http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ03HW0_T00C15A3TJ1000/ 新日鉄住金は国内の設備投資を2015年度から年1千億円積み増す。
大型設備の更新を加速するほか、従業員の採用も14年度の約2倍に増やす。
経営統合から2年半で収益は急回復し、時価総額は世界トップとなったが、
アジアの鉄鋼大手の追い上げに対抗するにはもう一段の生産性向上が必要。
14年に名古屋製鉄所(愛知県東海市)でトラブルが相次いだこともあり、設備と人の両面から生産の質を底上げする。
同社は12年の統合を受けて15年度を目標とする中期経営計画を進めてきたが、
1年前倒しして15年度から3カ年の新中計に移行する。
記者会見した進藤孝生社長は、
「統合が順調に進み、(現中計の)目標はおおむね達成したが、
国内での製造面の実力をさらに強化するという視点から策定した」と説明した。
同社はこれまで、国内の生産設備の補修や刷新に年間3500億円程度を投じてきた。
しかし、石炭を焼き固めてコークスを製造するコークス炉では稼働後40年が過ぎ生産性が低下し始めたものもある。
17年度まではこうした設備の更新投資を積み増し、生産性を改善する。
従業員の採用も大幅に増やす。
1970年代までに大量採用してきた従業員が定年退職を迎えることもあり、
今後3年間は年1300人程度と、足元の年約700人から倍増させる。
新日鉄住金は新興国の経済成長や自動車メーカーの海外生産拡大に合わせ、
アジアや北米に相次いで鋼材の生産拠点を設けている。
ただ、高級鋼材の中間原料は今後も国内製鉄所から輸出する方針で、国内の粗鋼生産能力は5000万トン規模を維持する。
同社の15年3月期見込みの連結の売上高経常利益率は7.3%で、13年3月期の1.7%から大きく改善した。
為替の円高修正に加えて、統合後の旧2社資産の圧縮も当初計画を上回る規模で進んだことなどが大きい。
さらに、新中計では設備更新による生産性向上などで18年3月期に10%以上に高める方針だ。
国内2位のJFEホールディングスは15年3月期に5.7%の売上高経常利益率を見込む。
世界最大手の欧州アルセロール・ミタルの売上高営業利益率は14年12月期に3.8%、
韓国ポスコが同5%台だったのと比べても新日鉄住金の水準は高い。
しかし、アジアを中心とする鉄鋼の需給緩和は深刻さを増す。
宝鋼集団などアジア鉄鋼大手の技術力も向上しており、
従来は競合が激しくなかった自動車向けなどの高級鋼でも今後はぶつかり合う可能性がある。
新中計には「業界他社が出し得ない統合効果」(進藤社長)を出しながらも、さらなる収益改善が必要という危機感がうかがえる。
同社は同日、統合発表時の住友金属工業社長だった友野宏副会長が4月1日付で取締役相談役に退く人事も発表した。
旧2社の融合を目指す統合の段階は越え、新たな成長を描く段階に入った。
写真:休止を発表した新日鉄住金の八幡製鉄所・小倉地区の高炉設備
http://www.nikkei.com/content/pic/20150303/96958A9E93819688E2E19A85E28DE2E1E2E1E0E2E3E78698E3E2E2E2-DSXMZO8392041003032015TJ1001-PB1-6.jpg 関連ニュース:新日鉄住金、3年間で国内に1兆3500億円投資
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0W52SQ20150303 関連スレッド:【鉄鋼】新日鉄住金、小倉の高炉休止へ 18年度末めど
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1425393001/l30