ソース(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版) ※ソース元に動画あり
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303828304580044220705754794 写真=ソニーの新型ウォークマン「ZX-1」(左)とヘッドフォン「MDR-1」
http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-DU098_140722_G_20140721223418.jpg 【東京】デビューから35年を迎えるソニーのウォークマンが今、小さな復活を遂げている。
しかし、1979年に発売された初代ウォークマンが大量消費とポータブル(持ち運べる)音楽の時代の先駆けだったのに対し、
価格700ドル(約7万円)の新型ウォークマンは高級志向の顧客をターゲットにしている。技術の進歩が、音楽を携帯する人々の
高級志向を強めている中での動きだ。
ソニーの新型ウォークマン「ZX1」は多くの点で、薄型が特徴のアップルのiPod(アイポッド)やウォークマンのほっそりした先行機
と対照的だ。ZX1のボディーは重くて分厚く、超高音質の音楽ファイルを保存できる128ギガバイトのメモリが内蔵されている。
ソニーによれば、1台1台を高価なアルミニウムの塊から削り出していることが、ノイズの低減につながっているという。
ソニーの音響製品企画担当者、中田謙二氏は「設計や技術の担当者向けのメッセージは、『コストを気にせず、良い製品を作って
欲しい』というものだった」と述べた。
ソニーの高級志向を狙ったこれまでの多くの家電と違ってZX1は良く売れており、少なくとも日本では好調だ。昨年12月に店頭に
並ぶと、すぐに売り切れとなった。2月以降、欧州やアジアでも発売されている。ただし米国での発売日は決まっていない。
ZX1は成功しているものの、依然としてニッチな製品にとどまっている。ソニーは売り上げの数字を公表していないが、アナリスト
たちは日本でのこれまでの販売台数が数千台にとどまるとの見方をしている。
図表=新旧のウォークマン
http://si.wsj.net/public/resources/images/AM-BE356_WALKBA_G_20140720194504.jpg また、新型ウォークマンは、どんなに成功するとしても、それがソニーの慢性的な赤字を解消するとまで期待している人は皆無だ。
同社は2013年度(14年3月終了)の損益が13億ドルの赤字だったことを明らかにし、今年度も赤字にとどまる見通しを示している。
同社の消費者向けエレクトロニクスの主力製品は依然としてテレビとゲーム機だ。
それでも、ZX1の人気は一部の携帯音楽プレーヤー顧客のシフトを浮き彫りにする、と業界観測筋は指摘する。インターネットの
通信速度が上がり、データ容量が増えたことで、長年音質より便利さを選んできた消費者は、音質と便利さの両方を手に入れられる
ようになっている。これまでのデジタル音楽プレーヤーは、音楽ファイルを圧縮することでスリムな端末に何万もの曲を収めてきたが、
そのプロセスによって音質が犠牲になっていた。
ソニーの平井一夫社長は1月の消費者向けエレクトロニクス見本市で、「今の世代全体が、非圧縮オーディオの音を聞いたときの
湧き上がる感情を経験していない」と述べていた。
インターネットの通信速度が向上したほか、メモリーチップが高速化して容量が増えたことから、ZX1のような機器は、より重い
音楽ファイル(業界でハイレゾリューションオーディオ=ハイレゾ音源=と呼ばれる)を、オリジナルの記録からそれほど音楽データを
失うことなしに再生、保存、転送できる。中田氏によると、電池寿命が長くなったことで、重い音楽ファイルを16時間再生できるように
なった。ただし、これは他の携帯プレーヤーが圧縮されたファイルを再生できる時間と比較すると、依然として5分の1程度にとどまる
という。
ソニーは、このフォーマットが低音から高音、そして歌手の息づかいに至るまで、CDを上回る音質を提供すると主張する。ハイレゾ
音楽ファイルには、CDの3倍以上の音楽データが入る。
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>>2以降に続く)