはず。
・留守中に泥棒が入ってきたら?
・真夜中に強盗が押しかけてきたら?
・悪質なセールスマンの口車に乗せられたら?
・家賃滞納でアパートを追い出されそうになったら?
しかしこの程度の難関であれば、どこにでも起こりうる出来事でもあり
誰しも対処法を知っている。
あるいはそうならないように事前にしかるべき対策を取る。
・外出の際は必ずカギをかける
・怪しい訪問販売は相手がどう言おうと必ず断る
・ある程度安定した仕事、収入をきちんと選ぶ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜序章2〜
これだけ守っているだけでも、安心して堂々と一人暮らしを満喫できるだろう。
しかし危険というものは、必ずしも外部からやってくるものとは限らない。
一人暮らしをするにあたって最も気をつけるべき点は、あるいは
「隣の部屋の住人」かもしれない。
厚さわずか25cmのカベに隔てられただけの隣の住人。
カベに穴を開ければこちらの部屋がまる見えかもしれない。
もし隣の部屋の住人が四六時中、自分の部屋を覗いていたら?
正体不明の住人が住んでいたら?
存在するはずもない部屋から「奇妙な音」がカベ越しから聞こえてきたら?
これはある街での、あるアパートの一室での奇妙な出来事である。
ある一人の入居者の、ある不思議な体験である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE1
新中市 C町 一丁目 ×番地
アッテムトハイツ
佐藤「ごめんくださーい。佐藤ですけどー。」
大家「あ、佐藤さんですか?私このアパートの管理人です。」
佐藤「どうもよろしくおねがいします。今日からお世話になる佐藤です。」
大家「こちらこそよろしくお願いします。・・・・で、荷物はどちらに?」
佐藤「友達から軽トラックを借りてきました。今から運びます。」
大家「・・・え?たった一人で?」
佐藤「大丈夫ですよ、実はそんなに荷物ないんです。ベッドとかまだ持ってないんで
しばらくは布団で寝ますし。」
大家「そうですか、じゃあまずお部屋へご案内しましょう。・・・どうぞこちらへ。」
佐藤「はい。」
佐藤は手に持ったボストンバッグを肩にぐいっとかかえこむと
廊下を歩き出した大家の後ろをついていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
佐藤一樹(サトウカズキ)18歳。
今日から俺はこの街の大学へ通うために、このアパートで一人暮らしを
することとなった。
実家は遠い田舎だが、昔から都会にあこがれていたので
両親の反対を押し切ってこの街へやってきた。
俺はまだ学生の身だが、一人暮らしくらいなんてことはない。
卒業するまでは親からの仕送りで学費を援助してもらうが、実際このアパートの
家賃はバイトでまかなう。
親の助けなどなくても俺一人で生活できることを証明してやる。
こうみえても俺はちょっとした料理ならできるし、掃除、洗濯も実家で何度かやっている。
一人暮らしなんて軽いもんさ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE2
アッテムトハイツ 5号室前
大家「佐藤さんの部屋はこちらです。」
佐藤「えぇ、前に下見に来たときにたぶんこの部屋だろうなと思ってたので。」
大家「・・・・ではカギをどうぞ。」
佐藤「あ、どうも。」
大家「あ、それから燃えないゴミの日は・・・」
佐藤「火曜日と金曜日ですね?」
大家「あ、えぇ。・・・・それから洗濯機は備え付けのものが各部屋にありますが、
乾燥機をご使用するなら・・・」
佐藤「裏の駐車場前ですね、さっきみかけました。」
大家「・・・驚いた、すべてお見通しですな(笑)」
佐藤「こうみえてもわりと神経質なので。」
大家「ははは、じゃあ私はこれで。何かあったら管理人室へお越しください。」
佐藤「はい。」
大家「では・・・」
佐藤「・・・あ、ちょっと待ってください。」
大家「?」
大家が立ち去ろうとしたとき、佐藤はある妙なことに気づいた。
大家「どうかしましたか?」
隣室の住人 PAGE3
佐藤「・・・このアパート・・・」
大家「何か不審な点でも?」
佐藤「大家さん、このアパートって全部で10部屋ですか?」
大家「いいえ、9部屋です。」
佐藤「俺の部屋が5号室、向かいが6号室・・・・そして・・・」
大家「?」
佐藤「なぜ隣の部屋が3号室なんです?4号室は?」
大家「・・・あぁ、そのことですか。」
佐藤「?」
大家「私、ちょっと縁起をかつぐタチでしてね。このアパートにはもともと
4号室はないんです。4という数字はどうも昔から苦手でして・・・」
佐藤「あぁそうだったんですか、それで4号室がないんですね。」
大家「はい、4を飛ばして10号室まで。つまり全部で計9部屋まで。」
佐藤「なるほど。・・・あ、すみません。ちょっと気になっただけですから。
これでスッキリしました。」
大家「ではこれで失礼します。」
大家は管理人室へ戻っていった。
佐藤「・・・さて、荷物を部屋に運ぶとするか。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE4
それから一時間後
佐藤「いやー、終わった終わった。」
佐藤は荷物を部屋に運び入れ終えて、畳の上に大の字に寝そべった。
佐藤「あんまり荷物ないと思ったのが間違いだったなー。けっこう疲れた・・・」
佐藤「ふぅー・・・・これからいよいよ俺の一人暮らしがはじまる・・・」
佐藤は誰にも邪魔されない空間を手に入れ、満足しきった表情で
畳の上で寝そべりながらこれからの生活を思い浮かべた。
佐藤「これで親にぐちぐち文句言われずに好きなだけゲームができる。
自分の好きな時間帯に合わせて勉強もできる。そして・・・真夜中に女の子を
家に誘うことも・・・・って彼女まだいないけど。」
佐藤「ぶつぶつぶつ・・・・・」
入居初日、早くも彼の身の回りに次々と難関が押し寄せる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE5
ピンポ〜ン♪
佐藤「はい、どなたですか?」
ガチャリ
社員「どうもどうも。□△新聞ですけど〜。」
佐藤「あ、すみません。僕もう○×新聞に決めちゃっているので・・・」
社員「まぁまぁちょっと聞いてくださいよ。今なら洗剤、タオル、ビール券を
つけますので。」
佐藤「いえ、けっこうです。」
社員「あれ?もしや学生さんですか?じゃあ図書券などいかがですか。」
佐藤「けっこうです、お帰りください。」
バタム!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ピンポ〜ン♪
佐藤「はい、どなたですか?」
ガチャリ
セールスマン「ごめんください、私、英会話の・・・」
佐藤「あ、僕英語はわりと得意なほうなので。」
セールスマン「まぁ話だけでも聞いてくださいよ、現在の日本の英語に対する
教育は英語を書けるというだけで、実際にしゃべられるという
段階の教育では・・・」
佐藤「ありがとうございました、お引き取りください。」
バタム!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ピンポ〜ン♪
佐藤「はい、どなたですか?」
ガチャリ
押し売り「おう、あんちゃん。俺はム所を出たばかりでな、いろいろと
役に立つ物ばかりあるからどれでも買ってもらおうか。」
佐藤「けっこうです。」
押し売り「品物を見てないうちから何ウダウダ言ってやがんだ、いいから
見るだけ見てみろってんだ。たとえばこの歯ブラシは・・・」
ピッピッピピ
押し売り「・・・オイ、何やってんだてめぇ。」
佐藤「見てのとうり電話をかけてるんです。」
押し売り「な、なに携帯なんか出して電話を・・・!」
佐藤「あ、もしもし。警察ですか?」
押し売り「ク、クソ!」
バタム!
佐藤「・・・ふん、時報をかけただけなんだけどな。あわてて出て行ったか。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE6
このように入居初日から早くも彼のもとへ次々と訪問者がやってきた。
都会の街の社会人はこういった若者にヒルのように吸い付く。
しかしこの佐藤は田舎出身とはいえど、実に手際のいい対処で
都会の訪問者たちを軽くあしらった。
この様子なら案外彼は一人暮らしをこなしていけるだろう。
・・・が、しかし、本当の難関はこの日の夜から始った・・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE7
その日の真夜中
午前03:15
佐藤「ぐぅぐぅ・・・・」
真夜中のアパートでの一室にて、「それ」は突然聞こえてきた・・・・
佐藤「ぐぅぐぅ・・・・・・」
ッジャーーーーン!!♪
ギャィーーーン♪
ドン ツタタトトン ドンツタタン!!♪
ジャ〜ン ジャ〜ン ジャ〜ン♪♪
佐藤「うわあああああ!!!な、何事だ・・・?!」
ギュィィーーーーーンン!!♪♪
ドン!タン!・・・ドドン!タン!♪
佐藤「う、うるせええええ!!いったい何時だと思ってんだよ!」
ドンドン!!
佐藤「ちょっと!!お隣さん!コンポの音もっと下げてくださいよ!
何時だと思ってるんですか!」
佐藤は部屋のカベを叩きながら隣室の住人にどなった。
佐藤「もしもし!!聞こえてますか!音下げてくだ・・」
ギャィーーーン♪
ジャ〜ン ジャ〜ン ジャ〜ン♪♪
佐藤「・・・ぜんぜん聞こえてないなこりゃ。しょうがないなー・・・」
佐藤は部屋を出て隣の住人の部屋へ向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE8
隣の部屋 3号室前
ドンドン!
佐藤「もしもし!お隣さん!もしもし!」
ドンドン!
佐藤「もしもーし!!」
ガチャリ
住人A「うるさいわね・・・・今何時だと思ってるんですか・・・」
佐藤「それはこっちのセリフですよ、真夜中にガンガン音楽鳴らして
安眠妨害ですよ。」
住人A「・・・はぁ?何のことですか?私いま寝てたんですけど・・・」
佐藤「ふざけないでくださいよ、こちらの部屋からコンポの音が聞こえてきたんですよ。
俺は隣の住人です、カベ越しからすごい音が聞こえてきたんですよ。」
住人A「??うちにはコンポなんてしゃれたものはないんですけど・・・?」
佐藤「えぇ?」
住人A「夢でも見たんじゃないですか?・・・私眠いのでこれで・・・」
佐藤「ちょ、ちょっと待ってくだ・・!」
バタム!
佐藤「・・・・・・・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE9-1
佐藤はしかたなく自分の部屋へ戻り、再び布団の中へ入った。
佐藤「・・・おかしいなぁ、確かにこっちの部屋から聞こえてきたんだけど・・・」
佐藤「ぶつぶつぶつ・・・・まぁいいや、もう寝よう。」
佐藤「・・・・・・・・・」
〜〜〜〜〜〜30分後〜〜〜〜〜〜〜
佐藤「ぐぅぐぅ・・・・」
*「・・・ぁ・・・・」
佐藤「ぐぅ・・・ん?」
再び隣室から妙な音が聞こえてきた。
隣室の住人 PAGE9-2
*「あぁ・・・・そこ・・・いぃ・・・・もっと・・・・」
佐藤「・・・???」
*「あはぁ・・・もっと激しく・・・!」
佐藤「ちょちょちょ・・・な、なんだこの声・・・?!まさか・・・」
*「もっと激しく突いて!・・・そう!あぁ・・・もっともっと!!」
佐藤「おいおい・・・(笑)」
*「あっあっあっ・・・」
佐藤「まさかさっきの隣の人が??・・・ど、どうでもいいけどもう少し
カベの薄さを考えろよ・・・。でっけえ声であえぎやがって・・・」
*「あああああああああああ!!!イク!イク!イキそうぅぅぅ・・・!!」
佐藤「・・・・・・・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE10-1
隣室 3号室前
ドンドンドン!
佐藤「もしもし!お隣さん!」
ドンドンドン!
佐藤「もしもし!」
ガチャリ
住人A「はいはい・・・・またあなたですか、今度は何です・・・?」
佐藤「あ、あのですねぇ・・・別にするなとは言いませんけど、もう少し
小さな声でできませんか?」
住人A「?・・・何を?」
佐藤「だ、だからその・・・」
住人A「何を言ってるのかさっぱり分かりませんけど・・・」
隣室の住人 PAGE10-2
佐藤「だ、だからでっけえ声であえぐなっての!ムラムラして寝られないじゃないか!」
住人A「・・・はぁ??」
佐藤「真夜中に男連れ込んで(ピー)するなって言ってるんだよ!うるさくて
寝られないじゃんか!」
住人A「し、失礼ね!私誰も連れ込んでなんかないわよ!この部屋には私しか
いないんだから!」
佐藤「・・・え?だって今すごい声で・・・(あれ?そういや声が違う・・・?)」
住人A「もう!いい加減にしてください!あなたのほうが安眠妨害してるじゃないですか!」
バタム!
佐藤「・・・・・・・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE11−1
佐藤は再び布団の中へ入った。
佐藤「おかしぃ・・・絶対におかしい・・・。なんで隣から・・・」
佐藤「あー!もうめんどくせー。・・・ねよねよ。」
佐藤「・・・・・・・・・・・」
〜〜〜〜〜30分後〜〜〜〜〜〜〜
佐藤「ぐぅぐぅ・・・・・」
*「や、やめて・・・・!」
佐藤「ぐぅ・・・ん?」
隣室から再び妙な声が聞こえてきた。
佐藤「またか・・・・今度はなんだよ・・・」
隣室の住人 PAGE11−2
佐藤「またか・・・・今度はなんだよ・・・」
*「な、何をするの・・・私が何をしたっていうの・・・?!」
佐藤「?!」
だが今度の「声」は妙である。女の声のようだが何かにおびえているようだ。
佐藤「な、なんだ・・・・?」
さすがの佐藤も今回ばかりはただごとではないと思ったのか、
彼はカベに耳を当て隣室の様子をうかがった。
隣室の住人 PAGE11−3
*「や、やめて・・・!お願いだから・・・」
佐藤「・・・(やめて・・?いったい何をしているんだ・・??)・・・」
*「お願いだから殺さな・・・うぁぁっ!!」
佐藤「?!・・・えぇ??」
シーン
佐藤「な、なんだよいったい・・・まさか殺人・・・・」
隣室からはもう物音一つしなくなった。
佐藤「や、やばいよこれ・・・!!」
佐藤はあわてて隣の部屋へ向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE12−1
隣室 3号室前
ドンドンドン!
佐藤「お隣さん!大丈夫ですか!」
ドンドンドン!
佐藤「もしもし!何かあったんですか!」
ドンドンドン!
住人B「おい、さっきからうるせえな・・・いったりきたり何してんだよ・・・」
向かいの7号室の住人が部屋から出てきた。
佐藤「あ、すみません。3号室の住人さんに何かあったみたいで・・・!」
住人B「何かって何が・・・。」
佐藤「と、とにかく大家さんを呼んできてもらえませんか!場合によっては
救急車を・・・!」
ガチャリ
佐藤「あっ・・・」
3号室の住人が部屋から顔を出した。
隣室の住人 PAGE12−2
住人A「・・・あれ・・・どうかしたんですか?」
佐藤「だ、大丈夫なんですか?!いったい何が・・・?!」
住人A「またあなたですか・・・・もういい加減にしてくださいよ。」
住人B「ほら、何ともないじゃねえか。真夜中にうるさすぎるぞお前・・・」
佐藤「そ、そんな・・・確かに女の人の声が・・・!」
住人A「?女の人の声?」
佐藤「殺されるような叫び声をあげて・・・。あの、念のためにちょっと部屋を見せて
もらえませんか?」
住人A「ちょちょっと!勝手に人の部屋に入ってこないでくださいよ!」
佐藤「絶対にこの部屋から聞こえたんだ!間違いないんだよ!」
住人B「おいやめろ!イヤがってんだろ!」
隣室の住人 PAGE13
大家「・・・どうかしましたか、こんな夜更けに・・・」
佐藤「!」
住人A「大家さん!この人どうにかしてください!真夜中に人の部屋に何度も何度も
押しかけてきて・・・!」
大家「はて・・・佐藤さん、どうかしたんですか?」
佐藤「どうもこうも、さっきからこの3号室から何度も音が聞こえてきてこっちは
ぜんぜん寝られませんよ!」
住人B「寝られないのはこっちだ、お前が一番騒がしいぞ。」
住人A「そうよ!あなたが一番安眠妨害よ!・・・いい加減にしないと警察を
呼びますよ!」
佐藤「け、警察・・・・」
大家「まぁまぁみなさん落ち着いてください。・・・・佐藤さん、あなた少し
お疲れになっているんじゃありませんか?」
佐藤「確かに聞こえたんだ・・・・嘘じゃない。」
大家「ここはアパートとはいえど、周りにもたくさんの住宅があります。真夜中に
いろいろな音が聞こえても不思議ではないですよ。」
住人B「そう、ここは田舎じゃねえんだ。いちいち音に気にしてたらこの街で暮らして
いけねえぞ。」
住人A「そうですよ、物音なんかしょっちゅうしてるんですから。」
佐藤「・・・・・・・・・」
隣室の住人 PAGE14-1
大家「さぁさぁ、みなさんもう部屋に戻りましょう。」
住人B「へいへい。・・・おいあんた、もう起こさないでくれよ。俺は明日
早いんだからな。」
住人A「あぁ!もうこんな時間じゃないの・・・私も明日早いのに!」
住人たちはそれぞれ部屋へ戻っていった。
佐藤「・・・・確かに聞こえたんだ・・・・絶対に夢なんかじゃない・・・」
その日の夜はそれ以降、物音は聞こえてこなかった。
佐藤はなかなか寝付けず、結局寝不足のまま学校へ行くこととなった。
佐藤の隣の部屋は3号室。
縁起をかつぐ大家のはからいで4号室という部屋はない。
だが彼は確かに隣の3号室のほうから何度も物音や声を聞いている。
隣室の住人 PAGE14-2
・・・ではこう考えてみてはどうだろう。
「音が聞こえるのは3号室ではない」としたら?
5号室の住人、佐藤一樹。
彼の眠れぬ夜はこれからが始りであった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE15−1
あくる日
アッテムトハイツ 5号室
午後20:30
ガチャガチャガチャ・・・
ガチャリ
佐藤「ふー、ただいまーっと。」
佐藤「あそうか、俺一人なんだっけ・・・。」
佐藤「あー眠いなー・・・。ゆうべは眠れなかったからなぁ。しかも今日は
学校から直でバイトだったからな・・・。」
佐藤「どうでもいいけど腹減った・・・・そういや晩メシ食べてなかった・・・」
隣室の住人 PAGE15−2
ピンポ〜ン♪
佐藤「はーい、どなたですか。」
ガチャリ
店員「お待たせしましたー、ピッツァリムルダールでーす。」
佐藤「は?」
店員「ご注文のピザをお届けに参りました。」
佐藤「ち、ちょっと・・・ピザなんて頼んでないですけど・・・」
店員「え?そんなはずは・・・」
佐藤「部屋間違えたんじゃないですか?俺頼んでないですから。」
店員「おかしいなぁ・・・あのぅ、ここってアッテムトハイツ4号室ですよね?」
佐藤「違いますよ、ここは5号室です。」
店員「あ、なんだぁ。どうもすみませんでした、こちらの間違いでした。」
佐藤「いえいえ、それじゃあ・・・」
隣室の住人 PAGE15−3
バタン
佐藤「さてと、俺もなんか食うかな。・・・ええと、何があるかな・・・」
佐藤は冷蔵庫を開けた。
しかし中には牛乳とバターしかなかった。
佐藤「しまった・・・買い物してくるんだった・・・」
ピンポ〜ン♪
佐藤「・・・はい。」
ガチャリ
店員「あ、あのぅ・・・・」
佐藤「あれ?まだ何か?」
隣室の住人 PAGE16−1
店員「4号室ってどこでしょうか・・・・」
佐藤「そんなこと聞かなくたってここは5号室なんだからすぐ隣に・・・あ!
・・・(そういえば・・・)・・・」
店員「えぇ、隣の部屋を見たら3号室になってるし、向かいは6号室だし・・・」
佐藤「そ、そういえばこのアパートにはもともと4号室はないんですよ。」
店員「えぇ?困ったなぁ・・・このピザどこへ配達すれば・・・」
佐藤「・・・(どうせ間違えたんだからいいか・・・)
あ、すみません。ちょっと・・・」
店員「はい?」
佐藤「申し訳ないです、やっぱりそのピザうちで頼みました。」
店員「え?だってここは5号室・・・」
佐藤「いや、僕引っ越したばかりでまだ勝手がわからなくて・・・」
店員「あ、そうなんですか。」
隣室の住人 PAGE16−2
佐藤「どうもすみませんでした。えーと、いくらですか?」
店員「はい、1200円です。」
佐藤「・・・じゃあこれ。」
店員「ありがとうございましたー。またよろしくー。」
佐藤「ごくろうさまー。」
バタム
佐藤「ははは、ちょっとぜいたくだけど買い物に行く手間がはぶけたな。」
佐藤「どうせ何かの間違いで配達されたんだから俺が食べてもかまわないだろ。」
佐藤は間違いで配達されたピザを食べることにした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE17
佐藤「食った食った・・・・さてと、ちょっと早いけどもう寝よう。」
佐藤はまだ10時前だというのに早くも布団をしいて寝ることにした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
午前02:30
佐藤「ぐぅぐぅ・・・・・」
*「おい・・・・・」
*「な、なによ・・・・」
佐藤「ぐぅ・・・ん?」
隣室からまたもや「声」が聞こえてきた。
どうやら今度は二人の男と女の声のようだ。
佐藤「カンベンしてくれよな・・・毎晩毎晩・・」
*「おい・・・頼んだピザはどうした。」
佐藤「・・・!」
隣室の住人 PAGE18−1
*「し、知らないわよ・・・確かに頼んだのに・・・・」
*「知らないってことはないだろ、頼み忘れたんじゃないのか?」
*「そ、そんなことないわ。私確かにピザ屋に電話して・・・」
佐藤「・・・・(ど、どういうことだよ・・・)・・・・」
*「ほぅ・・・んじゃ何か?間違って隣に配達されたとでもいうのか?」
*「そ、そうよ。きっとそうだわ、この隣の住人が・・」
バシィッ!!
*「きゃあっ!!」
佐藤「?!」
*「おい、何を寝言ほざいてんだ?もし隣へ間違って配達されたとしても
うちでは頼んでないですって普通言うだろうが。」
隣室の住人 PAGE18−2
佐藤「・・・・・・・・・」
*「だ、だってそれしか考えられないもの・・・・」
*「あ?じゃああれか?隣のヤツが勝手に買って勝手に食ったとでも言うのか?」
佐藤「・・・(な、なんかヤベー・・・)・・・」
*「と、とにかく私のせいじゃないわよ!だいたい男のくせにピザ一枚くらいでなによ!
そんなことぐらいで女を殴るわけ?!」
*「あそこのピザはチーズが最高に美味いんだよ、よそでは使われていない牛乳を
使ってるんだ。・・・俺のピザをどうしてくれるんだよ、コラ。」
*「最低よ!あんたって!」
*「あん?・・・なんか言ったか?」
隣室の住人 PAGE18−3
佐藤「・・・(行くか・・・いや、どうせまた何でもないだろ・・・)・・・」
ドカッ!・・・ッヴァキィッ!
*「きゃあああっ!・・・た、助けて・・・!」
佐藤「・・!!」
*「こうなりゃてめぇを殺して食うしかなさそうだな・・・・」
佐藤「・・・(えぇ?!)・・・」
*「だ、誰かーーーー!!助けてーーーー!!」
佐藤「も、もう我慢できない・・・!」
佐藤は一目散に隣の部屋へ向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE19−1
隣室 3号室前
佐藤「こ、今度こそ間違いないぞ・・・絶対にただごとではない。」
佐藤「うん?いやまてよ・・・・」
佐藤は3号室のドアを叩く前に思いとどまった。
彼はまた同じようなことを繰り返すと思ったのだ。
そもそも冷静に考えてみれば、不信な点がいくつかある。それは・・・
1:なぜあるはずもない4号室からピザが頼まれたのか?
2:なぜ「声」は自分だけにしか聞こえないのか?
これだけ騒がしければ3号室どころか、他の部屋にだって聞こえるはず。
3:そしてなぜ3号室の住人はゆうべ部屋を見られるのを異常なまでに拒否したのか?
佐藤はこの謎のカギは3番であると判断した。
隣室の住人 PAGE19−2
・もしや3号室には「見られてはならないもの」があるのか?
・もしや3号室には他に「人がいる」のでは?
・もしや3号室の住人のあの「女性」は何者かに脅迫され、助けを呼べないのでは?
佐藤はノックをする前におそるおそるノブに手をかけ、ゆっくりと回してみた。
佐藤「・・・・・・・」
ガ・・・チャ・・・・
なんとドアにはカギがかかっていなかった。
佐藤「・・・!!」
隣室の住人 PAGE20
20cmほど開いた3号室のドアの先は真っ暗で様子がわからなかった。
おそらく電気を消しているのだろう。
夜中のことだから寝ていても当然である。
だが佐藤は3号室で何かが起こったと判断した。
そうでなければ毎晩こんなにも「声」は聞こえてこない。
ここでまたゆうべのようにドアを叩いて「大丈夫ですか。どうかしたんですか」などと
声をかけても、どうせまた「何のことですか?」と返ってくるに違いない。
そして最終的には自分が安眠妨害の立場に追い込まれる。
ならばノックをせずにこっそり部屋の様子をうかがってもいいだろう。
本来ならば不法侵入だが、もし本当にただごとではないとしたら
場合によっては警察を呼ぶ。
こんなこともあろうかと、今度は携帯を持参してきた。
佐藤は3号室の女性は「何らかの理由で助けを呼べない」と判断したのである。
・・・そして彼はゆっくりとドアを開けた・・・・
ギギギギ・・・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE21−1
3号室 キッチン前
佐藤「・・・(さて、とりあえず入ることはできたが・・・)・・・」
キッチンには電気がついておらず、真っ暗とは言わないがぼんやりと
部屋の様子が目に見えた。
まず一つわかったことがある。
キッチンには誰もいない。
ということはおそらく奥の部屋に住人がいるのだろう。
このアパートにはキッチン、トイレ、風呂、そして6畳の部屋が二つあるだけの
小さなアパートである。
佐藤の目の前に見える二つのドア。
これはそれぞれ6畳の部屋のドアである。
このどちらかの部屋に住人がいるはず。
右の部屋か、それとも左の部屋か。問題はそこだ。
しかし佐藤はなんのためらいもなく、答えは「右の部屋」と判断した。
なぜなら右の部屋こそが角度的に、そしてアパートの作りとして
自分の部屋と向かい合わせだからである。
隣室の住人 PAGE21−2
ゆうべからずっと「声」が聞こえてくるのはこの右の部屋に間違いない。
この部屋になんらかの「とてつもない事件」があるかもしれない。
しかも佐藤は部屋を開ける前に確信していることがある。
それは・・・
・この部屋にはかなり大型なスピーカーを装備した「ステレオコンポ」がある。
・この部屋にはあの女性以外にも「ある男性」がいる。
・この部屋には二人ほど寝られる大きめの「ベッド」がある。
これまでの出来事を思い返してみれば、これは確信できる自信がある。
つまりここの住人の女性がゆうべ言っていたことは全て嘘である。
いや、嘘をつかなければならない状況にあったのだ。
佐藤は右の部屋のドアのノブに手をかけようとしたとき、
一瞬彼は思いとどまった。
佐藤「・・・(まてよ・・?・・・もしも・・・)・・・」
隣室の住人 PAGE22−1
・もし本当に女性が男性に襲われそうになっていたら?
・もしすでに女性は男性に殺されていたら?
・そしてその現場を見られた男性が今度は自分に襲いかかってきたら?
佐藤「・・・・(俺が殺されるかもしれない・・・)・・・・」
今は部屋からは何の音も聞こえてこない。
ということはすでに女性は殺されているかもしれない。
そういえば先ほど男は妙なことを口走っていた。
こうなりゃてめぇを殺して食うしかなさそうだな・・・・
まさかこの部屋のドアを開けたら信じられない光景を目にするのか?
この街ではテレビドラマや映画で見るような猟奇殺人が実際に起こりうるのか?
ともかく佐藤は不用意に部屋のドアを開けるのをやめた。
隣室の住人 PAGE22−2
佐藤「・・・(よ、よし・・・これを持っていこう・・・)・・・」
佐藤はキッチンに置いてあった包丁を手にし、準備万端で
再び右の部屋のドアノブに手をかけた。
佐藤「・・・(右手には包丁・・・そしてポケットには携帯が入っている・・・
万が一のことがあってもこれで無敵さ・・・)・・・」
ガチャ・・・・ギ・・・ギ・・・ギ・・・
佐藤「・・・(来るならこい・・・何を目にしても怖くないぞ・・・)・・・」
ドアが開いた。だがそこには・・・・・
隣室の住人 PAGE23
佐藤「え・・・・・?」
住人A「すやすや・・・・・」
なんと女性が一人、ベッドで寝ていただけだった。
佐藤「そ、そんなバカな・・!」
住人A「う〜ん・・・・え・・・?・・ハッ!!」
佐藤「・・し、しまった・・・!!」
住人A「きゃあああああああああああ!!!」
なんと女性が目を覚ましてしまった!
隣室の住人 PAGE23 -2
住人A「な、なんですかあなた!!・・・か、勝手に人の部屋に・・・!
ハッ・・!!そ、それは・・・!」
佐藤「え?・・・あ!こ、この包丁は・・・その・・・つまり・・・」
住人A「きゃああああああ!!だ、誰かきてーーーーー!!」
佐藤「ま、待って・・・!俺は別にこの包丁であなたを殺しにきたわけじゃ・・・」
住人A「誰かーーーーーーーー!!」
ガチャン!
ドタドタドタ・・・・!!
どうやら他の住人たちが何事かと次々に部屋から出てきたようだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE24−1
廊下にて
住人B「なんだなんだ?!3号室のほうからだぞ!」
住人C「何かあったんですか?!」
住人D「どうかしたんですか!・・・今の声は?!」
大家「3号室のほうからですね、行ってみましょう!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
3号室
佐藤「ああああ!!ち、違うんだ!俺はただ様子を・・・!」
大家「どうかしましたか?!・・・ハッ!さ、佐藤さん・・!」
住人B「ゲッ!こ、こいつ包丁なんか持って・・・!」
住人A「助けて!!この人突然入ってきて包丁で私を・・・!!」
佐藤「ち、違う!!俺はまた声が聞こえてきたので様子を見に・・・!」
住人B「て、てめぇ!!だったらその包丁はなんだ!!」
佐藤「だ、だからこれは彼女が危険な目にあってるかもしれないと思って・・・」
大家「佐藤さん、落ち着いてその包丁を床に置いてください。あなたは
そのようなことをする人ではないはずです。」
佐藤「言われなくたって置きますよ!俺はこの人を殺しにきたわけじゃないんだ・・!」
隣室の住人 PAGE24−2
佐藤はゆっくりと手に持っていた包丁を床に置いた。
だがその瞬間・・・!!
住人B「今だ!!みんな!取り押さえろ!!」
佐藤「え・・・?」
住人C「うおおおお!!」
住人D「野郎ーーーーーー!!」
佐藤「ちょ、ちょっと待っ・・・!」
ドタン!バタン!!
佐藤「や、やめろ!!俺の話を聞いてくれ・・・!!」
住人B「このキチガイめ!」
住人C「のやろっ!暴れるな!この!!」
ドタン!ガタン!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE25−1
佐藤は包丁を置いたとたんに住人たちに取り押さえられた。
間もなく警察が駆けつけ、佐藤は署へ連行されることとなった。
不法侵入、及び凶器を持参していたことで
殺人未遂の罪に問われかけたが、住人の女性には手をかけなかったため
この罪は免れた。
新中警察は事情調書を取るため佐藤を連行し、彼の言い分を調書した。
そして彼の供述は次のような狂言を述べた。
・俺の隣室には「何か」がある。
・俺の隣室には「誰か」がいる。
・俺の隣室には真夜中になると「声」が聞こえる。
・俺の隣室には見えない「4号室」が存在する。
隣室の住人 PAGE25−2
警察側で出した結論は結局佐藤は「一種のヒステリー」として判断した。
都会の暮らしに慣れていない田舎の青年によく現れる傾向であると。
佐藤は幻覚症状を起こして聞こえるはずもない音や声を聞いたのだと。
間もなく佐藤は新中精神病院に一ヶ月に一回、通院をして病院の検査を
受けることが義務付けられた。
そしてほどなく彼は今のアパートから出て行った。
現在はB町のアッサラームハイツに住んでいる。
警察側は彼のヒステリーの兆候は過度な麻薬によるものかもしれないと
判断し、佐藤の部屋を徹底的に調査することとなった。
しかし麻薬は部屋どころか、佐藤の検尿からもいっさい検出されなかった。
これより先の話は、佐藤が署へ連行された直後のエピソードをもって
この物語を終結したいと思う。
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隣室の住人 PAGE26
住人B「おいきみ、大丈夫か?」
住人A「は、はい・・・」
住人B「よかったな、もう少し駆けつけるのが遅かったら殺されていたかもな。
けどこれでもう安心だ。」
住人A「はい・・・ありがとうございます・・・。」
住人B「しかしまったく・・・最近の学生は恐ろしいもんだ・・・」
警官A「こら!おとなしくしろ!」
佐藤「離せよ!俺は何も悪いことなんかしてない!」
警官B「わかったわかった、詳しい話は署で聞かせてくれ。さぁ行くぞ。」
佐藤「ま、待ってくれ!俺の・・・俺の部屋のカベを調べてくれ!!
きっと何かが出てくるに違いない!!」
警官A「とにかくパトカーへ乗れ、部屋はあとでゆっくり調べてやるから。」
佐藤「俺の・・・!俺の隣室には絶対に[何か]が潜んでいるんだよおおおお!!」
佐藤は警官たちに連れられ、新中警察署へ連行された。
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隣室の住人 PAGE27−1
5号室内
佐藤が署へ連行されたのち、二人ほどの警官がアパートに残り
佐藤の部屋を調べていた。
警官C「おい、そっちはどうだ?」
警官D「いや、今のところクスリの類いは出てこないな。」
警官C「・・・・そういやあの少年、カベがどうたらとか言ってたな。
一応調べておくか?」
警官D「そこまでしなくてもいいだろ。」
警官C「しかしもしかしたらカベの中にクスリを隠しているのかもしれんぞ。」
警官D「むぅ、ありうるな。・・・・よし、調べてみよう。」
警官C「あ、大家さん。すみませんが警察の調べにより、このカベに穴を
開けさせてもらいますよ。」
大家「えぇ?!・・・は、はい・・・どうぞ・・・。」
警官たちは佐藤の部屋のカベに穴を開け、中を調べてみることにした。
隣室の住人 PAGE27−2
カベといっても中は空洞になっているケースが多い。
だがその隙間にはとても人一人が入れるほどのスペースはない。
警官たちはその隙間に麻薬を隠し持っているかもしれないと判断したのだ。
警官C「ふぅ、ようやく穴が開いた。」
大家「あぁぁ・・・・カベに大穴を・・・」
警官D「ふむ、少し暗いな・・・おい、ライト持ってるか?」
警官C「俺が照らしておく、お前は中をのぞいてみてくれ。」
警官D「わかった、ちょっと待ってろ・・・・」
警官Dは穴を開けたカベの中を覗きこんだ。
警官D「・・・・・・・・・」
隣室の住人 PAGE28
警官C「どうだ?」
警官D「・・・ふん、どうやらクスリはここにもなさそうだ。無駄骨だったな。
しかしこんなものを見つけた。」
警官C「なんだこれは?・・・ラジオか・・・?」
警官D「それだけじゃない、こんなものまである。」
警官C「うげっ・・・な、なんだよそりゃ・・・」
警官D「腐ったピザの食いかけだ、おそらくこれは・・・」
警官C「そうか、ネズミの仕業か・・・・。最近のネズミはラジオまで聞くのか(笑)」
警官D「あの少年が言っていた隣室の住人は案外こいつらのことだったのかもな。(笑)」
警官C「ははは、隣の住人はネズミ一家ってか。」
大家「ちょ、ちょっとおまわりさん!笑い事じゃないですよ!カベにこんな大穴を
開けて・・・・しかも麻薬なんか結局出てこなかったじゃないですか!」
警官C「あぁ、申し訳ない。修理のほうはこちらで手配します。明日にでも
向かわせますから。」
大家「・・・まったく・・・」
警官D「おい、我々もそろそろ署へ戻るか。」
警官C「了解。」
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隣室の住人 PAGE29
廊下にて
警官A「住人のみなさん、お騒がせしました。もう終わりましたので
安心して部屋へお戻りください。我々も引き上げますので。」
住人A「ずいぶん長いこと彼の部屋を調べていましたねぇ・・・」
住人B「そうだな、もしかして麻薬とかが出てきたりしてな。」
住人A「ありえますね、だってすごい異常な人だったもの・・・。」
住人B「まぁこれで一安心だ、俺たちももう部屋へ・・・」
だがそのとき、ある男が住人に話しかけてきた。
男「あの、ちょっとすみません・・・」
隣室の住人 PAGE29−2
住人A「はい?」
住人B「?」
男「この街のピッツァリムルダールはどこにあるでしょうか。」
住人B「ピッツァリムルダール?・・・あのピザ屋だったらA町にある
ゲーセン近くにあるぞ。」
男「あ、そうですか。どうもありがとう・・・・。」
その男は軽く礼を言い、手に持った腐ったピザをかじりながら
廊下をゆっくりと立ち去ろうとした。
住人A「・・・(ちょ、ちょっと・・・あの人腐ったピザなんか食べてますよ・・・)」
住人B「・・・(ほんとだ・・・気持ち悪ィやつだな・・・それになんか
あいつの身体臭いぞ・・・)・・・」
住人A「・・・(あんな人このアパートに住んでたっけ・・・?)・・・」
男「あ、そうそう。それから・・・」
住人A「ドキ!・・・な、何か・・・?」
隣室の住人 PAGE30
男「ピッツァリムルダールは最高に美味いですよねぇ・・・あそこのピザは特に
チーズが最高です・・・・。よそでは使っていない特注の牛乳を仕入れて
いるんですよ、知ってました?」
住人B「い、いや・・・そりゃあ知らなかった・・・今度俺も食ってみるよ。」
男「ぜひ頼んでみてください、私はあのピザ屋の近所へ引越しすることにしました。」
住人A「え?・・や、やっぱりあなたここの住人さんだったんですか?
どうして急に引越しなど・・・」
男「私の部屋は[穴]を開けられて、もう住めなくなってしまいましたから・・・・。」
住人A「???」
住人B「・・・何を言ってるんだこいつ・・・」
男「今までお世話になりました、みなさんお元気で・・・・。」
住人A「・・・・・・・・」
その男は腐ったピザをかじりながら、アパートから出て行った・・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
隣室の住人 PAGE31 「最終話」
皆さんの冷蔵庫の中身は無事でしょうか?
皆さんの戸棚は無事でしょうか?
あとで食べようと思っていたお菓子はまだありますか?
頼んでもいないピザが届いた覚えはありませんか?
一人暮らしをしているあなたは、特に気をつけたほうがいいかもしれません。
あなたが気づいていないだけで、隣には何かが「住んで」いるかもしれません。
あなたのお隣には、「隣室の住人」が潜んでいるかもしれません・・・・。
隣室の住人
〜完〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
80 :
21世紀の名無しさん:03/05/18 03:12 ID:LZWR7nOu
age
〜序章〜
皆さんは「既視感」という言葉をご存知だろうか。
あるいはデジャヴとも言う。
既視感とは、過去に一度見たような錯覚に陥る現象である。
例えば友人との会話の最中、
「この光景は前に一度見た、次にきみの言うセリフも覚えていた」
といったような錯覚に陥る。
それは言動だけでなく、行動、光景からもデジャヴの現象が起こる。
時にはありとあらゆる細かい光景まで覚えていたケースもある。
デジャヴは何の前触れもなく突然襲ってくる。
それは夢で見たのか、それとも現実の過去から見た記憶なのか。
これは医学的にも確信した証明は明らかになっていない。
人間の第六感が働くために起こる現象とも言われているが、
肉体的、あるいは精神的から起こるただの疲労感からとも言える。
今から話すある一人の女性を挙げながら、既視感と呼ばれる
記憶の歪みをたどってみよう。
おそらくこの物語を読み終えたころ、あなたが次のデジャヴに
陥るかもしれない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE1−1
新中市 A町 ホテル街
ラブホテル エジンベア
5月24日 午前08:25
直也「・・・おい彩、そろそろ起きたらどうだ。」
彩「ぅ〜ん・・・」
直也「今日も出勤だろ、会社に遅れるぞ。」
彩「あれ・・・あんたなんでここに・・・」
直也「何寝ぼけてんだよ、早く起きろよ。」
彩「・・・ってここどこなの?なんであたしこんなとこで寝て・・・ハッ!」
直也「やっとお目覚めか?」
彩「ちょ、ちょっとあんた!ここラブホテルじゃないの!な、なんであたし
こんなとこにいるのよ!」
直也「おいおい、何を言ってんだよ。だってゆうべ・・・」
彩「ま、まさかまさか!もしかしてあたしあんたと寝て・・・」
直也「まさか全然覚えてないのか?まぁあれだけ飲めば無理もないが・・・」
彩「こ、この色魔野郎!!あんたあたしを酒で酔わせてこんなところに!」
彩は自分が今までどういう場所にいたかということをようやく理解し、
あわててベッドの下に散らばっていた服を取って着替えた。
DEJAVU PAGE1−2
直也「ちょ、ちょっと待てよ彩。お前ゆうべどうしても帰りたくないって
言うから俺は・・・」
彩「うるさい!あたしあんたと付き合ってるわけじゃないでしょ!ただの会社の
同僚じゃない!」
直也「え?だってゆうべベッドの中で俺のこと好きだと・・・」
彩「はぁ??何言ってんのあんた!?あたしあんたなんか別に好きでもなんでも
ないわよ!ばか!」
直也「ひどいな、全然寝かせてくれなかったくせに。」
彩「こ、この・・・!」
バシン!
直也「いて!・・・な、何すんだよ!」
彩「訴えてやる!」
DEJAVU PAGE1−2
直也「ちょ、ちょっと待てよ。落ち着いて話し合おう。」
彩「うるさい!あたしはもう帰る!」
直也「帰るってお前、もう出勤時間だぞ。何時だと思ってんだよ。」
彩「えぇ??」
直也「まぁ落ち着けよ、どうせ遅刻なんだから一緒に会社へ行こう。」
彩「ついてくるなああああ!!!あたしから離れろ!」
直也「おい彩!待て!!」
バタン!!
彩は男を置いて、服をみだしながらバッグを片手にホテルを出て行った。
直也「やれやれ、まいったなぁ・・・。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE2
二ノ宮 彩(ニノミヤ アヤ)22歳OL。
ごく普通のOLである。
ゆうべはどういういきさつがあったのかは分からないが、
会社の同僚とホテルで朝を迎えてしまった。
飲みすぎた次の日の朝によくある出来事である。
だがこれはデジャヴでもなんでもない、ただ酔って一時の感情に流され
オイタをしてしまっただけのこと。
記憶の歪みはこれから起こる。
それは何の前触れもなく突然やってくる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE3−1
新中市 A町 ボンモール商業 営業課
午後18:05
女子社員「ねぇねぇ彩、今日行くでしょ?」
彩「行くってどこに?」
女子社員「何言ってんの、今日会社終わったらみんなで飲みに行くって
約束したじゃん。」
彩「・・・あー、そういやそうね。」
女子社員「しっかりしてよ、あんたこのところボーッとしてるわよ。」
彩「ちょっと疲れてるだけよ、大丈夫。」
女子社員「あそうだそうだ、直也くんも今日の飲み会誘っておいたから。」
彩「えぇ?冗談でしょ?」
DEJAVU PAGE3−2
女子社員「え?・・・なんかまずいの?」
彩「あいつが来るんなら行かない、あたし今日は帰る。」
女子社員「えぇ?なんでよ?」
彩「あいつ嫌いだもん。」
女子社員「・・・・なんかあったの?」
彩「なんかも何も、あいつゆうべあたしを・・・」
女子社員「?」
彩「・・・い、いやその・・・何でもない。」
女子社員「へんなの、まぁいいわ。・・・で、行くでしょ?」
彩「だから行かないっての。」
女子社員「なんでよー、いいじゃん行こうよー。」
彩「しつこいわね、行かないと言ったら行かな・・・」
直也「やぁ、おつかれ。」
彩「!」
女子社員「あ、直也くんおつかれー。」
彩「・・・・・・」
DEJAVU PAGE4
直也「あのさ、今日の飲み会、俺のとこの課の連中も誘っていいかな。」
女子社員「うん、いいよいいよ。」
直也「それじゃ早いとこ行こうぜ、早めに行かないと混んでしまうしな。」
女子社員「うん、今したくするから。・・・ほら彩、早くしなさいよ。」
彩「あたし行かないって言ってるでしょ・・・。」
直也「あれ?彩は行かないのか?」
女子社員「直也くん何とか言ってやってよー。彩ったら帰るとか言ってんの。」
直也「どうしたんだよ彩、飲み会好きのお前が行かないなんて・・・」
彩「あのね直也、あんたさ・・・」
直也「?」
彩「・・・(ちょっとここじゃまずいかな・・・・)」
女子社員「どうしたの彩?」
彩「ちょっと直也、こっち来て。」
直也「お、おいおい・・・どこ引っ張って行くんだよ。」
彩「いいからちょっと!」
女子社員「?どうしたんだろ。」
彩は直也の手を引っ張り、会社の廊下へ連れ出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE5−1
直也「なんだよ、こんなとこまで来て。なんか話でもあるのか?」
彩「あんた・・・ゆうべのこと誰にも話してないわよね。」
直也「ゆうべのことって?」
彩「何トボけてんのよ!ゆうべのことよ!」
直也「・・・あーあー、あのことかぁ。」
彩「あのことかぁじゃないっつーの!」
直也「ははは、お前ゆうべのあのことで今日行きたくないって言ってんのか。」
彩「当たり前でしょ!」
直也「心配するなよ、誰にも言ってないからさ。」
彩「ほんとに?」
直也「あぁ、本当だ。」
彩「まじで?」
直也「まじだよ。」
彩「絶対にマジで??」
直也「しつこいな、誰にも話してないっての。」
彩「・・・・わかった、一応信じるわよ。」
直也「よし、じゃあ飲みに行こうぜ。」
彩「行かないって何度言えばわかるのよ!!いい加減にしなさいよ!」
DEJAVU PAGE5−2
直也「お、おい・・・」
彩「だいたいあんた、あたしにあんなことして何のうのうと飲み会なんか
誘ってるわけ?!あんたにとってはあーゆーことって日常茶飯事なの??」
直也「おい彩、どうでもいいけど声がでかいって・・・」
彩「うるさい!あたしを遊んでおいてえらそうに言うな!」
直也「あ、遊んだ?お前何を言って・・・」
彩「あたしに気なんかないくせに勝手なことしないでよ!もう帰る!」
直也「おい待て!」
彩「やかましい!」
直也「おい彩!・・・俺は・・・!」
直也「俺は本気なんだぞ・・・」
彩「!」
直也「ずっとお前のことを・・・・」
彩「・・・・・・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE6−1
新中商店街 居酒屋ルイーダ
午後20:03
女子社員「あー、やっと来たー。」
社員B「遅いぞ二人とも。」
社員C「もう先に飲んでるぞ。」
直也「ごめんごめん。・・・ほら彩、入ろうぜ。」
彩「・・・・わかってるわよ。」
女子社員「何してたのよ彩、遅いからもう始めちゃってたわよ。」
彩「あ、ごめんね。」
社員B「直也、お前遅れたバツとして駆けつけイッキな。」
直也「マジかよ!」
女子社員「がんばってー、直也くん。」
直也「わかったよ・・・。」
彩「・・・・・・」
DEJAVU PAGE6−2
あのあと会社から居酒屋まで、彩は複雑な想いではあったが
とりあえず飲み会へ行くことにした。
彩は自分自身が直也のことをどう思っているかは考えたこともないが、
つい先ほどの直也の言葉にまた流され
あの晩の許せなかった出来事を許してしまったのである。
彩「ちょっと直也・・・」
直也「?どうした?」
DEJAVU PAGE7−1
彩「ことわっておくけど、あたしあんたを許したわけじゃないからね。」
直也「わかったわかった、今日はもうその話はよそうぜ。
せっかくの飲み席なんだからもっと楽しめよ。」
彩「・・・(こ、こいつ・・・あの晩のことを小さい出来事のように・・・)」
直也「よーし、じゃあ次はお前だ。ビールついでやる。」
社員C「バカヤロウ、ビールなんぞでイッキができるか。焼酎持って来い焼酎。」
社員B「お、言ったなお前。あとで後悔すんなよ。」
直也「すいませーん!焼酎くださーい!」
彩「あたしも。」
直也「・・・え?」
彩「あたしもちょうだい。」
社員B「おおおお!彩、きみもイッキするのか!そうこなくっちゃな。」
直也「お、おい・・・・」
女子社員「あはは、やっと普段の彩らしくなったねー。」
彩「今日はなんかむしゃくしゃするから飲む!」
DEJAVU PAGE7−2
直也「まぁほどほどにな、あとで酔いつぶれちゃこっちがかなわん。」
彩「わかってるわよ、あんたこそもう変なこと考えないでよ。」
彩は焼酎をストレートでイッキ飲みした。
コトン
彩「ふぅー。」
直也「・・・・・・」
社員B「すげー。」
彩「おかわり。」
直也「大丈夫かよ・・・・・」
DEJAVU PAGE8−1
〜〜〜〜それから三時間後〜〜〜〜〜〜
商店街通り
女子社員「ちょ、ちょっと彩・・・むちゃしないでよ。」
彩「次行くわよ次!今日は朝まで!」
社員B「うげぇ・・・気持ち悪い・・・・飲みすぎた・・・」
社員C「俺も帰るわ・・・もうこれ以上は飲めねえよ・・・」
直也「あ、じゃあタクシー呼んでやるよ。」
彩「えーーーーーーーーーー???なんでかえるのよおおおおおお!!」
彩はすっかり出来上がっていた。
DEJAVU PAGE8−2
直也「ちょ、ちょっと彩、お前飲みすぎだぞ。」
彩「ぜんぜん酔ってなんかないわよーーーーー。ほらまっすぐ歩けるし・・・」
直也「よせよ、車道に出るな。・・・あーもうしょうがねーなー。」
女子社員「あたし送っていこうか?」
直也「いや、きみは先に帰っていいよ。俺が彩を送っていくから。」
女子社員「でも・・・」
直也「きみの家は逆方向だろ、俺んちはわりと彩の家と同じ方角だから
タクシーで家まで送っていくよ。」
女子社員「わかった、気をつけてね。」
直也「うん、じゃあまたな。・・・ほら彩、しっかり歩け。」
彩「なんで帰るのよおおおおおお・・・・あたしまだ飲むわよおおお・・・」
直也「やれやれ・・・・・」
やがて 次の日の朝を迎えた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE9−1
新中市 A町 ホテル街
ラブホテル エジンベア
午前08:25
直也「・・・おい彩、そろそろ起きたらどうだ。」
彩「ぅ〜ん・・・」
直也「今日も出勤だろ、会社に遅れるぞ。」
彩「あれ・・・あんたなんでここに・・・」
直也「何寝ぼけてんだよ、早く起きろよ。」
彩「・・・ってここどこなの?なんであたしこんなとこで寝て・・・ハッ!」
直也「やっとお目覚めか?」
彩「ちょ、ちょっとあんた!ここラブホテルじゃないの!な、なんであたし
こんなとこにいるのよ!」
直也「おいおい、何を言ってんだよ。だってゆうべ・・・」
彩「ま、まさかまさか!もしかしてあたしあんたと寝て・・・」
直也「まさか全然覚えてないのか?まぁあれだけ飲めば無理もないが・・・」
DEJAVU PAGE9−2
彩「こ、この色魔野郎!!あんた二度もあたしを酒で酔わせてこんな・・・」
直也「・・・?どうした?」
彩「・・・あれ??」
直也「?」
キーーーーーーーーン
その瞬間、彩は妙な錯覚に陥った。
DEJAVU PAGE10−1
彩「・・・なんか前にこんなような・・・」
直也「どうしたんだよ、ぼーっとして。まだ目が覚めないか?」
彩「うるさい!あたしあんたと付き合ってるわけじゃないでしょ!ただの会社の
同僚じゃない!」
直也「え?だってゆうべベッドの中で俺のこと好きだと・・・」
彩「はぁ??何言ってんのあんた!?あたしあんたなんか別に好きでもなんでも
ないわよ!ばか!」
直也「ひどいな、全然寝かせてくれなかったくせに。」
彩「こ、この・・・!」
バシン!
直也「いて!・・・な、何すんだよ!」
DEJAVU PAGE10−2
彩「・・・?!」
直也「?」
彩「・・・・(お、おかしい・・・なんかこの場面も覚えが・・・)」
直也「なぁ彩、よく聞けよ。ゆうべお前のほうから・・・」
彩「うるさい!あたしはもう帰る!」
直也「帰るってお前、もう出勤時間だぞ。何時だと思ってんだよ。」
彩「えぇ??」
直也「まぁ落ち着けよ、どうせ遅刻なんだから一緒に会社へ行こう。」
彩「ついてくるなああああ!!!あたしから離れろ!」
直也「おい彩!待て!!」
バタン!!
彩は男を置いて、服をみだしながらバッグを片手にホテルを出て行った。
直也「やれやれ、まいったなぁ・・・。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE11−1
新中市 A町 ボンモール商業 営業課
午後18:05
女子社員「ねぇねぇ彩、今日行くでしょ?」
彩「行くってどこに?」
女子社員「何言ってんの、今日会社終わったらみんなで飲みに行くって
約束したじゃん。」
彩「はぁ?ゆうべあれだけ飲んだのにまた行くの??」
女子社員「え?・・・何言ってんのよ、ゆうべ飲み会なんかなかったじゃん。」
彩「は??」
女子社員「しっかりしてよ、あんたこのところボーッとしてるわよ。」
彩「え?え?・・・ちょ、ちょっと待って・・・おかしいな・・・」
女子社員「あそうだそうだ、直也くんも今日の飲み会誘っておいたから。」
彩「えぇ?冗談でしょ?」
DEJAVU PAGE11−2
女子社員「え?・・・なんかまずいの?」
彩「あいつが来るんなら行かない、あたし今日は帰る。」
女子社員「えぇ?なんでよ?」
彩「あいつ嫌いだもん。」
女子社員「・・・・なんかあったの?」
彩「なんかも何も、あいつゆうべも懲りずにあたしを・・・」
キーーーーーーーーーーーン
女子社員「?」
DEJAVU PAGE12−1
彩「・・・(あれ、またデジャヴが・・・・)・・・」
女子社員「へんなの、まぁいいわ。・・・で、行くでしょ?」
彩「だから行かないっての。」
女子社員「なんでよー、いいじゃん行こうよー。」
彩「しつこいわね、行かないと言ったら行かな・・・」
直也「やぁ、おつかれ。」
彩「!」
女子社員「あ、直也くんおつかれー。」
彩「・・・・・・」
直也「あのさ、今日の飲み会、俺のとこの課の連中も誘っていいかな。」
女子社員「うん、いいよいいよ。」
直也「それじゃ早いとこ行こうぜ、早めに行かないと混んでしまうしな。」
女子社員「うん、今したくするから。・・・ほら彩、早くしなさいよ。」
彩「あたし行かないって言ってるでしょ・・・。」
直也「・・・あれ?彩は行かないのか?」
女子社員「直也くん何とか言ってやってよー。彩ったら帰るとか言ってんの。」
直也「どうしたんだよ彩、飲み会好きのお前が行かないなんて・・・」
彩「あのね直也、あんたさ・・・」
直也「?」
DEJAVU PAGE12−2
彩「・・・(ちょっとここじゃまずいかな・・・・)」
女子社員「どうしたの彩?」
彩「ちょっと直也、こっち来て。」
直也「お、おいおい・・・どこ引っ張って行くんだよ。」
彩「いいからちょっと!」
女子社員「?どうしたんだろ。」
彩は直也の手を引っ張り、会社の廊下へ連れ出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE13−1
直也「なんだよ、こんなとこまで来て。なんか話でもあるのか?」
彩「あんた・・・ゆうべのこと誰にも話してないわよね。」
直也「ゆうべのことって?」
彩「何トボけてんのよ!ゆうべのことよ!しかも二度目!」
直也「・・・あーあー、あのことかぁ。」
彩「あのことかぁじゃないっつーの!」
直也「ははは、お前ゆうべのあのことで今日行きたくないって言ってんのか。」
彩「当たり前でしょ!」
直也「心配するなよ、誰にも言ってないからさ。」
彩「ほんとに?」
直也「あぁ、本当だ。」
彩「まじで?」
直也「まじだよ。」
彩「絶対にマジで??」
直也「しつこいな、誰にも話してないっての。」
彩「・・・・わかった、一応信じるわよ。」
直也「よし、じゃあ飲みに行こうぜ。」
彩「行かないって何度言えばわかるのよ!!いい加減にしなさいよ!」
直也「お、おい・・・」
DEJAVU PAGE13−2
彩「だいたいあんた、あたしにあんなことして何のうのうと飲み会なんか
誘ってるわけ?!あんたにとってはあーゆーことって日常茶飯事なの??
しかもこれで二回目よ!もう絶対に許さないからね!」
直也「おい彩、どうでもいいけど声がでかいって・・・」
彩「うるさい!あたしを遊んでおいてえらそうに言うな!」
直也「あ、遊んだ?お前何を言って・・・」
彩「あたしに気なんかないくせに勝手なことしないでよ!もう帰る!」
直也「おい待て!」
彩「やかましい!」
直也「おい彩!・・・俺は・・・!」
直也「俺は本気なんだぞ・・・」
彩「!」
直也「ずっとお前のことを・・・・」
彩「昨日も同じことを聞いたわよ、もう騙されないから。」
直也「・・・?」
DEJAVU PAGE14−1
彩「いや、ちょっと待って・・・なんかおかしいな・・・・。今日と昨日の
会話がまったく同じじゃん・・・。」
直也「??」
彩「おかしい・・・ものすごいデジャヴを感じる・・・・。」
直也「疲れてるんだろ、そういうのって誰にでもあるからな。」
彩「・・・・・・」
直也「さぁみんなと一緒に飲みに行こうぜ、気分も晴れるだろ。」
彩「ちょっと待って直也、一つ聞きたいんだけど。」
直也「なんだ?」
彩「ゆうべのこと・・・」
直也「あぁ、だから誰にも話してないよ。」
彩「違うのよ、あんたゆうべのことって何のことだかわかってる?」
直也「わかってるよ。」
彩「じゃあ言ってみてよ。」
直也「だからあれだろ?お前のストッキングが伝線したまま会社に来てたってことだろ?」
DEJAVU PAGE14−2
彩「・・・・・・・・・」
直也「・・・?違うのか?」
彩「・・・(何言ってんのこいつ・・・ゆうべのこと全然覚えてないのかな・・・
いや、ただ単にあたしに気を使ってるのかな・・・)」
直也「おい、どうでもいいけど早く行かないとみんな待ってるぞ。さぁ行こう。」
彩「ちょ、ちょっと待ってよ!あたし行かないって・・・!」
直也は彩の手をとり、居酒屋へ向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE15
新中商店街 居酒屋ルイーダ
午後20:03
女子社員「あー、やっと来たー。」
社員B「遅いぞ二人とも。」
社員C「もう先に飲んでるぞ。」
直也「ごめんごめん。・・・ほら彩、入ろうぜ。」
彩「・・・・わかってるわよ。」
女子社員「何してたのよ彩、遅いからもう始めちゃってたわよ。」
彩「あ、ごめんね。」
社員B「直也、お前遅れたバツとして駆けつけイッキな。」
直也「マジかよ!」
女子社員「がんばってー、直也くん。」
直也「わかったよ・・・。」
彩「・・・・・・」
彩はどうもこの状況が疑わしかった。
まるで「昨日の再放送」を見ているかのような錯覚に陥った。
周りの会話がほとんど聞き覚えのある話に聞こえた。
デジャヴの体験は今までに何度かあったが、今回のは異常である。
彩「ちょっと直也・・・」
直也「?どうした?」
DEJAVU PAGE16−1
彩「ことわっておくけど、あたしあんたを許したわけじゃないからね。」
直也「わかったわかった、今日はもうその話はよそうぜ。
せっかくの飲み席なんだからもっと楽しめよ。」
彩「・・・(こ、こいつ・・・あの晩のことを小さい出来事のように・・・
それとも本当にストッキングのこと言ってるのかな・・・)」
直也「よーし、じゃあ次はお前だ。ビールついでやる。」
社員C「バカヤロウ、ビールなんぞでイッキができるか。焼酎持って来い焼酎。」
社員B「お、言ったなお前。あとで後悔すんなよ。」
直也「すいませーん!焼酎くださーい!」
彩「あたしも。」
直也「・・・え?」
彩「あたしもちょうだい。」
社員B「おおおお!彩、きみもイッキするのか!そうこなくっちゃな。」
直也「お、おい・・・・」
女子社員「あはは、やっと普段の彩らしくなったねー。」
彩「今日はなんかワケわかんないから飲む!」
DEJAVU PAGE16−2
直也「まぁほどほどにな、あとで酔いつぶれちゃこっちがかなわん。」
彩「わかってるわよ、あんたこそもう変なこと考えないでよ。」
彩は焼酎をストレートでイッキ飲みした。
コトン
彩「ふぅー。」
直也「・・・・・・」
社員B「すげー。」
彩「おかわり。」
直也「大丈夫かよ・・・・・」
DEJAVU PAGE17−1
〜〜〜〜それから三時間後〜〜〜〜〜〜
商店街通り
女子社員「ちょ、ちょっと彩・・・むちゃしないでよ。」
彩「次行くわよ次!今日は朝まで!」
社員B「うげぇ・・・気持ち悪い・・・・飲みすぎた・・・」
社員C「俺も帰るわ・・・もうこれ以上は飲めねえよ・・・」
直也「あ、じゃあタクシー呼んでやるよ。」
彩「えーーーーーーーーーー???なんでかえるのよおおおおおお!!」
彩はすっかり出来上がっていた。
DEJAVU PAGE17−2
直也「ちょ、ちょっと彩、お前飲みすぎだぞ。」
彩「ぜんぜん酔ってなんかないわよーーーーー。ほらまっすぐ歩けるし・・・」
直也「よせよ、車道に出るな。・・・あーもうしょうがねーなー。」
女子社員「あたし送っていこうか?」
直也「いや、きみは先に帰っていいよ。俺が彩を送っていくから。」
女子社員「でも・・・」
直也「きみの家は逆方向だろ、俺んちはわりと彩の家と同じ方角だから
タクシーで家まで送っていくよ。」
女子社員「わかった、気をつけてね。」
直也「うん、じゃあまたな。・・・ほら彩、しっかり歩け。」
彩「なんで帰るのよおおおおおお・・・・あたしまだ飲むわよおおお・・・」
直也「やれやれ・・・・・」
やがて 再び次の日の朝を迎えた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE18−1
新中市 A町 ホテル街
ラブホテル エジンベア
午前08:25
直也「・・・おい彩、そろそろ起きたらどうだ。」
彩「ぅ〜ん・・・」
直也「今日も出勤だろ、会社に遅れるぞ。」
彩「あれ・・・あんたなんでここに・・・」
直也「何寝ぼけてんだよ、早く起きろよ。」
彩「・・・ってここどこなの?なんであたしこんなとこで寝て・・・ハッ!」
直也「やっとお目覚めか?」
彩「ちょ、ちょっとあんた!ここラブホテルじゃないの!な、なんであたし
こんなとこにいるのよ!」
直也「おいおい、何を言ってんだよ。だってゆうべ・・・」
彩「ま、まさかまさか!もしかしてあたしあんたと寝て・・・」
直也「まさか全然覚えてないのか?まぁあれだけ飲めば無理もないが・・・」
DEJAVU PAGE18−2
彩「こ、この色魔野郎!!三度目よ!これで三度目じゃないのよ!!」
直也「?なんだ三度目って?」
彩「・・・あれ??」
直也「?」
キーーーーーーーーン
その瞬間、彩は妙な錯覚に陥った。
DEJAVU PAGE19−1
彩「・・・あれ??・・・ってゆうかこれ絶対おかしい・・・」
直也「どうしたんだよ、ぼーっとして。まだ目が覚めないか?」
彩「うるさい!あたしあんたと付き合ってるわけじゃないでしょ!ただの会社の
同僚じゃない!」
直也「え?だってゆうべベッドの中で俺のこと好きだと・・・」
彩「はぁ??何言ってんのあんた!?あたしあんたなんか別に好きでもなんでも
ないわよ!ばか!」
直也「ひどいな、全然寝かせてくれなかったくせに。」
彩「こ、この・・・!」
バシン!
直也「いて!・・・な、何すんだよ!」
DEJAVU PAGE19−2
彩「・・・?!」
直也「?」
彩「・・・・(お、おかしい・・・あたし同じことをずっと繰り返してる気が・・・)」
直也「なぁ彩、よく聞けよ。ゆうべお前のほうから・・・」
彩「うるさい!もうワケわかんない!あたしはもう帰る!」
直也「帰るってお前、もう出勤時間だぞ。何時だと思ってんだよ。」
彩「えぇ??」
直也「まぁ落ち着けよ、どうせ遅刻なんだから一緒に会社へ行こう。」
彩「ついてくるなああああ!!!あたしから離れろ!」
直也「おい彩!待て!!」
バタン!!
彩は男を置いて、服をみだしながらバッグを片手にホテルを出て行った。
直也「やれやれ、まいったなぁ・・・。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE20−1
新中市 A町 ボンモール商業 営業課
女子社員「ねぇねぇ彩、今日行くでしょ?」
彩「行くってどこに?」
女子社員「何言ってんの、今日会社終わったらみんなで飲みに行くって
約束したじゃん。」
彩「はぁ?ちょっといい加減にしてよ。なんでそんなに毎日毎日飲みに行くの?」
女子社員「?何言ってんのよ彩、久しぶりの飲み会じゃないの。」
彩「えぇ??」
女子社員「しっかりしてよ、あんたこのところボーッとしてるわよ。」
彩「・・・(やっぱりおかしい・・・あたしどうかしゃちゃったのかな・・・)」
女子社員「あそうだそうだ、直也くんも今日の飲み会誘っておいたから。」
彩「えぇ?冗談でしょ?」
DEJAVU PAGE20−2
女子社員「え?・・・なんかまずいの?」
彩「あいつが来るんなら行かない、あたし今日は帰る。」
女子社員「えぇ?なんでよ?」
彩「あいつ嫌いだもん。」
女子社員「・・・・なんかあったの?」
彩「なんかも何も、あいつゆうべもあたしを・・・」
女子社員「?」
彩「・・・い、いやその・・・何でもない。」
女子社員「へんなの、まぁいいわ。・・・で、行くでしょ?」
彩「だから行かないっての。」
女子社員「なんでよー、いいじゃん行こうよー。」
彩「しつこいわね、行かないと言ったら行かな・・・」
直也「やぁ、おつかれ。」
彩「!」
女子社員「あ、直也くんおつかれー。」
彩「・・・(まただ・・・また同じことを繰り返してる・・・)」
DEJAVU PAGE21
直也「あのさ、今日の飲み会、俺のとこの課の連中も誘っていいかな。」
女子社員「うん、いいよいいよ。」
直也「それじゃ早いとこ行こうぜ、早めに行かないと混んでしまうしな。」
女子社員「うん、今したくするから。・・・ほら彩、早くしなさいよ。」
彩「あたし行かないって言ってるでしょ・・・。」
直也「あれ?彩は行かないのか?」
女子社員「直也くん何とか言ってやってよー。彩ったら帰るとか言ってんの。」
直也「どうしたんだよ彩、飲み会好きのお前が行かないなんて・・・」
彩「あのね直也、あんたさ・・・」
直也「?」
彩「・・・(ちょっとここじゃまずいかな・・・・)」
女子社員「どうしたの彩?」
彩「ちょっと直也、こっち来て。」
直也「お、おいおい・・・どこ引っ張って行くんだよ。」
彩「いいからちょっと!」
女子社員「?どうしたんだろ。」
彩は直也の手を引っ張り、会社の廊下へ連れ出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE22−1
直也「なんだよ、こんなとこまで来て。なんか話でもあるのか?」
彩「黙ってあたしの話を聞いて、今日は何日?」
直也「あん?」
彩「今日は何日かって聞いてんの!」
直也「何日って・・・5月24日だろ?」
彩「そう、今日は24日よ。そして昨日は23日、おかしいと思わない?・・・ってあれ??
あたし何を言ってるんだろ・・・?」
直也「おいおい、何を当たり前のこと言ってるんだよ。24日の前は23日に決まってるだろ。」
彩「だ、だからあたしの言いたいことはそうじゃなくって・・・」
直也「お前疲れてるんだよ、そういうのって誰にでもあるからな。
ところでどうでもいいけど早く行かないとみんな待ってるぞ。さぁ行こう。」
彩「ちょ、ちょっと待ってよ!絶対におかしいのよ!!」
直也は彩の手をとり、居酒屋へ向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE22−2
さて、もうお気づきでしょう。
この彩という女性には「いつまでたっても明日が来ない」という
メルビスの法則の罠にはまってしまったのである。
テレビや映画でおなじみのシチュエーションである。
現実にはありえそうもないSF的な現象だが、このような状況は小説や映画で
何度も目にしているだろう。
こういった状況に陥った場合、はたから見ている第三者のほうが
本人よりもよほど冷静に事の重大さを認識する。
普通の人ならまず考えることは「なぜ?」である。
・なぜこんなことになってしまったのか。
・なぜ明日が来ないのか。
・なぜ同じ事を繰り返すのか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE23−1
しかしこういうときは発想を変えたほうが良いのだ。
「なぜ?」ではなく「どこで?」が重要であるのだ。
どの場所で、どの時間帯で、この謎の現象が起こったのか?
これを一番最初に考えるかどうかで、記憶の歪みへたどり着く。
最も怪しい時間帯、あるいは場所はどこだろうか。
原因、そして結末はどのようなものか。
下記の事項を読みながら、読者の皆さんも一緒に考えてみてほしい。
1:彩が酔って直也とホテルへ行ってしまった記憶の飛んでいる空白の時間帯、
これが最も怪しい。この間に何かが起こったに違いない。
2:いや、そもそもこの直也とかいう男が怪しい。この男がなんらかの力を使って
彩を陥れているに違いない。
3:これらはすべて夢である。そのうち目を覚ますに決まってる。
のちに彩の出した答えは2番である。読者の皆さんはどうだろうか。
ちなみにこの1〜3番までのたったの三択の中に答えはある。
これ以上の選択も考えられるだろうが、今回の答えはこの中に存在する。
デジャヴが起きた記憶の歪みをたどってみよう・・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE24
新中商店街 居酒屋ルイーダ
午後20:03
女子社員「あー、やっと来たー。」
社員B「遅いぞ二人とも。」
社員C「もう先に飲んでるぞ。」
直也「ごめんごめん。・・・ほら彩、入ろうぜ。」
彩「・・・・わかってるわよ。」
女子社員「何してたのよ彩、遅いからもう始めちゃってたわよ。」
彩「あ、ごめんね。」
社員B「直也、お前遅れたバツとして駆けつけイッキな。」
直也「マジかよ!」
女子社員「がんばってー、直也くん。」
直也「わかったよ・・・。」
彩「・・・(やっぱりまったく同じじゃない・・・どういうことよ・・・)」
ざわめく飲み席で彩はただ一人、この疑わしい現実を前に
頭の中で必死で考えた。
まず普通に考えるとしたら・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE25−1
彩「ゆ、夢よ・・・!これは夢に決まってる!」
彩「そうよ!そのうち目を覚ますはずよ!」
仮に夢の中にいながら「これは夢だ」と気づく例も確かにある。
だが夢だとしたらもっと不条理な現象が起こっても不思議ではない。
そもそもなぜいつまでたっても目を覚まさないのか。
彩「夢じゃないとしたら・・・わかった!そもそも一番疑わしいヤツはこいつよ!直也よ!」
彩「こいつがあたしに何か怪しい催眠術でもかけたのよ!そういえばこいつ
オカルトとか好きだもん!」
DEJAVU PAGE25−2
彩の出した結論は「直也」とのこと。
つまり先ほどの選択の2番。
彼が催眠術のようなものをかけて自分を陥れたそうだ。
だが仮に催眠術のようなものをかけられたとして、果たして時間の渦の中に
閉じ込められるような奇怪な現象が起こるだろうか?
根拠としては多少無理があるが、一応その記憶の行方を追ってみよう。
問題は「いつ?どこで?」だ。
会社に出勤しているときか?
それともこの飲み会で彩のビールの中に何か薬でも入れたのか?
だが薬などでこんな奇怪な現象は起きるとは思えない。
となると出勤時間帯か?
しかし直也は彩とは違う課で仕事をしている。
勤務中には会えないし、会った覚えもない。
となると、最も疑わしい時間帯を考えるべきだ。
DEJAVU PAGE26−1
彩「・・・わかった!ホテルよ!ホテルで酔っているあたしに・・・」
それは先ほどの選択でいうなら答えは1番となる。
だが本当に直也が原因だとしたら、厳密に言うと答えは「1番と2番」になる。
記憶の飛んでいる空白の時間。この間に何かが起こったと判断した。
しかもそれは直也の仕業であると。
つまり答えは「1番の中に2番が存在する」、と彩は判断した。
彩の出した結論は以下の事項である。
直也はラブホテルにて酔った自分に「何か」を施したに違いない。
それが事実だとしたら確かめる方法はただ一つ、決して「酒を飲まない」こと。
酔ってしまってはまた記憶を失ってしまう。
直也の犯行現場を押さえたいのであれば、今この飲み席で酒を飲まずに
ホテルへ行けばいい。
同時に空白になっていた時間帯も明らかになる。
彩「そうよ、それに違いない。きっと直也が・・・」
DEJAVU PAGE26−2
そこで彩はある方法を思いついた。それは実に単純明快な方法である。
・飲んでいるフリをする
・酔ったフリをする
・帰りたくないと言って直也にホテルへ誘われるように仕向ける
こうすれば記憶を失わずに直也の行動を監視できる。
そして今から次の朝までに、何が起こったのかを認識することができる。
だが多少そそっかしい性格のこの彩は、このとき「あること」に気づいていなかった。
それは犯行現場を押さえるためのリスクともいえよう。
読者の皆さんならもう気づいているはず。
つまりそれを実行するには「シラフのまま直也と一晩」ともにせねばならない。
彩は直也に対して恋愛感情はないそうだ。
少々疑わしいが、彼女がそこまで否定するならなおさらそのリスクは高い。
だが彩は知らず知らずにこの結論に達し、自らその計画を実行しようとした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE27
直也「すいませーん!焼酎下ださーい!」
彩「あたしも。」
直也「・・・え?」
彩「あたしもちょうだい。」
社員B「おおおお!彩、きみもイッキするのか!そうこなくっちゃな。」
直也「お、おい・・・・」
女子社員「あはは、やっと普段の彩らしくなったねー。」
彩「あたしはいつもどうりよ。・・・(今日は飲むフリだけど・・・)」
直也「まぁほどほどにな、あとで酔いつぶれちゃこっちがかなわん。」
彩「わかってるわよ。」
彩は焼酎をストレートでイッキ飲みした。
だが他の者に見られぬよう、あらかじめテーブルの下に用意してあった
コップの中に吐き出した。
コトン
彩「ふぅー。」
直也「・・・・・・」
社員B「すげー。」
彩「おかわり。」
直也「大丈夫かよ・・・・・」
DEJAVU PAGE28−1
〜〜〜〜それから三時間後〜〜〜〜〜〜
商店街通り
女子社員「ちょ、ちょっと彩・・・むちゃしないでよ。」
彩「次行くわよ次!今日は朝まで!」
社員B「うげぇ・・・気持ち悪い・・・・飲みすぎた・・・」
社員C「俺も帰るわ・・・もうこれ以上は飲めねえよ・・・」
直也「あ、じゃあタクシー呼んでやるよ。」
彩「えーーーーーーーーーー???なんでかえるのよおおおおおお!!」
彩はすっかり出来上がっていたかに見えたが、それはもちろん芝居だ。
DEJAVU PAGE28−2
直也「ちょ、ちょっと彩、お前飲みすぎだぞ。」
彩「ぜんぜん酔ってなんかないわよーーーーー。ほらまっすぐ歩けるし・・・」
直也「よせよ、車道に出るな。・・・あーもうしょうがねーなー。」
女子社員「あたし送っていこうか?」
直也「いや、きみは先に帰っていいよ。俺が彩を送っていくから。」
女子社員「でも・・・」
直也「きみの家は逆方向だろ、俺んちはわりと彩の家と同じ方角だから
タクシーで家まで送っていくよ。」
女子社員「わかった、気をつけてね。」
直也「うん、じゃあまたな。・・・ほら彩、しっかり歩け。」
彩「なんで帰るのよおおおおおお・・・・あたしまだ飲むわよおおお・・・」
直也「やれやれ・・・・・」
彩「・・・(ふん、あたしが本当に酔っていないことも知らずに・・・
今度こそその化けの皮をはいでやるわよ・・・)」
DEJAVU PAGE28−3
直也「さぁ、タクシーに乗るぞ彩。」
彩「まってよおお・・・・あたし今夜は帰りたくないの・・・」
直也「・・・んなこと言っても・・」
彩「お願い、今日は朝まで一緒に・・・」
直也「・・・おい彩、お前自分で何を言ってるかわかってるんだろうな。
つまりそれは・・・」
彩「うん、わかってるわよ。」
直也「・・・・・そうか、わかった。本当にいいんだな?」
彩「うん・・・・」
直也「よし・・・。」
作戦は見事に成功した。
まんまとシラフのままホテルへ向かうことができた。
「いつまでたっても明日が来ない」という原因は、この直也にあるのだと。
そしてこれで空白の時間帯が明らかになるときがきた。
答えは1番の中に2番が存在するのだと。
つまり空白の時間帯にて、直也が自分に何かを施した。
これ以外には考えられない。
やがて二人は新中ホテル街にあるラブホテルエジンベアへたどり着いた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE29−1
ラブホテルエジンベア
午後23:30
二人はホテルの中へ入った。
直也は持っていたカバンをテーブルの上に置き、
ソファーへもたれるように座り出した。
直也「さてと・・・」
彩「!!(く、来るか・・・!さっそく何かを・・・?!)」
直也「?どうした?」
彩「え・・?い、いや、なんでもないわよ・・・」
直也「変なヤツだな。」
彩「・・・(おかしいな、いつ怪しい呪文かなんかをやるんだろ・・・)」
DEJAVU PAGE29−2
直也「あぁそうだ、彩、お前先にシャワー使っていいよ。俺はあとでいいから。」
彩「え・・・?シャ、シャワー・・・?」
直也「そうだよ?何かおかしいか?」
彩「・・・(し、しまったあああああ!!今ごろ気づいた!これからあたしは
こいつと寝なきゃならないんだ・・・!しかも今度はシラフじゃん!)」
直也「どうしたんだよ、入らないのなら先に俺が入っちまうぞ。」
彩「お、お先にどうぞ・・・」
直也「なんか変だな、今日のお前。・・・まぁいい、じゃあお先に。」
直也は先にバスルームへ入った。
彩「ど、どうしよう・・・でもこれを確かめなきゃまた今日一日の繰り返しだし・・」
彩「こ、こうなったらベッドの中で犯行を押さえるしかない・・・いざとなったら
電気スタンドを直也の頭にぶつけてやるわ・・・」
やがて二人ともシャワーを浴び終え 男と女の時間を 迎えることとなった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE30−1
ベッド内
彩「・・・・・・」
直也「・・・・・・・」
二人は一つのベッドの中で、お互い何も言葉を交わさず
そしてお互い何も触れようともしなかった。
ベッドのそばには彩が脱ぎ散らかした服が散乱していた。
いかにも酔っているフリをするための彩なりの芝居であった。
彩「・・・(ドキドキ・・・お、おかしい・・・なんでこいつ何もしてこないんだろ・・・
エッチしながら油断したそのスキに何かをやらかすと思うんだけど・・・)」
直也「・・・・・・・」
彩「・・・(まさかこいつ寝てんじゃ・・・)」
彩は寝ながら直也の顔をチラッと見た。
DEJAVU PAGE30−2
直也「・・・どうした?」
彩「ギク!・・・い、いやなんでもないわよ・・・(起きてたのか・・・)」
〜〜〜〜〜10分経過〜〜〜〜〜〜
彩「・・・(何もしてこない・・・おかしい・・・何も起きないし何も変わらない
じゃないの・・・・どうなってんの・・・?)」
彩「・・・(あーあ・・・なんか眠くなってきちゃった・・・・)」
直也「・・・・・・・」
彩「むにゃむにゃ・・・ハッ!(も、もしかして・・・!)」
そのとき彩は気づいた。
もしや自分が寝ている間に何かがあったのでは?
今まではこの男と夜の時間を過ごしている間に何かが起きたと思っていたが、
よくよく考えたら起きている間に何かしようものなら気づかれる恐れがある。
つまりこの直也は「彩が寝るのを待っている」。
彩「・・・(こ、こうなったら意地でも寝ないわよ・・・朝まで
寝たフリをしてやるわ・・・)」
DEJAVU PAGE31−1
直也「・・・・・・・」
直也は寝ているのか、寝ているフリをしているのか分からなかった。
突然だが、本編には関係ないがここでちょっと余談をさせていただきたい。
普通こういう場合、男として女に何もせずに朝を迎えるのは不自然である。
男というのは、ラブホテルに入ったときに相手の女に何もしない場合は、
あらかじめ女に言うはずなのだ。
「何もしないから。」
ただしこの言葉を口にしたからといって、本当に何もしないという保障はない。
人にもよるだろうが、アレをする気であるのならまずこの言葉は口にしない。
男というのはこういった状況の中で、かっこつければつけるほど
後で損をするということをちゃんと知っているからである。
本能のおもむくままに動くほうがよっぽどマシなのだ。
したいからする。それでいいのだ。
恋愛は後から発展してもよい、とにかく今はしたい。これしか考えていない。
ホテルへ入ることを了承した女のほうも、ここで拒否してはならない。
拒否するのならホテルに入る前に言うべきなのだ。
いざ本番前になって拒否されることほど男にとって地獄はない。
DEJAVU PAGE31−2
ともかくこの直也という男、彩に本気だと言いながら
ホテルに入って何もしようともしない。つまりこの男は馬鹿である。
彩「・・・(あぁ・・・眠い・・・寝ちゃだめ・・・寝たらまた・・・)・・」
直也「・・・・・・・」
彩「・・・(ああ!もうこうなったら!)・・・」
彩は何を思ったのか、突然ベッドから起き出し洗面所へ向かった。
直也「・・・(何してんだあいつ・・・)・・・」
ジャー ザブザブザブ
なんと彩は眠くならないように冷たい水で顔を洗っていた。
彩「ふぅ・・・」
しばらくして彩は再びベッドへ入り込んだ。
彩「・・・(よし、これで目が覚めた。)・・・」
直也「・・・(何やってんだ彩のやつ・・・眠いなら寝ればいいものをわざわざ
顔なんか洗って・・・)」
DEJAVU PAGE32−1
〜〜〜〜15分後〜〜〜〜〜
彩「・・・(あぁ・・・また眠くなってきた・・・)・・・」
彩はまた洗面所へ向かい、顔を洗い始めた。
直也「・・・(うるさいなさっきから・・・こっちが寝れないじゃないか・・・)」
彩「・・・(ふぅーすっきり。)」
それから彩は眠くなるたびに顔を洗い、そのたびに直也はなかなか寝付けなかった。
どうやら直也は始めから彩とアレをする気はなかったようだ。
彩「・・・(こいつ・・本当に何もしないのかな・・・ひょっとしてあたしの
勘違いだったの・・・?)」
彩は少々戸惑ったが、この直也に対しての懐疑心が次第にうすれていった。
彩はいつの間にか隣で寝ている直也に声をかけていた。
DEJAVU PAGE32−2
彩「・・・直也、起きてる?」
直也「・・・なんだよ。」
彩「あんたさ・・・・本当は何もしなかったんだ・・・」
直也「?・・なんで過去形なんだ?」
彩「あ、いや・・・・つまり最初からあたしに対して変な気を起こすつもりは
なかったんだなぁってこと。」
直也「ふん、言っただろ。俺は本気だと・・・」
彩「・・・・・」
直也「ここで何もしないのは男として地獄だけど、お前に少しでも俺の誠意が
わかってもらえるのなら・・・」
彩「ば〜か、無理しちゃって。」
直也「うるせぇな・・・。」
彩「・・・・でもあたしもちょっとだけあんたのこと、好きになったかも・・・」
直也「・・・・・・・」
彩「あのさ直也、変なこと聞くけど・・・」
直也「なんだよ、もう眠いんだが・・・」
彩「明日ってくるかな・・・」
直也「??」
彩「だからさ、明日という日が来るかなって聞いてんの。」
直也「簡単だ、早く寝ればいい。そうすりゃ明日になる。」
彩「そりゃそうなんだけどさ・・・・あたし明日という日が来ないのは
てっきりあんたのせいだと勘違いして・・・」
直也「・・・・もう何言ってるのかわかんねえよ、お前ほんと今日どうか
してるぞ・・・」
DEJAVU PAGE32−3
彩「うん・・・ほんとどうかしてたあたし・・・」
直也「頼むからもう寝かせてくれ、明日も会社なんだから。」
彩「わかった、じゃあおやすみ。直也。」
直也「あぁ、おやすみ。彩。」
直也は彩の反対側に顔をそむけながら寝てしまった。
どこまでも馬鹿である。
彩は直也の背中に少しだけ近づくと、ちょっとだけ安心したような表情で
直也の背中を見つめていた。
結局、彩の出した結論は間違いだったのか。
この空白の時間には何も起きる気配はなかった。
だとしたらこれでメビウスの輪から抜け出せたのだろうか。
原因はなんだったのか。
少なくともこの直也は無関係であろう。
明日という日はやってくるのだろうか。
それともまた同じ会話をするのだろうか。
再びデジャヴの錯覚に陥るのだろうか。
直也が寝たからといって自分も寝るわけにはいかない。
彩は重いまぶたを必死で開かせ、一睡もせずに朝までがんばることにした。
それから数時間後、いよいよ次の朝を迎えるときがきた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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新中市 A町 ホテル街
ラブホテル エジンベア
午前08:25
彩「・・・ちょっと直也、もういい加減に起きたら?」
直也「・・・う〜ん・・・」
彩「おはよ、やっと起きた?」
直也「あぁ・・・もう朝か・・・」
その朝は以前まで繰り返していた会話と違っていた。
彩「悪いけどあたし先に会社へ行くから。」
直也「え?ちょ、ちょっと待ってくれよ。一緒に行こうぜ。」
彩「ばーか、朝帰りだと思われるでしょ。別々に出勤したほうがいいのよ。」
直也「俺はかまわないが。」
彩「あたしがイヤなのよ!」
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一晩起きていたせいか、以前の朝とはまるで違う。
これで本当にメビウスの輪から抜け出せたのだろうか。
彩は疲れてはいたが、安心しきった表情で会社へ向かおうとした。
彩「じゃあ先に行ってるわね。あ、そこにコーヒー入れといたから。」
直也「冷たいやつだな、待ってくれてもいいのに。」
彩「あんたも早く着替えて出勤しなさいよ、じゃあね。」
バタム
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だが しかし・・・・
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新中市 A町 ボンモール商業 営業課
午後18:05
女子社員「ねぇねぇ彩、今日行くでしょ?」
彩「行くってどこに?」
女子社員「何言ってんの、今日会社終わったらみんなで飲みに行くって
約束したじゃん。」
彩「はぁ????」
女子社員「?どうしたの?」
彩「・・・(ど、どうして・・??また同じじゃない・・・!)」
女子社員「あそうだそうだ、直也くんも今日の飲み会誘っておいたから。」
彩「!?」
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何も変わっていなかった。
再び元へ戻ってしまっていた。
再びデジャヴの錯覚に陥ってしまった・・・
彩「ど、どうしてなのーーーーーーーーーーーーー???」
女子社員「な、なによ・・・急に大声出してびっくりするじゃない・・・」
彩「あ、あたし永遠に今日という日を繰り返さなきゃならないの・・・??」
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彩はこのメビウスの輪から逃れることはできなかった。
直也が原因ではなかった。
そして空白の時間帯には何も起きなかった。
彩「おかしいわよ・・・だってゆうべ一睡もしないで一つも見逃さなかった
はずなのに・・・」
確かに朝の会話は以前とは違っていたが、結局ふりだしに戻っていた。
彩「わからない・・・・いったいどういうことなの??」
メビウスの輪というのは出口がない。
出口がないからこそ輪なのだ。
抜け出そうとすればするほど、永遠のデジャヴに襲われる。
だが最初に言った通り、問題は「なぜ?」ではなく「どこで?」なのだ。
どこがリピート地点だったのか。
どこからが始りで、どこで折り返し地点なのか。
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結論を言うと、そもそも彩はスタート地点を大きく見誤っている。
ホテルでの迎えた朝。彼女はこれがスタート地点だと勘違いしている。
スタートはそこではない。
「ボンモール商業 営業課にて午後18:05」。これが真のスタート地点である。
この時間の渦の現象の正体は、直也が不思議な力を使って云々ではない。
酔った空白のラブホテルでの時間でもないのだ。
真の答えは実は「3番」。
「これらはすべて夢である。そのうち目を覚ますに決まってる」
これが真相である。
ではこれから真相編をもってこの物語のリピート地点を明らかにしよう。
永遠の再放送を実況する。
メビウスの罠の実態を探ってみる。
実は、それこそが彩の「本当の空白の時間」である。
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DEJAVU PAGE36−1
これより、テープを少々巻き戻す。
新中市 A町 ホテル街
ラブホテル エジンベア
午前08:25
彩「・・・ちょっと直也、もういい加減に起きたら?」
直也「・・・う〜ん・・・」
彩「おはよ、やっと起きた?」
直也「あぁ・・・もう朝か・・・」
彩「悪いけどあたし先に会社へ行くから。」
直也「え?ちょ、ちょっと待ってくれよ。一緒に行こうぜ。」
彩「ばーか、朝帰りだと思われるでしょ。別々に出勤したほうがいいのよ。」
直也「俺はかまわないが。」
彩「あたしがイヤなのよ!」
彩「じゃあ先に行ってるわね。あ、そこにコーヒー入れといたから。」
直也「冷たいやつだな、待ってくれてもいいのに。」
彩「あんたも早く着替えて出勤しなさいよ、じゃあね。」
バタム
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
DEJAVU PAGE36−2
新中市 A町 交差点前
午前08:32
彩「あー!早く行かないと遅刻しちゃう!また課長におこられるーーーー!!」
彩は急いで会社へ向かう。
交差点前では青になるのを待っている街の人々がつらなっていた。
しかし彩は・・・
彩「あーもう!早くしてよ!急いでんのに!」
しびれを切らした彩は、信号機を無視して車が通り過ぎたのを確認すると
車道へ飛び出した。
彩「車は来てないようね、今のうちに・・・」
市民A「おいきみ、危ないぞ!」
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彩は無視して車道を渡ろうとした。
だがそのとき、反対側からやってきたトラックに気づいていなかった。
市民「あ、危ない!!」
彩「え・・・?」
キキキィィーーーーーー!! バンッ!!
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・・・・ああ・・・たった今思い出した・・・・
・・・そういやあたし、トラックにはねられて・・・・
・・・どうりで覚えていないはず・・・・・
・・・そもそもあいつとホテルなんかに行かなければ・・・・
・・・いや、そもそも飲み会なんか行かなければ・・・・
・・・もう一度やり直したい・・・・もう一度間違った選択をやり直したい・・・
・・・やり直すことができれば・・・・今度こそ正しい選択を・・・・
・・・・今度こそ正しい明日を取り戻してみせる・・・・・
キーーーーーーーーーーーーン
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新中市 A町 ボンモール商業 営業課
午後18:05
女子社員「ねぇねぇ彩、今日行くでしょ?」
彩「行くってどこに?」
女子社員「何言ってんの、今日会社終わったらみんなで飲みに行くって
約束したじゃん。」
彩「はぁ???」
〜ここでふりだしに戻る。同時に夢の始まりである〜
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DEJAVU PAGE38−1
一方、現実では・・・・
市民A「誰か!!救急車を!人がはねられたぞ!!」
彩「・・・・・・」
市民B「なんだなんだ?交通事故か?!」
市民C「信号無視して車道を渡ろうとしたらしい、馬鹿だな・・・」
市民D「こりゃ助かりそうもないな・・・かわいそうに・・・」
ウーウーウーウーウーウー!!(救急車)
救急隊員A「動かさないようにそっと担架に乗せよう。」
救急隊員B「よしいくぞ、せーの。」
ドサ
救急隊員A「病院へ緊急手術の用意だと連絡してくれ。一刻を争う。」
救急隊員B「了解。」
バタン
ブゥゥーーーーー!!
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DEJAVU PAGE38−2
新中救急病棟
直也「それでどんな容態なんですか・・・」
医師「手術は済んだが、完全な昏睡状態だよ。我々ではもうお手上げだ・・・。」
直也「・・・・・・」
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DEJAVU PAGE39−1
集中治療室
直也「やぁ、彩・・・。」
彩「・・・・・・・・・」
直也「馬鹿だなお前、だから一緒に会社へ行こうって言ったのに・・・」
彩「・・・・・・」
直也「俺、お前が目を覚ますまでここで待つよ・・・。ずっと・・・」
彩「・・・・・・・・・」
直也「今ごろお前は夢を見ているんだろうな、どんな夢か知らないが
一日も早く目を覚ましてくれよな・・・・」
DEJAVU PAGE39−2
彩「・・・・・・・・」
直也「・・・お前が目を覚ましたころには、きっと明日が訪れるよ・・・」
彩「・・・・・・・」
直也「お前の明日が来るまで、俺も一緒に待つよ・・・・」
彩「・・・・・・・・」
直也「いつまでも待っているからな、彩・・・・・」
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DEJAVU PAGE40−1
あなたが次のデジャヴに陥った場合、次のことに気をつけてほしい。
それは本当に現実ですか?
人生において何か間違った選択を選んだ覚えは?
自らテープを巻き戻して「再放送」を繰り返していませんか?
一回目のデジャヴ。
それはさほど気にすることもない。
二回目のデジャヴ。
よほど何か間違った選択をしたのだろう。
三回目のデジャヴ。
要注意である。間違いなく「再放送」を繰り返している。
DEJAVU PAGE40−2
デジャヴという名のメビウスの罠にお気をつけください。
DEJAVU
〜完〜
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161 :
山崎渉:03/05/22 02:14 ID:???
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
a
163 :
山崎渉:03/05/28 17:32 ID:???
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
166 :
21世紀の名無しさん:03/07/01 06:03 ID:bIFteIQq
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧ ∧_∧
ピュ.ー ( ・3・) ( ^^ ) <これからも僕たちを応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄ ̄∪ ̄ ̄〕
= ◎――――――◎ 山崎渉&ぼるじょあ
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン