http://wpb.shueisha.co.jp/2015/02/06/43041/ ラーメン屋や牛丼店に並び、どの街でも見かけるうどんチェーン店。その大手である「丸亀製麺」に新興勢力が迫っている今、
今年はその勢力図に変化が起きるかもしれない。
■独走・丸亀製麺に“頭打ち”が始まった!
最初にトレイを持って並び、まずうどんを注文し、天ぷらなどのトッピングを選んでそのままレジで会計をする。
今や日本中にある、セルフ式のうどん店だ。その最大手チェーンである「丸亀製麺」の香川県進出1号店(高松市・栗林[りつりん]公園店)が、1月18日に閉店した。
店名に「丸亀」とあるが、丸亀製麺を運営する「トリドール」は、もともと兵庫県の会社。
讃岐(さぬき)うどんの本場・香川県でも定着させたかったはずだが、香川県1号店はオープンから3年で幕引きとなってしまった。
閉店の理由を外食ジャーナリストの中村芳平(よしへい)氏は次のように語る。
「やはり値段が高かった。丸亀製麺は、安いといっても釜揚げうどんの並で280円。でも本場の香川県では、釜揚げの並は200円以内が一般的です」
一杯280円でも「高い」のか! 本場、恐るべし。
また、『日本全国絶品うどん図鑑』(生活情報センター)などの著書があるフードジャーナリストのはんつ遠藤氏は、ダシが讃岐風でなかったのが原因だという。
「讃岐うどんのダシはイリコ(煮干し)が直線的に感じられる味ですが、丸亀製麺はカツオやサバなども使った大阪風の上品なダシ。
全国展開するためには、そうした味にせざるを得なかったんですが、それが本場・香川では受け入れられなかった」
では、この閉店をきっかけに、業界第1位の丸亀製麺が失速していったり…なんてことは、あり得るのか。前出の中村氏が語る。
「丸亀製麺は現在、国内に約780店舗。2位の『はなまるうどん』は約330店舗だから、450店の差がある。毎年50店舗以上、
出店の差をつけても追いつくまでに9年かかるわけで、圧倒的な強さはビクともしない。香川店が閉店したこと自体は、大した影響はないと思います」
実はセルフ式うどんの先駆者は、はなまるうどんのほうだった。丸亀製麺は、どうやって今の独走状態を築いたのか。遠藤氏が解説する。
「まず、1990年代後半に讃岐うどんのブームが起きました。その後、2000年に香川県で開業したはなまるうどんがフランチャイズ事業を始め、
1杯100円で食べられるチェーン店を2002年に東京・渋谷にオープンして大人気となったわけです。
しかし、ブームは長く続かず、業績が低迷したはなまるうどんは、2006年に吉野家HDの傘下に入りました」
一方、丸亀製麺は2000年に兵庫県に1号店を開店。店内に製麺機を置く自家製麺スタイルで店舗数を伸ばしていった
自家製麺は職人を確保するのが難しく、短期間で店舗数を増やすことができない。
しかし、最新の製麺機を使用することで品質の高い麺を作ることに成功したのだ。
「最近の製麺機はデジタル表示なんですよ。ダイヤル式だと微妙に変わることもありますが、
今は粉を練るのも機械任せで麺の厚みも0.1mm単位で決められます」(遠藤氏)