http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140521/fnc14052112310011-n1.htm 社外取締役導入の動きが加速している。
東証1部上場各社は本決算と同時に、6月の株主総会で選任する候補者を発表。
元閣僚や元駐日大使、女性柔道家など多彩な顔ぶれが並ぶ。
今国会で成立見通しの会社法改正案は、事実上の義務づけとも言える内容で、各社の背中を押している。
年内に7割超が導入するとの見方もあり、社外取締役の存在が一般的な状況になりそうだ。(高橋寛次)
昨年、傘下信販会社を通じた暴力団融資問題が発覚したみずほフィナンシャルグループは、
元経済財政担当相の大田弘子政策研究大学院大教授を社外取締役(取締役会議長)に迎え、経営監視体制を強化する。
ソニーは、ジョン・ルース前駐日米大使を候補者とした。
「弁護士としての豊富な経験に加え、大使としてもビジネスや行政、国際渉外に精通している」のが起用の理由だ。
日本の柔道女子で初めて世界選手権を制し、「女三四郎」と呼ばれた山口香・日本オリンピック委員会理事を起用するのはコナミ。
「多様な視点が求められる取締役会の運営に資するところが大きいと判断した」という。
元官僚も多い。
日本テレビホールディングスは真砂靖・前財務事務次官を、りそな銀行は佐藤英彦・元警察庁長官を迎える。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が社外取締役を務めるソフトバンクは、新たに日本電産の永守重信社長を起用。
他業種からの選任も今後増えそうだ。
野村証券の西山賢吾シニアストラテジストは
「社外取締役はまだ黎(れい)明(めい)期で、過去の実績や名声を重視する傾向が強い。
事例が積み上がれば、より精緻な選任の基準ができていくだろう」と指摘する。
日本取締役協会によると「社外」を選任している企業は昨年8月時点で62%。
「今年は比率が10ポイント上がる可能性もある」(西山氏)という。
会社法改正案では、未選任企業はその理由を総会で説明しなければならず、
東証も上場規定で「努力義務」として選任を求めるなど、制度面の後押しが背景にある。
もともと、不祥事の防止や企業統治(コーポレートガバナンス)強化のため、
選任を求める声は海外投資家を中心に大きい。
日本取締役協会の宮内義彦会長は「もはや社外取締役を入れる、入れないといった議論は終わった」と話す。
今後は、その独立性や、実際に機能しているかが問われる局面を迎える。
グラフ:社外取締役の人数と選任企業の比率
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