1 :
Trackback(774):
うちゅうせんぺぺぺぺらん
谷川俊太郎:作
あるひのこと、まちに みたこともない
おじいさんがやってきました。しろい、
ひげは、じめんに とどく くらい ながく、
てには へんな かたちの がっきを
もっています。
あそんでいた こどもたちが すぐに
まわりを とりかこみました。
「おじいさん、としは いくつ?」
2 :
Trackback(774):2006/10/22(日) 23:57:47 ID:KcQLtMlA
「さあ、いくつになるかな。たしか、せかいで
いちばん たかい ヒマラヤさんと
おなじ としだから、とても としをとって
いるんだよ。」
「おじいさん どこからきたの?」
「さあ、どこからだったかな。たしか
さばくを あるいて きたのだが。」
「おじいさん だれなの?」
3 :
Trackback(774):2006/10/22(日) 23:58:51 ID:KcQLtMlA
「だれだっけな。たしか うたは
うたえたと 思うが」
「じゃあ うたって、うたってよ おじいさん。」
ペペペペランは うちゅうせん
むらさきいろの あかつきに
アンドロメダへ とびたった
のりこむ こども 27にん
たちまち ちきゅうは
くもの かなた
4 :
Trackback(774):2006/10/22(日) 23:59:26 ID:KcQLtMlA
「ペペペペランだって!へんな なまえ!
いったい どこの くにの うちゅうせんなの」
「どこのくにってね、このころには もう
くになんてものは ないんだよ。せかいじゅうが
ひとつに なってるんだ。」
「おじいさん、のってるのは こどもだけなの?」
「そうだよ。」
「どうして?」
「アンドロメダは とおい とおい ところに
あるから、そこに つくまでには なんねんも
なんねんも かかるんだ。おとなでは としを
とって しんでしまう。」
5 :
Trackback(774):2006/10/23(月) 00:00:02 ID:KcQLtMlA
「でも、こどもだけで だいじょうぶかしら?」
「だいじょうぶだよ。そうじゅうは じどう
そうじゅうなんだよ。それに こどもたちは
がっこうに いく かわりに、コンピューターと
ちきゅうからの テレビを せんせいにして、
まいにち べんきょうできるように なって
いるんだ。」
ペペペペランは うちゅうせん
くるひ くるとし とびつづけ
いつか こどもは としをとり
つぎから つぎへ けっこんしきだ
なつかしい ちきゅうは
ほしの かなた
6 :
Trackback(774):2006/10/23(月) 00:00:41 ID:KcQLtMlA
しろいひげの おじいさんは、なにかを
おもいだそうと するように、あおいそらに
むかって かおを あげました。
それまで だれも きがつかなかったのですが
おじいさんは めが みえないのでした。
みずうみの ほうから すずしい かぜが
ふいてきて、こどもたちの あせを かわかし
おじいさんの ひげを ゆらしました。
おじいさんは ひくい こえで
また うたい はじめました。
ペペペペランは うちゅうせん
ひとりぼっちの りょうりばん
よわむしロンは ししっぱな
そのとき ぶつかる だいほうきぼし
ふるさとの ちきゅうは
はるか かなた
7 :
Trackback(774):2006/10/23(月) 00:01:14 ID:Y4w18uAH
「ねえ、どうして?どうして ひとりぼっちなの?」
「ペペペペランは おとこのこが 14にんと
おんなのこが 13にん のっていたんだ。
そうすると、おとこのこが ひとり
あまっちゃうんだよ。よわむしロンは
よわむしだったので だれも けっこんして
くれなかった。
だから、ひとりだけ のこってしまった。」
「あら、かわいそう。」
「でも、しょうがないよ。よわむしだったんだもん。」
「わたしなら けっこん してあげる。」
「そしたら また ほかの だれかが
あまっちゃう。」
「それで、それで、それから どうなったの?
ねえ、ほうきぼしが ぶつかってさ。」
どうたいにあいた おおあなを
なおす ゆうきは だれのもの
よわむしロンは べそをかき
かなづち かたて みごとに なおす
なつかしい ちきゅうは
はるか かなた
ペペペペランは うちゅうせん
だいじな じかん むだに できぬ
よわむしロンを おきざりに
ゆくえも しれず まっしぐら
ふるさとの ちきゅうは
はるか かなた
8 :
Trackback(774):2006/10/23(月) 00:02:22 ID:KcQLtMlA
おじいさんは つかれたように うたをやめ
ぼんやり すわって いました。
みずうみから かぜが こんどは すこし
つよく ふいてきて、おかしやさんの
かんばんを がたがたと ゆらしました。
ここは ちきゅうの うえなのに、みんな
そろっているのに、こどもたちは なぜか
とりのこされた よわむしロンに なった
ような きもちで しばらく しいんと
していました。
いちばん ちいさいこなんかは、すこし
べそを かいている みたいでした。
「よわむしロンには きのどくだったが
そうするよりほか なかったんだ。
ペペペペランのコンピューターが
こわれてしまって どうすることも
できなかったんだ。」
9 :
Trackback(774):2006/10/23(月) 00:03:27 ID:KcQLtMlA
「それで、ペペペペランは どうなったの?
アンドロメダに ついた?」
「さあ、どうなったかな。ついたと
いうものもあるし、ゆくえふめいになったと
いうものもある。」
「じゃ、ロンは?よわむしロンは?」
ペペペペランは うちゅうせん
ギラギラひかる ほしのなか
よわむしロンは きがふれた
ほしの あいだを ただよって
おおきな こえで うたを うたう
なつかしい ちきゅうは
ほしの かなた
10 :
Trackback(774):2006/10/23(月) 00:04:27 ID:KcQLtMlA
いつのまにか しろいひげの
おじいさんは どこへともなく
すがたを けしていました。
ふと きがつくと みずうみの
うえに いちばんぼしが ひとつ
ちいさく かがやきだしていて、
とおくから こどもたちを よぶ
おかあさんの こえが
きこえてきました。
11 :
Trackback(774):2006/10/23(月) 00:05:23 ID:KcQLtMlA
あっ、スレ誤爆した・・・・馬鹿か俺は・・・
12 :
Trackback(774):2006/10/23(月) 00:14:30 ID:+/7R+CLD
おいっ!びっくりしたじゃないか。
妙に懐かしい感じがするなぁ
でも、誤爆かw