【企業】 “ブラック扱い”企業よりも低い関電経営陣の「株主支持率」 [産経新聞]
SankeiBiz 2014/7/25 12:00 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/140724/wec14072407000001-n1.htm 関西電力の経営陣に対する株主の支持率が下がり続けている。ことしの株主総会の結果をまとめた各社
の「臨時報告書」によると関電は、従業員を使い捨てにする“ブラック企業”と揶(や)揄(ゆ)された外食チェー
ンのワタミや、業績低迷から抜け出せないソニーなどよりも低い。関電役員で最も低かったのは森詳介会長
で、選任への賛成率はついに70%を切った。
◆69・4%
関電の経営はかなり厳しく、平成26年3月期の最終損益は974億円の赤字。赤字は3期連続だ。原子力
発電所の長期停止が主因だが、再稼働のめどは立っておらず、4期連続の赤字になる可能性もある。
「こんな赤字を出して経営陣が継続するなんて、ふつうの会社ではあり得ない。みんな責任をとって交代を」。
筆頭株主である大阪市の橋下徹市長は6月26日に開かれた関電の株主総会で、全役員に引責辞任を迫っ
た。
しかし、総会は会社提案の取締役人事を賛成多数で可決した。ただ、経営陣への逆風は以前に増して強ま
っている。
関電が7月3日に関東財務局に提出した臨時報告書によると、議決権を行使した株主のうち森会長の選任
に賛成したのは69・7%、八木誠社長は76・4%だった。役員16人の賛成率はそれぞれ69・7〜82%。70
%を切ったのは森氏だけだ。
森氏は平成24年が82・8%、25年は81・9%で、今回の下落幅は12・2ポイント。八木氏はことし7・2ポ
イント下落した。
◆批判しても9割承認
「社長の話を聞いてがっかり。あなたに任せてソニーは変わるのか」
株主からキツい言葉を浴びせられたソニーの平井一夫社長だが、選任への賛成率は89%で関電役員の
誰よりも高かった。ソニーの他の役員も87〜93%の賛成を得ている。
一方、黒字転換を果たしたものの無配が続くシャープ。復配を求める株主の声と批判が相次ぎ役員も謝罪
したが、高橋興三社長は97・18%とかなり高い。
25年度は上場以来初めての赤字に転落したワタミも悪くはない。「ブラックだ」と批判を受けている従業員
の扱いについて経営陣が釈明に追われた株主総会だったが、役員選任の賛成率は96・89〜99・27%だ
った。
◆個人株主の離反
こうしてみると、関電経営陣の不人気ぶりが際立つ。有価証券報告書(平成26年3月期)によると、役員全
員の辞任を求めた大阪市の持ち株比率は8・92%だが、これだけでは説明できない。森氏選任への反対は
28・8%もある。
一般的に株主のうち取引関係のある企業や金融機関は、会社提案の役員人事に賛成する。そうしたことを
考えると、個人株主の意向が色濃く反映されたといえそうだ。関電で株式の保有比率が最も高いのは「個人
その他」株主で34・8%。議決権を行使しなかった株主を除いても、影響力は小さくない。
一方、ソニーの「個人その他」株主は33・33%、ワタミは43・51%。役員人事案への賛成率の高さからみ
ると、多くは不満を抱えていても了承したことになる。
違いはどこにあるのか。ソニー製品やワタミのサービスが気に入らなければ他社を利用すれば良いし、株
を売却すれば縁は切れる。しかし、電力会社はそうはいかない。特に関西圏に住んでいる株主は、関電株の
株価下落と無配に加え、電気料金値上げで負担が増している。関電は単なる投資先以上の存在で、経営陣
への不満は増幅しやすい。
関電の株主総会で個人株主らが提出した議案は、脱原発を含め25件すべてが否決された。ただ、取締役
の報酬について総額ではなく個別に額を開示せよという議案には33・4%と3分の1超が賛成した。
関電役員が支持率を回復するには、経営の立て直しが不可欠だが、まず他社並みを目指すのなら役員報
酬の全面開示も1つの鍵になるかもしれない。(粂博之)